特許ウォッチ

公開番号2025028143
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-28
出願番号2024217120,2024505483
出願日2024-12-11,2023-04-28
発明の名称歯車、ロボット、及び歯車製造方法
出願人DIC株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類F16H 55/17 20060101AFI20250220BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】局所的な変形又は応力が発生しにくい歯車を提供する。
【解決手段】フィラーを含有する樹脂で形成された歯車10が、歯車10の成形時に樹脂を射出するために使用される複数のピンゲートに1対1で対応する、歯車10の軸方向端面11上の複数の点のそれぞれをゲート点としたとき、軸方向端面11に形成され、それぞれ対応するゲート点から歯車10の径方向外側に延びる直線の一方側から他方側まで広がり、それぞれ当該直線に対して非対称な形状を有する複数の凹部を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項１】
フィラーを含有する樹脂で形成された歯車であって、
前記歯車の成形時に前記樹脂を射出するために使用される複数のピンゲートに１対１で対応する、前記歯車の軸方向端面上の複数の点のそれぞれをゲート点としたとき、前記軸方向端面に形成され、それぞれ対応するゲート点から前記歯車の径方向外側に延びる直線の一方側から他方側まで広がり、それぞれ当該直線に対して非対称な形状を有する複数の凹部を備える歯車。
続きを表示（約 820 文字）【請求項２】
各凹部の、少なくとも前記直線の一方側に存在する部分は、前記歯車の径方向における幅が、各凹部の、前記歯車の周方向における両端のうち、前記直線の一方側に存在する第１端から前記直線の他方側に存在する第２端に向かって増大する形状を有する請求項１に記載の歯車。
【請求項３】
前記第１端は、前記歯車の軸方向における端面視で鋭角状に形成されている請求項２に記載の歯車。
【請求項４】
前記第２端は、前記歯車の軸方向における端面視で鋭角状に形成されている請求項２に記載の歯車。
【請求項５】
複数の歯が形成された環状のリムと、
前記複数の凹部が形成され、前記リムの内周に隣接するウェブと
を備え、
各凹部の、少なくとも前記直線の他方側に存在する部分は、前記リムの内周に接続又は対向する前記ウェブの外周まで延びている請求項１に記載の歯車。
【請求項６】
前記複数の凹部に含まれる凹部の個数は、ゲート点の個数の倍数である請求項１に記載の歯車。
【請求項７】
前記フィラーは、繊維状のフィラーである請求項１に記載の歯車。
【請求項８】
前記樹脂は、ポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項１に記載の歯車。
【請求項９】
請求項１から請求項８のいずれか１項に記載の歯車を備えるロボット。
【請求項１０】
フィラーを含有する樹脂を溶融させることと、
複数のピンゲートが形成された歯車成形用の金型であり、それぞれ対応するピンゲートから当該金型の径方向外側に延びる直線の一方側から他方側まで広がり、それぞれ当該直線に対して非対称な形状を有する複数の凸部を備える金型のキャビティ内に、溶融した樹脂を前記複数のピンゲートから射出して樹脂製の歯車を成形することと
を含む歯車製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本開示は、歯車、ロボット、及び歯車製造方法に関する。
続きを表示（約 2,400 文字）【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、強化繊維入りの樹脂で形成された歯車が開示されている。この歯車には、樹脂流動速度調整溝が形成されている。特許文献１によれば、歯車の成形時には、ピンポイントゲートから射出された樹脂の径方向外方への流動速度が、樹脂流動速度調整溝を形成するためにキャビティ内に突出させられた樹脂流動速度調整溝用突起によってコントロールされることにより均一化される。その結果、樹脂内の強化繊維の配向が全周に亘って径方向に揃う。
【０００３】
特許文献２には、ベース樹脂に強化繊維が配合された成形材料を用いて成形された歯車が開示されている。特許文献２によれば、歯車の成形時には、金型と軸体とを相対回転させることで、歯底に対応するキャビティの領域に充填された成形材料が流動する。その結果、歯底における成形材料内の強化繊維の配向が乱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
特開２００４－３５８６６５号公報
特開２０１９－２１８９９４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
成形方法で繊維配向を制御するのではなく、歯車の形状で繊維配向を制御したときに、繊維配向が局所的に径方向に揃ってしまうと、局所的な変形及び応力が発生しやすくなり、寸法精度及び強度が低下するおそれがある。
【０００６】
本開示の目的は、局所的な変形又は応力が発生しにくい歯車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
以下に本開示の幾つかの態様を示す。
［態様１］
フィラーを含有する樹脂で形成された歯車であって、
前記歯車の成形時に前記樹脂を射出するために使用される複数のピンゲートに１対１で対応する、前記歯車の軸方向端面上の複数の点のそれぞれをゲート点としたとき、前記軸方向端面に形成され、それぞれ対応するゲート点から前記歯車の径方向外側に延びる直線の一方側から他方側まで広がり、それぞれ当該直線に対して非対称な形状を有する複数の凹部を備える歯車。
［態様２］
各凹部の、少なくとも前記直線の一方側に存在する部分は、前記歯車の径方向における幅が、各凹部の、前記歯車の周方向における両端のうち、前記直線の一方側に存在する第１端から前記直線の他方側に存在する第２端に向かって増大する形状を有する態様１の歯車。
［態様３］
前記第１端は、前記歯車の軸方向における端面視で鋭角状に形成されている態様２の歯車。
［態様４］
前記第２端は、前記歯車の軸方向における端面視で鋭角状に形成されている態様２又は態様３の歯車。
［態様５］
複数の歯が形成された環状のリムと、
前記複数の凹部が形成され、前記リムの内周に隣接するウェブと
を備え、
各凹部の、少なくとも前記直線の他方側に存在する部分は、前記リムの内周に接続又は対向する前記ウェブの外周まで延びている態様１から態様４のいずれか１態様の歯車。
［態様６］
前記複数の凹部は、ゲート点の個数をｎとしたとき、前記歯車の軸方向における端面視でｎ回対称な形状を有する態様１から態様５のいずれか１態様の歯車。
［態様７］
前記複数の凹部は、前記軸方向端面の中心に対して点対称な形状を有する態様１から態様６のいずれか１態様の歯車。
［態様８］
前記複数の凹部に含まれる凹部の個数は、ゲート点の個数の倍数である態様１から態様７のいずれか１態様の歯車。
［態様９］
前記フィラーは、繊維状のフィラーである態様１から態様８のいずれか１態様の歯車。
［態様１０］
前記樹脂は、ポリアリーレンスルフィド樹脂である態様１から態様９のいずれか１態様の歯車。
［態様１１］
態様１から態様１０のいずれか１態様の歯車を備えるロボット。
［態様１２］
フィラーを含有する樹脂を溶融させることと、
複数のピンゲートが形成された歯車成形用の金型であり、それぞれ対応するピンゲートから当該金型の径方向外側に延びる直線の一方側から他方側まで広がり、それぞれ当該直線に対して非対称な形状を有する複数の凸部を備える金型のキャビティ内に、溶融した樹脂を前記複数のピンゲートから射出して樹脂製の歯車を成形することと
を含む歯車製造方法。
【発明の効果】
【０００８】
本開示によれば、局所的な変形又は応力が発生しにくい歯車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
本開示の実施形態に係る歯車の斜視図である。
本開示の実施形態に係る歯車の注釈付きの平面図である。
本開示の実施形態に係る歯車の底面図である。
本開示の実施形態に係る歯車成形用の金型の斜視図である。
本開示の実施形態に係る歯車成形用の金型の別の斜視図である。
本開示の実施形態に係る歯車成形用の金型の注釈付きの平面図である。
本開示の実施形態に係る歯車製造方法を示すフローチャートである。
比較例１及び実施例１それぞれの寸法精度評価結果を示す図である。
比較例１及び実施例１それぞれの耐久試験結果を示すグラフである。
比較例１のウェルド状態を示す図である。
実施例１のウェルド状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照して説明する。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許