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公開番号2025019010
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-06
出願番号2024118672
出願日2024-07-24
発明の名称ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末及びその製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類C08B 13/00 20060101AFI20250130BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】沈殿したエステル化セルロースエーテルの粒子間の凝集を防ぎつつ、微粉の発生量を抑え、エステル化セルロースエーテルを高い収率で得られるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法の提供。
【解決手段】
エステル化反応工程と、析出工程と、洗浄回収工程と、乾燥工程とを少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法であって、前記析出工程が、ブレードを備える自転可能なローター、及び前記ローターの半径方向に対して垂直方向に前記ローターを取り囲む多孔板を備える混合機に、エステル化反応工程で得られた反応溶液と水とを導入して、析出したヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を含む懸濁液を、前記多孔板を通過させて排出する工程である製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
脂肪族カルボン酸の存在下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アセチル化剤及びスクシノイル化剤とのエステル化反応を行うことにより、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含む反応溶液を得るエステル化反応工程と、
ブレードを備える自転可能なローター、及び前記ローターの半径方向に対して垂直方向に前記ローターを取り囲む多孔板を備える混合機に、前記反応溶液と水とを導入して、析出したヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を含む懸濁液を、前記多孔板を通過させて排出する析出工程と、
前記懸濁液中のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を洗浄し、洗浄されたヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を回収する洗浄回収工程と、
前記洗浄されたヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を乾燥させる乾燥工程と、
を少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
前記多孔板が、開口部一つあたり0.1~10.0mm
2
の開口面積を有する、請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
【請求項3】
前記ブレードの最外周部の周速度が、5.0~20.0m/sである請求項1または2に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
【請求項4】
前記反応溶液に対する水の添加量が、前記反応溶液100質量部に対し200~600質量部である、請求項1または2に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
【請求項5】
前記懸濁液中のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子の粒度分布をJIS Z8815に記載の湿式ふるい分け試験により評価したとき、平均粒子径が500~2000μmであって、かつ総質量に占める250μm以下の粒子の質量の割合が15.0%以下である請求項1または2に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
【請求項6】
JIS Z8815に記載の乾式ふるい分け試験による平均粒子径が300μm超1000μm以下、かつゆるめ嵩密度が0.30g/mL以下、かつ圧縮度(固め嵩密度に対する、ゆるめ嵩密度と固め嵩密度の差の割合)が10%以下であるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(以下、「HPMCAS」とも記載する。)は、セルロースの水酸基の水素原子の一部をメチル基(-CH
3
)、ヒドロキシプロピル基(-CH
2
CH(OH)CH
3
)、アセチル基(-COCH
3
)及びスクシニル基(-COC
2

4
COOH)の計4種類の置換基に置換したエステル化セルロースエーテルであり、水難溶性薬物の溶出改善のための固体分散体、錠剤の腸溶性コーティング等の用途に広く用いられている。
【0003】
HPMCASに代表されるエステル化セルロースエーテルは、公知の方法で製造することができる。公知の製造方法において、エステル化セルロースエーテルを含む反応溶液を水と接触させることにより、エステル化セルロースエーテルの沈殿、ならびに不純物の洗浄、除去が行われる。エステル化セルロースエーテルを含む反応溶液を水と接触させる方法としては、例えばエステル化セルロースエーテルを含む反応溶液に大量の水、具体的には10倍の体積の水を添加する方法(特許文献1)、エステル化セルロースエーテルを含む反応溶液と水との組合せを少なくとも800s
-1
のせん断速度に供する方法(特許文献2)、エステル化セルロースエーテルを含む反応溶液を、水に連続的または間欠的に投入する方法(特許文献3)等が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
米国特許第4226981号公報
特表2015-512456号公報
特表2017-501239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、沈殿したエステル化セルロースエーテルが粒子間で凝集を起こすため、顆粒状の形でエステル化セルロースエーテルを得ることができない。また、特許文献1に記載の方法は、得られる粒子の粒子間の凝集により、粒子間への水の浸透が妨げられるため、不純物を十分に除去できず、改善の余地があった。特許文献2に記載の方法では、沈殿したエステル化セルロースエーテルは微粉を多く含み、不純物を濾過洗浄する際に微粉が流出することによる収率の悪化につながる。さらに、特許文献2に記載の方法により得られる最終製品の流動性が悪く、粉体としての取扱い性に劣るという課題があった。また、特許文献3の方法では、微粉の生成量こそ少ないものの、生成したエステル化セルロースエーテル粒子の形状が歪で粉体としての流動性が悪い。加えて、特許文献3の方法は、エステル化セルロースエーテル粒子の生成に大量の水が必要であり、排水処理量が増大するという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、沈殿したエステル化セルロースエーテルの粒子間の凝集を防ぎつつ、微粉の発生量を抑え、エステル化セルロースエーテルを高い収率で得られる製造方法を提供すること、ならびに粉体の流動性が向上したエステル化セルロースエーテル粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、HPMCASの製造方法における析出工程において、ブレードを備える自転可能なローター、及び前記ローターの半径方向に対して垂直方向に前記ローターを取り囲む多孔板を備える混合機を用いることにより、沈殿したHPMCASの粒子間の凝集を防ぎつつ微粉の発生量を抑え、HPMCASを高い収率で得られること、ならびに良好な流動性を有するHPMCAS粉末を得られることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明によれば、以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末が提供される。
[1]
脂肪族カルボン酸の存在下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アセチル化剤及びスクシノイル化剤とのエステル化反応を行うことにより、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含む反応溶液を得るエステル化反応工程と、
ブレードを備える自転可能なローター、及び前記ローターの半径方向に対して垂直方向に前記ローターを取り囲む多孔板を備える混合機に、前記反応溶液と水とを導入して、析出したヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を含む懸濁液を、前記多孔板を通過させて排出する析出工程と、
前記懸濁液中のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を洗浄し、洗浄されたヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を回収する洗浄回収工程と、
前記洗浄されたヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子を乾燥させる乾燥工程と、
を少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
[2]
前記多孔板が、開口部一つあたり0.1~10.0mm
2
の開口面積を有する、[1]に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
[3]
前記ブレードの最外周部の周速度が、5.0~20.0m/sである[1]または[2]に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
[4]
前記反応溶液に対する水の添加量が、前記反応溶液100質量部に対し200~600質量部である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
[5]
前記懸濁液中のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粒子の粒度分布をJIS Z8815に記載の湿式ふるい分け試験により評価したとき、平均粒子径が500~2000μmであって、かつ総質量に占める250μm以下の粒子の質量の割合が15.0%以下である[1]~[4]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法。
[6]
JIS Z8815に記載の乾式ふるい分け試験による平均粒子径が300μm超1000μm以下、かつゆるめ嵩密度が0.30g/mL以下、かつ圧縮度(固め嵩密度に対する、ゆるめ嵩密度と固め嵩密度の差の割合)が10%以下であるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、微粉の発生量を抑え、高い収率でHPMCASを製造することができ、更に良好な流動性を有するHPMCAS粉末を得ることができる。したがって、本発明の製造方法により製造されるHPMCASは、水難溶性薬物の溶出改善のための固体分散体用途、錠剤の腸溶性コーティング用途等の用途等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
ブレードを備える自転可能なローター、及び前記ローターの半径方向に対して垂直方向に、前記ローターを取り囲む多孔板の構造を表した概念図である。
正方形状の開口部を有する多孔板の例を表した概念図である。
矩形状の開口部を有する多孔板の例を表した概念図である。
丸孔状の開口部を有する多孔板の例を表した概念図である。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの全粒子を、微粒子、長繊維状粒子(LF1およびLF2)、短繊維状粒子(SF1およびSF2)及び球状粒子(S1およびS2)の4粒子に分類するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法]
本発明のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート粉末の製造方法は、エステル化反応工程、析出工程、洗浄回収工程及び乾燥工程を少なくとも含む。
【0010】
<エステル化反応工程>
エステル化反応工程では、脂肪族カルボン酸の存在下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アセチル化剤及びスクシノイル化剤とのエステル化反応を行うことにより、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含む反応溶液を得る。
(【0011】以降は省略されています)

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