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公開番号2025009609
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023122032
出願日2023-07-06
発明の名称流路体
出願人個人
代理人
主分類F16L 41/02 20060101AFI20250109BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】 従来の流路体の高耐圧対応は、ロー付け面積の拡張や高強度材への置換である。前者はロー付け面積の拡張で対応し、後者は材料コスト面や加工面に課題があった。また、用途により様々な流路体が提供され、流路体の標準化の課題を解消できていなかった。ロー付け面ではシートロー材が多用され、シートロー材の特性から生産性が阻害されることになっていた。
【解決手段】 高耐圧対応では、ロー付け面積の自在な拡張と毛細管現象を最大限に活用したロー付けに最適な構造の二つの手段で対応し、標準化では、高強度の金属板製の流路板を重ね合わせた一体の流路体で多種多様な流路を形成し、流路体の標準化や設計面の制約を解消する。
【選択図】図1,図15
特許請求の範囲【請求項1】
複数の金属板製の流路板を重ね合わせることで、重ね合わせた面に平行な一以上の流路及び重ね合わせた面に一以上の垂直な流路の少なくとも一方を形成し、重ね合った面にロー付けクリアランスを形成し、重ね合った端部に前記ロー付けクリアランスに通じたロー材の装着部を形成したことを特徴とする流路体。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
一以上の接続部及び一以上の流路穴の少なくとも一方を設けた2枚の流路板の間に、前記流路板より小さい一以上の接続部及び一以上の流路穴の少なくとも一方を設けた流路板を挟み重ね合わせて形成したことを特徴とする請求項1の流路体。
【請求項3】
一以上の接続部及び一以上の流路穴の少なくとも一方を設けた流路板に前記流路板より小さい一以上の接続部及び一以上の流路穴の少なくとも一方を設けた流路板を重ね合わせることを複数回繰り返し、前記流路板が一枚目と最終枚目となることを特徴とする請求項1の流路体。
【請求項4】
2枚の流路板それぞれに左右対称に複数の流路溝を配設し、前記2枚の流路板の流路溝側面を重ね合わせることで前記複数の流路溝が複数の流路を形することを特徴とする請求項1の流路体。
【請求項5】
流路全長または接続部を除く流路に防液部を設けたことを特徴とする請求項2から請求項4の流路体。
【請求項6】
流路体を複数重ね合わせた事を特徴とする請求項2、請求項5の流路体。
【請求項7】
流路板を銅メッキした鉄板としたことを特徴とする請求項1から請求項6の流路体。
【請求項8】
請求項2、請求項3、または請求項4の流路体の少なくともいずれか一方を連結したことを特徴とする流路体装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は空調機やヒートポンプ式給湯器等に使用する流路体に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
近年の環境問題等によりHFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が地球温暖化防止の規制対象となり、冷媒を使用する流路体では、冷媒としてアンモニア、窒素、水素、プロパン等のへの移行が必至である。これらの冷媒は設計圧力が従来の冷媒より数倍高いため、耐圧強度が低い銅やアルミニュームは厚肉化に向かい、同時に耐圧強度の高いステンレス化が進んでいる。しかしながら、これらの材料は、材料価格面だけでなく省資源化でもデメリットが大きくSDGsの目標を実現することは難しい。特に流路体に使用される材料は、ロー付け接合(以下、ロー付けと称す)が容易であることから、銅、アルミニュームの高価な材料を使用する方向で、厚肉化を軽減する課題解決として、ロー付け面積を拡張して耐圧強度を上げる流路体が提供されている。
【0003】
従来、冷媒を熱源とする空調機や給湯噐等の流体回路を形成する流路体は、分流や分岐を目的とする特許文献1特開平09-159320の二分流分岐管、特許文献2特開2005-114214の分岐管、特許文献3特開2005-337434の三方分岐体、熱交換を目的とする特許文献4特開2004-044896のロールボンドの流路体、特許文献5特開平09-292194の積層型の流路体、特許文献6特開2003―172588の流路板に平行な流路と扁平な流路の2流路を形成する流路体、特許文献7特開2019―190680の2層の流路を有する流路体等の種々の流路体が提供されている。
【0004】
前述の公知の流路体の中で管材を使用するのものとして、特許文献1特開平09-159320は管材を二股分岐に成形しロー付け面積を増加し耐圧強度を上げる。
次に、特許文献2特開2005-114214は分岐管に付属部品を使用し、ロー付け面積を増加し耐圧強度を上げる。
以上に示した2体の流路体は、管材を使用することからロー付け面積の増加に限度があり、ロー付けに最適な構造ではなく、今後の高耐圧対応に万全であるとは言えない。また、多種多様な流路を形成するにも限界があることは明らかである。
次に、板材を使用する特許文献3特開2005-337434の三方分岐管は、板材を管状に成形し二流路を形成する。密接面にはカシメ部を設けて耐圧強化を図るものであるが、価格低減以外は前述の管材と大きな相違はない。
以上の説明から明らかなように、前述の公知の各流路体は、ロー付け面積を拡張するには構造上の制約があり将来の更なる高圧冷媒対応としては不十分である。
また、用途毎に流路体を提供しており標準化を図れるものではない。
【0005】
公知の板材を使用する流路体として、特許文献4特開2004-044896の流路体は、ロールボンド成形で2枚の熱良導金属板を圧着し冷媒と水の流路を一体化し、熱交換を効果的にし、重ね合わせた面に平行な流路を形成する。
流路体の高耐圧対応に対しては、特別な解決手段はない。
特許文献5特開平09-292194の積層型の流路体は、プレス加工した流路板を重ね合わせて流路板に垂直な流路と流路板に平行な流路を形成し、接合材被膜を使用しシートロー材を使用しないことで生産性を改善する。また、流路溝を利用して伝熱性を高めることが要点である。流路体の耐圧強度は、限定個所のロー付部を増加することでのみ対応し、ロー付け面積を自在に拡張できるものではない。
特許文献6特開2003―172588の流路体は複数の流路溝を形成した流路板を重ね、ロー付けや溶接で接合し、流路板に平行な複数の流路を形成し、片面に扁平管の冷媒流路の管を設けた2層構造の流路体で、高耐圧対応は扁平管でロー付け面積を広くすることで対応する。
特許文献7特開2019―190680の流路体は、流路溝を形成する2枚の金属板を重ねて連結部で接合し、流路板に平行な流路を形成したユニットを重ね、連結部の通気穴でユニット間を連通することでコンパクト化を図る。
以上に述べた4体の流路体は、流路板を重ね合わせて複数の流路を形成するが、熱交換を効果的に行うものであり、一体の流路体で多種多様な流路要求にこたえるものではなく、また標準化を図れるものでもない。
また、板材の流路板をロー付けにより流路体を形成する場合、流路板間にシートロー材や接合材を使用する。シートロー材は非常に薄く加工やセットに手間を要し、接合材についても同様に生産性を阻害するものである。すなわち、使い勝手の良い固形ロー材を使用する構造になっていないことが課題である。
更に、最大の課題である高耐圧対応では、ロー付け面積を自在に拡張するとともにロー付けに最適な構造を形成しロー付け強度を高めるものではない。従って、高耐圧対応は十分であるとは言えない。
以上の公知の流路体において、流路体の母材としては銅が主として使用されているが、銅はロー付け性や加工性に優れている反面高価であり、更に世界的な電力網の拡大やEV化等で消費が拡大し、資源争奪リスクや価格変動が懸念され、脱銅はSDGs面でも大きな課題である。
【0006】
従来技術の参考文献
特許文献1特開平09-159320
特許文献2特開2005-114214
特許文献3特開2005-337434
特許文献4特開2004-044896
特許文献5特開平09-292194
特許文献6特開2003―172588
特許文献7特開2019―190680
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に述べた背景技術の課題解決の流路体として、3点の課題に着眼し解決する。
1.金属板をプレス加工することで生産性や加工性を上げ、一体の流路体で多種多様な流路を形成し流路体の標準化を図ること。
2.固形ロー材を使用し生産性を高めると共に、ロー付に最適な構造にすることでロー付け強度を高めること。
3.ロー付け面積を自在に拡張できる構造にし流路体の耐圧強度を高めること。
また、流路体の必要耐圧強度に見合うロー付け面積に柔軟に変動できること。
以上の課題に対し、下記の3点を具現化する。
▲1▼高強度の金属板性の流路板を重ね合わせて、プレス加工を活用し種々の流路型を取り替えられるようにすることで、複数の流路、多種多様な流路を一体のシンプルな流路体で形成する。以上により、流路体の標準化を実現する。
▲2▼流路体の端部に固形ロー材の装着部を設けてロー材の装着を容易にし、装着部と連通するロー付けクリアランスを設け、毛細管現象で溶融ロー材が流路板間に浸透しロー付け面積を拡張、ロー付け強度を高める構造にする。
▲3▼ロー材の装着部の容量を可変にし、必要耐圧強度に見合うロー材を装着することで必要ロー付け面積を形成しロー材使用量の適正化を図る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の流路体は、複数の金属板を重ね合わせ、前記重ね合わせた面に一以上の平行な流路及び前記重ね合わせた面に一以上の垂直な流路の少なくとも一方を形成し、流路増減、変流等多種多様な流路を形成する。更に、流路体端部に固形ロー材の装着部を設け、流路板に設けた凸部でロー付けクリアランスを形成し毛細管現象を活用することで、ロー付けに最善の構造でロー付け強度を高め、同時にロー付け面積を自在に拡張する流路体で従来の課題を解決する。
【0009】
すなわち、流路体は一以上の接続部を設けた金属板製の2枚の流路板1の間に、複数の流路穴を配設した前記流路板より小さい金属板製の流路板2を挟み重ね合わせることで、一体で多種多様な複数の流路と端部の全周にロー材の装着部を形成する。
各流路板の少なくとも一方の面に凸部を設け、重ね合った面に装着部と連通するロー付けクリアランスを形成する。凸部は溶融ロー材の流れを阻害するものでなければリブ等の公知のものでもよい。
装着部に取り扱いの容易な固形ロー材を装着し、装着したロー材は高温の炉内で溶融し毛細管現象により容易に流路板間の全面に浸透する。
流路板のロー付け面積は、流路体が所定の耐圧強度になるロー付け面積であれば、重ね合った流路板の全面でなくてもよい。但し、流路体の全周にわたりロー付け部を設けることで流路体の気密を確保する。
更に、前述の流路体を複数重ね合わせることや複数の流路板を重ね合わせることで、様々な流路径、偏流、縮流、流路増減等の多種多様な流路を形成する。
本発明における垂直な流路とは、完全な垂直だけでなく一定の誤差の範囲内の実質的な垂直も含むものである。また、平行な流路とは、完全な平行だけでなく一定の誤差の範囲内の実質的な平行も含むものである。
【0010】
他の流路体は、流路板に多種多様な平行な流路を形成する。
すなわち、二枚の金属板製の流路板1と流路板2にそれぞれに、流路を形成する複数の半円形の溝を左右対称に配設する。流路溝両端に接続部を形成する半円の接続溝を配設する。二枚の流路板を重ね合わせることで円形の流路と流路端に円形の接続部を形成し、流路体の流路板が重ね合った端部全周にロー材の装着部を形成する。二枚の流路板の流路側面に凸部を設け、流路板を重ね合わせた時に流路板間に装着部と連通するロー付けクリアランスを形成する。装着部に取り扱いの容易な固形ロー材を装着し、高温炉内で溶融したロー材が毛細管現象でロー付けクリアランス内に浸透し、2枚の流路板をロー付けして気密性と耐圧性の高い流路及び流路体を形成する。
ロー材は装着部にカシメし固定すればロー材の落下を防止できる。
以上から明らかなように、ロー付けに最適な構造にすることで、ロー付け部の強度とロー付け面積を自在に拡張する二つの手段で流路体の耐圧を格段に向上する。また、プレス加工により多種の流路、偏流、縮流、閉路等の多様な流路を形成し、流路板に平行な複数の多種多様な流路を形成する流路体を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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