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公開番号2025101829
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-08
出願番号2023218875
出願日2023-12-26
発明の名称歯科用セメント調製用キット
出願人株式会社トクヤマデンタル
代理人弁理士法人南青山国際特許事務所
主分類A61K 6/887 20200101AFI20250701BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】一般的な無機フィラーを使用した場合であっても、長期間保管した後において適度な垂れ性及び吐出性を有する歯科用セメントを調製することが可能なキットを提供する。
【解決手段】歯科用セメント調製用キットは、第1重合性単量体(A1)、第1増粘剤(B1)、第1無機フィラー(C1)、及び有機過酸化物(D)を所定量含む上記第1剤と、第2重合性単量体(A2)100質量部、第2増粘剤(B2)、第2無機フィラー(C2)、チオ尿素化合物(E)、及び銅化合物(F)を所定量含む上記第2剤と、を含む。上記(A1)、(A2)の疎水性度を示すM値が14~18である。上記第1及び第2無機フィラー(C2)の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であり、そのMR呈色値(Δa* m)が0を超え10未満である。上記第1及び第2増粘剤(B2)の平均粒子径が0.003μm以上0.1μm未満である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
互いに分包された第1剤と第2剤とからなり、両剤を混合することにより歯科用セメントを調製するための歯科用セメント調製用キットであって、
前記第1剤は、
疎水性度を示すM値が14~18である第1重合性単量体(A1):100質量部、
平均粒子径が0.003μm以上0.1μm未満である第1増粘剤(B1):3.5~5.5質量部、
平均粒子径が0.1μm以上10μm以下である第1無機フィラー(C1):181.5~295質量部、
有機過酸化物(D):0.5~10質量部、
を含み、
前記第2剤は、
前記M値が14~18である第2重合性単量体(A2):100質量部、
平均粒子径が0.003μm以上0.1μm未満である第2増粘剤(B2):3.5~5.5質量部、
平均粒子径が0.1μm以上10μm以下である第2無機フィラー(C2):181.5~295質量部、
チオ尿素化合物(E):0.5~2.5質量部、及び
銅化合物(F):0.001~0.05質量部、
を含み、
前記M値は、前記第1重合性単量体(A1)又は前記第2重合性単量体(A2):1質量部、水:2質量部、及びメタノールからなる混合液が、25℃において均一溶液となるメタノールの含有量(質量部)の最小値を表す値であり、
無水トルエン中で測定した、メチルレッド添加前後における前記第1無機フィラー(C1)及び前記第2無機フィラー(C2)の色差a

の変化量Δa


が、それぞれ0を超え10未満である、歯科用セメント調製用キット。
続きを表示(約 550 文字)【請求項2】
前記第1重合性単量体(A1)及び前記第2重合性単量体(A2)はそれぞれ、前記M値が0以上2未満の重合性単量体:0質量%以上1質量%未満と、前記M値が2以上15未満の重合性単量体:35~55質量%と、前記M値が15以上35未満である重合性単量体:残余と、からなる、請求項1に記載の歯科用セメント調製用キット。
【請求項3】
前記第1無機フィラー(C1)及び前記第2無機フィラー(C2)はそれぞれ、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、κ-メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピル-トリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピル-トリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、及びメチルトリエトキシシランの少なくとも1種の表面処理剤により表面処理されてなるシリカ系複合酸化物粒子である、請求項1に記載の歯科用セメント調製用キット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用セメント調製用キットに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
歯科治療におけるインレー、アンレー、ラミネートベニア、クラウンなどの修復物を接着する際に、歯科用レジンセメント(以下、単に「歯科用セメント」と称する。)が使用される。歯科用セメントは、一般に、重合性単量体と、フィラーと、化学重合開始剤とを含む。化学重合開始剤は、酸化剤と還元剤を含み、使用時に互いに接触させ反応させることで、歯科用セメントの硬化を進行させる。このため、使用前に互いが反応しないように、通常は2剤に分包して保管される。
【0003】
このような歯科用セメントは、分包された2剤を使用時にそれぞれ必要量だけ練和して使用できるという利便性の観点から、所謂ダブルシリンジと呼ばれる容器に充填されたキットの形で、提供されることが多い。なお、上記容器は、押し子を押すことによって内容物をノズルから押し出すことのできるシリンジを2つ並列に配置して一体化し、更に2つの押し子を同時に操作できるようした構造を有し、ノズルにミキシングチップと呼ばれる練和治具を装着した状態で2つの押し子を同時に押し込むことにより、練和された2剤の混合物(混錬ペースト)をミキシングチップの先端から押し出せるようにしたものである。
【0004】
臨床において上記キットを用いて歯科用セメントを用いて歯質と歯冠用修復物(補綴物)とを接着する場合には、必要量の混錬ペースト(歯科用セメント)をダブルシリンジから押し出して歯冠用修復物に盛り付け、該歯冠用修復物を歯質に圧接し接着する。このとき、マージン部と呼ばれる、歯質と歯冠用修復物との接合部からはみ出た過剰分の歯科用セメント(以下、「余剰セメント」ともいう。)を、歯科用短針等を用いて掻き取って除去する必要がある。
【0005】
臨床においては、混錬ペーストを押出してから盛り付けを行う際の操作性の観点からペーストを吐出させる際に必要な圧力で評価される「吐出性」が適度であることが望まれている。また、余剰セメント除去に際して、混錬ペーストを垂直面上に配置して放置したときの(自重による)流動距離で評価される「垂れ性」が高すぎる場合には、余剰セメントが広範囲に広がることでその除去が困難になったり、或いは余剰セメントが垂れて広がる前にこれを除去する必要が生じることで、除去操作を行う時間が短くなり、操作の難易度が高くなったりするという問題が生じる。このため、余剰セメント除去性の観点から、垂直面上に配置された混錬ペーストの自重による流動距離で評価される「垂れ性」が適度であることも望まれている。このような要求に応えるため、上記キットにおいては、分包される2剤について、無機フィラーの種類や配合量を調整したり増粘剤を配合したりすることにより吐出性と垂れ性が共に適度な範囲となるように調整されているのが一般的である。
【0006】
ところで、歯科用セメントで使用される化学重合開始剤に用いられる酸化剤と還元剤の組み合わせとして、有機過酸化物とアミン類や、有機過酸化物とボレート化合物や、有機過酸化物と遷移金属化合物の組み合わせからなる開始剤系が知られている。中でも、ハイドロパーオキサイド(有機過酸化物)とチオ尿素化合物の組み合わせからなる開始剤系は、優れた重合活性を示し、かつ、ペーストの変色が小さいことから審美性に優れ、さらに保存安定性も良好である。
【0007】
特許文献1には、ハイドロパーオキサイドと、特定の置換環状チオ尿素化合物とをそれぞれ含む、第1及び第2ペーストからなる、歯科用セメントに好適な2ペースト型の歯科用硬化性組成物が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、歯科用セメントに用いられる、自己接着性の歯科用硬化性組成物においては、長期保管後もペースト性状の変化が少ないことが重要であり、無機フィラーとして特定の疎水化処理を施した特定の平均粒子径を有するフィラーを用いることによりペースト性状の経時変化が抑制できることが開示されている。そして、このような技術を用いた2ペースト型の歯科用組成物の具体例の一つとして、有機過酸化物(酸化剤)とチオ尿素化合物(還元剤)との組み合わせからなるものを含む化学重合開始剤を用いた2ペースト型の歯科用組成物も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2009-292762号公報
国際公開第2018/074600号パンフレット
特開2023-107374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記した様にダブルシリンジを用いた2ペースト型の歯科用組成物を含む歯科用セメント調製用キットでは、練和直後から圧接までの間は適度な流動性を有するように混錬前の各ペーストの流動性が調整されている。しかし、特許文献2でも指摘されているように、このような調整がなされた場合でも、保存期間中にペースト性状が変化することも考えられる。このような理由から、本発明者らは、特許文献1に開示されているような、還元剤としてチオ尿素化合物を用いた2ペースト型の歯科用組成物の保存安定性について検討を行った。その結果、各ペーストを長期間保管した場合には、ペーストの流動性が経時的に増大し、混錬ペーストの性状が変化し、「操作性」及び「垂れ性」が当初の設定範囲から外れてしまうことが多いことが明らかとなった。
(【0011】以降は省略されています)

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