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公開番号
2024167581
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-04
出願番号
2023083759
出願日
2023-05-22
発明の名称
筋線維状組織の製造方法及び筋線維状組織の製造装置
出願人
国立大学法人金沢大学
代理人
個人
,
個人
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個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
5/077 20100101AFI20241127BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】いわゆる足場タンパク質を使用せず、配向性を有する三次元ウシ筋様組織を製造することのできる、筋線維状組織の製造方法及び筋線維状組織の製造装置を提供する。
【解決手段】線維芽細胞からスフェロイドを製造するスフェロイド製造工程と、前記スフェロイドを凝集させて筋原凝集体を製造する筋原凝集体製造工程と、複数の前記筋原凝集体を互いに隣接させつつ、複数のアンカー部材と隣接させて培養する接着培養工程と、前記筋原凝集体と接着した前記アンカー部材を相互に離間させて前記筋原凝集体に張力を印加する張力印加工程と、を備えた、筋線維状組織の製造方法および筋線維状組織の製造装置である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
線維芽細胞からスフェロイドを製造するスフェロイド製造工程と、
前記スフェロイドを凝集させて筋原凝集体を製造する筋原凝集体製造工程と、
前記筋原凝集体を、複数のアンカー部材と隣接させて培養する接着培養工程と、
前記筋原凝集体と固着した前記アンカー部材を相互に離間させて前記筋原凝集体に張力を印加する張力印加工程と、
を備えた、筋線維状組織の製造方法。
続きを表示(約 500 文字)
【請求項2】
前記線維芽細胞は、ウシ筋芽細胞を用いる、請求項1に記載の筋線維状組織の製造方法。
【請求項3】
前記張力印加工程は、前記接着培養工程において培養を行いつつ、複数回の前記張力印加工程を行う、請求項1または2に記載の筋線維状組織の製造方法。
【請求項4】
前記アンカー部材は、金属を構成素材とするメッシュ状の板状部材であり、
前記接着培養工程において筋原凝集体と隣接する際は前記筋原凝集体を挟み込むように前記アンカー部材を対向して配置する、請求項1または2に記載の筋線維状組織の製造方法。
【請求項5】
細胞培養容器と、張力印加機構とを備えた筋線維状組織の製造装置であって、
前記細胞培養容器は、金属を構成素材とするメッシュ状の板状部材を含む2以上のアンカー部材を含み、
前記アンカー部材は、線維芽細胞から製造されたスフェロイドが凝集してなる筋原凝集体を挟み込むように設置可能に対抗して配置されてなり、
前記張力印加機構は、前記アンカー部材を相互に離間可能に構成されてなる、筋線維状組織の製造装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウシ等の細胞を用いて、人工肉の原料となる筋線維状組織を製造する製造方法およびその装置に関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
現状、食用肉となるウシなどの畜肉は、ウシなどの家畜を穀物等の飼料を用いてと畜することにより得られている。この製造過程でウシの食用肉を製造する過程では、飼料をウシの胃が反芻することによるメタンガスの排出が地球温暖化の悪化の原因となる、ウシの飼育に必要な土地や水が膨大であるため、森林破壊や水資源問題の原因となるなども指摘されている。これに対して、細胞農業によるウシ培養肉の生産が検討されている。培養肉の製造過程としては、ウシ細胞を穀物等を栄養素とする培地で培養し、培養組織を製造して培養肉とする方法が挙げられる。ウシ細胞培養ではメタンガスの排出がなく、地球温暖化は抑制される。ウシ細胞培養では必要な土地、水が少ないため、森林破壊や水資源問題の抑制となると考えられている。
【0003】
ウシ細胞を用いた培養としては、ウシ筋芽細胞を培養するために、足場タンパク質に細胞を接着させ、培養させる技術が開発されている。足場タンパク質は、ウシの皮、腱などから抽出したコラーゲンなどを用いる。
【0004】
このような技術として、例えば特許文献1では、可食性ゲルのファイバ状マトリクス内に分散した細胞を含む細胞ファイバを用意するステップと、前記細胞を培養するステップと、を含む、細胞培養方法、人工組織の製造方法、薬剤評価方法、および人工組織体が開示されている。この技術では、食用適合性が向上した人工組織を提供する細胞培養方法、人工組織の製造方法、薬剤評価方法、および人工組織体を提供しようとするものである。
【0005】
また、足場材を用いない細胞組織の製造方法として、例えば、特許文献2では、細胞収容容器内に細胞懸濁液を収容する細胞収容工程、及び前記容器内の細胞に圧力を印加する圧力印加工程を含む、三次元細胞集合体の作製方法であって、前記細胞収容工程及び前記圧力印加工程が2回以上反復して行なわれ、2回目以降の細胞収容工程では、細胞収容容器内に収容した細胞へのさらなる細胞の追加が行われる、三次元細胞集合体の作製方法が開示されている。この技術では、細胞を剥離して重ね合わせるという操作を経ずに、簡便な工程で厚みのある細胞集合体を作製することを可能にする手段を提供しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2023-47343号公報
特許第6733126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
足場タンパク質を用いてウシなどの家畜動物の細胞を培養する方法では、コラーゲンなどの足場タンパク質は、該動物から直接に抽出する必要がある。これは、コラーゲンは未だに効率的に合成することができないためである。すなわち、コラーゲンなどの足場タンパク質に頼る食肉培養は、結局ウシの飼育と成分抽出が必要となってしまう。そのため、前記したウシなどの家畜を穀物等の飼料を用いてと畜する工程に必要とされる資源、環境等の問題を根本的に解決することができない。
【0008】
また、特許文献1の技術では、ゲル化可能材料としてアルギン酸ゲルが用いられているが、アルギン酸ゲルはシングルセル同士が融合し三次元組織になるのに邪魔になるため、必ずしも食用肉に用いることのできる配向性を持つ三次元の筋肉組織の製造に適さない面がある。
【0009】
特許文献2の技術では、圧力印加工程は、多孔性の三次元足場材の非共存下で行う方法も開示されている。この方法を用いれば、コラーゲン等の足場タンパク質を必要とせずに細胞を培養することができる。しかしながら、この技術は食用肉に用いることのできる配向性を持つ三次元の筋肉組織の製造のための技術ではなく、細胞に配向性を持たせる方法については開示されていない。特許文献2の技術で足場タンパク質を用いずに培養しても、特に配向性を持たない細胞塊状の組織のみ製造できる。
【0010】
このため、コラーゲン等の足場タンパク質を別途用いず、かつ配向性を持つ三次元の筋肉組織を有効に製造することのできる技術が強く求められている。
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、いわゆる足場タンパク質を使用せず、配向性を有する三次元ウシ筋様組織を製造することのできる、筋線維状組織の製造方法及び筋線維状組織の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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