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公開番号2024166686
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-29
出願番号2023082966
出願日2023-05-19
発明の名称斜角電磁超音波探触子とこれを用いたき裂探傷装置と方法
出願人株式会社IHI検査計測
代理人個人,個人
主分類G01N 29/24 20060101AFI20241122BHJP(測定;試験)
要約【課題】リフトオフを最小限に維持でき、表面の検査位置から斜め位置にあるき裂に対し超音波を集束させて照射することができ、これにより微細なき裂を検出することができる斜角電磁超音波探触子とこれを用いたき裂探傷手段を提供する。
【解決手段】斜角電磁超音波探触子10が、被検材1に静磁界Hを発生させるための磁石12と、磁石と被検材の間に位置し被検材に近接可能であり同一平面上に配置された半円弧状コイル14と、を備える。半円弧状コイル14は、円弧角が90°以上、180°未満の同心かつ複数の円弧部分16と、円弧部分の両端部を半径方向に交互に接続する複数の接続部分17とを有し、円弧部分16の半径方向の軸間距離ΔRが、内方から外方に順に狭くなっている。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
被検材に超音波を発生させる送信用探触子、又は、前記被検材のき裂で反射した前記超音波の反射エコーを検出する受信用探触子であって、
前記被検材に静磁界を発生させるための磁石と、該磁石と前記被検材の間に位置し前記被検材に近接可能であり同一平面上に配置された半円弧状コイルと、を備え、
前記半円弧状コイルは、円弧角が90°以上、180°未満の同心かつ複数の円弧部分と、前記円弧部分の両端部を半径方向に交互に接続する複数の接続部分とを有し、
前記円弧部分の半径方向の軸間距離が、内方から外方に順に狭くなっている、斜角電磁超音波探触子。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記半径方向に隣接する少なくとも1対の前記円弧部分は、それぞれ前記同一平面上に配置され前記半径方向に間隔を隔てた複数のループ線からなり、
前記接続部分は、複数の前記ループ線で構成される前記円弧部分のそれぞれを同一方向に電流が流れるように前記ループ線の両端部を前記半径方向に交互に接続する複数の中間接続線を有し、
これにより、少なくとも1対の前記円弧部分の間で、前記電流がループ状に流れる、請求項1に記載の斜角電磁超音波探触子。
【請求項3】
前記送信用探触子は、前記半円弧状コイルに高周波電流を流すことにより前記被検材に発生した静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力を誘起させ、前記被検材の表面を加振することで斜角の前記超音波を発生させ、かつ前記超音波を前記円弧部分の中心に集束させる、請求項1に記載の斜角電磁超音波探触子。
【請求項4】
前記受信用探触子は、前記超音波の前記反射エコーによる前記被検材の表面の振動と静磁界から前記半円弧状コイルに発生する電圧変化又は電流変化を検出する、請求項1に記載の斜角電磁超音波探触子。
【請求項5】
互いに連結された前記送信用探触子と前記受信用探触子とを備え、
前記送信用探触子の前記円弧部分は、円弧の中心である送信用中心と、平面視で前記送信用中心を通る中心線である送信用中心線とを有し、
前記受信用探触子の前記円弧部分は、円弧の中心である受信用中心と、平面視で前記受信用中心を通る中心線である受信用中心線とを有し、
前記送信用中心と前記受信用中心が一致又は近接して位置し、前記送信用中心線と前記受信用中心線が一致又は60°未満の鋭角で交叉する、請求項1に記載の斜角電磁超音波探触子。
【請求項6】
請求項1に記載の斜角電磁超音波探触子を複数備え、
第1の前記斜角電磁超音波探触子は、前記送信用探触子であり、
第2の前記斜角電磁超音波探触子は、前記受信用探触子であり、
前記送信用探触子の前記半円弧状コイルに高周波電流を流すことにより前記被検材に発生した静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力を誘起させ、前記被検材の表面を加振することで斜角の前記超音波を発生させ、かつ前記超音波を前記円弧部分の中心に集束させ、
前記超音波の反射エコーによる前記被検材の表面の振動と静磁界から前記受信用探触子の前記半円弧状コイルに発生する電圧変化又は電流変化を検出する、き裂探傷装置。
【請求項7】
請求項5に記載の斜角電磁超音波探触子を備え、
前記送信用探触子の前記半円弧状コイルに高周波電流を流すことにより前記被検材に発生した静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力を誘起させ、前記被検材の表面を加振することで斜角の前記超音波を発生させ、かつ前記超音波を前記円弧部分の中心に集束させ、
前記超音波の反射エコーによる前記被検材の表面の振動と静磁界から前記受信用探触子の前記半円弧状コイルに発生する電圧変化又は電流変化を検出する、き裂探傷装置。
【請求項8】
前記送信用探触子の前記半円弧状コイルに高周波電流を流す探触子制御器と、
前記受信用探触子の前記半円弧状コイルに発生する電圧変化又は電流変化を検出するデータ解析装置と、を備える、請求項6又は7に記載のき裂探傷装置。
【請求項9】
請求項1に記載の斜角電磁超音波探触子を複数用い、
第1の前記斜角電磁超音波探触子は、前記送信用探触子であり、
第2の前記斜角電磁超音波探触子は、前記受信用探触子であり、
前記送信用探触子の前記半円弧状コイルに高周波電流を流すことにより前記被検材に発生した静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力を誘起させ、前記被検材の表面を加振することで斜角の前記超音波を発生させ、かつ前記超音波を前記円弧部分の中心に集束させ、
前記超音波の反射エコーによる前記被検材の表面の振動と静磁界から前記受信用探触子の前記半円弧状コイルに発生する電圧変化又は電流変化を検出する、き裂探傷方法。
【請求項10】
前記送信用探触子の前記円弧部分はその中心である送信用中心を有し、
前記受信用探触子の前記円弧部分はその中心である受信用中心を有し、
前記被検材の前記き裂に対し、前記送信用探触子と前記受信用探触子を同一線上に位置決めし、かつ前記送信用中心と前記受信用中心を前記き裂に近接して位置決めする、請求項9に記載のき裂探傷方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なき裂を検出するための斜角電磁超音波探触子とこれを用いたき裂探傷手段に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
電磁超音波探触子(Electromagnetic Acoustic Transducer,以下「EMAT」)とは、磁石とコイルを組み合わせた探触子である。また、EMATを用いたき裂探傷法は、磁石によるバイアス磁場とコイルに印加する高周波電流により発生する渦電流との相互作用により、検査対象の表層部に直接超音波を発生させる非破壊検査法である。
EMATは超音波の発生に電磁波を用いることから、試験体に非接触でき裂探傷が可能であり、接触媒質(カプラント)を必要としない。また、EMATは電磁波によって試験体表面に直接超音波を発生させるため、超音波の周波数が探触子の固有振動数に依存しない。そのため、EMATはピエゾ素子を用いる超音波探触子(以下「ピエゾ探触子」)と比較して広い周波数域での使用が可能である。
【0003】
種々のEMATのうち、斜角電磁超音波探触子(以下、「斜角EMAT」)は、例えば蛇行コイルの上に永久磁石を載せ、蛇行コイルに交流電流を流すことで、横波(SV波)を試料内部に斜め方向に放射するEMATである。
斜角EMATは、例えば特許文献1,2に開示されている。
【0004】
特許文献1の「欠陥位置推定法」は、斜角EMATの超音波指向性を有する範囲について、各点毎に受信波形を検出し、その信号レベルを用いて、送信及び受信の分割した微少面全ての組合せについて加算する処理を行い、値の大きい範囲を欠陥とする。
【0005】
特許文献2の「電磁超音波探傷装置」は、静磁界発生用の磁石と発信コイルと受信コイルとを備える。磁石は、被検材に静磁界を発生させる。発信コイルは、パルス電流を流すことにより被検材内に渦電流を発生させる。静磁界と渦電流との作用によりローレンツ力が誘起され、被検材の表面を加振して斜角の超音波が発生する。受信コイルは、超音波の探傷部に対する反射エコーを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開昭63-305245号公報
特開平11-248688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
橋梁などの大型構造物の溶接部(例えば、図17に示す鋼床版のUリブ溶接部)は、安全性の確保及び信頼性の向上のために、完成後に定期的に非破壊検査をすることが求められる。
しかしかかる大型構造物の溶接部の総面積は大きく、かつその表面は厚い塗膜に覆われている。そのため、ピエゾ素子を用いる従来の超音波探触子(ピエゾ探触子)は、塗膜の除去と接触媒質(カプラント)を必要とするため能率が低く適用が困難である。
これに対し上述した斜角EMATは、試験体表面から探触子が離れた状態でき裂の非破壊検査ができるため、塗膜の除去とカプラントが不要であり、能率良く検査ができる。なお、この場合の、試験体表面と探触子との間隔を「リフトオフ」と呼ぶ。
【0008】
しかし、大型構造物の溶接部に発生するき裂は、その表面(検査位置)から斜めに深い位置に発生することが予想される。そのため、上述した斜角EMATを用いた場合でも、き裂で反射する超音波(「反射エコー」)が微弱であり、微細なき裂の検出が困難であった。
【0009】
例えば、特許文献1の「欠陥位置推定法」では、斜角EMATの超音波指向性を有する範囲について、各点毎に、受信波形を検出し、その信号レベルを用いるので、各点毎の信号レベルが微弱であり、微細なき裂の検出が困難である。
【0010】
また、特許文献2の「電磁超音波探傷装置」では、磁石と発信コイルにより、被検材の表面を加振して斜角の超音波を発生し、受信コイルにより超音波の探傷部に対する反射エコーを検出する。しかし、発生する斜角の超音波は、集束することなくき裂に照射されるので、微弱である。また受信コイルが発信コイルと磁石の間に位置するので、受信コイルのリフトオフが発信コイルより大きくなる。そのため、受信コイルで検出する超音波がさらに微弱であり、微細なき裂の検出が困難である。
(【0011】以降は省略されています)

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