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公開番号2024161845
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-20
出願番号2023076941
出願日2023-05-08
発明の名称伸縮装置、その取付構造及びその構築方法
出願人三井住友建設株式会社
代理人弁理士法人大島特許事務所
主分類E01D 19/06 20060101AFI20241113BHJP(道路,鉄道または橋りょうの建設)
要約【課題】工事現場における、橋桁又は橋台への伸縮装置の取り付け作業を容易に行える伸縮装置、伸縮装置の取付構造、及び伸縮装置の取付構造の構築方法を提供する。
【解決手段】伸縮装置1は、1対の伸縮装置部材8を備える。伸縮装置部材8の各々は、固定部6に固定される基部9と、基部9から延出して互い橋幅方向に所定の間隔を置いて配置された複数のフィンガー部10とを含む。1対の伸縮装置部材8のフィンガー部10は、平面視で互いにかみ合うように配置される。伸縮装置部材8の各々は、1つ又は橋幅方向に分割された複数のプレキャストコンクリート部材11を含む。プレキャストコンクリート部材11は、基部9及びフィンガー部10に跨って橋軸方向に延在する複数のプレテンション方式の緊張材13を含む。緊張材13は、繊維強化プラスチックを素材とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
橋桁同士の間又は前記橋桁と橋台との間に設けられた遊間に配置され、前記橋桁若しくは前記橋桁の上に設けられた床版又は前記橋台に設けられた固定部に固定されて互いに橋軸方向に対向する1対の伸縮装置部材を備える伸縮装置であって、
前記伸縮装置部材の各々は、前記固定部に固定される基部と、前記橋軸方向における対をなす前記伸縮装置部材の前記基部に向かう向きである前方に向かって、前記基部から延出して互いに橋幅方向に所定の間隔を置いて配置された複数のフィンガー部とを含み、
1対の前記伸縮装置部材の前記フィンガー部は、平面視で互いにかみ合うように配置され、
前記伸縮装置部材の各々は、1つ又は前記橋幅方向に分割された複数のプレキャストコンクリート部材を含み、前記プレキャストコンクリート部材は、前記基部及び前記フィンガー部に跨って前記橋軸方向に延在する複数のプレテンション方式の緊張材を含み、
前記緊張材は、繊維強化プラスチックを素材とする、伸縮装置。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
請求項1に記載の伸縮装置と、前記固定部と、前記伸縮装置の前記基部と前記固定部との間に充填された目地材とを含む、前記伸縮装置の前記固定部への取付構造であって、
前記固定部は、コンクリートによって画成された上方を向いた底面と前記前方を向いた背面と有し、
前記伸縮装置部材の前記基部は、前記目地材を挟んで前記底面に対向する下面と、前記目地材を挟んで前記背面に対向する後面とを有し、
前記固定部は、前記底面に凹設され有底孔を有し、
前記プレキャストコンクリート部材は、前記下面から下方に突出して前記有底孔に受容され、前記有底孔内に充填された充填材に固定されたアンカー部材を含む、取付構造。
【請求項3】
前記アンカー部材は、繊維強化プラスチックを素材とする、請求項2に記載の取付構造。
【請求項4】
前記底面は、第1底面と、前記第1底面よりも前記前方かつ前記上方に位置する第2底面とを有し、前記下面は、前記目地材を挟んで前記第1底面に対向する第1下面と、前記目地材を挟んで前記第2底面に対向し、前記第1下面よりも前記前方かつ前記上方に位置する第2下面とを有する、請求項2に記載の取付構造。
【請求項5】
前記固定部の前記背面は、前記橋幅方向に延在する溝又は突条を有し、
前記伸縮装置部材の前記後面は、前記橋幅方向に延在する溝又は突条を有する、請求項2に記載の取付構造。
【請求項6】
前記伸縮装置部材の各々は、前記橋幅方向に1~2mの長さを有する複数の前記プレキャストコンクリート部材を含み、
前記基部は、前記橋幅方向に互いに隣接する前記プレキャストコンクリート部材の間に充填された前記目地材を含み、
各々の前記プレキャストコンクリート部材の前記基部における他の前記プレキャストコンクリート部材と前記目地材を挟んで対向する側面は、前記橋軸方向に延在する溝又は突条を有する、請求項2に記載の取付構造。
【請求項7】
前記伸縮装置部材の前記下面は、前記橋幅方向に互いに隣り合う前記プレキャストコンクリート部材が組み合わさって形成された、前記橋軸方向に延在する溝を有し、
前記固定部の前記底面は、前記橋軸方向に延在して前記下面の前記溝に受容される突条を有する、請求項6に記載の取付構造。
【請求項8】
前記プレキャストコンクリート部材のコンクリート部は、120~200N/mm

の設計基準強度を有する繊維補強コンクリートによって構成される、請求項1に記載の伸縮装置又は請求項2~7の何れか1項に記載の取付構造。
【請求項9】
請求項2に記載の取付構造の構築方法であって、
工場にて、前記緊張材によるプレストレスをプレテンション方式によって導入して、前記プレキャストコンクリート部材を作成するステップと、
工場又は工事現場にて、前記固定部を作成するステップと、
工事現場にて、前記有底孔に前記アンカー部材の下部が受容されるように、前記プレキャストコンクリート部材を、前記固定部に対する所定の位置に配置するステップと、
前記固定部と前記基部との間に前記目地材を注入するステップと
を備える方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁における伸縮装置、伸縮装置の取付構造、及び伸縮装置の取付構造の構築方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
伸縮装置は、橋梁の種々の変位を平滑に行うことができるよう、桁端部に設ける装置であり、ジョイントとも呼ばれる。従来、実績のある伸縮装置として、鋼製フィンガージョイントが知られている(例えば、特許文献1及び2)。鋼製フィンガージョイントは、平面視で互いにかみ合うように配置された1対の櫛形のフェイスプレートを備え、フェイスプレートの下方に設けられた部分が、現場打ちコンクリートに埋設されることによってコンクリート橋の橋桁、橋桁上に設けられたコンクリート床版又は橋台に固定される。
【0003】
また、特許文献2には、鋼製のフェイスプレートとコンクリート部材とを含むプレファブ伸縮装置ユニットをあらかじめ製作しておき,現場で間詰めコンクリートを打設して一体化する工法も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2001-288707号公報
特開2007-032057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鋼製フィンガージョイントでは、フィンガージョイントを橋桁、床版又は橋台に固定するために、工事現場で両者の連結部分にずれ止め部材や鉄筋を配置し、コンクリートを打設する必要があり、また、鋼材の腐食のため定期的に交換する必要があった。また、特許文献2に記載のフィンガージョイントでは、プレキャストユニットを使用する場合であっても、現場で場所打ちコンクリートを打設する必要があった。これら作業が、作業員に大きな負担を与えていた。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、工事現場における、橋桁又は橋台への伸縮装置の取り付け作業を容易に行える伸縮装置、伸縮装置の取付構造、及び伸縮装置の取付構造の構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、橋桁(4)同士の間又は前記橋桁と橋台(5)との間に設けられた遊間に配置され、前記橋桁若しくは前記橋桁の上に設けられた床版又は前記橋台に設けられた固定部(6)に固定されて互いに橋軸方向に対向する1対の伸縮装置部材(8)を備える伸縮装置(1)であって、前記伸縮装置部材の各々は、前記固定部に固定される基部(9)と、前記橋軸方向における対をなす前記伸縮装置部材の前記基部に向かう向きである前方に向かって、前記基部から延出して互いに橋幅方向に所定の間隔を置いて配置された複数のフィンガー部(10)とを含み、1対の前記伸縮装置部材の前記フィンガー部は、平面視で互いにかみ合うように配置され、前記伸縮装置部材の各々は、1つ又は前記橋幅方向に分割された複数のプレキャストコンクリート部材(11)を含み、前記プレキャストコンクリート部材は、前記基部及び前記フィンガー部に跨って前記橋軸方向に延在する複数のプレテンション方式の緊張材(13)を含み、前記緊張材は、繊維強化プラスチックを素材とする。
【0008】
この態様によれば、プレキャストコンクリート部材を用いることと、緊張材がプレテンション方式であるため、工事現場でのコンクリート打設作業や緊張材の緊張作業が削減され、橋桁又は橋台への伸縮装置の取り付け作業が容易となる。繊維強化プラスチックを素材とする緊張材を含むプレキャストコンクリート部材によって伸縮装置部材が構成されるため、表面及び表面近傍に鋼材を使う必要がなく、鋼材の腐食による耐久性の低下を抑制できる。
【0009】
本発明のある態様は、上記の態様の伸縮装置(1)と、前記固定部(6)と、前記伸縮装置の前記基部(9)と前記固定部(6)との間に充填された目地材(12)とを含む、前記伸縮装置の前記固定部への取付構造(2)であって、前記固定部は、コンクリートによって画成された上方を向いた底面(17)と前記前方を向いた背面(20)と有し、前記伸縮装置部材(8)の前記基部は、前記目地材を挟んで前記底面に対向する下面(16)と、前記目地材を挟んで前記背面に対向する後面(21)とを有し、前記固定部は、前記底面に凹設され有底孔(18)を有し、前記プレキャストコンクリート部材(11)は、前記下面から下方に突出して前記有底孔に受容され、前記有底孔内に充填された充填材(19)に固定されたアンカー部材(14)を含むと良い。
【0010】
この態様によれば、プレキャストコンクリート部材に含まれるアンカー部材によって、伸縮装置部材が固定部に固定されるため、工事現場でアンカー部材を設置することや、アンカー部材を埋設するための場所打ちコンクリートを打設することが不要となり、工事現場における伸縮装置の取り付け作業が容易になる。
(【0011】以降は省略されています)

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