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公開番号2024169843
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-06
出願番号2023086639
出願日2023-05-26
発明の名称新規ルテニウム錯体及びがん治療用組成物
出願人学校法人 関西大学,学校法人大阪医科薬科大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C07D 471/04 20060101AFI20241129BHJP(有機化学)
要約【課題】新規ルテニウム錯体及びがん治療用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリンと5,5’-ジメチル-2,2’-ビピリジンを配位子とするルテニウム錯体([Ru(47dpphen)2(5dmbpy)]2+)又はその薬学的に許容される塩は、優れた抗がん作用を有する。特に乳がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、神経芽腫、及び白血病に優れた抗がん作用を有する。また、4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジンを配位子とする[Ru(47dpphen)2(4dmbpy)]2+又はその薬学的に許容される塩も優れた抗がん作用を有する。特に、乳がん、肺がん、及び白血病に優れた抗がん作用を有する。
【選択図】図7


特許請求の範囲【請求項1】
式(I):
TIFF
2024169843000009.tif
66
53
で示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
請求項1に記載のルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩を含有するがん治療用組成物。
【請求項3】
前記がんは、乳がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、神経芽腫、及び白血病からなる群から選択される少なくとも1である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記がんが乳がんである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記乳がんがホルモン受容体陰性乳がんである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ホルモン受容体陰性乳がんがトリプルネガティブ乳がんである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ホルモン受容体陰性乳がんがHER2陽性乳がんである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記がんが肺がんである、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記肺がんがEGFR遺伝子変異陽性肺がんである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記がんが、神経芽腫である、請求項3に記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ルテニウム錯体及びがんの治療に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
抗がん剤は、DNAを標的とする薬剤、細胞分裂を促す酵素等に作用して細胞分裂を阻害する薬剤、アポトーシスを誘導する薬剤等が知られている。金属錯体を有効成分とする抗がん剤としてシスプラチン及びカルボプラチンが知られているが、耐性癌を誘発することが知られている。
【0003】
ルテニウムポリピリジル錯体の抗腫瘍活性について近年注目されており、活発に研究されている(非特許文献1-4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Karges J. et al. J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 6578-6587
Fayad C. et al. J. Biol. Inorg. Chem. 2021, 26, 43-55
Gurgul I. et al. J. Med. Chem. 2022, 65, 10459-10470
Colina-Vegas L. et al. J. Inorg. Biochem. 2015, 153, 150-161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規ルテニウム錯体及びがん治療用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決すべく配位子を各種ビピリジン類及びフェナントロリン類とした多数のルテニウムポリピリジル錯体を合成し鋭意研究を行った結果、優れた抗がん作用を有する式(I)及び式(II)に示されるルテニウム錯体を見出した。本発明は以下の態様を含む。
【0007】
1.式(I):
TIFF
2024169843000002.tif
66
53
で示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩。
2.前項1に記載のルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩を含有するがん治療用組成物。
3.前記がんは、乳がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、神経芽腫、及び白血病からなる群から選択される少なくとも1である前項2に記載の組成物。
4.前記がんが乳がんである、前項3に記載の組成物。
5.前記乳がんがホルモン受容体陰性乳がんである、前項4に記載の組成物。
6.前記ホルモン受容体陰性乳がんがトリプルネガティブ乳がんである、前項5に記載の組成物。
7.前記ホルモン受容体陰性乳がんがHER2陽性乳がんである、前項5に記載の組成物。
8.前記がんが肺がんである、前項3に記載の組成物。
9.前記肺がんがEGFR遺伝子変異陽性肺がんである、前項8に記載の組成物。
10.前記がんが、神経芽腫である、前項3に記載の組成物。
11.式(II):
TIFF
2024169843000003.tif
68
59
で示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩を含有するがん治療用組成物であって、該がんは、乳がん、肺がん、及び白血病からなる群から選択される少なくとも1である組成物。
12.前記がんが乳がんである、前項11に記載の組成物。
13.前記乳がんがホルモン受容体陰性乳がんである、前項12に記載の組成物。
14.前記ホルモン受容体陰性乳がんがトリプルネガティブ乳がんである、前項13に記載の組成物。
15.前記ホルモン受容体陰性乳がんがHER2陽性乳がんである、前項13に記載の組成物。
16.前記がんが肺がんである、前項11に記載の組成物。
17.前記肺がんがEGFR遺伝子変異陽性肺がんである、前項16に記載の組成物。
18.前記式(I)で示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含むがんの治療方法。
19.前記式(II)で示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含むがんの治療方法であって、該がんは、乳がん、肺がん、及び白血病からなる群から選択される少なくとも1である方法。
20.がん治療用組成物の調製のための前記式(I)で示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩の使用。
21.がん治療用組成物の調製のための前記式(II)で示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩の使用であって、該がんは、乳がん、肺がん、及び白血病からなる群から選択される少なくとも1である使用。
【発明の効果】
【0008】
式(I)及び式(II)に示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩は抗がん作用を有し、がんの治療に用いることができる。式(I)に示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩は、特に乳がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、神経芽腫、及び白血病に優れた抗がん作用を有する。式(II)に示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩は、乳がん、肺がん、及び白血病に優れた抗がん作用を有する。式(I)及び式(II)に示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩は、治療が難しいトリプルネガティブ乳がんに優れた抗がん効果を示し、今後の乳がん治療に貢献し得る。また、式(I)及び式(II)に示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩は、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(non-small cell lung carcinoma:NSCLC)患者に対してすぐれた抗腫瘍効果を示し、今後の肺がん治療に貢献し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、実施例1の中間体[Ru(47dpphen)

Cl

]の

H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d

,298K)を示す。
図2は、実施例1で得られた[Ru(47dpphen)

(5dmbpy)](PF



(以下、HRM-19ともいう)の

H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d

,298K)を示す。
図3は、実施例1で得られた[Ru(47dpphen)

(5dmbpy)](PF



(HRM-19)のESI-MSスペクトル(溶媒:CH

CN)を示す。A:実測値、Bの上:実測値、Bの下:理論値
図4は、実施例2で得られた[Ru(47dpphen)

(4dmbpy)](PF



(以下、HRM-18ともいう)の

H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d

,298K)を示す。
図5は、実施例2で得られた[Ru(47dpphen)

(4dmbpy)](PF



(HRM-18)のESI-MSスペクトル(溶媒:CH

CN)を示す。A:実測値、Bの上:実測値、Bの下:理論値
図6は、比較例で得られた[Ru(47dpphen)

(bpy)](PF



(以下、HRM-17ともいう)のESI-MSスペクトル(溶媒:CH

CN)を示す。A:実測値、Bの上:実測値、Bの下:理論値
図7は、本発明におけるルテニウム錯体添加後のヒト由来がん細胞株の細胞生存率を示すグラフである。
図8は、本発明におけるルテニウム錯体添加後のトリプルネガティブ乳がん細胞株MDA-MB-231の細胞周期解析結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
式(I)に示されるルテニウム錯体は、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(47dpphen)と5,5’-ジメチル-2,2’-ビピリジン(5dmbpy)を配位子とするルテニウム錯体である。本明細書において、式(I)に示されるルテニウム錯体を[Ru(47dpphen)

(5dmbpy)]
2+
とも表す。本発明のがん治療用組成物は、式(I)に示されるルテニウム錯体又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する。
(【0011】以降は省略されています)

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