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公開番号2025014515
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023117135
出願日2023-07-18
発明の名称電気化学リアクタおよび人工光合成装置
出願人株式会社豊田中央研究所
代理人弁理士法人YKI国際特許事務所
主分類C25B 3/26 20210101AFI20250123BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】還元反応用電極と酸化反応用電極とを備える電気化学リアクタにおいて、特性低下を抑制し、安定した動作を維持することができ、生成した有機酸を回収する際の消費エネルギーを抑制し、回収量を向上することができる電気化学リアクタを提供する。
【解決手段】容器20内に還元触媒を含む還元反応用電極16と酸化触媒を含む酸化反応用電極18とが配置され、反応基質を還元して有機酸を生成する電気化学反応セル10と;pkaが6~8の塩、中性の塩、またはそれら両方を溶解した電解液を入れるタンク12と、タンク12から容器20に電解液を供給する電解液供給手段と;容器20内から排出された、反応基質の還元により生じた有機酸が溶け込んだ電解液から、2級アミンおよび3級アミンのうち少なくとも1つを含む有機溶媒に有機酸を抽出する液液抽出装置14と;を備える、電気化学リアクタ3である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
容器内に還元触媒を含む還元反応用電極と酸化触媒を含む酸化反応用電極とが配置され、反応基質を還元して有機酸を生成する電気化学反応セルと、
pkaが6~8の塩、中性の塩、またはそれら両方を溶解した電解液を入れるタンクと、
前記タンクから前記容器に前記電解液を供給する電解液供給手段と、
前記容器内から排出された、前記反応基質の還元により生じた前記有機酸が溶け込んだ電解液から、2級アミンおよび3級アミンのうち少なくとも1つを含む有機溶媒に前記有機酸を抽出する液液抽出装置と、
を備えることを特徴とする電気化学リアクタ。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
請求項1に記載の電気化学リアクタであって、
前記有機酸は、ギ酸、酢酸、およびプロピオン酸のうちの少なくとも1つであることを特徴とする電気化学リアクタ。
【請求項3】
請求項1に記載の電気化学リアクタであって、
前記pkaが6~8の塩は、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸二水素セシウム、リン酸二水素ルビジウム、炭酸水素マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸セシウム、硝酸ルビジウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸マグネシウム、チオシアン酸セシウム、およびチオシアン酸ルビジウムのうちの少なくとも1つであることを特徴とする電気化学リアクタ。
【請求項4】
請求項1に記載の電気化学リアクタであって、
前記中性の塩は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化マグネシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸リチウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、および過塩素酸リチウムのうちの少なくとも1つであることを特徴とする電気化学リアクタ。
【請求項5】
請求項1に記載の電気化学リアクタであって、
前記2級アミンおよび3級アミンのうち少なくとも1つは、下記式(1)で示されるアルキルアミンであることを特徴とする電気化学リアクタ。






N (1)
(式(1)において、R

,R

,R

のうち少なくとも2つは、独立して炭素数6以上12以下のアルキル基であり、残りは水素原子を示す。)
【請求項6】
請求項1に記載の電気化学リアクタであって、
前記液液抽出装置は、ミキサーセトラー式抽出装置、塔形式装置、および遠心式抽出装置の少なくとも1つであることを特徴とする電気化学リアクタ。
【請求項7】
請求項1に記載の電気化学リアクタであって、
前記反応基質は、二酸化炭素であり、前記反応基質の還元により生じた前記有機酸は、ギ酸であることを特徴とする電気化学リアクタ。
【請求項8】
請求項1に記載の電気化学リアクタであって、
前記還元触媒は、ルテニウム錯体ポリマーであり、前記酸化触媒は、酸化イリジウムであることを特徴とする電気化学リアクタ。
【請求項9】
請求項1に記載の電気化学リアクタであって、
前記電解液を前記電気化学反応セルの前記容器内から排出後、前記タンクに循環する循環手段をさらに備えることを特徴とする電気化学リアクタ。
【請求項10】
請求項1に記載の電気化学リアクタと、
前記酸化反応用電極および前記還元反応用電極に供給される電力を生成する太陽電池セルと、
を備えることを特徴とする人工光合成装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、還元反応用電極と酸化反応用電極とを備える電気化学リアクタ、およびその電気化学リアクタを備える人工光合成装置に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
太陽光エネルギーを用いて水(H

O)と二酸化炭素(CO

)からギ酸(HCOOH)、一酸化炭素(CO)等を合成する人工光合成は、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出量削減の技術の1つとして期待され、研究が極めて活発に行われている。人工光合成反応において、酸化反応用電極では水が酸化されて電子とプロトンを供給し、酸素(O

)が生成される。この電子とプロトンを用いて還元反応用電極で二酸化炭素が還元される。
【0003】
例えば、非特許文献1,2には、アノード(酸化反応用電極)とカソード(還元反応用電極)を備えた人工光合成セルに、タンク内で二酸化炭素をリン酸緩衝水溶液に飽和溶解させた電解液をポンプによって供給してギ酸の生成を行う大型人工光合成システムが記載されている。この大型人工光合成システムでは、ギ酸が溶け込んだ電解液は、人工光合成セルから排出後、タンクに戻し、その後、再び人工光合成セルに供給する循環型で運転している。
【0004】
特許文献1には、酸化触媒を備えた酸化反応用電解槽と、還元触媒を備えた還元反応用電解槽とを有し、二酸化炭素を溶解した電解液を還元反応用電解槽に供給し、二酸化炭素の還元によりアルコールを生成する還元物生産システムが記載されている。特許文献1には、生成したアルコールの分離方法として蒸留塔が記載されている(特許文献1の図1参照)。
【0005】
特許文献2には、ギ酸を含む水溶液から、下記式(1)で示すアルキルアミンと有機溶媒とを用いて、ギ酸を回収する回収工程と、回収工程で得られたギ酸を含む有機溶媒層から有機溶媒を減圧または常圧にて留去する留去工程と、を含む、ギ酸回収方法が記載されている。






N (1)
(式(1)において、R

~R

のうち少なくとも2つは独立して炭素数6以上12以下のアルキル基であり、残りは水素原子を示す。)
【0006】
特許文献3には、水溶液中のギ酸の回収方法として、ギ酸イオンを含む塩基性溶液を陽イオン交換樹脂と接触させて、ギ酸イオンを含む酸性溶液を得る第一の工程、この酸性溶液を陰イオン交換樹脂と接触させて、ギ酸イオンを陰イオン交換樹脂に吸着させる第二の工程、吸着されたギ酸イオンを、酸を含む溶離液によって陰イオン交換樹脂から溶出させる第三の工程、を含む、ギ酸溶液の濃縮方法が記載されている。
【0007】
非特許文献1,2に記載の大型人工光合成システムでは、電解液および電解液に溶かし込んだ二酸化炭素を有効に利用するため、タンクから人工光合成セルに送液された電解液を排出後に、再びタンクに戻す循環型で運転している。人工光合成セルの反応で生成したギ酸は電解液に溶け込んだ状態で排出されるため、運転の継続により電解液中のギ酸濃度が上昇する。ただし、ギ酸濃度が上昇すると酸化反応用電極でのギ酸の分解や、還元反応用電極でのギ酸生成の阻害等によって人工光合成セルの特性が低下する問題がある。
【0008】
特許文献1では、生成物であるアルコールの回収方法として蒸留塔を用いているが、蒸留では加熱のための多くのエネルギーが必要であり、また、ギ酸の沸点が101℃であることを考慮すると、水(沸点100℃)からのギ酸の分取は困難である。さらに、電解液であるリン酸緩衝水溶液に溶け込んだギ酸の多くはギ酸塩(ギ酸カリウム)となるため、蒸留による回収量は大幅に低下する。
【0009】
特許文献2では、アルキルアミン系の抽出剤は電解液中のギ酸カリウムとの塩を形成しないので、ギ酸塩は抽出することができない。したがって、ギ酸の抽出率が大幅に低下する問題がある。
【0010】
特許文献3では、ギ酸イオンを含む塩基性溶液からのギ酸の取り出しに、強酸性陽イオン交換樹脂を用いて溶液を酸性にした後、次に陰イオン交換樹脂を用いてギ酸イオンを陰イオン交換樹脂に吸着させているが、煩雑な工程が必要であり、さらに電解液を再利用するには再生処理が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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