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公開番号2025035380
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023142382
出願日2023-09-01
発明の名称フェノール類の製造方法
出願人国立大学法人神戸大学,三菱ケミカル株式会社
代理人弁理士法人グローバル知財
主分類C12P 7/02 20060101AFI20250306BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】フェノール類を微生物の培養系から分離する工程を含む、当該化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】中空糸膜を介して有機溶媒と微生物を培養した培養液とを接触させることにより、培養液から培養液中に含まれるフェノール類を分離する工程を含む、製造方法である。具体的には、フェノール類を産生する微生物を培養するバイオプロセス系を用いて、中空糸膜を介して有機溶媒中にフェノール類を分離する工程を用いて、フェノール類を製造する。
【選択図】図5



特許請求の範囲【請求項1】
フェノール類を産生する微生物を培養してフェノール類を生産する方法において、中空糸膜を介して有機溶媒と当該微生物を培養した培養液とを接触させることにより、当該培養液から当該培養液中に含まれるフェノール類を分離する工程を含む、製造方法。
続きを表示(約 220 文字)【請求項2】
前記フェノール類がフェノールである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記有機溶媒がトリブチリンである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記中空糸膜が親水化剤を添加して作成したポリフッ化ビニリデン膜である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記微生物が、酵母、コリネ型細菌、大腸菌の何れかである、請求項1又は2に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を用いたフェノール類の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
化学品製造分野において、石油由来の原料からバイオマス由来の原料への転換が図られている。特許文献1には、糖代謝経路が改変された微生物を用いてグルコースからフェノールを発酵生産する技術が開示されている。
【0003】
非特許文献1にも、フェノール産生菌を用いたバイオプロセスによるフェノールの製造技術が開示されている。非特許文献1に開示される技術は、フェノール抽出剤存在下でフェノール産生菌を培養する工程を含むものであるが、フェノール抽出剤としては微生物の生育を阻害しない有機溶媒に限られる。
【0004】
微生物を利用した発酵生成品やバイオ医薬品向け酵素や各種アルカロイドなどの低分子化合物は基本的に水溶性であり、微生物の培養系内に蓄積され、これが微生物の生育に悪影響を及ぼすことは無かったが、バイオプロセスの利用を汎用化学薬品など広く化学品生産全般に適用を拡げようとした場合、特に疎水性物質(脂肪族炭化水素化合物として脂肪酸やそのエステル類など)のバイオプロセス生産に対しては、こうした疎水性物質の蓄積は、微生物の生育と物質生産能力に悪影響を及ぼす場合があることから、バイオリアクターからの疎水性物質の分離回収が課題であった。
【0005】
この課題の解決策として、非特許文献2に記載されるような二相培養系が注目されている。二相培養系とは、微生物を培養する水相と、有機溶媒からなる有機相の二相で形成される培養系のことで、微生物が生産した疎水性物質は水相側から有機相側へ抽出される。二相系のメリットは,生産物を有機相に偏在させることにより水相側における疎水性物質の濃度を低くすることが可能となり,水相中の微生物との必要以上の接触を阻止し,疎水性物質の影響による微生物の生育阻害および生産阻害の抑制が可能となる。実際に、水相のみを用いた培養系よりも、二相培養系は効果的に疎水性物質生産を行えることが報告されている。
しかし、二相培養系はバッチ式の液液抽出であるため、連続的に抽出を行えないことから実用的なプロセスではなく、また液-液間の界面積が限られているため疎水性物質の抽出量(生産量)が低いことが問題である。
こうした二相培養系に拠らない別のバイオプロセス系として、中空糸膜を利用して疎水性物質を培養系から中空糸膜を介して抽出・分離し系外に輸送するバイオプロセスが検討されている。
【0006】
また本発明の目的であるフェノール類の微生物による生産については、格別の困難さが存在する。その一つとして、フェノール類は水中における溶解性が低いことと細胞毒性が極めて高いという性質に基づく困難さが混在する。即ち、フェノールは微生物の体内に蓄積することが困難で微生物から分泌され培地中に蓄積されるが、脂肪酸と比較して疎水性が高いフェノール類は培地中において溶解性が低く相分離して回収が困難である問題が存在する。さらに、培地中に蓄積したフェノール類は細胞毒性が極めて高いため微生物の生育と生産性に悪影響を及ぼすことから、バイオプロセスにより効率的にフェノール類を生産することは極めて困難であった。
したがって、微生物を含む培地中からフェノール類を効率的に分離抽出することで微生物の生育と生産性に悪影響を及ぼすことなく効率的にフェノール類を生産するプロセスが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開パンフレットWO2012/033112
【非特許文献】
【0008】
B. Kim et al., Metabolic engineering ofEscherichia coli for the production of phenol from glucose, 9(5), 621-629(2014).
滝口昇、「疎水性物質生産の場としての二相培養系」、生物工学会誌、90(7) 438 (2012).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
二相培養系においては、有機相の菌体に対する毒性や、水相と有機相の乳化による収率低下といった課題がある。更に、バッチ式二相培養系の場合、連続的に抽出を行えないことから実用的なプロセスではなく、また液-液間の界面積が限られているため疎水性物質の抽出量(生産量)が低いことが課題である。
かかる状況に鑑みて、本発明は、微生物を利用したバイオプロセスによりフェノール類を製造する方法において、微生物を含む培地中からフェノール類を効率的に分離抽出することにより、微生物の生育と生産性に悪影響を及ぼすことなく効率的にフェノール類を製造できる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題解決のため、本開示は、以下の[1]-[5]を提供する。
[1] フェノール類を産生する微生物を培養してフェノール類を生産する方法において、中空糸膜を介して有機溶媒と当該微生物を培養した培養液とを接触させることにより、当該培養液から当該培養液中に含まれるフェノール類を分離する工程を含む、製造方法。
[2]フェノール類がフェノールである、上記[1]に記載の製造方法。
[3]有機溶媒がトリブチリンである、上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]中空糸膜が親水化剤を添加して作成したポリフッ化ビニリデン膜である、上記[1] 又は[2]に記載の製造方法。
[5]微生物が、酵母、コリネ型細菌、大腸菌の何れかである、上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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