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公開番号
2024153693
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-29
出願番号
2024113814,2022571730
出願日
2024-07-17,2022-02-17
発明の名称
ウイルス増殖阻害作用を有するトリアジン誘導体およびそれらを含有する医薬組成物
出願人
塩野義製薬株式会社
,
国立大学法人北海道大学
代理人
個人
,
個人
主分類
C07D
401/06 20060101AFI20241022BHJP(有機化学)
要約
【課題】コロナウイルス3CLプロテアーゼ阻害活性を示す化合物またはその製薬上許容される塩およびそれらを含有する医薬組成物を提供する。ならびに、医薬原体として有用な結晶およびそれらを含有する医薬組成物を提供する。
【解決手段】式(I):
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(式中、YはN等であり、R
1
は置換もしくは非置換の芳香族複素環式基等であり、R
2
は置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基等であり、R
3
は置換もしくは非置換の芳香族複素環式基等であり、-X-は-NH-等であり、mは1等であり、R
5a
はそれぞれ独立して水素原子等であり、R
5b
はそれぞれ独立して水素原子等であり、nは1等であり、R
4a
はそれぞれ独立して水素原子等であり、R
4b
はそれぞれ独立して水素原子等である)で示される化合物またはその製薬上許容される塩。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
式(I):
TIFF
2024153693000301.tif
30
53
(式中、Yは、NまたはCR
7
であり;
R
7
は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
R
1
は、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のカルバモイルまたは置換もしくは非置換のアミノであり;
R
2
は、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基(ただし、パラモノフルオロフェニル、パラモノクロロフェニルおよびパラモノメチルフェニルを除く)、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
R
3
は、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基または置換もしくは非置換のアルキルであり;
-X-は、-NR
6
-、-CR
6
R
6’
-、-O-、-S-または単結合であり;
R
6
およびR
6’
はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
mは、0、1または2であり;
R
5a
はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
R
5b
はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
nは、0、1または2であり;
R
4a
はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
R
4b
はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルである)で示される化合物(ただし、以下の化合物:
TIFF
2024153693000302.tif
109
127
を除く)、またはその製薬上許容される塩。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
YがNである、請求項1記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項3】
-X-が-NH-である、請求項1または2記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項4】
R
2
が、置換もしくは非置換の6~14員芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の5~10員非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の5~10員芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の5~10員非芳香族複素環式基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項5】
R
2
が、1個のハロゲンまたはシアノで置換され、さらに置換基群Gから選択される1、2、3もしくは4個の置換基で置換された6員芳香族炭素環式基、または、1個のハロゲンまたはシアノで置換され、さらに置換基群Gから選択される1もしくは2個の置換基で置換された6員芳香族複素環式基であり;
置換基群Gが、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシおよびハロアルキルオキシからなる群である、請求項1~4のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項6】
mが0または1である、請求項1~5のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項7】
nが0または1である、請求項1~6のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項8】
R
4a
がそれぞれ独立して水素原子または非置換アルキルであり、R
4b
がそれぞれ独立して水素原子である、請求項1~7のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項9】
R
5a
がそれぞれ独立して水素原子であり、R
5b
がそれぞれ独立して水素原子である、請求項1~8のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項10】
R
1
が、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基である、請求項1~9のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナウイルス3CLプロテアーゼ阻害活性を示す化合物、およびコロナウイルス3CLプロテアーゼ阻害活性を示す化合物を含有する医薬組成物に関する。また、本発明は、3CLプロテアーゼ阻害活性を示す化合物またはその製薬上許容される塩の結晶および共結晶、ならびにそれらを含有する医薬組成物に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)
【背景技術】
【0002】
ニドウイルス目コロナウイルス科オルトコロナウイルス亜科に属するコロナウイルスは、約30キロベースのゲノムサイズを有し、既知のRNAウイルスでは最大級の一本鎖+鎖RNAウイルスである。コロナウイルスはアルファコロナウイルス属、ベータコロナウイルス属、ガンマコロナウイルス属およびデルタコロナウイルス属の4つに分類され、ヒトに感染するコロナウイルスとして、アルファコロナウイルス属の2種類(HCoV-229E、HCoV-NL63)およびベータコロナウイルス属の5種類(HCoV-HKU1、HCoV-OC43、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2)の計7種類が知られている。この内、4種類(HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、HCoV-OC43)は風邪の病原体であるが、残りの3種類は重症肺炎を引き起こす重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス(MERS-CoV)および新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)である。
【0003】
2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は急速に国際社会に蔓延し、2020年3月11日にWHOよりパンデミックが表明された。2022年1月28日時点で確認された感染者数は3.6億人以上、死者数は563万人以上に達する(非特許文献1)。SARS-CoV-2の主な感染経路として飛沫感染、接触感染およびエアロゾル感染が報告されており、SARS-CoV-2は3時間程度エアロゾルと共に空気中を漂い続け、感染力を維持することが確認されている(非特許文献2)。潜伏期間は2~14日程度であり、発熱(87.9%)、空咳(67.7%)、倦怠感(38.1%)、痰(33.4%)等の風邪様症状が典型的である(非特許文献3)。重症例では、急性呼吸窮迫症候群や急性肺障害、間質性肺炎等による呼吸器不全が起こる。また、腎不全や肝不全などの多臓器不全も報告されている。
【0004】
本邦においては、既存薬のドラッグリポジショニングから、抗ウイルス薬であるレムデシビル、抗炎症薬であるデキサメタゾン、リウマチ薬であるバリシチニブがCOVID-19に対する治療薬として承認され、2022年1月に抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブが追加承認されている。また、2021年7月に、抗体カクテル療法であるロナプリーブ(カシリビマブ/イムデビマブ)が特例承認され、2021年9月にソトロビマブが特例承認され、2021年12月にモルヌピラビルが特例承認された。これらの薬剤についての有効性や安全性については、十分なエビデンスが得られていない。したがって、COVID-19に対する治療薬の創製は急務である。
【0005】
コロナウイルスは、細胞に感染すると、2つのポリタンパク質を合成する。この2つのポリタンパク質中には、新たなウイルス粒子を作り出すための構造タンパク質、ウイルスゲノムを作る複製複合体、2つのプロテアーゼが含まれている。プロテアーゼは、ウイルスから合成されたポリタンパク質を切断し、それぞれのタンパク質を機能させるために不可欠な働きをする。2つのプロテアーゼのうち、ポリタンパク質の切断のほとんどを担うのが、3CLプロテアーゼ(メインプロテアーゼ)である(非特許文献4)。
3CLプロテアーゼを標的とした、COVID-19治療薬としては、2021年6月、Pfizer社によるPF-00835231のプロドラッグであるLufotrelvir(PF-07304814)のPhase1b試験の完了がClinicalTrials.govに掲載された(NCT04535167)。また、2021年3月、Pfizer社は新型コロナウイルス感染症に対する治療薬PF-07321332のPhase1試験を開始すると発表した。PF-00835231、LufotrelvirおよびPF-07321332の構造式は以下に示す通りで、本発明化合物とは化学構造が異なる(非特許文献5、12および13、ならびに特許文献6および7)。
PF-00835231:
TIFF
2024153693000001.tif
36
59
Lufotrelvir(PF-07304814):
TIFF
2024153693000002.tif
34
69
PF-07321332:
TIFF
2024153693000003.tif
44
49
さらに2021年7月、ハイリスク因子を持つCOVID-19患者を対象とした、PF-07321332およびリトナビル併用のPhase2/3試験が開始されることがClinicalTrials.govに掲載された(NCT04960202)。また、2021年11月、Pfizer社のホームページにおいて、PAXLOVID(TM)(PF-07321332;リトナビル)は、成人のハイリスク患者において、プラセボと比較して入院または死亡のリスクを89%減少させたことが報告された(非特許文献14)。さらに、2021年12月、PAXLOVID(TM)は米国で緊急使用許可が承認され、2022年2月10日、パキロビッド(登録商標)パックが日本で特例承認された。
【0006】
3CLプロテアーゼ阻害活性を有する化合物が非特許文献5~8に開示されているが、いずれの文献においても本発明に関連する化合物は記載も示唆もされていない。
Ρ2X
3
および/またはΡ2X
2/3
受容体拮抗作用を有するトリアジン誘導体およびウラシル誘導体が特許文献1~4および8~12に開示されているが、いずれの文献においても、3CLプロテアーゼ阻害活性および抗ウイルス効果については記載も示唆もされていない。
抗腫瘍効果を有するトリアジン誘導体が非特許文献9~11に開示されているが、いずれの文献においても、コロナウイルス3CLプロテアーゼ阻害活性および抗ウイルス効果については記載されておらず、また、本発明に関連する化合物は記載も示唆もされていない。
ガラニン受容体調節作用を有するトリアジン誘導体が特許文献5に開示されているが、いずれの文献においても、コロナウイルス3CLプロテアーゼ阻害活性および抗ウイルス効果については記載されておらず、また、本発明に関連する化合物は記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2012/020749号
国際公開第2013/089212号
国際公開第2010/092966号
国際公開第2014/200078号
国際公開第2012/009258号
国際公開第2021/205298号
国際公開第2021/250648号
中国特許出願公開第113620888号明細書
中国特許出願公開第113666914号明細書
中国特許出願公開第113735838号明細書
中国特許出願公開第113773300号明細書
中国特許出願公開第113801097号明細書
【非特許文献】
【0008】
“COVID-19 Dashboard by the Center for Systems Science and Engineering at Johns Hopkins University”、[online]、Johns Hopkins University、[2022年1月28日検索]、インターネット<URL:https://coronavirus.jhu.edu/map.html>
The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(2020年)、382巻、1564~1567頁
“Report of the WHO-China Joint Mission on Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)”、[online]、2020年2月28日、WHO、[2021年2月8日検索]、インターネット<URL:https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/who-china-joint-mission-on-covid-19-final-report.pdf>
Science(2003年)、300巻、1763~1767頁
“A comparative analysis of SARS-CoV-2 antivirals characterizes 3CLpro inhibitor PF-00835231 as a potential new treatment for COVID-19”、Journal of Virology、2021年4月26日、[2022年2月15日検索]、インターネット<URL: https://journals.asm.org/doi/10.1128/JVI.01819-20><doi: 10.1128/JVI.01819-20>
Cell Research(2020年)、30巻、678~692頁
Science(2020年)、368巻、409~412頁
ACS Central Science(2021年)、7巻、3号、467~475頁
Cancer Treatment Reviews(1984年)、11巻、Supplement 1、99~110頁
Contributions to Oncology(1984年)、18巻、221~234頁
Arzneimittel-Forschung(1984年)、11巻、6号、663~668頁
261st Am Chem Soc (ACS) Natl Meet ・ 2021-04-05 / 2021-04-16 ・ Virtual, N/A ・ Abst 243
Science(2021年)、374巻、1586~1593頁
"Pfizer’s Novel COVID-19 Oral Antiviral Treatment Candidate Reduced Risk Of Hospitalization Or Death By 89% In Interim Analysis Of Phase 2/3 EPIC-HR Study"、[online]、2021年11月5日、 Pfizer Press Release、[2022年2月15日検索]、インターネット<URL:https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizers-novel-covid-19-oral-antiviral-treatment-candidate>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、コロナウイルス3CLプロテアーゼ阻害活性を有する化合物を提供することにある。好ましくは、本発明は、抗ウイルス作用、特にコロナウイルスの増殖阻害作用を有する化合物、および該化合物を含有する医薬を提供する。また、本発明の目的は、3CLプロテアーゼ阻害活性を示す化合物またはその製薬上許容される塩の結晶および共結晶、ならびにそれらを含有する医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に関する。
(【0011】以降は省略されています)
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