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公開番号
2024161794
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-20
出願番号
2023076823
出願日
2023-05-08
発明の名称
新規なN-置換型ナイロンおよびその製造方法
出願人
国立大学法人北海道大学
代理人
個人
,
個人
主分類
C08G
69/00 20060101AFI20241113BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】新規な溶媒可溶性のN-置換型ナイロンおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】式I:
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2024161794000006.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">46</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">89</com:WidthMeasure> </com:Image>
(式中、R
1
およびR
2
は、それぞれ独立して同一または異なり、所望によりハロゲン、ヒドロキシ基および/またはカルボキシ基で置換されていてもよい通常1~20個、好ましくは1~10個、1~8個、1~6個または1~4個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖、分岐鎖または環状の脂肪族炭化水素基である。)
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
溶媒可溶性のN-置換型ナイロン。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
下限臨界共溶温度(LCST)を示す請求項1に記載のN-置換型ナイロン。
【請求項3】
前記溶媒が水、医薬上許容し得る塩類水溶液、モノオール類、アルキレングリコール類、アルキレングリコールの重合物類、ポリオール類、カルボン酸化合物類、(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテル類、前記のモノオール類、アルキレングリコール類、アルキレングリコールの重合物類、ポリオール類、カルボン酸化合物類または(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテル類とカルボン酸化合物類とから誘導されるエステル類、ケトン類、アルキルエーテル類、環状エーテル類、脂肪族系炭化水素類、芳香族系炭化水素類、ハロゲン置換化合物類、含窒素官能基置換炭化水素類、複素環含有化合物類、アミド系化合物類、スルホキシド系化合物類、ニトリル化合物類、動植物油脂類および石油系溶剤類からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のN-置換型ナイロン。
【請求項4】
-5℃~60℃の温度範囲内にガラス転移点を有する請求項1に記載のN-置換型ナイロン。
【請求項5】
式I:
TIFF
2024161794000005.tif
46
89
(式中、R
1
およびR
2
は、それぞれ独立して同一または異なり、所望によりハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシ基で置換されていてもよい1~20個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基であり、pは1~10の整数であり、qは1~10の整数であり、
nは2~5,000の整数である)
で示される化合物である、請求項1に記載のN-置換型ナイロン。
【請求項6】
式(I)中、R
1
およびR
2
が、それぞれ独立して同一または異なり、非置換の1~20個の炭素原子を有する飽和の脂肪族炭化水素基である、請求項5に記載のN-置換型ナイロン。
【請求項7】
式(I)中、pおよびqが、それぞれ独立して2~10個の整数である、請求項5または6に記載のN-置換型ナイロン。
【請求項8】
式(I)中、pおよびqの和が、2~15の整数である、請求項5または6に記載のN-置換型ナイロン。
【請求項9】
N-置換型ナイロンの製造方法であって、
(1)溶媒中でN,N’-ジアルキルアミン-α,ω-アルキルジアミンとジカルボン酸とを混合し、
(2)触媒の存在下で重縮合させてN-置換型ナイロンを得る
ことを含む方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なN-置換型ナイロンおよびその製造方法に関する。詳細には、本発明は、下限臨界共溶温度(LCST)を示すN-置換型ナイロンおよびその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)
【背景技術】
【0002】
ナイロンは1930年代に開発された世界最古の合成繊維であり、繊維としての強さは第2級アミド間の水素結合に起因する高い融点と結晶性によるとされ、現在でも固体状態での物性・機能が研究対象となっている。
また、高分子化学の一般的常識として、ナイロンおよびポリアミドはその誘導体も含め、硬く・強い繊維として理解されている。しかし、ナイロンはその高い結晶性のために、多くの有機溶媒および水へ不溶であり、溶液物性については十分な探索が行われていない。その結果、溶液物性に基づく機能性材料や生体親和性材料への適用については研究が進められておらず、これらには柔軟で溶解性の高いビニルポリマーを中心とした研究が進んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、新規な溶媒可溶性のN-置換型ナイロンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、従来のナイロン合成のモノマーである第1級のジアミンに代えて第2級のジアミンとし、N-H結合を含まない第3級アミドを骨格に含むポリ(N-置換アミド)、すなわちN-置換型ナイロンとすることにより、溶媒可溶性のいわゆる「柔らかいナイロン」を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、溶媒可溶性のN-置換型ナイロンおよびその製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、N-置換型ナイロンおよびその製造方法を提供する。
[N-置換型ナイロン]
本発明は、溶媒可溶性のN-置換型ナイロンに関する。
本明細書において、溶媒可溶性とは、0~50℃のいずれかの温度で溶媒に可溶である性質、すなわちN-置換型ナイロンをこの温度範囲の溶媒に加えて混合すると均一透明な溶液になる(例えば、透過度が90%以上となる)性質をいう。
本明細書において、透過度とは、測定波長800nmでの透過度[%]をいう。
ある種の態様において、本発明のN-置換型ナイロンが可溶性を示す溶媒には、例えば水、医薬上許容される塩の水溶液またはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のモノオール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレングリコールの重合物類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール等のポリオール類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸化合物類、(ポリ)エチレングリコールモノメチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジメチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノブチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテル類、酢酸エチル、酢酸プロプル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等、上記モノオール類、アルキレングリコール類、ポリオール類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類と上記カルボン酸化合物類から誘導されるエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルブチルエーテル等のアルキルエーテル類、(ポリ)エチレングリコールモノメチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジメチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノブチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モルホリン等の環状エーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン等の脂肪族系炭化水素類、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロルエタン、ヘキサフロロイソプロパノール等のハロゲン置換化合物類、ニトロベンゼン、アニリン、アニソール、トルイジン等の含窒素官能基置換炭化水素類、ピリジン、フラン、メチルフラン、ピロール等の複素環含有化合物類、ジメチルホルミアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系化合物類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系化合物類、アセトニトリル等のニトリル化合物類、大豆油、アマニ油等の動植物油脂類、ホワイトガソリン、石油エーテル、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の石油系溶剤類など極性および非極性の有機溶媒が含まれるが、好ましくは水、水可溶性溶剤、およびその混合物が好ましい。また、例えば塩化ナトリウム、水酸化カルシウム、リン酸ナトリウム、塩化鉄、塩化アンモニウム等、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニウム、有機アミン類等のカチオン類と、ハロゲン化物アニオン、カルボキシルアニオン、リン酸(水素)アニオン、炭酸(水素)アニオン等のアニオン類からなる無機または有機塩類、生理食塩水等の生体適合性水溶液類、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、トリスEDTA緩衝液等、緩衝機能を有する塩水溶液等も好適に用いられる。特に好ましくは、水または医薬上許容し得る塩類の水溶液である。
【0006】
ある種の態様において、本発明のN-置換型ナイロンの溶液は、上記した溶媒中、0~50℃の範囲で80%以上、85%以上、90%以上、95%以上または97%以上の透過度となる温度を有してよい。
【0007】
ある種の態様において、本発明のN-置換型ナイロンは、温度応答性高分子であり、より具体的には下限臨界共溶温度(LCST:Lower Critical Solution Temperature)を示してよい。下限臨界共溶温度は、下限臨界溶液温度とも呼ばれ、化合物の溶液をそれを超える温度に加熱すると白濁し、それ以下の温度に冷却すると再度溶解して透明になるという、化合物の可逆的な相分離挙動である。
【0008】
本発明のN-置換型ナイロンのLCSTとは、10mg/mlのN-置換型ナイロン水溶液を調製して、紫外可視光分光スペクトル測定装置(ETC-505型ペルチェ式恒温角型セルホルダーを装備した日本分光社 V-750測定装置)を用いて、10-50℃間での昇温速度1.5℃/minで変化させた場合の測定波長800nmでの透過度[%]が90%を下まわる時点の温度である。本発明のN-置換型ナイロンのLCSTは、脂肪族骨格の窒素原子置換基を変化させたり、脂肪族骨格中に含まれる炭素数を変化させることにより制御することができ、例えば10~45℃、11~43℃、12~42℃または14~40℃などの範囲内に含まれ得るがこれらの温度範囲に限られない。
【0009】
ある種の態様において、本発明のN-置換型ナイロンは、溶媒中、狭い温度幅で相の変化が生じるという特徴を有してよい。かかる相の変化は、見た目では均一透明系-白濁不均一系の可逆的な相の変化という現象で観察され、例えば、10mg/mlのN-置換型ナイロン水溶液を調製して、紫外可視光分光スペクトル測定装置(ETC-505型ペルチェ式恒温角型セルホルダーを装備した日本分光社 V-750測定装置)を用いて、10-50℃間の往復温度勾配速度1.5℃/minで変化させた場合の測定波長800nmでの透過度[%]を測定してよい。例えば、透過度[%]が80%以上、83%以上、85%以上、90%以上変化した場合を相の変化が生じる温度幅の基準としてよい。
【0010】
本発明のN-置換型ナイロンは、例えば、20℃以内、18℃以内、15℃以内、12℃以内、10℃以内の温度幅で相の変化を生じ得る。ここで、相の変化を生じる温度幅とは、上記の透過度[%]の変化が生じる温度から変化が終了する温度までの範囲、例えば、系の昇温過程では透明な溶液が白濁し始める(例えば、透過度が90%以下となる)温度から白濁が完了する(例えば、透過度が10%以下となる)温度までの温度幅をいい、系の降温過程では白濁した液が透明になり始める(例えば、透過度が10%以上となる)温度から均一な溶液になる(例えば、透過度が90%以上となる)温度までの温度幅をいう。
(【0011】以降は省略されています)
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