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公開番号2024171397
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023088373
出願日2023-05-30
発明の名称ニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C22B 23/00 20060101AFI20241205BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】凝集剤等の使用量を増加させることなく、鉱石スラリー中における固形分の重量割合(Solid%)が高められるニッケル(Ni)酸化鉱石スラリーの製造法を提供する。
【解決手段】高圧酸浸出法によるNiの湿式製錬方法の原料に用いるNi酸化鉱石スラリーの製造方法であって、Ni酸化鉱石を所定の粒度に揃える粉砕・分級工程と、得られた酸化鉱石粒子に水を添加して上記酸化鉱石スラリーを調製するスラリー化工程と、得られた酸化鉱石スラリーを固液分離させてスラリーを濃縮するNi酸化鉱石スラリーの濃縮工程と、を有するNi酸化鉱石スラリーの製造方法において、上記粉砕・分級工程で得られたNi酸化鉱石粒子を乾燥処理し、然る後、Ni酸化鉱石粒子に水を添加してNi酸化鉱石スラリーを製造することを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
高圧酸浸出法によるニッケルの湿式製錬方法の原料に用いるニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法であって、
上記ニッケル酸化鉱石を所定の粒度に揃える粉砕・分級工程と、
粉砕・分級工程で得られたニッケル酸化鉱石粒子に水を添加してスラリー状のニッケル酸化鉱石スラリーを調製するスラリー化工程と、
スラリー化工程で得られたニッケル酸化鉱石スラリーを固液分離させて該ニッケル酸化鉱石スラリーを濃縮するニッケル酸化鉱石スラリーの濃縮工程と、
を有するニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法において、
上記粉砕・分級工程で得られたニッケル酸化鉱石粒子を乾燥処理し、然る後、該ニッケル酸化鉱石粒子に水を添加して上記ニッケル酸化鉱石スラリーを製造することを特徴とするニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。
続きを表示(約 370 文字)【請求項2】
上記粉砕・分級工程で得られたニッケル酸化鉱石粒子を乾燥処理してニッケル酸化鉱石粒子の水分率を20重量%以下にすることを特徴とする請求項1に記載のニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。
【請求項3】
上記ニッケル酸化鉱石スラリーを固液分離させて該ニッケル酸化鉱石スラリーを濃縮するニッケル酸化鉱石スラリーの濃縮工程において、
固液分離させるニッケル酸化鉱石スラリー中にニッケル酸化鉱石1トン当たり150g以下の凝集剤を添加することを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。
【請求項4】
上記濃縮工程で得られるニッケル酸化鉱石スラリーのSolid%が40重量%~45重量%であることを特徴とする請求項2に記載のニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧酸浸出法によるニッケルの湿式製錬方法の原料に用いるニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法に係り、特に、凝集剤や中和に要する薬剤の使用量を増加させることなく、鉱石スラリー中における固形分の重量割合(Solid%)を高めることができるニッケル酸化鉱石スラリーの製造方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する方法として、高圧酸浸出(High Pressure Acid Leach:HPAL)法を用いた湿式製錬方法が知られている。この湿式製錬方法では、高圧酸浸出工程に送られて処理される鉱石は、ニッケルを浸出しやすいように、予め解砕機や湿式篩を使用して所定の大きさ以下に破砕および分級され、次いで水や工程水等を加えてスラリー化された、いわゆる鉱石スラリーが用いられている。
【0003】
このような鉱石スラリーは、高圧酸浸出工程における酸消費量、得られる浸出液のニッケル濃度、および、その他の不純物濃度が所定の割合となるように、数種類の酸化ニッケル鉱石をブレンドして作られることが多い。
【0004】
また、鉱石スラリーでは、鉱石スラリーを構成する鉱石スラリー中における固形分(鉱石固体分)の重量割合(以下「Solid%」と称する)が高い(または「大きい」とも称す)方が、高圧酸浸出工程での単位時間当たりのニッケル通過量が増加することになるため、相応して設備がコンパクトで済むことから投資や運転コストを低減でき、ニッケル回収効率も高くなる等好ましい。
【0005】
しかし、鉱石スラリーのSolid%は一般的に10~20重量%と低くなることが多く、その結果、高圧酸浸出工程で得られる浸出液のニッケル濃度が低く、効率的にニッケルを回収できないという課題が存在した。
【0006】
このような鉱石スラリーから固液分離して高いSolid%を得ようとする場合、鉱石スラリー中における固形分の沈降速度をできるだけ大きく(または「速く」とも称す)することが好ましく、固形分の沈降速度を大きく(または「速く」)する方法として、例えば、特許文献1に開示された方法が知られている。
【0007】
すなわち、特許文献1には、ニッケル酸化鉱石から湿式製錬方法によりニッケル等の有価金属を回収する際、浸出工程等に固形物濃度(Solid%)の高い鉱石スラリーを効率的に供給するため、鉱石スラリーの沈降速度を向上させて固液分離する際の沈降濃縮に要する時間を短縮させ、あるいは、鉱石スラリーの降伏応力を低下させて流送する際の鉱石スラリーの固形物濃度を高めるニッケル酸化鉱石の前処理方法が開示され、具体的には、ニッケル酸化鉱石の水性スラリーに中和剤を添加し、pHを等電点近傍に調整することにより鉱石スラリーの沈降速度又は降伏応力を制御する方法が開示されている。
【0008】
他方、Solid%の低い鉱石スラリーに対し、シックナー(「沈殿濃縮装置」とも称する)と凝集剤を用いて鉱石スラリーのSolid%を高くする方法も知られている。
【0009】
例えば、特許文献2には、スラリー処理量を維持しつつ、固体成分率(Solid%)と比重の高い鉱石スラリーを製造できる鉱石スラリーの製造設備と鉱石スラリーの製造方法が開示されている。
【0010】
すなわち、特許文献2には、原料鉱石スラリーを予備濃縮して中間鉱石スラリーを得る第1シックナーと、第1シックナーよりシックニング(沈降濃縮)効果が高くかつ中間鉱石スラリーを濃縮して濃縮鉱石スラリーを得る第2シックナーとを備える鉱石スラリーの製造設備が開示されており、更に、第1シックナーにより原料鉱石スラリーを予備濃縮して中間鉱石スラリーを得、かつ、第1シックナーよりシックニング(沈降濃縮)効果の高い第2シックナーにより中間鉱石スラリーを濃縮して濃縮鉱石スラリーを得る鉱石スラリーの製造方法が開示されている。
(【0011】以降は省略されています)

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