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公開番号
2024150085
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-23
出願番号
2023063321
出願日
2023-04-10
発明の名称
表面処理アルミニウム材、その製造方法及び半導体処理装置用部材
出願人
株式会社UACJ
,
国立大学法人北海道大学
代理人
弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類
C25D
11/18 20060101AFI20241016BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約
【課題】腐食性ガスやプラズマに対する耐食性に優れ、クラックの発生を抑制することができる表面処理アルミニウム材、その製造方法及び半導体製造装置用部材を提供する。
【解決手段】表面処理アルミニウム材1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材2と、アルミニウムの酸化物及び水和酸化物を含み、母材2の表面の少なくとも一部に形成された保護皮膜3と、を有している。保護皮膜3の厚みは2μm以上である。保護皮膜3中の元素の質量比率をグロー放電発光分析法により深さ方向に分析した場合に、保護皮膜3の表面から深さ1μmの位置までの範囲におけるアルミニウム原子の質量比率の積分値C
Al
に対する水素原子の質量比率の積分値C
H
の比C
H
/C
Al
が0.2以上0.7以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材と、
アルミニウムの酸化物及び水和酸化物を含み、前記母材の表面の少なくとも一部に形成された保護皮膜と、を有し、
前記保護皮膜の厚みが2μm以上であり、
前記保護皮膜中の元素の質量比率をグロー放電発光分析法により深さ方向に分析した場合に、前記保護皮膜の表面から深さ1μmの位置までの範囲におけるアルミニウム原子の質量比率の積分値C
Al
に対する水素原子の質量比率の積分値C
H
の比C
H
/C
Al
が0.2以上0.7以下である、表面処理アルミニウム材。
続きを表示(約 420 文字)
【請求項2】
JIS H8683-2:2013に規定された方法により封孔度試験を行った場合における、単位面積当たりの質量減少量が0.2g/dm
2
以下である、請求項1に記載の表面処理アルミニウム材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表面処理アルミニウム材からなる半導体製造装置用部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法であって、
前記母材に陽極酸化処理を施すことにより前記母材上に細孔を備えた陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程と、
その後、前記母材を熱水中に浸漬して前記陽極酸化皮膜の前記細孔を封孔することにより前記母材上に前記保護皮膜を形成する封孔工程と、を有し、
前記封孔工程における熱水の温度T[℃]と、浸漬時間t[時間]との積が20℃・時間超え75℃・時間未満である、表面処理アルミニウム材の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理アルミニウム材、その製造方法及び半導体製造装置用部材に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム材は、種々の用途に利用されている。これらのアルミニウム材の表面には、表面の保護などの目的で陽極酸化皮膜が設けられることがある。
【0003】
例えば特許文献1には、基板にプラズマ処理を施す基板処理装置用の部品において、前記部品を直流電源の陽極に接続し且つ有機酸を主成分とする溶液中に浸漬する陽極酸化処理によって前記部品の表面に形成された皮膜を備え、前記皮膜には沸騰水を用いた半封孔処理が施されることを特徴とする基板処理装置用の部品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2008-81815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の部品は、陽極酸化皮膜の細孔が完全に閉塞されていないため、腐食性ガスやプラズマに対する耐久性が低いという問題がある。
【0006】
一方、特許文献1の部品において、腐食性ガスやプラズマに対する耐久性を高めるためには陽極酸化皮膜の細孔を完全に閉塞させる方法が考えられる。しかし、この場合には、温度が上昇した際に陽極酸化皮膜にクラックが発生しやすくなり、陽極酸化皮膜の小片からなる異物が発生するおそれがある。このような異物の発生を抑制するため、表面に陽極酸化皮膜を有するアルミニウム材の耐熱性をより高めることが望まれている。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、腐食性ガスやプラズマに対する耐食性に優れ、クラックの発生を抑制することができる表面処理アルミニウム材、その製造方法及び半導体製造装置用部材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる母材と、
アルミニウムの酸化物及び水和酸化物を含み、前記母材の表面の少なくとも一部に形成された保護皮膜と、を有し、
前記保護皮膜の厚みが2μm以上であり、
前記保護皮膜中の元素の質量比率をグロー放電発光分析法により深さ方向に分析した場合に、前記保護皮膜の表面から深さ1μmの位置までの範囲におけるアルミニウム原子の質量比率の積分値C
Al
に対する水素原子の質量比率の積分値C
H
の比C
H
/C
Al
が0.2以上0.7以下である、表面処理アルミニウム材にある。
【0009】
本発明の他の態様は、前記の態様の表面処理アルミニウム材の製造方法であって、
前記母材に陽極酸化処理を施すことにより前記母材上に細孔を備えた陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程と、
その後、前記母材を熱水中に浸漬して前記陽極酸化皮膜の前記細孔を封孔することにより前記母材上に前記保護皮膜を形成する封孔工程と、を有し、
前記封孔工程における熱水の温度T[℃]と、浸漬時間t[時間]との積が20℃・時間超え75℃・時間未満である、表面処理アルミニウム材の製造方法にある。
【発明の効果】
【0010】
前記表面処理アルミニウム材(以下、「アルミニウム材」という。)における母材の表面には、2μm以上の厚みを有し、アルミニウムの酸化物と水和酸化物とを含む保護皮膜が設けられている。また、前記酸化物及び前記水和酸化物は、前記保護皮膜中において、グロー放電発光分析法により深さ方向に分析した場合における、アルミニウム原子の質量比率の積分値C
Al
に対する水素原子の質量比率の積分値C
H
の比C
H
/C
Al
が前記特定の範囲となるように分布している。前記アルミニウム材は、母材上にこのような保護皮膜を設けることにより、高い耐食性を有すると共に、クラックの発生を抑制することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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