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公開番号2025009000
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023111683
出願日2023-07-06
発明の名称鋼材、及び、浸炭機械構造用部品
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド弁理士法人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250109BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】水素発生環境下で優れた転動疲労寿命を有する鋼材を提供する。
【解決手段】本実施形態による鋼材は、質量%で、C:0.10~0.45%、Si:0.05~0.80%、Mn:0.40~1.50%、P:0.015%以下、S:0.005%未満、Cr:0.05~0.50%未満、Mo:0.05~0.35%、V:0.06~0.40%、Ni:0.30超~1.50%、Al:0.005~0.100%、N:0.030%以下、及び、O:0.0015%以下、を含有し、残部がFe及び不純物からなり、式(1)~式(3)を満たす。
(Si+Ni)/Cr≧1.30 (1)
Mo+V≧0.30 (2)
0.30<Mo/V≦4.00 (3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.10~0.45%、
Si:0.05~0.80%、
Mn:0.40~1.50%、
P:0.015%以下、
S:0.005%未満、
Cr:0.05~0.50%未満、
Mo:0.05~0.35%、
V:0.06~0.40%、
Ni:0.30超~1.50%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.030%以下、及び、
O:0.0015%以下、を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1)~式(3)を満たす、
鋼材。
(Si+Ni)/Cr≧1.30 (1)
Mo+V≧0.30 (2)
0.30<Mo/V≦4.00 (3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
続きを表示(約 2,200 文字)【請求項2】
質量%で、
C:0.10~0.45%、
Si:0.05~0.80%、
Mn:0.40~1.50%、
P:0.015%以下、
S:0.005%未満、
Cr:0.05~0.50%未満、
Mo:0.05~0.35%、
V:0.06~0.40%、
Ni:0.30超~1.50%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.030%以下、及び、
O:0.0015%以下、を含有し、
さらに、第1群~第4群からなる群から選択される1種以上を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1)~式(3)を満たす、
鋼材。
[第1群]
Ti:0.050%以下、及び、
Nb:0.050%以下、からなる群から選択される1種以上
[第2群]
B:0.0050%以下、及び、
Cu:1.50%以下、からなる群から選択される1種以上
[第3群]
Sn:0.100%以下
[第4群]
Ca:0.0050%以下、及び、
Mg:0.0050%以下、からなる群から選択される1種以上
(Si+Ni)/Cr≧1.30 (1)
Mo+V≧0.30 (2)
0.30<Mo/V≦4.00 (3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
【請求項3】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記第1群を含有する、
鋼材。
【請求項4】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記第2群を含有する、
鋼材。
【請求項5】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記第3群を含有する、
鋼材。
【請求項6】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記第4群を含有する、
鋼材。
【請求項7】
硬化層と、
前記硬化層よりも内部の芯部とを備え、
前記芯部の化学組成は、質量%で、
C:0.10~0.45%、
Si:0.05~0.80%、
Mn:0.40~1.50%、
P:0.015%以下、
S:0.005%未満、
Cr:0.05~0.50%未満、
Mo:0.05~0.35%、
V:0.06~0.40%、
Ni:0.30超~1.50%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.030%以下、及び、
O:0.0015%以下、を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1)~式(3)を満たす、
浸炭機械構造用部品。
(Si+Ni)/Cr≧1.30 (1)
Mo+V≧0.30 (2)
0.30<Mo/V≦4.00 (3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
【請求項8】
硬化層と、
前記硬化層よりも内部の芯部とを備え、
前記芯部の化学組成は、質量%で、
C:0.10~0.45%、
Si:0.05~0.80%、
Mn:0.40~1.50%、
P:0.015%以下、
S:0.005%未満、
Cr:0.05~0.50%未満、
Mo:0.05~0.35%、
V:0.06~0.40%、
Ni:0.30超~1.50%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.030%以下、及び、
O:0.0015%以下、を含有し、
さらに、第1群~第4群からなる群から選択される1種以上を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1)~式(3)を満たす、
浸炭機械構造用部品。
[第1群]
Ti:0.050%以下、及び、
Nb:0.050%以下、からなる群から選択される1種以上
[第2群]
B:0.0050%以下、及び、
Cu:1.50%以下、からなる群から選択される1種以上
[第3群]
Sn:0.100%以下
[第4群]
Ca:0.0050%以下、及び、
Mg:0.0050%以下、からなる群から選択される1種以上
(Si+Ni)/Cr≧1.30 (1)
Mo+V≧0.30 (2)
0.30<Mo/V≦4.00 (3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
【請求項9】
請求項8に記載の浸炭機械構造用部品であって、
前記第1群を含有する、
浸炭機械構造用部品。
【請求項10】
請求項8に記載の浸炭機械構造用部品であって、
前記第2群を含有する、
浸炭機械構造用部品。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、浸炭処理が施された機械構造用部品である、浸炭機械構造用部品の素材として適用可能な鋼材、及び、浸炭機械構造用部品に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
鉱山機械や、建設機械、自動車等には、鋼材を素材とした機械構造用部品が用いられる。機械構造用部品は例えば、軸受部品等である。軸受部品等の機械構造用部品の素材となる鋼材は、JIS G 4805(2008)に規定されたSUJ2に代表される。機械構造用部品は通常、鋼材を素材として次の製造工程で製造される。素材となる鋼材に対して熱間鍛造を実施し、さらに、必要に応じて切削加工を実施し、所望の形状の中間品を製造する。中間品に対して熱処理を実施して、鋼材の硬さ及びミクロ組織を調整する。熱処理は例えば、焼入れ焼戻し、浸炭処理、又は、浸炭窒化処理等である。以上の製造工程により機械構造用部品が製造される。
【0003】
機械構造用部品に疲労寿命の向上が求められる場合、機械構造用部品の上述の製造工程中の熱処理として、浸炭処理が実施される。浸炭処理では、鋼材の表層に硬化層(浸炭層)を形成して、鋼材の表層を硬化させる。これにより、機械構造用部品の疲労寿命が向上する。本明細書では、浸炭処理を施された機械構造用部品を「浸炭機械構造用部品」ともいう。
【0004】
浸炭機械構造用部品の疲労寿命を高める技術が特開平8-49057号公報(特許文献1)に提案されている。
【0005】
特許文献1に開示された転がり軸受は、軌道輪及び転動体の少なくとも一つが、C:0.1~0.7重量%、Cr:0.5~3.0重量%、Mn:0.3~1.2重量%、Si:0.3~1.5重量%、Mo:3重量%以下を含有し、さらに、V:0.8~2.0重量%を含有した鋼を素材とする。その素材を用いて形成した中間品に浸炭処理を実施して、軸受表面の炭素濃度を0.8~1.5重量%とし、且つ、軸受表面のV/C濃度比を1~2.5とする。この転がり軸受では、表面にV炭化物が生成して高温での硬さを高めることにより、転動疲労寿命を高めることができる、と特許文献1には記載されている。
【0006】
ところで、機械構造用部品の中には、トランスミッション等の駆動部品に適用される軸受部品に代表される様に、潤滑油が循環する環境にて使用される機械構造用部品が存在する。
【0007】
最近では、燃費向上を目的として、潤滑油の粘度を低下して摩擦抵抗及び伝達抵抗を低減したり、循環させる潤滑油の使用量を低減したりしている。そのため、軸受部品に代表される機械構造用部品の使用環境において、使用中に潤滑油が分解して水素が発生しやすくなっている。使用環境において水素が発生すると、外部から機械構造用部品内に水素が侵入する。侵入した水素は機械構造用部品のミクロ組織の一部において組織変化をもたらす。機械構造用部品の使用中での組織変化は、機械構造用部品の表面近傍部分に割れ(剥離)を引き起こし、機械構造用部品の転動疲労寿命を低下させる。以下、本明細書において、組織変化の要因となる水素が発生する環境を「水素発生環境」という。水素発生環境下で使用される機械構造用部品では、水素発生環境下での優れた転動疲労寿命が求められる。
【0008】
水素発生環境下での疲労寿命を高める技術が特開2008-280583号公報(特許文献2)に提案されている。
【0009】
特許文献2に開示された肌焼鋼は、質量%で、C:0.1~0.4%、Si:0.5%以下、Mn:1.5%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:0.3~2.5%、Mo:0.1~2.0%、V:0.1~2.0%、Al:0.050%以下、O:0.0015%以下、N:0.025%以下、V+Mo:0.4~3.0%、及び、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有する。この肌焼鋼は、浸炭処理された鋼であって、浸炭処理後の表層C濃度が0.6~1.2%で、表面硬さがHRC58以上64未満であり、かつ、表層のV系炭化物のうち粒径100nm未満の微細なV系炭化物の個数割合が80%以上である。機械構造用部品に侵入した水素を、表層の微細なV系炭化物にトラップさせることにより、水素発生環境下での水素脆性に起因した疲労寿命の低下を抑制できる、と特許文献2には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開平8-49057号公報
特開2008-280583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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