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公開番号2024172303
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023089923
出願日2023-05-31
発明の名称衛生洗浄装置及びトイレ装置
出願人TOTO株式会社
代理人弁理士法人iX
主分類E03D 9/08 20060101AFI20241205BHJP(上水;下水)
要約【課題】照光部の増加によるコストの増加を防ぎつつ、短時間の除菌光の照射でノズル収納部とボウル部における菌の増殖を抑制できる衛生洗浄装置及びトイレ装置を提供する。
【解決手段】汚物を受けるボウル部を有する大便器の上に設置される衛生洗浄装置であって、使用者の局部に向けて洗浄水を吐出する吐水口を有し、進出及び後退する局部洗浄ノズルと、局部洗浄ノズルを後退させた状態で局部洗浄ノズルを収納可能なノズル収納部を有するケーシングと、除菌作用を有する光である除菌光を照射する照光部と、を備え、照光部から、ノズル収納部と、ボウル部と、に対して、同時に除菌光の照射を行うことを特徴とする衛生洗浄装置。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
汚物を受けるボウル部を有する大便器の上に設置される衛生洗浄装置であって、
使用者の局部に向けて洗浄水を吐出する吐水口を有し、進出及び後退する局部洗浄ノズルと、
前記局部洗浄ノズルを後退させた状態で前記局部洗浄ノズルを収納可能なノズル収納部を有するケーシングと、
除菌作用を有する光である除菌光を照射する照光部と、
を備え、
前記照光部から、前記ノズル収納部と、前記ボウル部と、に対して、同時に、前記除菌光の照射を行うことを特徴とする衛生洗浄装置。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
前記除菌光が照射された前記ノズル収納部の内面の放射照度の平均値は、前記除菌光が照射された前記ボウル部の表面の放射照度の平均値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記照光部は、前記ケーシングの内部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記ボウル部は、肛門洗浄位置を基準として、前記肛門洗浄位置よりも後方に位置するボウル後部と、前記肛門洗浄位置よりも前方に位置するボウル前部と、を有し、
前記除菌光が照射された前記ボウル後部の表面の放射照度の平均値は、前記除菌光が照射された前記ボウル前部の表面の放射照度の平均値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置と、
前記大便器と、
を備えた、トイレ装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の形態は、一般的に、衛生洗浄装置及びトイレ装置に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
トイレ装置において、ケーシングの内部にあるノズル収納部と、ケーシングの外部にあるボウル部では、菌の増殖が原因で可視汚れが発生しやすいことが知られている。このようなトイレ装置において、例えば、菌が増殖しやすい部分に対して紫外線などの除菌光の照射を行うことで菌の増殖を抑制し、可視汚れの発生を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1)。菌は、単位面積あたりの菌数が所定値を超えると、可視汚れとなる。また、一般的に、紫外線照射による菌の増殖抑制の強度は、放射照度と照射時間の積である積算放射照度によって表現される。紫外線照射を開始した時点での単位面積あたりの菌数を初期菌数とすると、初期菌数から可視汚れとなる菌数にならないように、紫外線照射により菌の増殖を抑制することで可視汚れの発生を抑制できる。
【0003】
従来技術では、紫外線でノズル収納部の内側が殺菌されるが、ボウル部の表面が殺菌できなったという課題に対して、特許文献1では、紫外線を照射する照光部をケーシング内部とボウル部に移動させることで、共通の照光部によりノズル収納部とボウル部の両方に紫外線を照射可能としている。このように、特許文献1では、照光部の共通化により、照射対象となるノズル収納部とボウル部のそれぞれに照光部を設ける場合に比べ、コスト減を実現できている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-186531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたトイレ装置では、共通の照光部を利用するが故に、ノズル収納部とボウル部に順番に紫外線を照射する必要があり、照射シーケンスの完了までに時間がかかるという問題がある。菌は、分裂により増殖するため、時間に対して2乗倍で増殖する。つまり、照射が遅くなれば、殺さなければならない菌数(初期菌数)は、経過時間に対して2乗倍で増殖することとなる。一般的に、光照射による菌の増殖抑制の効果は、積算放射照度に対して、減少する菌数の桁数で表現される。例えば、殺菌線の照射による菌の増殖抑制の効果は、5mJ/cm

で3桁減である。可視汚れになることを抑制するために維持すべき菌数は所定値以下であることから、初期菌数が多くなれば、菌数を所定値以下にするために必要な積算放射照度も大きくなる。菌が付着してから極力早いタイミングで光の照射を始めることで、より少ない積算放射照度で菌数を所定値以下まで減少させ(あるいは、菌数を所定値以下に保つことができ)、可視汚れになることを抑制することができる。
【0006】
本発明の形態は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、照光部の増加によるコストの増加を防ぎつつ、短時間の除菌光の照射でノズル収納部とボウル部における菌の増殖を抑制できる衛生洗浄装置及びトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、汚物を受けるボウル部を有する大便器の上に設置される衛生洗浄装置であって、使用者の局部に向けて洗浄水を吐出する吐水口を有し、進出及び後退する局部洗浄ノズルと、前記局部洗浄ノズルを後退させた状態で前記局部洗浄ノズルを収納可能なノズル収納部を有するケーシングと、除菌作用を有する光である除菌光を照射する照光部と、を備え、前記照光部から、前記ノズル収納部と、前記ボウル部と、に対して、同時に、前記除菌光の照射を行うことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0008】
この衛生洗浄装置によれば、ノズル収納部とボウル部に対して、共通の照光部から除菌光の照射を行うことで、コストの増加を防ぐことができる。また、ノズル収納部とボウル部に対して、同時に除菌光の照射を行うことで、ノズル収納部とボウル部に付着した初期菌数が極力少ない状態で、除菌光の照射を開始することができる。そのため、菌の増殖を抑制するために必要な積算放射照度を小さくすることができる。放射照度を同一とした場合、順番に照射するよりも同時に照射を開始した方が、短時間の照射で所定の積算放射照度に達することができ、菌の増殖を抑制することが可能となる。したがって、照光部の増加によるコストの増加を防ぎつつ、短時間の除菌光の照射でノズル収納部とボウル部における菌の増殖を抑制できる。これにより、汚れの発生を抑制し、衛生性の高い衛生洗浄装置を提供できる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記除菌光が照射された前記ノズル収納部の内面の放射照度の平均値は、前記除菌光が照射された前記ボウル部の表面の放射照度の平均値よりも大きいことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0010】
除菌光の照射対象のうち、ノズル収納部はケーシングの内部にあり、ボウル部はケーシングの外部にある。ボウル部は、使用者によるトイレ装置(大便器)の使用毎に洗浄される。一方、例えば、男子の立ち小便時においては、局部洗浄ノズルが使用されないため、局部洗浄ノズルやノズル収納部が洗浄されない。つまり、ボウル部では、トイレ装置が使用されるたびに洗浄により菌が洗い流されるため、菌数が低下しやすい。これに対し、ノズル収納部では、トイレ装置が使用されても洗浄されない場合があるため、菌数が低下しにくい。そのため、ボウル部に比べノズル収納部の方が、菌数が多くなることがある。菌数が増加すれば、菌の増殖を抑制するために必要な積算放射照度は、大きくなる。そのため、除菌光が照射されたノズル収納部の内面の放射照度の平均値を、除菌光が照射されたボウル部の表面の放射照度の平均値よりも大きくすることで、菌数がボウル部よりも多くなりやすいノズル収納部における除菌の強度を、ボウル部における除菌の強度よりも強くすることができる。したがって、ノズル収納部とボウル部における菌の増殖を効率よく抑制できる。これにより、ノズル収納部とボウル部における汚れの発生を効率よく抑制できる。
(【0011】以降は省略されています)

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