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公開番号2024163122
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2024128853,2022092414
出願日2024-08-05,2013-12-12
発明の名称配列操作のための改善された系、方法および酵素組成物のエンジニアリングおよび最適化
出願人ザ・ブロード・インスティテュート・インコーポレイテッド,マサチューセッツ・インスティトュート・オブ・テクノロジー,プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類C12N 15/09 20060101AFI20241114BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】1つには、多彩な用途の配列ターゲティングのための代替的で堅牢な系および技術の必要性に対処し、関連する利点を提供すること。
【解決手段】本発明は、配列の操作および/または標的配列の活性のための系、方法、および組成物のエンジニアリングおよび最適化を提供する。特にCasオルソログ酵素を含むCRISPR複合体の成分に関する組成物および方法が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
天然に存在しないまたはエンジニアリングされた組成物であって、
(A)I.CRISPR-Cas系キメラRNA(chiRNA)ポリヌクレオチド配列に作動可能に結合している第1の調節エレメントであって、前記ポリヌクレオチド配列は、
(a)真核細胞中の標的配列にハイブリダイズし得るガイド配列、
(b)tracrメイト配列、および
(c)tracr配列
を含む第1の調節エレメント、および
II.少なくとも1つ以上の核局在化配列を含むCRISPR酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に結合している第2の調節エレメント
を含み、
(a)、(b)および(c)は、5’から3’配向で配置されており、
成分IおよびIIは、系の同一または異なるベクター上にあり、
転写されると前記tracrメイト配列が前記tracr配列にハイブリダイズし、かつ前記ガイド配列が前記標的配列へのCRISPR複合体の配列特異的結合を指向し、
前記CRISPR複合体は、(1)前記標的配列にハイブリダイズされる前記ガイド配列、および(2)前記tracr配列にハイブリダイズされる前記tracrメイト配列と複合体形成している前記CRISPR酵素を含む1つ以上のベクターを含むベクター系を含む天然に存在しないまたはエンジニアリングされた組成物
または
(B)I.第1の調節エレメントであって、
(a)真核細胞中の標的配列にハイブリダイズし得るガイド配列、および
(b)少なくとも1つ以上のtracrメイト配列
に作動可能に結合している第1の調節エレメント、
II.CRISPR酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に結合している第2の調節エレメント、および
III.tracr配列に作動可能に結合している第3の調節エレメント
を含み、
成分I、II、およびIIIは、系の同一または異なるベクター上にあり、
転写されると前記tracrメイト配列は前記tracr配列にハイブリダイズし、かつ前記ガイド配列が前記標的配列へのCRISPR複合体の配列特異的結合を指向し、
前記CRISPR複合体は、(1)前記標的配列にハイブリダイズされる前記ガイド配列、および(2)前記tracr配列にハイブリダイズされる前記tracrメイト配列と複合体形成している前記CRISPR酵素を含み、
(A)または(B)において、前記CRISPR酵素は、コリネバクター属(Corynebacter)、ステレラ属(Sutterella)、レジオネラ属(Legionella)、トレポネーマ属(Treponema)、フィリファクター属(Filifactor)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、バクテロイデス属(Bacteroides)、フラビイボラ属(Flaviivola)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、スフェロケタ属(Sphaerochaeta)、アゾスピリラム属(Azospirillum)、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)、ネイセリア属(Neisseria)、ロゼブリア属(Roseburia)、パービバキュラム属(Parvibaculum)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ニトラティフラクター属(Nitratifractor)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)およびカンピロバクター属(Campylobacter)からなる群に属する属のCas9オルソログである1つ以上のベクターを含むベクター系を含む天然に存在しないまたはエンジニアリングされた組成物。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
改変CRISPR酵素であって、コリネバクター属(Corynebacter)、ステレラ属(Sutterella)、レジオネラ属(Legionella)、トレポネーマ属(Treponema)、フィリファクター属(Filifactor)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、バクテロイデス属(Bacteroides)、フラビイボラ属(Flaviivola)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、スフェロケタ属(Sphaerochaeta)、アゾスピリラム属(Azospirillum)、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)、ネイセリア属(Neisseria)、ロゼブリア属(Roseburia)、パービバキュラム属(Parvibaculum)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ニトラティフラクター属(Nitratifractor)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)およびカンピロバクター属(Campylobacter)からなる群に属する属のCas9オルソログであり、対応する野生型CRISPR酵素との差異は、以下:
前記改変CRISPR酵素は、野生型CRISPR酵素と比較してトランケートされており、または
前記CRISPR酵素は、少なくとも500アミノ酸、少なくとも800~899アミノ酸、少なくとも900~999アミノ酸、少なくとも1000~1099アミノ酸、少なくとも1100~1199アミノ酸、少なくとも1200~1299アミノ酸、少なくとも1300~1399アミノ酸、少なくとも1400~1499アミノ酸、少なくとも1500~1599アミノ酸、少なくとも1600~1699アミノ酸または少なくとも2000アミノ酸の長さを有し、および/または
前記CRISPR酵素は、前記標的配列の局在における両方の鎖の開裂を指向するヌクレアーゼであり、または前記CRISPR酵素は、前記標的配列の局在における一方の鎖の開裂を指向するニッカーゼであり、および/または
前記CRISPR酵素は、コドン最適化されているか、または真核細胞中の発現のためにコドン最適化されており、および/または
前記CRISPR酵素は、1つ以上の突然変異を含み、および/または
前記CRISPR酵素は、キメラCRISPR酵素を含む、
を含む、改変CRISPR酵素。
【請求項3】
前記CRISPR酵素が、前記酵素の任意のドメイン中の1つ以上の突然変異を有する、請求項1に記載の組成物、または請求項2に記載の酵素。
【請求項4】
前記CRISPR酵素が、触媒ドメイン中の1つ以上の突然変異を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物または酵素。
【請求項5】
前記1つ以上の突然変異が、前記CRISPR酵素のRuvCI、RuvCII、RuvCIIIまたはHNHドメイン中に存在する、請求項3または4に記載の組成物または酵素。
【請求項6】
前記CRISPR酵素が、位置D10A、E762A、H840A、N854A、N863AまたはD986AにおけるSpCas9の位置ナンバリングに対応する1つ以上の突然変異を含む、請求項4または5に記載の組成物または酵素。
【請求項7】
前記酵素が、機能ドメインをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物または酵素。
【請求項8】
前記機能ドメインが、転写アクチベータードメインである、請求項7に記載の組成物または酵素。
【請求項9】
前記転写アクチベータードメインが、VP64である、請求項8に記載の組成物または酵素。
【請求項10】
前記機能ドメインが、転写リプレッサードメインである、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物または酵素。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願および参照による組み込み
本出願は、2013年6月17日に出願された米国仮特許出願第61/836,101号明細書、標題ENGINEERING AND OPTIMIZATION OF IMPROVED SYSTEMS,METHODS AND ENZYME COMPOSITIONS FOR SEQUENCE MANIPULATIONの優先権を主張する。本出願は、米国仮特許出願第61/758,468号明細書;同第61/769,046号明細書;同第61/802,174号明細書;同第61/806,375号明細書;同第61/814,263号明細書;同第61/819,803号明細書および同第61/828,130号明細書の優先権も主張し、それぞれ標題ENGINEERING AND OPTIMIZATION OF SYSTEMS,METHODS AND COMPOSITIONS FOR SEQUENCE MANIPULATIONであり、それぞれ2013年1月30日;2013年2月25日、2013年3月15日;2013年3月28日、2013年4月20日;2013年5月6日および2013年5月28日に出願されたものである。本出願は、米国仮特許出願第61/736,527号明細書および同第61/748,427号明細書の優先権も主張し、両方とも標題SYSTEMS METHODS AND COMPOSITIONS FOR SEQUENCE MANIPULATIONであり、それぞれ2012年12月12日および2013年1月2日に出願されたものである。それぞれ2013年3月15日および2013年6月17日に出願された米国仮特許出願第61/791,409号明細書および同第61/835,931号明細書の優先権も主張される。
それぞれ2013年6月17日に出願された米国仮特許出願第61/836,127号明細書、同第61/835,936号明細書、同第61/836,080号明細書、同第61/836,123号明細書、および同第61/835,973号明細書が参照される。
続きを表示(約 3,900 文字)【0002】
上記の出願、ならびにそれらの出願においてまたはそれらの審査中に引用される全ての文献(「出願引用文献」)およびその出願引用文献において引用または参照される全ての文献、ならびに本明細書において引用または参照される全ての文献(「本明細書引用文献」)、および本明細書引用文献において引用または参照される全ての文献は、本明細書においてまたは本明細書に参照により組み込まれる任意の文献において挙げられる任意の製品に関する任意の製造業者の指示書、説明書、製品仕様書、および製品シートと一緒に、参照により本明細書に組み込まれ、本発明の実施において用いることができる。より具体的には、全ての参照文献は、それぞれの個々の文献が個別具体的に参照により組み込まれることが示されるような程度で参照により組み込まれる。
【0003】
本発明は、一般に、クラスター化等間隔短鎖回分リピート(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat)(CRISPR)およびその成分に関する配列ターゲティング、例えば、ゲノム摂動または遺伝子編集を含む遺伝子発現の制御に使用される系、方法および組成物のエンジニアリングおよび最適化に関する。
【0004】
連邦政府により資金提供された研究に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)により助成されたNIHパイオニアアワード(1DP1MH100706)のもと政府支援によりなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0005】
ゲノムシーケンシング技術および分析法の近年の進歩により、多様な範囲の生物学的機能および疾患に関連する遺伝因子を分類およびマッピングする技能が顕著に加速されている。正確なゲノムターゲティング技術は、個々の遺伝子エレメントの選択的摂動を可能とすることにより因果的遺伝子変異の体系的なリバースエンジニアリングを可能とするため、ならびに合成生物学、バイオテクノロジーおよび医薬用途を進歩させるために必要とされる。ゲノム編集技術、例えば、デザイナー亜鉛フィンガー、転写アクチベーター様エフェクター(TALE)、またはホーミングメガヌクレアーゼがターゲティングされるゲノム摂動の産生に利用可能であるが、安価で、設定が容易で、スケーラブルで、真核ゲノム内の複数位置をターゲティングしやすい新たなゲノムエンジニアリング技術が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第97/03211号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CRISPR/CasまたはCRISPR-Cas系(両方の用語は、本出願全体にわたり互換的に使用される)は特異的配列をターゲティングするためにカスタムタンパク質の生成を要求するのではなく、単一Cas酵素を短鎖RNA分子によりプログラミングして特異的DNA標的を認識させることができ、換言すると、Cas酵素は、前記短鎖RNA分子を使用して特異的DNA標的にリクルートすることができる。ゲノムシーケンシング技術および分析法のレパートリーへのCRISPR-Cas系の付加により方法論が顕著に簡易化され、多様な範囲の生物学的機能および疾患に関連する遺伝因子を分類およびマッピングする技能が加速される。有害効果を有さずにゲノム編集にCRISPR-Cas系を有効に利用するため、特許請求される本発明の態様であるそれらのゲノムエンジニアリングツールのエンジニアリングおよび最適化の態様を理解することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、多彩な用途の配列ターゲティングのための代替的で堅牢な系および技術が差し迫って必要とされている。本発明の態様は、この必要性に対処し、関連する利点を提供する。例示的なCRISPR複合体は、標的ポリヌクレオチド内の標的配列にハイブリダイズされるガイド配列と複合体形成しているCRISPR酵素を含み、CRISPR酵素は、限定されるものではないが、コリネバクター属(Corynebacter)、ステレラ属(Sutterella)、レジオネラ属(Legionella)、トレポネーマ属(Treponema)、フィリファクター属(Filifactor)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、バクテロイデス属(Bacteroides)、フラビイボラ属(Flaviivola)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、スフェロケタ属(Sphaerochaeta)、アゾスピリラム属(Azospirillum)、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)、ネイセリア属(Neisseria)、ロゼブリア属(Roseburia)、パービバキュラム属(Parvibaculum)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ニトラティフラクター属(Nitratifractor)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)およびカンピロバクター属(Campylobacter)が挙げられる属のCasオルソログ、例えば、Cas9オルソログである。ガイド配列は、次いでtracr配列にハイブリダイズするtracrメイト配列に結合している。
【0009】
一態様において、本発明は、CRISPR系の1つ以上のエレメントを使用する方法を提供する。本発明のCRISPR複合体は、標的ポリヌクレオチドを改変するための有効な手段を提供する。本発明のCRISPR複合体は、広範な有用性、例として、非常に多数の細胞タイプ中の標的ポリヌクレオチドの改変(例えば、欠失、挿入、転座、不活性化、活性化、抑制、メチル化の変更、規定部分の移動)を有する。したがって、本発明のCRISPR複合体は、例えば、遺伝子またはゲノム編集、遺伝子調節、遺伝子療法、薬物送達、薬物スクリーニング、疾患診断、および予後における幅広い用途範囲を有する。本発明の好ましい態様において、CRISPR複合体は、限定されるものではないが、コリネバクター属(Corynebacter)、ステレラ属(Sutterella)、レジオネラ属(Legionella)、トレポネーマ属(Treponema)、フィリファクター属(Filifactor)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、バクテロイデス属(Bacteroides)、フラビイボラ属(Flaviivola)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、スフェロケタ属(Sphaerochaeta)、アゾスピリラム属(Azospirillum)、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)、ネイセリア属(Neisseria)、ロゼブリア属(Roseburia)、パービバキュラム属(Parvibaculum)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ニトラティフラクター属(Nitratifractor)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)およびカンピロバクター属(Campylobacter)が挙げられる属のCas酵素、好ましくは、Cas9オルソログを含む。
【0010】
本発明の態様は、最適化機能を有するCRISPR酵素に関する。Cas酵素であるCRISPR酵素に関して、本発明の好ましい実施形態は、CRISPR-Cas9系における改善された標的特異性を有するCas9オルソログに関する。このことは、限定されるものではないが、最適な活性を有するガイドRNAの設計および調製、規定の長さのCas9酵素の選択、Cas9酵素のトランケーション(Cas9をコードする核酸分子をトランケートすることにより、対応する野生型Cas9酵素よりもCas9の長さを短くする)、ならびにキメラCas9酵素(調整された特異性を有するキメラ酵素を得るために酵素の異なる部分が異なるオルソログ間でスワップまたは交換されている)の生成が挙げられるアプローチにより達成することができる。本発明の態様はまた、Cas9オルソログ酵素の標的特異性を改善する方法またはCRISPR-Cas9系を設計する方法であって、最適な活性を有するガイドRNAを設計もしくは調製することおよび/または対応する野生型Cas9よりも小さいサイズもしくは長さを有するCas9オルソログ酵素を選択もしくは調製すること(それにより、対応する野生型Cas9よりも送達ベクター中のそのコード配列が短いため、それをコードする核酸の送達ベクター中へのパッケージングが向上する)、および/またはキメラCas9酵素を生成することを含む方法に関する。
(【0011】以降は省略されています)

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