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公開番号
2025033770
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-13
出願番号
2023139731
出願日
2023-08-30
発明の名称
悪臭抑制剤
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人アルガ特許事務所
主分類
A61K
8/44 20060101AFI20250306BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】匂い知覚に金属が関与する嗅覚受容体による嗅覚機構を利用した悪臭抑制剤及び悪臭抑制方法の提供。
【解決手段】N-(3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクチリデン)アントラニル酸メチル、2-[(2-メチルウンデカン-1-イリデン)アミノ]安息香酸メチル及び2-メチル-2-ペンテン酸からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする、匂い知覚に銅が関与する嗅覚受容体を活性化する物質に起因する悪臭の抑制剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
N-(3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクチリデン)アントラニル酸メチル、2-[(2-メチルウンデカン-1-イリデン)アミノ]安息香酸メチル及び2-メチル-2-ペンテン酸からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする、匂い知覚に銅が関与する嗅覚受容体を活性化する物質に起因する悪臭の抑制剤。
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
前記嗅覚受容体がOR2T11、OR4S2、OR2M3、OR2W1、OR2T1、OR4E2、OR2T29、OR4K17、OR2T27、OR2T5、OR2T4、OR11H2、OR6B3、OR12D3、OR6B1、OR4C15、OR2L13又はそれらと同等な機能を有する嗅覚受容体ポリペプチドである、請求項1記載の悪臭抑制剤。
【請求項3】
前記嗅覚受容体がOR2T11、OR4S2、OR2M3又はそれらと同等な機能を有する嗅覚受容体ポリペプチドである、請求項1記載の悪臭抑制剤。
【請求項4】
前記物質が硫黄化合物である、請求項1~3のいずれか1項記載の悪臭抑制剤。
【請求項5】
前記硫黄化合物がフルフリルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、3-メルカプト-2-メチル-1-ペンタノール、メチルメルカプタン、エタンチオール、1-プロパンチオール、2-プロパンチオール、アリルメルカプタン、1-ブタンチオール、2-ブタンチオール、2-メチル-1-プロパンチオール、2-メチル-2-プロパンチオール、2-ペンタンチオール、3-メチル-2-ブタンチオール、シクロペンタンチオール、メタンジチオール、(メチルチオ)メタンチオール、1-(メチルチオ)エタンチオール、2,3,5-トリチアヘキサン、ビス(メチルチオメチル)ジスルフィド、チオラン-2-チオール、(エチルチオ)メタンチオール、チエタン、ジメチルスルフィド、3-メルカプト-3-メチルブチルフォルメート、3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタンチオール、1-ヘキサンチオール、1-ヘプタンチオール、1-オクタンチオール、硫化水素、3-メルカプト-3-メチルブタノール及びジアリルトリスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4記載の悪臭抑制剤。
【請求項6】
前記硫黄化合物がフルフリルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド及び3-メルカプト-2-メチル-1-ペンタノールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4記載の悪臭抑制剤。
【請求項7】
匂い知覚に銅が関与する嗅覚受容体を活性化する物質に起因する悪臭の抑制方法であって、それを必要とする対象に、N-(3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクチリデン)アントラニル酸メチル、2-[(2-メチルウンデカン-1-イリデン)アミノ]安息香酸メチル及び2-メチル-2-ペンテン酸からなる群より選択される少なくとも1種を適用することを含む、方法。
【請求項8】
前記嗅覚受容体がOR2T11、OR4S2、OR2M3、OR2W1、OR2T1、OR4E2、OR2T29、OR4K17、OR2T27、OR2T5、OR2T4、OR11H2、OR6B3、OR12D3、OR6B1、OR4C15、OR2L13又はそれらと同等な機能を有する嗅覚受容体ポリペプチドである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記物質が硫黄化合物である、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
前記硫黄化合物がフルフリルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、3-メルカプト-2-メチル-1-ペンタノール、メチルメルカプタン、エタンチオール、1-プロパンチオール、2-プロパンチオール、アリルメルカプタン、1-ブタンチオール、2-ブタンチオール、2-メチル-1-プロパンチオール、2-メチル-2-プロパンチオール、2-ペンタンチオール、3-メチル-2-ブタンチオール、シクロペンタンチオール、メタンジチオール、(メチルチオ)メタンチオール、1-(メチルチオ)エタンチオール、2,3,5-トリチアヘキサン、ビス(メチルチオメチル)ジスルフィド、チオラン-2-チオール、(エチルチオ)メタンチオール、チエタン、ジメチルスルフィド、3-メルカプト-3-メチルブチルフォルメート、3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタンチオール、1-ヘキサンチオール、1-ヘプタンチオール、1-オクタンチオール、硫化水素、3-メルカプト-3-メチルブタノール及びジアリルトリスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項9記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪臭抑制剤に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
我々の生活環境には、極性や分子量が異なる多数の悪臭分子が存在する。多様な悪臭分子を消臭するために、これまで様々な消臭方法が開発されてきた。一般的に消臭方法は、生物的方法、化学的方法、物理的方法、感覚的方法に大別される。悪臭分子の中で、極性の高い短鎖脂肪酸やアミン類については、化学的方法、すなわち中和反応による消臭が可能である。またチオールなどの硫黄化合物に関しては、物理的方法、すなわち吸着処理による消臭が可能である。
【0003】
これらの従来の手段では、目的の悪臭分子を吸着・分解してその存在量を減少させるか又は芳香剤などにより消臭を行っている。しかし、悪臭分子を吸着・分解する方法は、悪臭分子減少までに時間を要するため即効性に欠ける。一方、芳香剤を使用する場合、芳香剤自体の匂いに対する不快感が生じたり、目的の悪臭分子以外の匂いも消されてしまう等の問題がある。
【0004】
ヒト等の哺乳動物においては、匂いは、鼻腔内に入った匂い分子が嗅上皮を覆う嗅粘液に溶け込み、嗅上皮に存在する嗅神経細胞上の嗅覚受容体に結合し、それに対する受容体の応答が中枢神経系へと伝達されることにより認識されている。一般的に、嗅覚受容体と匂い分子は複数対複数の組み合わせで対応付けられている。すなわち、個々の嗅覚受容体は構造の類似した複数の匂い分子を異なる親和性で受容し、一方で、個々の匂い分子は複数種の嗅覚受容体によって受容される。さらに、ある嗅覚受容体を活性化する匂い分子が、別の嗅覚受容体の活性化を阻害するアンタゴニストとして働くことも報告されている。これら複数種の嗅覚受容体の応答の組み合わせが、個々の匂いの認識をもたらしている。
【0005】
したがって、同じ匂い分子が存在する場合でも、同時に他の匂い分子が存在すると、当該他の匂い分子によって受容体応答が阻害され、最終的に認識される匂いが全く異なることがある。このような仕組みを嗅覚受容体のアンタゴニズムと呼ぶ。この受容体アンタゴニズムによる匂いの変調は、香水や芳香剤等の別の匂いを付加することによる消臭方法と異なり、悪臭の認識を特異的に失くしてしまうことができ、また芳香剤の匂いによる不快感が生じることもない。しかしながら、嗅覚受容体のアンタゴニズムに基づく匂い抑制では、特定の嗅覚受容体の応答を阻害することから、抑制対象となる匂い分子の選択性が高く、より汎用性の高い匂い抑制技術が求められている。
【0006】
一方、嗅粘液には銅等の生体微量金属が存在し、匂い知覚に影響を及ぼすことが示唆されている。例えば、非特許文献1には、チオールと銅が結合して複合体を形成し、該複合体が嗅覚受容体と結合することでチオール臭が知覚される機序が記載されている。非特許文献2には、銅がチオールの嗅覚受容体応答を約1000倍に増幅することが記載されている。また、匂い知覚の機序に銅が関与する嗅覚受容体として、OR2T11、OR4S2、OR2M3、OR2W1、OR2T1、OR4E2等が知られている(特許文献1~3、非特許文献2)。さらに、嗅覚受容体に特定の改変を加えると元のオリジナルの嗅覚受容体のリガンド選択性をよく維持しつつ応答性を向上できるとの知見に基づき、OR2T29、OR4K17、OR2T27、OR2T5、OR2T4、OR11H2、OR6B3、OR12D3、OR6B1、OR4C15及びOR2L13の改変嗅覚受容体ポリペプチドを用いて、これら改変嗅覚受容体ポリペプチドが匂い知覚の機序に銅が関与する嗅覚受容体であること、ひいては元のオリジナルのOR2T29、OR4K17、OR2T27、OR2T5、OR2T4、OR11H2、OR6B3、OR12D3、OR6B1、OR4C15及びOR2L13が匂い知覚の機序に銅が関与する嗅覚受容体であることが見出されている(特許文献4)。
【0007】
したがって、嗅粘液中の金属を捕捉することにより匂い知覚強度の低下を図ることが考えられ、非特許文献1ではマウスの鼻腔に銅キレート剤を投与するとチオールに対する感度が低下することが報告されている。しかしながら、ヒト等の哺乳動物の鼻腔にキレート剤を投与することには様々な課題がある。一般的にキレート剤は不揮発性であり、鼻腔内に投与するためには噴霧器などを用いて吸入する必要がある。悪臭が発生する場所としては、例えば、トイレ、キッチンの排水溝等の居住スペース、ゴミ集積所、喫煙所等のパブリックスペース、畜産施設や廃棄物焼却施設等の事業所等多岐にわたり、広範囲に悪臭が広がることがある。このような多様な空間・場面において、悪臭抑制のために鼻腔内にキレート剤を投与することは簡便な手段とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2020-10629号公報
特表2020-513564号公報
特開2020-112520号公報
特開2023-84477号公報
【非特許文献】
【0009】
Xufang Duan et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Feb 28;109(9):3492-7
Shengju Li et.al. Journal of the American Chemical Society. 2016, 138, 40, 13281-13288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、匂い知覚に金属が関与する嗅覚受容体による嗅覚機構を利用した悪臭抑制剤及び悪臭抑制方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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