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公開番号2025038559
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-19
出願番号2023145249
出願日2023-09-07
発明の名称歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および/または糖新生亢進を抑制するための薬剤
出願人国立大学法人大阪大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A61K 45/00 20060101AFI20250312BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】歯周病と糖尿病を罹患する患者に対する新規治療法の提供。
【解決手段】ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを含む、歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および/または糖新生亢進を抑制するための薬剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
ファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを含む、歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制するための薬剤。
続きを表示（約 890 文字）【請求項２】
ＦＸＲアゴニストが、ＧＷ４０６４、Ｆｅｘａｒａｍｉｎｅ、Ｔｒｏｐｉｆｅｘｏｒ、ＸＬ３３５、ＰＸ２０６０６ｔｒａｎｓｒａｃｅｍａｔｅ、オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸からなる群から選択される少なくとも１つである、請求項１記載の薬剤。
【請求項３】
ファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを含む、歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制するための食品組成物。
【請求項４】
ＦＸＲアゴニストが、ＧＷ４０６４、Ｆｅｘａｒａｍｉｎｅ、Ｔｒｏｐｉｆｅｘｏｒ、ＸＬ３３５、ＰＸ２０６０６ｔｒａｎｓｒａｃｅｍａｔｅ、オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸からなる群から選択される少なくとも１つであるである、請求項３記載の食品組成物。
【請求項５】
ファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを含む、歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制するための口腔ケア用剤。
【請求項６】
ＦＸＲアゴニストが、ＧＷ４０６４、Ｆｅｘａｒａｍｉｎｅ、Ｔｒｏｐｉｆｅｘｏｒ、ＸＬ３３５、ＰＸ２０６０６ｔｒａｎｓｒａｃｅｍａｔｅ、オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸からなる群から選択される少なくとも１つである、請求項５記載の口腔ケア用剤。
【請求項７】
歯周病および糖尿病を罹患する対象にファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを投与することを含む、対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制する方法。
【請求項８】
ＦＸＲアゴニストが、ＧＷ４０６４、Ｆｅｘａｒａｍｉｎｅ、Ｔｒｏｐｉｆｅｘｏｒ、ＸＬ３３５、ＰＸ２０６０６ｔｒａｎｓｒａｃｅｍａｔｅ、オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸からなる群から選択される少なくとも１つである、請求項７記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、ファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを有効成分として含む、歯周病および糖尿病を同時に罹患する対象において、血糖値の増悪および／または糖新生の亢進を効率よく抑制するための薬剤等に関する。
続きを表示（約 2,700 文字）【背景技術】
【０００２】
ヒトの口腔内のバイオフィルム形成細菌は、不適切な口腔衛生による細菌共生の障害により、慢性的な炎症性歯周病を引き起こす。ポルフィロモナス・ジンジバリス（Ｐｏｒｐｈｙｒｏｍｏｎａｓｇｉｎｇｉｖａｌｉｓ，Ｐｇ）は、通常の口腔細菌叢の量と構成に重要な変化を引き起こす。Ｐｇは、歯周ポケット内の他の細菌との組み合わせにおいて、歯周炎を引き起こす主要な種である。歯周病の主因は、歯周細菌から構成されるデンタルバイオフィルムであり、このバイオフィルムの蓄積により歯周組織の炎症と破壊が引き起こされる。
【０００３】
ところで、糖尿病は破壊的な歯周病を発症するリスクを約３倍増加させることが示され、また、歯周治療は２型糖尿病患者において効果的な血糖管理に重要である可能性が示唆されている。従って、歯周病と糖尿病は互いに影響を及ぼすと考えられている。
【０００４】
糖尿病における歯周病と血糖コントロール不良との臨床的関連性が積極的に調査されている（非特許文献１）。血糖コントロール不良は、糖尿病における歯周炎のトリガーとなり、また、歯周炎の悪化を促進し得る（非特許文献２～４）。反対に、進行した歯周炎は、糖尿病患者の血糖コントロールをさらに悪化させる可能性がある（非特許文献５）。
【０００５】
このように、歯周病と糖尿病が互いに影響を与え合う事実についての科学的な知見は蓄積されつつある。しかしながら、現時点において、これらの疾患の関連性を具体的に説明することができるメカニズムは解明されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【０００６】
Filippo Graziani et al., J Clin Periodontol. 2018 Feb;45(2):167-187.
C W Cutler et al., J Periodontol. 1999 Nov;70(11):1313-21.
R B Bridges et al., J Periodontol. 1996 Nov;67(11):1185-92.
Guglielmo Campus et al., J Periodontol. 2005 Mar;76(3):418-25.
Mauricio Baeza et al., J Appl Oral Sci. 2020 Jan 10;28:e20190248.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明者らは、歯周病と糖尿病の関連性を説明することができるメカニズムを解明することにより、これらの疾患を罹患する患者に対する新たな治療法の構築を試みた。即ち、本発明の課題は、歯周病と糖尿病を罹患する患者に対する新規治療法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、
（１）糖尿病マウスへのＰｇ投与は、肝臓および小腸におけるファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）遺伝子の発現低下、肝臓におけるＣＹＰ７Ａ１遺伝子の発現上昇、および小腸におけるＦＧＦ－１５遺伝子の発現低下を誘導し、その結果、血糖値の増悪がもたらされること、
（２）Ｐｇが投与された糖尿病マウスに対してＦＸＲアゴニストであるＧＷ４０６４を投与すると、当該マウスおける血糖値の増悪の抑制および糖新生の亢進が抑制されること、および、
（３）Ｐｇが投与された糖尿病マウスに対してＧＷ４０６４を投与すると、Ｐｇ投与により引き起こされる肝臓および小腸におけるＦＸＲ関連遺伝子の発現変動が回復すること、
を見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【０００９】
［１］
ファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを含む、歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制するための薬剤。
［２］
ＦＸＲアゴニストが、ＧＷ４０６４、Ｆｅｘａｒａｍｉｎｅ、Ｔｒｏｐｉｆｅｘｏｒ、ＸＬ３３５、ＰＸ２０６０６ｔｒａｎｓｒａｃｅｍａｔｅ、オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸からなる群から選択される少なくとも１つである、［１］記載の薬剤。
［３］
ファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを含む、歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制するための食品組成物。
［４］
ＦＸＲアゴニストが、ＧＷ４０６４、Ｆｅｘａｒａｍｉｎｅ、Ｔｒｏｐｉｆｅｘｏｒ、ＸＬ３３５、ＰＸ２０６０６ｔｒａｎｓｒａｃｅｍａｔｅ、オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸からなる群から選択される少なくとも１つであるである、［３］記載の食品組成物。
［５］
ファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを含む、歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制するための口腔ケア用剤。
［６］
ＦＸＲアゴニストが、ＧＷ４０６４、Ｆｅｘａｒａｍｉｎｅ、Ｔｒｏｐｉｆｅｘｏｒ、ＸＬ３３５、ＰＸ２０６０６ｔｒａｎｓｒａｃｅｍａｔｅ、オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸からなる群から選択される少なくとも１つである、［５］記載の口腔ケア用剤。
［７］
歯周病および糖尿病を罹患する対象にファルネソイドＸ受容体（ＦＸＲ）アゴニストを投与することを含む、対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制する方法。
［８］
ＦＸＲアゴニストが、ＧＷ４０６４、Ｆｅｘａｒａｍｉｎｅ、Ｔｒｏｐｉｆｅｘｏｒ、ＸＬ３３５、ＰＸ２０６０６ｔｒａｎｓｒａｃｅｍａｔｅ、オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸からなる群から選択される少なくとも１つである、［７］記載の方法。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、歯周病および糖尿病を罹患する対象における血糖値増悪および／または糖新生亢進を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
（【００１１】以降は省略されています）

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