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公開番号2025014253
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023116666
出願日2023-07-18
発明の名称高温水蒸気電解セル及びその製造方法
出願人東芝エネルギーシステムズ株式会社
代理人弁理士法人サクラ国際特許事務所
主分類C25B 1/042 20210101AFI20250123BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】電解セルのガス透過性を維持しつつ、強度を高めた支持層を備えることにより、水蒸気の電解反応と機械的強度とを両立させた高温水蒸気電解セルを提供する。
【解決手段】実施形態の高温水蒸気電解セル1は、ガス透過性を有する支持層2と、支持層2上に設けられ、ガス透過性を有し、かつ内部に流入した水蒸気を酸素イオンと水素に電気分解可能な水素極3と、水素極で生成された酸素イオンを伝導可能な固体酸化物電解質層4と、ガス透過性を有し、かつ固体酸化物電解質層から到達した酸素イオンから酸素分子を生成可能な酸素極6とを具備する。支持層2は、酸化ニッケルとガドリニウム固溶セリアとの複合体を主構成成分として含有し、かつ複合体中に結晶粒径が30μm以上の酸化ニッケル粒子が存在する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ガス透過性を有する支持層と、
前記支持層上に設けられ、ガス透過性を有し、かつ内部に流入した水蒸気を酸素イオンと水素に電気分解可能な水素極と、
前記水素極で生成された前記酸素イオンを伝導可能な固体酸化物電解質層と、
ガス透過性を有し、かつ前記固体酸化物電解質層から到達した前記酸素イオンから酸素分子を生成可能な酸素極とを具備し、
前記支持層は、酸化ニッケルとガドリニウム固溶セリアとの複合体を主構成成分として含有し、かつ前記複合体中に結晶粒径が30μm以上の酸化ニッケル粒子が存在する、高温水蒸気電解セル。
続きを表示(約 910 文字)【請求項2】
結晶粒径が30μm以上の前記酸化ニッケル粒子が前記複合体中に10体積%以上存在している、請求項1に記載の高温水蒸気電解セル。
【請求項3】
前記複合体中に存在する前記ガドリニウム固溶セリアの粒子の平均粒径が20μm以下である、請求項1に記載の高温水蒸気電解セル。
【請求項4】
請求項1に記載の高温水蒸気電解セルの製造方法であって、
前記酸化ニッケルの粉末として平均粒子径が2.0μm以下の第1粉末と平均粒子径が30μm以上の第2粉末とを質量比で99:1~60:40の範囲となるように混合する工程と、
前記酸化ニッケル粉末としての前記第1粉末と前記第2粉末との混合粉末と、前記ガドリニウム固溶セリアの粉末を混合して原料粉末を調製する工程と、
前記原料粉末にバインダと気孔形成剤とを加えて焼結体原料を調製する工程と、
前記焼結体原料をシート状に成形し、成形体を得る工程と、
前記成形体を脱脂し、脱脂体を得る工程と、
前記脱脂体を焼結し、前記支持層として多孔質焼結層を得る工程と
を具備する高温水蒸気電解セルの製造方法。
【請求項5】
前記原料粉末は、前記酸化ニッケル粉末と前記ガドリニウム固溶セリア粉末とを質量比で5:5~7:3の比率で含む、請求項4に記載の高温水蒸気電解セルの製造方法。
【請求項6】
前記焼結体原料に溶媒を加えて原料スラリーを調製し、前記原料スラリーをシート成形して前記成形体を得る、請求項4に記載の高温水蒸気電解セルの製造方法。
【請求項7】
前記成形体の形成工程は、前記原料スラリーのシート成形により作製した前記成形体上に、前記水素極の形成スラリーをシート状に成形して積層成形体を作製する工程と、前記積層成形体上に前記固体酸化物電解質層の形成シートを積層する工程とを備え、前記脱脂工程及び前記焼結工程は、前記固体酸化物電解質層の形成シートが積層された前記積層成形体に対して実施される、請求項6に記載の高温水蒸気電解セルの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高温水蒸気電解セル及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料の枯渇、大気中への二酸化炭素の放出による地球温暖化等の環境問題、エネルギーセキュリティー等の観点から、太陽光、風力、地熱等に代表される再生可能エネルギーの導入が推進されている。また、二次エネルギーとして、貯蔵や輸送の観点から、水素エネルギーが注目されている。水素エネルギーは、例えば燃料電池自動車への適用が期待されており、低コストで品質の高い水素の製造や貯蔵が求められている。
【0003】
水素の製造においては、現在、コストや技術の観点から化石燃料を改質して製造する手法が主流とされている。しかし、化石燃料の改質による水素製造は、その製造過程において二酸化炭素を不可避的に発生させる。これに対し、水を原料として再生可能エネルギーを用いて水素を製造する方法は、二酸化炭素を発生させず、環境負荷が少ないことが分かっている。水や水蒸気を電解して水素を発生する方法としては、固体高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane:PEM)を用いるPEM型や、固体酸化物形電解セル(Solid Oxide Electrolysis Cell:SOEC)を用いるSOEC型が知られている。なかでも、SOEC型は水素を製造するための電力が原理的に少なく、将来の水素製造方法として期待されている。
【0004】
水素製造のための水蒸気の電解に用いられるSOECは、電子を通す水素極の支持層と、水を電解する水素極(活性層)と、酸素イオンを伝導する固体酸化物電解質層と、酸素イオンを結合して酸素分子にする酸素極とにより構成されている。電解質は酸素イオン伝導性を有し、水素ガスと酸素ガスとを分離する役割を有している。また、セルの中でも最も体積が大きい支持層には、電子を通す機能の他に、水蒸気を活性層に供給するためのガス透過性と、電解セルの形態を維持するための強度とが要求される。支持層にはガス透過性を実現するために、多孔質層が用いられている。支持層には、欠陥とみなされる気孔を有する多孔質層で、高強度を実現するという二律背反の特性が要求されている。
【0005】
すなわち、SOECの支持層には、強度といった機械的信頼性が要求される一方で、ガス透過性が求められることから、破壊の起点となる気孔を内在しているために強度が低くなりやすい。このように、支持層には機械的信頼性とガス透過性の両立が求められているが、ガス透過性という電解セル性能を確保するためには、多孔質層に基づく機械的信頼性を低く抑えざるを得ないといった課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-147664号公報
特開2022-180156号公報
特開2021-096432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、電解セルに求められるガス透過性を維持しつつ、強度を高めた支持層を備えることにより、水蒸気の電解反応と機械的強度とを両立させることを可能にした高温水蒸気電解セルとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の高温水蒸気電解セルは、ガス透過性を有する支持層と、前記支持層上に設けられ、ガス透過性を有し、かつ内部に流入した水蒸気を酸素イオンと水素に電気分解可能な水素極と、前記水素極で生成された前記酸素イオンを伝導可能な固体酸化物電解質層と、ガス透過性を有し、かつ前記固体酸化物電解質層から到達した前記酸素イオンから酸素分子を生成可能な酸素極とを具備する。実施形態の高温水蒸気電解セルにおいて、前記支持層は、酸化ニッケルとガドリニウム固溶セリアとの複合体を主構成成分として含有し、かつ前記複合体中に結晶粒径が30μm以上の酸化ニッケル粒子が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施形態の高温水蒸気電解セルを示す断面図である。
従来のNiO-GDC複合焼結体における亀裂の進展状態を示すSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の高温水蒸気電解セルについて、図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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