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公開番号2025095740
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-26
出願番号2023212006
出願日2023-12-15
発明の名称差動歯車用歯形
出願人個人
代理人
主分類F16H 55/08 20060101AFI20250619BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】歯数差の少ない差動歯車機構において、歯形の噛み合い率を大きくする。
【解決手段】接触点軌跡の中心点Qを通る円で、外歯車軸を中心とする基準円を考え、その点Qから転がりピッチ点Pに向かう接触歯形法線方向Nが基準円の接線Tと成す角度をα、また接触点軌跡の接線が基準円の接線と成す角度をβとするとき、接触点軌跡の接線が接触歯形法線Nと基準円接線Tの間となるように、言い換えれば角度βが角度αよりも小さくなるように接触点軌跡を設計する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
固定した内歯車と噛み合いながら外歯車を内歯車軸周りに回転させると、外歯車は内歯車歯数と外歯車歯数の差に対応するだけ、固定内歯車に対して回転する差動歯車機構において、
外歯車軸O1と内歯車軸O2を通る中心線Cと、その中心線上にある両歯車の転がりピッチ点Pが作る静止座標系において、外歯車の歯先円と内歯車の歯先円で囲まれる歯先円共通領域内で実質を持つ歯形同士は接触し合うが、歯先円共通領域内に定める、歯形同士が接触する接触点の軌跡Zを、中心線Cとは交わらせず、中心線Cから左方向あるいは右方向に離れ、しかも転がりピッチ点Pよりも歯車軸寄りの位置に設定する方法において、
外歯車軸を中心とする円で、しかも接触点軌跡Zの中心点Qを通る円を便宜上、基準円と呼ぶことにして、点Qにおける基準円の接線をTとするとき、点Qと点Pを結ぶ線の方向にある接触歯形の法線方向Nが、接線Tに対して成す角度をα、また、
接触点軌跡の中心点Qでの接触点軌跡の接線Bが、接線Tに対して成す角度をβとするとき、
接触点軌跡の接線Bが、接触歯形法線Nと基準円接線Tの間で、接線Tから離れた角度位置に設置されるように、言い換えれば角度βが角度αよりも小さくなるように接触点軌跡を設計する設計方法。
続きを表示(約 180 文字)【請求項2】
請求項1の接触点軌跡の設計方法の一つとして、外歯車歯先円上に歯車軸中心線Cから少し離れた点Eを、また内歯車歯先円上に歯車軸中心線Cから十分に遠くに離れた位置に点Sを定め、点Eと点Sを通り、半径が外歯車歯先円半径と同じ、あるいは、それよりも大きい半径の円弧で、しかも円弧中心が歯車軸寄りとなる円弧の線分を接触点軌跡とする接触点軌跡の設計方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、平行軸歯車の歯形を設計する方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
固定した内歯車と噛み合わせながら外歯車を内歯車軸周りに回転させると、内歯車に対して外歯車は内歯車歯数と外歯車歯数の差に対応するだけ回転する差動歯車機構となる。
【0003】
差動歯車用の歯形として、内歯車歯形として小円を与えて、小円の中心点Aが外歯車上に描くトロコイド曲線の平行曲線を外歯車の歯形とすることがある。
【0004】
差動歯車歯形として、上述のトロコイド系曲線よりも歯車加工が容易であるとされるインボリュート歯形を用いることがある。しかし、インボリュート歯形では歯の噛み合い率を大きく出来ないことや歯の曲げ強度が小さいなどの理由で、トロコイド系歯形が有利であるとされている。また、差動歯車機構では内歯車歯数と外歯車歯数の差を小さくして、大きな減速比を得ることが出来るが、歯数差が小さい場合、歯の噛み合い位置から遠く離れた位置で歯形同士が重なり合うトロコイド干渉が生じやすくなる。この干渉に関しても、インボリュート歯形では干渉が生じやすく、トロコイド系歯形では干渉回避は容易である。
【0005】
インボリュート歯形の場合に、外歯車軸O1と内歯車軸O2を通る中心線Cと、その中心線上にある両歯車の転がりピッチ点Pが作る静止座標系において、外歯車の歯先円と内歯車の歯先円で囲まれる歯先円共通領域内で実質を持つ歯形同士は接触し合うが、歯先円共通領域内にあって歯形同士が接触する接触点の軌跡Zが、中心線Cとは交わらず、中心線Cから左方向あるいは右方向にあり、しかも両歯車の転がりピッチ点Pよりも歯車軸寄りの位置に配置される歯車がある(非特許文献1)。この歯車では、トロコイド干渉を回避しやすい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
島地重幸、歯車形状の要点と形状解析入門、ブイツーソリューソン発行、p.31.
成瀬正男編、歯車の研究、養賢堂、p.3.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
歯数差の少ない差動歯車機構において、歯車歯形として加工が容易なインボリュート歯形を用いる場合、転がりピッチ点よりも歯車軸寄りの位置で、しかも歯車軸の中心線から左方向あるいは右方向に離れた位置に接触点の軌跡を定めると、トロコイド干渉は避けやすくなるが、噛み合い率を大きく出来ないという難点があり、この難点の解決を本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の多くの歯形は、一方の歯車歯形、あるいはラック歯形などの歯形を与えて、接触点の軌跡を求めるという歯形の設計法を用いるが、本発明では逆に、接触点の軌跡を与えて、歯形を求めるという手段を用いる。
【0009】
また、本発明では、与える接触点の軌跡の位置を転がりピッチ点から離れた位置に定めるが、外歯車の歯先円と内歯車の歯先円に囲まれる歯先円共通領域内であれば、歯の実質部同士は接触可能であり、この領域内で、自由に歯形の接触点軌跡を与えることが出来ると考える。
【0010】
ただし、歯形の接触点の軌跡線は、全く自由に与えることが出来るわけではなく、トロコイド干渉だけでなく、切り下げ干渉も回避する必要がある。このためには、軌跡線の形に制約がある。さらに、歯面は接触歯面法線の方向に負荷を伝達するが、半径線と歯形接線の成す角、いわゆる歯形圧力角が大きくなり、90°では力を伝えることが出来ないという制約もある。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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