TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
10個以上の画像は省略されています。
公開番号
2025065081
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-17
出願番号
2024175352
出願日
2024-10-04
発明の名称
中間バンドを用いた熱放射発電素子
出願人
国立大学法人神戸大学
代理人
弁理士法人グローバル知財
主分類
H10N
10/00 20230101AFI20250410BHJP()
要約
【課題】太陽電池パネルと同程度の発電量で、結晶性が高く大面積化が可能な熱放射発電素子であって、同一の発電素子において熱放射発電と太陽光発電の発電量の両立を図る熱放射発電素子を提供する。
【解決手段】半導体のバンドギャップに中間バンドが存在する構造を用いる。中間バンドを介した遷移エネルギーを、従来の熱放射発電素子のナローバンドギャップ半導体のバンドギャップのエネルギーに対応させ熱放射発電を図る。特に、中間バンドと伝導バンドの第1の中間バンドギャップと、中間バンドと価電子バンドの第2の中間バンドギャップをいわゆる大気の窓の赤外線波長に合わせる。第1の中間バンドギャップと第2の中間バンドギャップを同一にするよりも差を設けることで熱放射発電量を更に向上させる。日中は太陽電池として可視光と赤外光を吸収して発電し、夜間は赤外光を放出して発電させる。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
半導体のバンドギャップに中間バンドが存在する構造を用いた熱放射発電素子。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記中間バンドと伝導バンドの第1の中間バンドギャップが、0.248~0.413eV(3~5μmの赤外線波長帯のエネルギー)、又は、0.155~0.103eV(8~12μmの赤外線波長帯のエネルギー)である、請求項1に記載の熱放射発電素子。
【請求項3】
前記中間バンドと価電子バンドの第2の中間バンドギャップが、0.248~0.413eV(3~5μmの赤外線波長帯のエネルギー)、又は、0.155~0.103eV(8~12μmの赤外線波長帯のエネルギー)である、請求項1に記載の熱放射発電素子。
【請求項4】
前記中間バンドと伝導バンドの第1の中間バンドギャップが、0.248~0.413eV(3~5μmの赤外線波長帯のエネルギー)、又は、0.155~0.103eV(8~12μmの赤外線波長帯のエネルギー)であり、
前記中間バンドと価電子バンドの第2の中間バンドギャップが、0.248~0.413eV(3~5μmの赤外線波長帯のエネルギー)、又は、0.155~0.103eV(8~12μmの赤外線波長帯のエネルギー)である、請求項1に記載の熱放射発電素子。
【請求項5】
第1の中間バンドギャップと第2の中間バンドギャップの差が、バンドギャップの0.1~0.3である、請求項4に記載の熱放射発電素子。
【請求項6】
伝導バンドから前記中間バンドへの遷移エネルギーに依存した第1の吸収率(α
ci
)と、前記中間バンドから価電子バンドへの遷移エネルギーに依存した第2の吸収率(α
iv
)とが、熱放射の発電密度を最大化するように最適化された、請求項5に記載の熱放射発電素子。
【請求項7】
第1の中間バンドギャップと第2の中間バンドギャップが同一である、請求項4に記載の熱放射発電素子。
【請求項8】
前記構造は、量子ドット、量子細線又は量子井戸の何れか、或いは、不純物もしくは欠陥準位又はそれらの複合中心の何れかである、請求項1に記載の熱放射発電素子。
【請求項9】
前記構造は、量子ドット、量子細線、量子井戸の何れかの単層又は複数層で構成される、請求項1に記載の熱放射発電素子。
【請求項10】
前記半導体は、IV族半導体またはIII-V族化合物半導体で構成され、
前記構造は、InAs,InSb,InGaAs,GaSb、GaAsSbもしくはGeの何れかの量子ドットである、請求項1に記載の熱放射発電素子。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間バンドを用いた熱放射発電素子に関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
日中に地表が太陽光で温められると、地表に蓄えられたエネルギーが夜間に赤外線として放出される。熱放射発電素子は、赤外線の放出過程を利用して夜間に電力を生み出す発電素子として注目されている。これまでに赤外線検出器として市販されているHgCdTe(テルル化カドミウム水銀)やInAs(ヒ化インジウム)などのバルク材料を用いて熱放射発電素子の動作が実証されている(例えば非特許文献1を参照)。
非特許文献1では、赤外線センサに使われているHgCdTeを熱放射発電素子として用いているが、発電量は1平方メートルあたり2.26ミリワットであり、太陽電池パネルの約10万分の1の発電量であった。また、熱放射発電の発電量が素子面積に比例することから、素子の大面積化を目指すものの、HgCdTeでは、高品質な結晶の大面積化に課題があった。
【0003】
また、熱源を用いて熱放射させる物体(エミッタ)と太陽電池セルを組み合わせた熱光起電力(TPV:Thermo photo voltaic)発電が知られている。TPV発電は、熱源を用いてエミッタを加熱し、エミッタからの熱放射光を太陽電池セルに入射させるものであり、熱源として工場の排熱などが利用できる。このTPV発電の場合、発電効率を上げるために、熱源とエミッタとの距離を制御することによりエミッタの温度の最適化を行い(例えば特許文献1を参照)、或いは、集光レンズによって集光した光をエミッタに照射して蓄積させて太陽光の強度よりも強い熱放射光の強度を得たりするなどを行っている(例えば特許文献2を参照)。またエミッタに対して熱放射光(スペクトル)の制御を行い、太陽電池セルが吸収する光の帯域を強く放射する選択エミッタを用いて発電効率を改善している。
【0004】
また、近年の研究で、日中でも放射冷却が起きる構造が実証されており、その放射冷却構造は、太陽光吸収を極力低減し、宇宙への熱放射が最大になるようにしたもので、ガラス材料で放射冷却構造が作られ、熱電素子の上に設置され、屋外で一日中発電し続けられることを実証したものである。
【0005】
宇宙への熱放射が最大になるようにするためには、地表と宇宙の間に存在する大気や雲(水蒸気)に吸収されない熱放射を行う必要がある。熱放射で用いられる中赤外域の波長範囲の熱放射は、大気に対しては透過率が高いが、水蒸気に吸収されやすいといった特性がある。
【0006】
一方、太陽電池は、太陽光をエネルギー源とするため、夜間に発電できないことが太陽光発電における低い設備利用率の要因となっている。熱放射発電素子は、太陽電池と同様に半導体のpn接合を基本構造とするため、昼間に太陽光発電を、夜間に熱放射発電を同一の発電素子で実現できれば、太陽光発電の設備利用率の向上が期待できる。
一方、熱放射発電素子の発電量を増加させるためには、HgCdTeやInAsなどのナローバンドギャップ半導体が必要となる。ナローバンドギャップ半導体で構成される太陽電池の発電量は広く普及しているシリコン太陽電池よりも著しく低下してしまうため、同一の発電素子において太陽光発電と熱放射発電の発電量の両立が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2014-217110号公報
特開2016-195492号公報
【非特許文献】
【0008】
Nielsen et al., “Thermoradiative Power Conversion from HgCdTe Photodiodes and Their Current-Voltage Characteristics”, ACS Photonics , pp.1535-154 (2022).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かかる状況に鑑みて、太陽電池パネルと同程度の発電量で、結晶性が高く大面積化が可能な熱放射発電素子を提供することを目的とする。
また、同一の発電素子において熱放射発電と太陽光発電の発電量の両立を図ることができる熱放射発電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明の熱放射発電素子は、半導体のバンドギャップに中間バンドが存在する構造を用いる。本発明では、中間バンドを介した遷移エネルギーを、従来の熱放射発電素子であるHgCdTeなどのナローバンドギャップ半導体のバンドギャップのエネルギーに対応させ熱放射発電を図るものである。
ここで、中間バンドと伝導バンドの第1の中間バンドギャップが、0.248~0.413eV(3~5μmの赤外線波長帯のエネルギー)、又は、0.155~0.103eV(8~12μmの赤外線波長帯のエネルギー)であることが好ましい。宇宙3Kの放射の場合、いわゆる大気の窓を通して放射になるため、大気の窓と言われる0.248~0.413eV(赤外線波長で3~5μm帯)、又は、0.155~0.103eV(赤外線波長で8~12μm帯)を、中間バンドと伝導バンドの第1の中間バンドギャップとする。
また、価電子バンドと伝導バンドの間に中間バンドが存在する場合には、価電子バンドと中間バンドと、中間バンドと伝導バンドとの関係は等価である。つまり、中間バンドと価電子バンドの第2の中間バンドギャップが、0.248~0.413eV(3~5μmの赤外線波長帯のエネルギー)、又は、0.155~0.103eV(8~12μmの赤外線波長帯のエネルギー)でもよい。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPatで参照する
関連特許
国立大学法人神戸大学
記憶障害改善剤
4か月前
国立大学法人神戸大学
半導体パッケージ
3か月前
国立大学法人神戸大学
糖鎖を有する重合体
8日前
国立大学法人神戸大学
細胞用の凍結保護剤
1か月前
国立大学法人神戸大学
フェノール類の製造方法
2か月前
国立大学法人神戸大学
発酵食品組成物の製造方法
3か月前
国立大学法人神戸大学
水処理方法及び水処理装置
4か月前
国立大学法人神戸大学
圧電材料および圧電デバイス
5か月前
国立大学法人神戸大学
超音波治療装置および伝搬部材
2か月前
国立大学法人神戸大学
多孔質膜及び多孔質膜の製造方法
2か月前
株式会社カネカ
耐衝撃性改良剤
14日前
国立大学法人神戸大学
有機性廃棄物のメタン発酵処理方法
2か月前
国立大学法人神戸大学
中間バンドを用いた熱放射発電素子
1か月前
株式会社カネカ
海洋生分解促進剤
1か月前
国立大学法人神戸大学
空調装置、及び空調装置の制御方法
2か月前
国立大学法人神戸大学
埋設管の埋設構造及び埋設管の埋設工法
1か月前
国立大学法人神戸大学
二酸化炭素回収方法及び二酸化炭素回収装置
2か月前
株式会社カネカ
アセチルCoA誘導体の製造方法
3か月前
旭化成株式会社
ポリケトン製多孔質膜の製造方法
4か月前
花王株式会社
3-ヒドロキシ安息香酸類の製造方法
21日前
国立大学法人神戸大学
抗SARS-CoV-2抗体、及びそれを含む検査キット
1か月前
国立大学法人 東京大学
血糖制御能力の推定方法及び装置
1か月前
国立大学法人神戸大学
アデノシン三リン酸の捕捉剤及びアデノシン二リン酸の捕捉剤
4か月前
富士フイルム株式会社
画像処理装置、方法およびプログラム
5か月前
国立大学法人神戸大学
ポリカーボネート粒子の製造方法およびポリカーボネート粒子
4か月前
国立大学法人神戸大学
抗SIRPα抗体
2か月前
JFEスチール株式会社
検査装置、検査システム、及び検査方法
1か月前
JFEスチール株式会社
検査装置、検査システム、及び検査方法
1か月前
国立大学法人神戸大学
自己炎症性疾患における炎症増悪期、及び、軽快期を予測する方法
3か月前
公益財団法人鉄道総合技術研究所
摩擦接合構造
5か月前
株式会社ファーマフーズ
SARS-CoV-2変異株特異的認識抗体
10日前
国立大学法人神戸大学
ヒストン脱アセチル化酵素4異常に伴う皮膚障害の予防及び/又は治療剤
4か月前
国立大学法人神戸大学
温度出力装置、空調システム、温度出力方法、及び空調システムの制御方法
4か月前
技術研究組合産業用ロボット次世代基礎技術研究機構
溶接ロボットシステム
2か月前
富士フイルム株式会社
画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
5か月前
ENEOS株式会社
クレゾール又はベンズアルデヒドの製造方法、及び、触媒
1か月前
続きを見る
他の特許を見る