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公開番号2025039661
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-21
出願番号2025001734,2023172481
出願日2025-01-06,2019-07-09
発明の名称抗SIRPα抗体
出願人国立大学法人神戸大学,第一三共株式会社
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C07K 16/28 20060101AFI20250313BHJP(有機化学)
要約【課題】本発明は、腫瘍剤として用いることができる抗SIRPα抗体、及び該抗体を有
効成分として含む抗腫瘍剤の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDRL
1、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDRL2、
(c)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDRL3、
(d)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDRH1、
(e)配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDRH2、及び
(f)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDRH3
を含み、重鎖定常領域がヒトIgG4の重鎖定常領域であり、KabatらによるEUイ
ンデックスにより示される234位のフェニルアラニンがアラニンへ置換され、235位
のロイシンがアラニンに置換され、さらに228位のセリンがプロリンへ置換されている
、ヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体で
ある。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の(1)~(8)のいずれかの、
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDRL1、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDRL2、
(c)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDRL3、
(d)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDRH1、
(e)配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDRH2、及び
(f)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDRH3を含む、抗体:
(1)配列番号41の20~139番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖及び配列番号37の21~127番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖からなるヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体;
(2)配列番号41の20~139番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖及び配列番号37の21~127番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖からなるヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体;
(3)配列番号41の20~139番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖及び配列番号39の21~127番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖からなるヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体;
(4)配列番号41の20~139番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖及び配列番号39の21~127番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖からなるヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体;
(5)配列番号43の20~139番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖及び配列番号35の21~127番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖からなるヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体;及び
(6)配列番号43の20~139番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖及び配列番号35の21~127番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖からなるヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体;
(7)配列番号43の20~139番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖及び配列番号37の21~127番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖からなるヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体;及び
(8)配列番号43の20~139番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖及び配列番号37の21~127番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖からなるヒトSIRPαに特異的に結合し、ヒトSIRPαとCD47の結合を阻害する抗体。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
ADCC及び/又はADCP活性が低減されている、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
マクロファージの貪食作用を増強する請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体であって、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している抗体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体の抗原結合性断片。
【請求項6】
Fab、F(ab’)2、Fab’及びscFvからなる群から選択される、請求項5に記載の抗体の抗原結合性断片。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体又は請求項5若しくは6に記載の抗体の抗原結合性断片を有効成分として含む医薬組成物。
【請求項8】
抗腫瘍剤である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
抗腫瘍剤の有効成分として、さらに免疫チェックポイント阻害剤及び/又はがん抗原に特異的に反応してADCC及び/又はADCP活性を有する抗体医薬を含む、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体又は請求項5若しくは6に記載の抗体の抗原結合性断片を有効成分として含む、免疫チェックポイント阻害剤及び/又はがん抗原に特異的に反応してADCC及び/又はADCP活性を有する抗体医薬と併用される抗腫瘍剤である医薬組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍の治療に有用な抗SIRPα抗体、及び該抗体を含む抗腫瘍剤に関する

続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
SIRPα(SHPS-1)は、マクロファージ、樹上細胞、好中球などのミエロイド
細胞、及びグリア細胞に存在するIgスーパーファミリーの1回膜貫通型分子である(非
特許文献1)。細胞外領域は1つのIgVドメインと2つのIgCドメインからなり、C
D47との結合部位であるIgVドメインについては、ヒトでは10種類のバリアントが
報告されている(非特許文献2)。一方、細胞内領域はimmunoreceptor
tyrosine-based inhibition motifs(ITIM)を含
み、CD47との結合によりチロシン脱リン酸化酵素であるSHP-1、及びSHP-2
への結合が誘導され抑制性のシグナルが伝えられる。
【0003】
SIRPα-CD47相互作用による生理現象としては、マクロファージ上のSIRP
αに赤血球上のCD47が結合し“Don’t eat me”シグナルを伝えることで
、赤血球の不必要な貪食を回避することが示されている(非特許文献3)。一方、腫瘍微
小環境下においても、マクロファージや樹上細胞上のSIRPαに腫瘍細胞に高発現する
CD47が結合することで、腫瘍細胞に対する貪食能を抑制することが示唆されている。
貪食能の抑制は、その後のT細胞への腫瘍抗原提示の抑制、更には腫瘍免疫応答の抑制に
繋がることが予想される。よって、腫瘍細胞の貪食という免疫現象は、腫瘍抗原の取り込
み(エントリー)に対するチェックポイントに当たると考えられる。
【0004】
これまでに、SIRPαのリガンドであるCD47に対する抗体でSIRPα-CD4
7相互作用を阻害することにより、腫瘍細胞に対する貪食能を増強することが報告されて
おり(非特許文献4)、これは抗SIRPα抗体を用いた場合でも、腫瘍細胞を免疫細胞
に引き寄せるエフェクター活性を持つような抗癌抗体併用条件下では同様の現象が示され
ている(非特許文献5及び6)。また、抗CD47抗体を用いた同種マウス担癌モデルで
は、抗腫瘍効果だけでなく、腫瘍免疫を誘導することが示唆されており(非特許文献7)
、抗SIRPα抗体についても、抗癌抗体併用条件下では同様の効果が期待できる。
【0005】
一方で、免疫チェックポイント阻害剤として、PD-1/PD-L1などT細胞上の免
疫抑制性分子に対する抗体が複数開発されており、臨床でもその効果が実証されている(
非特許文献8及び9)。SIRPα-CD47は現在証明されている唯一の貪食抑制分子
であり、この分子に対する阻害抗体は、T細胞以外の標的に対する新たなチェックポイン
ト阻害剤としての可能性が予想され、従来の免疫チェックポイント阻害剤に抵抗性の患者
に対しても、広く効果を示す可能性も持ち合わせている。
【0006】
これまでに、抗マウスSIRPα抗体(MY-1)を用いたヒトBurkitt’s
lymphoma皮下移植モデルでの検討により、Rituximabとの併用で抗腫瘍
効果が示されている。また、マウス大腸がんモデルではPD-1抗体との併用で抗腫瘍効
果が認められている(非特許文献5)。加えて、クローンの異なる抗mSIRPα抗体(
P84)を用いた検討では、マウス肝臓がんモデルで抗PD-L1抗体や抗4-1BB抗
体との併用でも抗腫瘍効果及び延命効果が認められている。延命効果を示したマウスに同
じ腫瘍細胞を再移植した際も、更なる抗腫瘍効果、延命効果が得られていることから、異
なる免疫チェックポイントを阻害することで、強い腫瘍免疫応答を誘導できる可能性を示
している(特許文献1)。これらの結果は、従来から予想されたエフェクター活性を持つ
抗癌抗体との併用のみならず、T細胞を標的とした免疫チェックポイント阻害剤との併用
においても併用効果を示した例であり、抗ヒトSIRPα抗体においても、同様の効果が
期待できる。
近年、各社から抗SIRPα抗体に関する特許の報告が相次いでいる(特許文献1、2
及び3)。例えば、OSE-172はIgG4Pro型の抗体であり、SIRPαのV1
タイプとSIRPβ1に結合性を示すが、SIRPαのV2タイプとSIRPγには結合
性を示さない。KWAR23はIgG1N279A型の抗体であり、10種類のSIRP
αバリアント並びにSIRPβ1及びSIRPγに結合性を示す。ADU-1805はI
gG2型の抗体であり、10種類のSIRPαバリアントとSIRPγへの結合性を示す
。いずれの抗体が医薬として最も適切か未解明であり、優れた抗体を取得する努力が続け
られている。
【0007】
更に、抗CD47抗体を用いた検討では、前述のような抗体医薬以外に従来からSOC
(標準療法:Standard of Care)として広く用いられている化学療法剤
、放射線療法との併用でも、十分な抗腫瘍効果、延命効果を示すことが報告されている。
特に、化学療法剤との併用事例では、化学療法剤を事前に投与し、続いて抗CD47抗体
を投与することで、化学療法剤と抗CD47抗体の同時投与よりも強い抗腫瘍効果、延命
効果を示すことから(非特許文献7)、化学療法剤の前投与により腫瘍抗原を取り込み易
いような環境を準備することで、SIRPα-CD47相互作用の阻害による抗原取り込
み能(免疫賦活化能)の効果を増強できる可能性を示している。
【0008】
以上のことから、抗SIRPα抗体は種々の抗腫瘍剤との併用により、より強い腫瘍免
疫応答を誘導しうる薬剤であると推測できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
国際公開第2017/178653号
国際公開第2018/026600号
国際公開第2018/190719号
【非特許文献】
【0010】
Matozaki et al. Trends in cell biol. 2009(19) 2, 72-80
Takenaka et al. Nat Immunol. 2007(8)12, 1313-1323
Matozaki et al. Trends in cell biol. 2009(19) 2, 72-80
Liu et al. Plos One, 2015 (10) 9
Yanagita et al. JCI Insight, 2017 (2) 1, 1-15
Ring et al. PNAS, 2017 (114) 49, E10578-E10585
Liu et al, Nat Med. 2015 (21) 10, 1209-1215
Lee et al. The Oncologist, 2017(22)11, 1392-1399
Weinstock et al. Clin Can Res. 2017(23)16, 4534-4539
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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