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公開番号2025092184
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2023207904
出願日2023-12-08
発明の名称有機ケイ素化合物の製造方法
出願人株式会社トクヤマ
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C07F 7/18 20060101AFI20250612BHJP(有機化学)
要約【課題】不純物としての鉛成分が少ない有機ケイ素化合物を得ることができる有機ケイ素化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、およびテトラアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも一のアルコキシシラン、有機ハロゲン化物、およびマグネシウムを用いてグリニャール反応させて反応液を得る反応工程、並びに前記反応液に、紫外線を照射する照射工程、を含む、有機ケイ素化合物の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、およびテトラアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも一のアルコキシシラン、有機ハロゲン化物、およびマグネシウムを用いてグリニャール反応を行い反応液を得る反応工程、並びに
前記反応液に、紫外線を照射する照射工程、
を含む、有機ケイ素化合物の製造方法。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
使用する前記アルコキシシラン全体に含まれるアルコキシ基の合計量(mol)に対する、使用する前記ハロゲン化物全体に含まれるハロゲン基(X)の合計量(mol)の比率が、0.50mol/mol以上、8.0mol/mol以下である、請求項1に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項3】
前記反応工程において、さらに有機溶媒を用いる、請求項1又は2に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶媒の合計使用量(L)に対する前記アルコキシシランの合計使用量(mol)の比率が、0.10mol/L以上、6.0mol/L以下である、請求項3に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項5】
前記照射工程後の反応液を精製する精製処理を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項6】
前記反応工程後、前記照射工程前において、酸を含む水性溶液と前記反応液とを混合することにより、前記反応液を有機相と水相とに分液する分液処理を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項7】
前記酸がマグネシウムと塩を形成し得る酸であり、かつ、該塩が水に不溶な塩である、請求項6に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項8】
前記酸が、シュウ酸、炭酸、及び酒石酸からなる群から選択される1種以上の酸である、請求項7に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
有機ケイ素化合物は幅広い分野で用いられており、例えば、材料工学分野、光学分野、医薬品分野、又は農芸分野等の分野において、重要な化合物として注目されている。
有機ケイ素化合物の製造においては、その用途に応じて構造を制御することが重要である。所望の構造を有する有機ケイ素化合物を得るための方法の一つとして、グリニャール反応を利用した合成方法が知られている。グリニャール反応は、マグネシウムと有機ハロゲン化物の反応により生じるグリニャール試薬を用いた反応であり、該反応を利用することにより有機ケイ素化合物中のケイ素元素に所望の有機基等を付加することができる。
例えば、特許文献1には、シラン化合物と第三級アルキルグリニャール試薬とを反応させることにより第三級アルキルシランを製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、ジクロロシランと特定の構造を有するグリニャール試薬とを反応させることによりジアルキルジアルコキシランを製造する方法が開示されている。
また、特許文献3には、アルキルシランとグリニャール試薬とを反応させることによりアルキルシランのケイ素に別のアルキル基が付加された有機ケイ素化合物を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-002077号公報
特開平09-012584号公報
国際公開第2022/224950号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、所望の構造を有する有機ケイ素化合物を得るためにグリニャール反応を利用することが従来から知られている。本発明者らは、この反応に関する検討を進める中で、反応の過程において副生成物として重金属である鉛を含む成分(鉛成分)が生じ得ることを観察した。最終的に得られる製品中の鉛成分の量は少ないことが好ましいが、鉛成分の量を効率的に低減するための検討、特にグリニャール反応に用いる有機ケイ素化合物の種類の観点からの効率的な鉛成分低減の検討は行われておらず、改善の余地が残されていた。
そこで本発明は、不純物としての鉛成分が少ない有機ケイ素化合物を得ることができる有機ケイ素化合物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、グリニャール反応に用いる有機ケイ素化合物として特定の種類の有機ケイ素化合物を用い、さらに紫外線を照射する処理を利用することにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
項1 ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、およびテトラアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも一のアルコキシシラン、有機ハロゲン化物、およびマグネシウムを用いてグリニャール反応を行い反応液を得る反応工程、並びに
前記反応液に、紫外線を照射する照射工程、
を含む、有機ケイ素化合物の製造方法。
項2 使用する前記アルコキシシラン全体に含まれるアルコキシ基の合計量(mol)に対する、使用する前記ハロゲン化物全体に含まれるハロゲン基(X)の合計量(mol)の比率が、0.50mol/mol以上、8.0mol/mol以下である、項1に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
項3 前記反応工程において、さらに有機溶媒を用いる、項1又は2に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
項4 前記有機溶媒の合計使用量(L)に対する前記アルコキシシランの合計使用量(mol)の比率が、0.10mol/L以上、6.0mol/L以下である、項3に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
項5 前記照射工程後の反応液を精製する精製処理を含む、項1~4のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
項6 前記反応工程後、前記照射工程前において、酸を含む水性溶液と前記反応液とを混合することにより、前記反応液を有機相と水相とに分液する分液処理を含む、項1~5のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
項7 前記酸がマグネシウムと塩を形成し得る酸であり、かつ、該塩が水に不溶な塩である、請求項6に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
項8 前記酸が、シュウ酸、炭酸、及び酒石酸からなる群から選択される1種以上の酸である、請求項7に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不純物としての鉛成分が少ない有機ケイ素化合物を得ることができる有機ケイ素化合物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。さらに、数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
また、本明細書における「A又はB」の表現は、「A及びBからなる群から選択される少なくとも1つ」と読み替えてもよい。
また、本明細書における「Aの量に対するBの量」の表現は、「Bの量/Aの量」を表す。
また、本明細書では複数の実施形態を説明するが、適用できる範囲で各実施形態における種々の条件を互いに適用し得る。
【0009】
<有機ケイ素化合物の製造方法>
本発明の一実施形態に係る有機ケイ素化合物の製造方法(以下、単に「有機ケイ素化合物の製造方法」とも称する。)は、
ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、およびテトラアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも一のアルコキシシラン、有機ハロゲン化物、およびマグネシウムを用いてグリニャール反応を行い反応液を得る反応工程、並びに
前記反応液に、紫外線を照射する照射工程、
を含む、有機ケイ素化合物の製造方法である。
上記の製造方法は、上記の反応工程、及び照射工程以外の工程を含んでいてもよい。
【0010】
重金属は人体に影響を及ぼし、体内に過剰に取り込まれると健康被害を引き起こすこと
が知られており、特に重金属の一種である鉛は、体内に蓄積されやすく排出されにくいため、中毒症状を引き起こしやすい。よって、製品中の鉛及び/又は鉛を含む化合物(以下、「鉛及び/又は鉛を含む成分」を総称して「鉛成分」と称する。)の量は少ないことが好ましい。
ここで、有機合成に用いる材料中に鉛成分が含まれる場合、有機合成の過程で鉛成分と有機化合物が反応し、有機鉛化合物が生成する。有機鉛化合物は、有機溶剤に溶解し易く水性溶剤に溶解しにくいため有機化合物の合成等においては分液等の処理での除去が難しく、また、鉛自体(鉛イオンを含む。)や無機鉛化合物と比較して分子サイズが大きくなりやすいため、ろ過や吸着等の処理での除去が難しいという問題があった。
鉛成分は様々な製品に含まれる可能性があり、有機ケイ素化合物の合成に用いられる材料にも含まれ得る。特に、グリニャール反応ではマグネシウムが用いられるが、市販されるマグネシウム(市販品)には、通常、不純物として塩化鉛(II)、又は塩化鉛(IV)等の鉛成分が含まれている。
(【0011】以降は省略されています)

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