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公開番号2025057557
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-09
出願番号2023167265
出願日2023-09-28
発明の名称ニコチンアミドリボシドの製造方法
出願人三井化学株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C12P 19/38 20060101AFI20250402BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】ニコチンアミドリボシドを効率よく製造する技術を提供する。
【解決手段】反応液中で、ペントシルトランスフェラーゼ、リボース-1-リン酸及びニコチンアミドを接触させる工程であって、その結果、ニコチンアミドリボシドが生成される工程を含み、前記反応液が、前記リボース-1-リン酸1モルあたり4.0モル未満のマグネシウムイオンを含む、ニコチンアミドリボシドの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
反応液中で、ペントシルトランスフェラーゼ、リボース-1-リン酸及びニコチンアミドを接触させる工程であって、その結果、ニコチンアミドリボシドが生成される工程を含み、
前記反応液が、前記リボース-1-リン酸1モルあたり4.0モル未満のマグネシウムイオンを含む、ニコチンアミドリボシドの製造方法。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
前記反応液が、前記リボース-1-リン酸1モルあたり0.1~3.5モルの前記マグネシウムイオンを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記反応液が、アンモニウムイオンを更に含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記反応液が、前記マグネシウムイオン1モルあたり1.0~13.0モルの前記アンモニウムイオンを含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ペントシルトランスフェラーゼが、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ウリジンホスホリラーゼ及びチミジンホスホリラーゼからなる群より選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ペントシルトランスフェラーゼが、プリンヌクレオシドホスホリラーゼである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記プリンヌクレオシドホスホリラーゼが、
配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
を有する野生型プリンヌクレオシドホスホリラーゼのアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸変異を有し、且つ、ニコチンアミドリボシドを生成する活性を有する変異型プリンヌクレオシドホスホリラーゼである、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
ペントシルトランスフェラーゼ及びリボース-1-リン酸1モルあたり4.0モル未満のマグネシウムイオンを含む、ニコチンアミドリボシドの製造に用いるための組成物。
【請求項9】
前記マグネシウムイオン1モルあたり1.0~13.0モルのアンモニウムイオンを更に含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ペントシルトランスフェラーゼが、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ウリジンホスホリラーゼ及びチミジンホスホリラーゼからなる群より選択される1種以上である、請求項8又は9に記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンアミドリボシドの製造方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は生物に普遍的に存在する補酵素であり、還元型又は酸化型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは、細胞内の酸化還元反応に用いられる。細胞内でのニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの合成経路は大きく3つに分けられる。1つ目はトリプトファンを原料にしたde novo経路であり、2つ目はニコチンアミド又はニコチン酸からのサルベージ経路であり、3つ目はニコチンアミドリボシドからのサルベージ経路である。
【0003】
哺乳類は、ニコチンアミド又はニコチン酸からのサルベージ経路、及びニコチンアミドリボシドからのサルベージ経路からニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生合成することができる。
【0004】
ニコチンアミド又はニコチン酸からのサルベージ経路では、ニコチンアミドデアミナーゼ及びニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼにより、ニコチンアミド又はニコチン酸とホスホリボシル2リン酸(PRPP)とからニコチン酸モノヌクレオチド又はニコチンアミドモノヌクレオチドが生合成される。次いで、ニコチンアミド/ニコチン酸モノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼによるADP化反応とアミノ化反応とによってニコチンアミドアデニンジヌクレオチドが生合成される。
【0005】
ニコチンアミドリボシドからのサルベージ経路では、ニコチンアミドリボシドキナーゼにより、アデノシン三リン酸をリン酸ドナーとしてニコチンアミドモノヌクレオチドが生合成され、次いでニコチンアミド/ニコチン酸モノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼによりニコチンアミドアデニンジヌクレオチドが生合成されることが知られている。
【0006】
近年の研究では、上記生合成経路で示したニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの前駆体としてのニコチンアミドモノヌクレオチドやニコチンアミドリボシドが、細胞内のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの量を増加させ、その結果、インスリン抵抗性や脂質異常症等の代謝異常症の改善に効果を示すことが報告されている。また、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの増加が、アルツハイマー病の原因となるβ-アミロイドの産生を低下させる効果を示すことも報告されている。
【0007】
ニコチンアミドリボシドの合成方法としては、これまでに有機合成法及び酵素合成法が報告されている。有機合成法としては、テトラアセチルリボースを出発原料としてリボース骨格の水酸基が保護化されたニコチンアミドリボシドを合成し、次いで脱保護反応を行うことでニコチンアミドリボシドを得る方法が報告されている(たとえば、非特許文献1参照)。酵素合成法としては、ペントシルトランスフェラーゼ(酵素番号EC2.4.2)に分類される酵素を用いてリボース-1-リン酸及びニコチンアミドからニコチンアミドリボシドを得る方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
米国特許出願公開第2017/0121746号明細書
【非特許文献】
【0009】
Makarov M. V. and Migaud M. E., Syntheses and chemical properties of beta-nicotinamide riboside and its analogues and derivatives, Beilstein J. Org. Chem., 15, 401-430, 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
有機合成法では、ニコチンアミドリボシドのα体とβ体の両方が合成されるため、立体選択性に課題がある。酵素合成法は、保護及び脱保護のプロセスを経由する必要がない、生成物の立体選択性が高い等の点で有機合成法より優れているが、ニコチンアミドリボシドの酵素合成においては、生成効率の面で未だ改善の余地があった。
(【0011】以降は省略されています)

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