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公開番号2024176854
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023095691
出願日2023-06-09
発明の名称植物のKODA蓄積量を増加させるための方法、KODA製造システム、およびストレス耐性が増大した植物の製造方法
出願人日本電信電話株式会社,国立大学法人東京科学大学
代理人個人,個人
主分類A01H 1/00 20060101AFI20241212BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】植物の個体、組織、または細胞におけるKODAの蓄積量を増加させるための方法、KODAを製造するためのシステム、および、ストレス耐性が増大した植物の製造方法を提供する。
【解決手段】植物の個体、組織、または細胞をリン欠乏条件の培地に維持する工程を含む、KODAの蓄積量を増加させるための方法が提供される。溶存リン濃度が1mM未満である培地に維持された9-LOX遺伝子および/またはAOS遺伝子を含む植物の個体、組織、または細胞を含む、KODAを製造するためのシステムも提供される。植物に9-LOX遺伝子および/またはAOS遺伝子を導入する工程と、該植物をリン欠乏条件の培地で栽培する工程を含む、ストレス耐性が増大した植物の製造方法も提供される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
植物の個体、組織、または細胞における9,10-α-ケトールリノレン酸の蓄積量を増加させるための方法であって、
前記植物の個体、組織、または細胞をリン欠乏条件の培地に維持する工程(a)を含む、方法。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
前記リン欠乏条件の培地は、溶存リン濃度が1mM未満である培地である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物の個体、組織、または細胞が、9-LOXをコードする遺伝子、および/または、AOSをコードする遺伝子を含む植物の個体、組織、または細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記維持する工程(a)の後に、蓄積された9,10-α-ケトールリノレン酸を前記植物の個体、組織、または細胞から抽出する工程(b)をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶存リン濃度が1mM未満である培地に維持された、9-LOXをコードする遺伝子、および/または、AOSをコードする遺伝子を含む植物の個体、組織、または細胞を含む、9,10-α-ケトールリノレン酸を製造するためのシステム。
【請求項6】
ストレス耐性が増大した植物の製造方法であって、
植物に9-LOXをコードする遺伝子およびAOSをコードする遺伝子から選択される少なくとも1個の遺伝子を導入する工程と、
前記遺伝子が導入された植物をリン欠乏条件の培地で栽培する工程とを含む、
方法。
【請求項7】
前記リン欠乏条件の培地は、溶存リン濃度が1mM未満である培地である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ストレス耐性が高温耐性である、請求項6または7に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、植物の9,10-α-ケトールリノレン酸(KODA)の蓄積量を増加させるための方法およびシステムに関する。また本開示はストレス耐性が増大した植物の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
9,10-α-ケトールリノレン酸(9-hydroxy-10-oxo-12(Z),15(Z)-octadecadienoic acid、または9,10-ketol-octadecadienoic acidとも表記され、KODAと略称される)は、植物で生合成される生理活性物質であり、植物に環境ストレス耐性(乾燥、病害など)を付与し、植物の成長を促進させることが知られている。このような特筆すべき性質から、KODAを農業分野で実用化することが強く期待されている。非特許文献1はKODAを化学的に合成する方法を報告している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
Yokokawa et al., “Total Synthesis of α-Ketol Derivative of Linolenic Acid (KODA), a Flower-inducing Factor in Lemna paucicostata”, Chemistry Letters, Vol.32, No.9, pp.844-845. (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に植物におけるKODAの生合成量(細胞内蓄積量)は極めて少なく、また、植物を用いたKODA大量生産系の構築はなされていない。非特許文献1の化学合成法は非常に多くの反応ステップを経る必要があり、最終的な収率が0.81%と非常に低いため、KODA生産のコストが高いという問題があった。遺伝子組み換え大腸菌などから抽出した9-LOXおよびAOS酵素タンパク質を用いてインビトロでKODAを生産することも可能である。しかしながら、基質原料として高価なα-リノレン酸を添加する必要があるため、コストが大きくなってしまうという問題があった。
【0005】
本開示は上記のような問題を解決するためになされたものであり、その実施形態は、植物の個体、組織、または細胞におけるKODAの蓄積量を増加させるための方法、KODAを製造するためのシステム、および、ストレス耐性が増大した植物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一態様は、植物の個体、組織、または細胞における9,10-α-ケトールリノレン酸の蓄積量を増加させるための方法であって、前記植物の個体、組織、または細胞をリン欠乏条件の培地に維持する工程(a)を含む方法である。
【0007】
本開示の一態様は、溶存リン濃度が1mM未満である培地に維持された、9-LOXをコードする遺伝子、および/または、AOSをコードする遺伝子を含む植物の個体、組織、または細胞を含む、9,10-α-ケトールリノレン酸を製造するためのシステムである。
【0008】
本開示の一態様は、ストレス耐性が増大した植物の製造方法であって、植物に9-LOXをコードする遺伝子およびAOSをコードする遺伝子から選択される少なくとも1個の遺伝子を導入する工程と、前記遺伝子が導入された植物をリン欠乏条件の培地で栽培する工程とを含む方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、植物の個体、組織、または細胞におけるKODAの蓄積量を増加させるための方法、KODAを製造するためのシステム、および、ストレス耐性が増大した植物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
リン酸十分条件(+Pi)またはリン酸欠乏条件(-Pi)の培地で栽培された、野生株(WT)、ベクターコントロール株(VC)、および形質転換株のKODA含有量(μg/g新鮮重量)を示す。各株について、左側のグラフが+Piであり右側のグラフが-Piである。
リン酸十分条件(+Pi)またはリン酸欠乏条件(-Pi)での培地で栽培され、高温ストレス(37℃、4日または5日)にさらされた、野生株(WT)、ベクターコントロール株(VC)、および形質転換株の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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