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公開番号
2024173660
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-12
出願番号
2024037657
出願日
2024-03-11
発明の名称
含ホウ素縮合環化合物の製造方法、及び、発光素子の製造方法
出願人
住友化学株式会社
代理人
弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類
C07F
5/02 20060101AFI20241205BHJP(有機化学)
要約
【課題】ホウ素原子を含有する多環芳香族化合物に導入されている、第3級アルキル基の反応中での脱離を抑制できる含ホウ素縮合環化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)で表される構造を有する多環芳香族化合物と、BX
3
で表されるホウ素化合物(式中、Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数のXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、式(2)で表される化合物と、を140℃以下の反応温度で反応させて、式(3)で表される構造を有する含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
式(1)で表される構造を有する多環芳香族化合物と、BX
3
で表されるホウ素化合物(式中、Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数のXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、式(2)で表される化合物と、を140℃以下の反応温度で反応させて、式(3)で表される構造を有する含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
JPEG
2024173660000038.jpg
43
57
[式(1)中、
環A、環B、及び環Cはそれぞれ独立に、芳香環を表し、
H
A
、H
B
及びH
C
は、水素原子を表し、
R
A
、R
B
及びR
C
はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基M1を表し、R
A
、R
B
及びR
C
で表される置換基M1は更に置換基M2を有していてもよく、前記置換基M2は更に置換基M3を有していてもよく、
m1は、R
A
が環Aと結合可能な数の最大値であり、
m2は、R
B
が環Bと結合可能な数の最大値であり、
m3は、R
C
が環Cと結合可能な数の最大値であり、
X
1
及びX
2
はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表し、
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基N1を有していてもよく、前記置換基N1は更に置換基N2を有していてもよく、Rは環A、環B又は環Cと結合して環を形成していてもよく、
式中で複数存在する記号は、同一でも異なっていてもよく、
前記置換基M1、前記置換基M2、前記置換基M3、前記R、前記置換基N1、及び前記置換基N2のうち少なくとも1つは、第3級アルキル基として環A、環B、環C、X
1
、又はX
2
に結合している。]
JPEG
2024173660000039.jpg
21
27
[式(2)中、Mは、窒素原子又はホウ素原子であり、R
A1
、R
A2
及びR
A3
はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
JPEG
2024173660000040.jpg
38
56
[式(3)中、環A、環B、環C、X
1
及びX
2
の定義は、式(1)における環A、環B、環C、X
1
及びX
2
の定義と同じである。]
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
前記式(2)で表される化合物の使用量は、前記BX
3
で表されるホウ素化合物の使用量に対して50モル%以上である、請求項1に記載の含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
【請求項3】
前記BX
3
で表されるホウ素化合物の使用量は、前記式(1)で表される構造を有する多環芳香族化合物に対して500モル%以上である、請求項1又は2に記載の含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
【請求項4】
前記式(1)で表される構造を有する多環芳香族化合物と前記BX
3
で表されるホウ素化合物とを反応させた後に、前記式(2)で表される化合物を反応させる、請求項1又は2に記載の含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
【請求項5】
前記式(2)で表される化合物が式(2-A)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
JPEG
2024173660000041.jpg
29
33
[式(2-A)中、
R
A2
及びR
A3
は、前記と同じ意味を表す。
R
A4
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
m4は1~5の整数である。
式中で複数存在する記号は、同一でも異なっていてもよい。]
【請求項6】
前記反応温度が120℃以下である、請求項1又は2に記載の含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
【請求項7】
前記多環芳香族化合物が、式(1A)で表される化合物であり、前記含ホウ素縮合環化合物が、式(3A)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
JPEG
2024173660000042.jpg
51
74
[式(1A)中、
H
A
、H
B
、H
C
、X
1
及びX
2
は、前記と同じ意味を表す。
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
及びR
11
は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、1価の複素環基、アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
及びR
11
は、隣接する炭素原子に結合する基同士で結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
JPEG
2024173660000043.jpg
50
74
[式(3A)中、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、X
1
及びX
2
は、前記と同じ意味を表す。]
【請求項8】
陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた有機層とを含む、発光素子の製造方法であって、
請求項1又は2に記載の製造方法により含ホウ素縮合環化合物を製造する工程と、
前記含ホウ素縮合環化合物を用いて前記有機層を形成する工程と、を含む発光素子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、含ホウ素縮合環化合物の製造方法、及び、発光素子の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子などの有機エレクトロニクス素子に用いるための多環芳香族化合物として、例えば、式(BN)で表されるホウ素原子を含有する縮合環化合物が検討されている。
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2024173660000001.jpg
20
45
【0003】
前記式(BN)で表される縮合環化合物の合成方法として、例えば、特許文献1には、式(i)で表される製造方法が記載されている。特許文献1に記載されている製造方法では、反応容器に、ブロモ体、ジイソプロピルエチルアミン、三ヨウ化ホウ素、及びo-ジクロロベンゼンを加え、120℃で2時間、170℃で5時間撹拌することによって、目的物が得られている。
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2024173660000002.jpg
28
128
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-020877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、多環芳香族化合物の需要増加に伴い、基質選択性、収率改善等の観点から、新たな製造方法の開発が望まれている。
しかし、前記製造方法は、可溶性置換基として導入している第3級アルキル基の反応中での脱離が進行し、収率が必ずしも高くない。
そこで、本開示は、ホウ素原子を含有する多環芳香族化合物に導入されている、第3級アルキル基の反応中での脱離を抑制できる含ホウ素縮合環化合物の製造方法を提供することを目的とする。
また、本開示は、上記含ホウ素縮合環化合物の製造方法を用いた発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の態様を含む。
【0007】
[1]
式(1)で表される構造を有する多環芳香族化合物と、BX
3
で表されるホウ素化合物(式中、Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数のXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、式(2)で表される化合物と、を140℃以下の反応温度で反応させて、式(3)で表される構造を有する含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
JPEG
2024173660000003.jpg
43
57
[式(1)中、
環A、環B、及び環Cはそれぞれ独立に、芳香環を表し、
H
A
、H
B
及びH
C
は、水素原子を表し、
R
A
、R
B
及びR
C
はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基M1を表し、R
A
、R
B
及びR
C
で表される置換基M1は更に置換基M2を有していてもよく、前記置換基M2は更に置換基M3を有していてもよく、
m1は、R
A
が環Aと結合可能な数の最大値であり、
m2は、R
B
が環Bと結合可能な数の最大値であり、
m3は、R
C
が環Cと結合可能な数の最大値であり、
X
1
及びX
2
はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表し、
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基N1を有していてもよく、前記置換基N1は更に置換基N2を有していてもよく、前記置換基N2は更に置換基N3を有していてもよく、Rは環A、環B又は環Cと結合して環を形成していてもよく、
式中で複数存在する記号は、同一でも異なっていてもよく、
前記置換基M1、前記置換基M2、前記置換基M3、前記置換基N1、前記置換基N2、及び前記置換基N3のうち少なくとも1つは、第3級アルキル基として環A、環B、環C、X
1
、又はX
2
に結合している。]
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2024173660000004.jpg
21
27
[式(2)中、Mは、窒素原子又はホウ素原子であり、R
A1
、R
A2
及びR
A3
はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
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2024173660000005.jpg
38
56
[式(3)中、環A、環B、環C、X
1
及びX
2
の定義は、式(1)における環A、環B、環C、X及びX
2
の定義と同じである。]
[2]
前記式(2)で表される化合物の使用量は、前記BX
3
で表されるホウ素化合物の使用量に対して50モル%以上である、[1]に記載の含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
[3]
前記BX
3
で表されるホウ素化合物の使用量は、前記式(1)で表される構造を有する多環芳香族化合物に対して500モル%以上である、[1]又は[2]に記載の含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
[4]
前記式(1)で表される構造を有する多環芳香族化合物と前記BX
3
で表されるホウ素化合物とを反応させた後に、前記式(2)で表される化合物を反応させる、[1]~[3]のいずれか1つに記載の含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ホウ素原子を含有する多環芳香族化合物に導入されている、第3級アルキル基の反応中での脱離を抑制できる含ホウ素縮合環化合物の製造方法が提供される。
また、本開示によれば、上記含ホウ素縮合環化合物の製造方法を用いた発光素子の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
<共通する用語の説明>
本開示で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
(【0011】以降は省略されています)
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