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公開番号2025033698
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023139605
出願日2023-08-30
発明の名称メラニン産生に対する影響を評価する方法及びメラニン産生に対する影響評価用組成物
出願人国立大学法人東海国立大学機構
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類G01N 33/68 20060101AFI20250306BHJP(測定;試験)
要約【課題】in vitroでのメラニン産生に対する影響の評価手段の提供。
【解決手段】被験物質に接触させたメラニン産生細胞における小胞体ストレスの程度を測定する工程を含む、被験物質のメラニン産生に対する影響を評価する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(II)被験物質に接触させたメラニン産生細胞における小胞体ストレスの程度を測定する工程を含む、被験物質のメラニン産生に対する影響を評価する方法。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
工程(II)の前に、
(I)メラニン産生細胞に被験物質を接触させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被験物質のメラニン産生に対する影響の評価が、被験物質の白斑リスク評価である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
小胞体ストレスの程度の測定が、小胞体ストレスマーカーの検出によるものであり、
小胞体ストレスマーカーが、成熟型XBP1、リン酸化IRE1α、MANF、TXNIP、リン酸化JNK1、リン酸化PERK、リン酸化eIF2α、ATF4、CHOP/GADD153、NOXA、リン酸化NRF2、HMOX1、NQO1、ATF6f、BiP、PDIA4、HYOU1、SEL1L、EDEM1、HERPUD1、及びそれらの断片からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
小胞体ストレスの程度の測定が、成熟型XBP1又はその断片の検出によるものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
メラニン産生細胞が、メラノサイトである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
白斑が、非光過敏性白斑である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
小胞体ストレスマーカー検出剤を含む、請求項1又は2に記載の方法に使用するためのメラニン産生に対する影響評価用組成物。
【請求項9】
小胞体ストレスマーカー検出剤を含む、請求項3に記載の方法に使用するための白斑リスク評価用組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、メラニン産生に対する影響を評価する方法及びメラニン産生に対する影響評価用組成物等に関する。
続きを表示(約 5,500 文字)【背景技術】
【0002】
メラニンは、メラニン産生細胞によって産生される、褐色調の色素であり、皮膚、毛髪、及び眼球等に分布している。メラニンの生成を抑制する様々な成分が、美白成分として提案されている。
【0003】
一方、白斑とは、メラニン産生細胞の機能修飾(例えば、メラニン産生細胞によるメラニン産生量の低下やメラニン産生細胞の減少等)により、皮膚の色素が部分的に抜け、白い斑状の領域が現れる症状である。例えば、美白成分の1種であるロドデノール(RD)の外部曝露により、白斑が生じたとの症例(ヒト)が2万件弱報告されている(非特許文献1)。
【0004】
その他、ラズベリーケトン(RK)(非特許文献4)、4-tert-ブチルピロカテコール(4TBC)(非特許文献5)、4-tert-アミルフェノール(4TAP)(非特許文献6)、4-tert-ブチルフェノール(4TBP)(非特許文献7)、ヒドロキノン(HQ)(非特許文献8)、及び4-tert-オクチルフェノール(4TOP)(非特許文献9)についても、外部曝露により白斑が生じたとの症例(ヒト)が数件~数十件程度報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Inoue S, Katayama I, Suzuki T, Tanemura A, Ito S, Abe Y, Sumikawa Y, Yoshikawa M, Suzuki K, Yagami A, Masui Y, Ito A, Matsunaga K. 2021. Rhododendrol-induced leukoderma update II: Pathophysiology, mechanisms, risk evaluation, and possible mechanism-based treatments in comparison with vitiligo. J Dermatol. 48, 969-978.
Iida M, Tazaki A, Deng Y, Chen W, Yajima I, Kondo-Ida L, Hashimoto K, Ohgami N, Kato M. 2019. A unique system that can sensitively assess the risk of chemical leukoderma by using murine tail skin. Chemosphere. 235, 713-718.
Daria Sicari, Agnes Delaunay-Moisan, Laurent Combettes, Eric Chevet, Aeid Igbaria, 2020. FEBS J ;287(1):27-42.
Fukuda Y, Nagano M, Futastuka M. 1998. Occupational leukoderma in workers engaged in 4-(p-Hydroxyphenyl)-2-Butanone manufactunng. J Occup Health 40, 118-122.
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Masuoka E, Bito T, Shimizu H, Nishigori C. 2011. Dysfunction of melanocytes in photoleukomelanoderma following photosensitivity caused by hydrochlorothiazide. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 27, 328-330.
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Kim M, Baek HS, Lee M, Park H, Shin SS, Choi DW, Lim KM.. 2016. Rhododenol and raspberry ketone impair the normal proliferation of melanocytes through reactive oxygen species-dependent activation of GADD45. Toxicol In Vitro. 32, 339-346.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現状、ロドデノール等の化学物質による白斑のリスク評価は、動物モデルを利用したin vivoでの評価系が主に用いられており(非特許文献2)、様々な化学物質の白斑リスクを低コストで迅速に評価できるin vitroでのリスク評価技術の開発が望まれている。
また、in vitroで、様々な化学物質のメラニン産生に対する影響を評価することができれば、美白成分の探索手段としても有効であると考えられる。
本開示においては、in vitroでのメラニン産生細胞のメラニン産生に対する影響の評価手段を提供することを課題とする。またメラニン産生細胞のメラニン産生に対する影響評価用組成物を提供することも課題の1つである。また、本開示においては、in vitroでの白斑リスクの評価手段を提供することを課題とする。また、白斑リスク評価用組成物を提供することも課題の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ヒトで白斑を誘発し得る化学物質が、小胞体ストレスを誘導することを見出し、さらに改良を重ねた。
【0008】
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(II)被験物質に接触させたメラニン産生細胞における小胞体ストレスの程度を測定する工程を含む、被験物質のメラニン産生に対する影響を評価する方法。
項2.
工程(II)の前に、
(I)メラニン産生細胞に被験物質を接触させる工程を含む、項1に記載の方法。
項3.
被験物質のメラニン産生に対する影響の評価が、被験物質の白斑リスク評価である、項1又は2に記載の方法。
項4.
小胞体ストレスの程度の測定が、小胞体ストレスマーカーの検出によるものであり、
小胞体ストレスマーカーが、成熟型XBP1、リン酸化IRE1α、MANF、TXNIP、リン酸化JNK1、リン酸化PERK、リン酸化eIF2α、ATF4、CHOP/GADD153、NOXA、リン酸化NRF2、HMOX1、NQO1、ATF6f、BiP、PDIA4、HYOU1、SEL1L、EDEM1、HERPUD1、及びそれらの断片からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~3のいずれか1項に記載の方法。
項5.
小胞体ストレスの程度の測定が、成熟型XBP1又はその断片の検出によるものである、項1~3のいずれか1項に記載の方法。
項6.
メラニン産生細胞が、メラノサイトである、項1~5のいずれか1項に記載の方法。
項7.
白斑が、非光過敏性白斑である、項1~6のいずれか1項に記載の方法。
項8.
小胞体ストレスマーカー検出剤を含む、項1~7のいずれか1項に記載の方法に使用するためのメラニン産生に対する影響評価用組成物。
項9.
小胞体ストレスマーカー検出剤を含む、項3~7のいずれか1項に記載の方法に使用するための白斑リスク評価用組成物。
【発明の効果】
【0009】
in vitroでのメラニン産生に対する影響を評価する手段が提供される。またメラニン産生に対する影響評価用組成物が提供される。また、in vitroでの白斑リスクの評価手段が提供される。また、白斑リスク評価用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
白斑を誘発し得る7つの化学物質(ロドデノール(RD)、ラズベリーケトン(RK)、4-tert-ブチルピロカテコール(4TBC)、4-tert-アミルフェノール(4TAP)、4-tert-ブチルフェノール(4TBP)、ヒドロキノン(HQ)、及び4-tert-オクチルフェノール(4TOP))、並びに光過敏性白斑を誘発し得る3つの化学物質(ロサルタンカリウム(LP)、ヒドロクロロチアジド(HCT)、及びフルタミド(FT))の化学式を示す。
siRNAを用いたチロシナーゼのノックダウン効率の測定結果を示す。
化学物質処理後のin vitroにおけるチロシナーゼ依存性細胞死の測定結果を示す。メラノサイト細胞株に対する異なる濃度の化学物質処理24時間後の細胞生存率をビヒクルコントロールに対する相対値で示す(平均±標準偏差、n=3)。なお、メラノサイトは化学物質処理の24時間前にsiRNA(siControl:○、siTYR:△)でトランスフェクトした。**P<0.01。
RDで処理した後のin vitroでの活性酸素(ROS)産生の測定結果を示す。
化学物質で処理した後のin vitroでの活性酸素の測定結果を示す。各化学物質の相対的活性酸素産生は、ビヒクル処理した細胞と比較した細胞数で正規化したCellROX Greenの総強度で定量した(n=3)。**P<0.01、*P<0.05。NSは有意ではないことを示す。
(A)小胞体(endoplasmic reticulum;ER)ストレスセンサープラスミドの模式図を示す。Venusと融合した終止コドンの上流に位置するスプライシング部位を含むXBP1の発現は、CAGGSプロモーター/エンハンサーの下で制御されている。通常の状態では、センサーのmRNAはスプライシングされないため、Venusタンパク質は翻訳されない。小胞体ストレス条件下では、スプライシングされたmRNAがフレームシフトを起こし、Venusタンパク質が翻訳される。(B)ツニカマイシン又はRD処理により小胞体ストレスを誘導した後の代表写真を示す。
メラノサイト細胞株にIC
50
の化学物質を24時間処理した後のERストレス応答を、ビヒクルコントロールに対する相対値で示す(平均±標準偏差、n=3)。**P<0.01、*P<0.05。NSは有意ではないことを示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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