TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025029624
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023134335
出願日2023-08-22
発明の名称ガス放出キャンロール及びこれを搭載した表面処理装置
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人
主分類C23C 14/56 20060101AFI20250228BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】 外周面から放出されるガスに摩耗粉などの固形物が混入することのないガス放出キャンロールを提供する。
【解決手段】 円筒回転体10とガスロータリージョイント20とから構成されるガス放出キャンロール56であって、円筒回転体10の外周肉厚部10aには、外周面で開口する複数のガス放出孔15を各々有する複数のガス導入路14が全周に設けられており、ガスロータリージョイント20は、複数のガス導入路14にそれぞれ連通する複数のガス供給路23を有する回転リングユニット21と、回転リングユニット21との摺接部において複数のガス供給路23にガスを分配する固定リングユニット22とからなり、ガス供給路23とガス導入路14とを接続する連結配管24にインラインガスフィルター30が設けられている。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
回転可能に支持された円筒回転体と、その中心軸方向の少なくとも一端部に取り付けられたガスロータリージョイントとから構成されるガス放出キャンロールであって、
該円筒回転体の外周肉厚部には、外周面で開口する複数のガス放出孔を各々有する複数のガス導入路が周方向に均等な間隔をあけて全周に亘って設けられており、該ガスロータリージョイントは、該複数のガス導入路にそれぞれ連通する複数のガス供給路を有し且つ該円筒回転体と共に回転する回転リングユニットと、該回転リングユニットとの摺接部において該複数のガス供給路にガスを分配する固定リングユニットとからなり、該複数のガス供給路と該複数のガス導入路とをそれぞれ接続する複数の連結配管の各々にインラインガスフィルターが設けられていることを特徴とするガス放出キャンロール。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
前記インラインガスフィルターが前記複数の連結配管において前記円筒回転体の半径方向に延在する部分に設けられている、請求項1に記載のガス放出キャンロール。
【請求項3】
減圧雰囲気下において長尺樹脂フィルムをロールツーロールで搬送させるロール群と、前記長尺樹脂フィルムを外周面に巻き付けて冷却する金属製の円筒回転体からなるキャンロールと、前記キャンロールの外周面に対向して配され、前記長尺樹脂フィルムに対して表面処理を施す表面処理手段とを備えた長尺樹脂フィルムの表面処理装置であって、前記キャンロールが請求項1又は2に記載のガス放出キャンロールである長尺樹脂フィルムの表面処理装置。
【請求項4】
前記表面処理手段が成膜手段である、請求項3に記載の長尺樹脂フィルムの表面処理装置。
【請求項5】
前記成膜手段がスパッタリングカソードである、請求項4に記載の長尺樹脂フィルムの表面処理装置。
【請求項6】
前記表面処理がプラズマ処理及び/又はイオンビーム処理である、請求項3に記載の長尺樹脂フィルムの表面処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧雰囲気下においてロールツーロールで連続的に搬送される長尺樹脂フィルムが巻き付けられるキャンロール及びこれを搭載した表面処理装置に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の電子機器には、樹脂フィルムの上に配線回路が形成されたフレキシブル配線基板が用いられている。このフレキシブル配線基板は、樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜することで得た金属膜付樹脂フィルムの該金属膜に対して、フォトリソグラフィーやエッチング等の薄膜微細加工技術を利用してパターニング処理を施すことによって作製することができる。
【0003】
上記のフレキシブル配線基板の材料となる金属膜付樹脂フィルムの製造方法としては、樹脂フィルムの表面に接着剤を用いて金属箔を貼り付ける3層基板の製造方法、金属箔の表面に樹脂溶液をコーティングした後、該樹脂溶液を乾燥させるキャスティング法、樹脂フィルムの表面に真空成膜法単独で、又は真空成膜法と湿式めっき法との併用で金属膜を成膜するメタライジング法等が知られている。
【0004】
上記の製造方法のうち、メタライジング法で用いる真空成膜法としては、一般に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等を挙げることができ、これらのうちスパッタリング法は密着力の高い金属膜が得られるものの、真空蒸着法に比べて樹脂フィルムに与える熱負荷が大きいといわれている。また、樹脂フィルムは成膜の際に大きな熱負荷がかかるとシワが発生し易くなることも知られている。この熱負荷によるシワ発生を防ぐため、減圧雰囲気に制御されたチャンバー内に冷却機能を備えた回転駆動式のキャンロールを搭載し、ロールツーロールで搬送する長尺樹脂フィルムをこのキャンロールの外周面に密着させてその裏面側から冷却しながらその表面側にスパッタリング成膜する技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、キャンロールの外周面はミクロ的に見て平坦ではないため、上記のようにキャンロールの外周面と、そこに密着させて冷却する長尺樹脂フィルムとの間には真空空間を介して離間するギャップ部(間隙)が存在している。このため、上記のスパッタリング法や真空蒸着法等で成膜する際に生じる長尺樹脂フィルムの熱のキャンロールへの伝熱が、上記のギャップ部が伝熱抵抗になって阻害されることがあり、長尺樹脂フィルムにシワが発生することがあった。
【0006】
そこで、キャンロールの構造を外周面からガス放出可能にすることで、上記ギャップ部にガスを満たして熱伝導率を高める技術が提案されている。例えば特許文献1には、キャンロールの外周肉厚部に複数のガス導入路を周方向に均等な間隔をあけて設けると共に、各ガス導入路にキャンロールの外周面で開口する複数のガス放出孔を設け、更にキャンロールの中心軸方向の端部にガスロータリージョイントを同芯軸状に取り付けることで、外部のガス供給源から供給されるガスを複数のガス導入路に分配して導入する技術が開示されている。これにより、キャンロールの外周面と、そこに巻き付けられている長尺樹脂フィルムとの間のギャップ部にキャンロール側からガスを導入できるので、長尺樹脂フィルムのシワ発生を防止できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2014-005487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載されている技術を採用することで、真空成膜時に樹脂フィルムにシワが発生するのを効果的に抑制できると考えられるが、ガスロータリージョイントはキャンロールと共に回転する回転リングユニットと、回転しないように固定されている固定リングユニットとから構成されており、これら部材は互いに対向する部分にそれぞれ摺接(摺動)面を有している。このため、運転を続けているうちに、これら回転リングユニットと固定リングユニットとの摺接面において少なくとも一方の部材が摩耗し、その摩耗粉が回転リングユニット内のガス流路内を流れるガスに混入し、そのままキャンロールの上記複数のガス導入路及びガス放出孔を経て上記ギャップ部内に放出されることがあった。このように摩耗粉がガスと共にギャップ部内に放出されると、樹脂フィルムに異物となって付着したり傷を付けたりして金属膜付樹脂フィルムの品質を低下させるおそれがあった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、外周面からのガス放出が可能な構造を有するガス放出キャンロールにおいて、該外周面から放出されるガスに摩耗粉などの固形物が混入することのないガス放出キャンロール、及び該ガス放出キャンロールを搭載した処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明が提供するガス放出キャンロールは、回転可能に支持された円筒回転体と、その中心軸方向の少なくとも一端部に取り付けられたガスロータリージョイントとから構成されるガス放出キャンロールであって、該円筒回転体の外周肉厚部には、外周面で開口する複数のガス放出孔を各々有する複数のガス導入路が周方向に均等な間隔をあけて全周に亘って設けられており、該ガスロータリージョイントは、該複数のガス導入路にそれぞれ連通する複数のガス供給路を有し且つ該円筒回転体と共に回転する回転リングユニットと、該回転リングユニットとの摺接部において該複数のガス供給路にガスを分配する固定リングユニットとからなり、該複数のガス供給路と該複数のガス導入路とをそれぞれ接続する複数の連結配管の各々にインラインガスフィルターが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

日鉄建材株式会社
波形鋼板
1か月前
株式会社カネカ
製膜装置
1か月前
株式会社電気印刷研究所
金属画像形成方法
1か月前
日産自動車株式会社
樹脂部材
2か月前
株式会社アルバック
ガス導入管
3か月前
東京エレクトロン株式会社
成膜装置
1か月前
大阪富士工業株式会社
浴中軸部材の製造方法
23日前
一般財団法人電力中央研究所
耐腐食膜
2か月前
栗田工業株式会社
金属部材の防食方法
3か月前
TOTO株式会社
構造部材
今日
東京エレクトロン株式会社
基板処理方法
3か月前
TOTO株式会社
構造部材
今日
株式会社不二越
熱処理に用いる油切り装置
3か月前
株式会社カワイ
無電解CoW鍍金処理方法
5日前
株式会社カネカ
製膜装置
26日前
日本化学産業株式会社
複合めっき皮膜及びめっき製品
19日前
キヤノントッキ株式会社
成膜装置
1か月前
キヤノントッキ株式会社
成膜装置
2か月前
株式会社オプトラン
気泡除去方法及び気泡除去装置
1か月前
東京エレクトロン株式会社
パージ方法及び成膜装置
5日前
株式会社アルバック
電子ビーム式蒸着ユニット
1か月前
東京エレクトロン株式会社
吸着制御方法及び成膜装置
1か月前
アイテック株式会社
複合めっき材
1か月前
株式会社アルバック
真空成膜装置及び真空成膜方法
1か月前
株式会社アルバック
タングステン配線膜の成膜方法
1か月前
栗田工業株式会社
密閉冷却水系のpH制御方法及び装置
1か月前
東京エレクトロン株式会社
基板処理方法及び基板処理装置
2か月前
ダイキン工業株式会社
金属錯体
5日前
株式会社SCREENホールディングス
スパッタリング装置
5日前
株式会社高純度化学研究所
酸化スズ(II)薄膜の製造方法
1か月前
日東電工株式会社
積層フィルムの製造方法
1か月前
山陽特殊製鋼株式会社
炭素濃度分布の解析方法
1か月前
富士通商株式会社
新規なSiOx/カーボンナノ繊維とその製造方法
23日前
株式会社日立製作所
浸窒処理部品およびその製造方法
3か月前
株式会社SUS
チタン材、チタン製の容器およびチタン材の製造方法
26日前
株式会社アルバック
成膜装置及び成膜方法
26日前
続きを見る