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公開番号2024150520
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-23
出願番号2024110718,2021507890
出願日2024-07-10,2019-08-19
発明の名称インサイチュ遺伝子編集
出願人プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ,ダナ-ファーバー キャンサー インスティテュート,インコーポレイテッド
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C12N 15/09 20060101AFI20241016BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞のインサイチュのゲノム修飾の方法を提供する。
【解決手段】ウイルス(例えば、AAV)を介して送達される配列標的化ヌクレアーゼを使用した、細胞(例えば、幹細胞、組織幹細胞、筋幹細胞、骨格筋におけるSca-1+間葉系前駆細胞、CD140a+真皮間葉系細胞)のインサイチュのゲノム修飾の方法が提供される。
【選択図】図1A
特許請求の範囲【請求項1】
インビボで対象の細胞の標的化集団のゲノムを修飾するための方法であって、
a.前記対象をウイルスと接触させることであって、前記ウイルスは、配列標的化ヌクレアーゼをコードする核酸配列を、前記細胞の標的化集団に形質導入することと、
b.前記配列標的化ヌクレアーゼを用いて、前記細胞の標的化集団のゲノムを修飾することと、を含み、
前記細胞の標的化集団は、造血幹細胞でも造血前駆細胞でもない、前記方法。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記ウイルスがアデノ随伴ウイルス(AAV)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記AAVが、前記細胞の標的化集団に対して向性を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記AAVが、細胞の非標的化集団に対して向性が低下しているか、または全くない、請求項2~3に記載の方法。
【請求項5】
AAVが、AAV血清型1、2、6、8、9、10またはAnc80L65である、請求項2~4に記載の方法。
【請求項6】
前記ウイルスが静脈内投与されるか、または前記細胞の標的化集団を含む組織に局所的に注射される、請求項1~5に記載の方法。
【請求項7】
前記配列標的化ヌクレアーゼが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、Creリコンビナーゼ、またはRNA誘導ヌクレアーゼである、請求項1~6に記載の方法。
【請求項8】
前記RNA誘導ヌクレアーゼがCas9ヌクレアーゼである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ウイルスが、前記細胞集団において1つ以上のgRNAをコードする核酸配列をさらに形質導入する、請求項1~8に記載の方法。
【請求項10】
前記対象を、前記細胞の標的化集団において1つ以上のgRNAをコードする核酸配列を形質導入する第2のウイルスと接触させることをさらに含む、請求項1~9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年8月18日に出願された米国仮出願第62/719,628号の利益を主張する。上記の出願の全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
続きを表示(約 3,400 文字)【0002】
政府の支援
本発明は、国立衛生研究所により付与された認可番号F32AG050395、R01
HL135287、DP1 AG048917、及びR01 AR070825の下、政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
体の組織及び臓器の効果的な機能は、どちらのプロセスも、組織幹細胞の作用の調節を必要とする、適切な細胞数の維持(ホメオスタシス)及び損傷後の損傷細胞の交換(修復)に依存する。数十年にわたる多くの研究は、幹細胞機能の重要な分子調節因子を定義しようと努めてきた。しかし、研究者がそのようなメディエーターを調べて定義することができたペースは、そのような研究に通常使用される遺伝子操作されたマウス及び幹細胞移植モデルを生成する技術的限界によって制約されてきた。特に、トランスジェニック及び遺伝子ノックアウトベースのアプローチでは、目的の遺伝子を遍在的または組織特異的な方法で破壊するために、複数の異なる遺伝子操作された欠失及び/またはフロックス(floxed)対立遺伝子の生成及び育種が必要であり、これは、いくつかの遺伝子を摂動させることの組合せ効果が目的である場合に悪化される課題である。同様に、幹細胞のエクスビボのゲノム操作には、これらの細胞の単離及び移植が必要であり、これは、内因性幹細胞ニッチに存在する重要な調節相互作用を妨害し、正常な幹細胞の特性を大幅に変更し得る(Wagers,2012)。したがって、この分野では、内因性幹細胞を単離したり、複雑な多対立遺伝子トランスジェニック動物を生成したりする必要なしに、内因性幹細胞の遺伝子発現を操作するためのプログラム可能なインビボプラットフォームの利用可能性から多大な恩恵を受けるであろう。
【0004】
現在提案されている多くのCRISPR/cas9ベースの遺伝子修飾治療の様式は、修飾前に細胞の標的化集団を患者から除去するエクスビボ法を含む。ただし、固形組織は必ずしも患者から除去できるとは限らないため、これらの方法の適用性が制限される。さらに、このような造血細胞などの組織の除去は、生着不全及び感染の重大なリスクをもたらし、そしてエクスビボで細胞を取り扱うための高価なGMP施設を必要とする。組織の除去はまた、細胞のネイティブのニッチ及び調節相互作用の喪失により、組織内の細胞の機能も破壊し得る。したがって、特に対象の体から容易に除去できない細胞については、インサイチュ遺伝子修飾法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0005】
開示されているのは、ネイティブの幹細胞の特性及び調節相互作用を保ちながら、その生理学的ニッチ内の細胞を遺伝的に変化させる強力な新しいシステムである。具体的には、このシステムは、細胞の単離、培養、またはその後の移植を必要とせずに、幹細胞ゲノムをインサイチュで操作することを可能にし、それにより、ネイティブの調節相互作用及び現存する幹細胞特性を維持する。このシステムはまた、インビトロ条件で堅牢な幹細胞機能を維持できないこと、アブレーションコンディショニングの必要な使用、及び生着不全の避けられないリスクなど、エクスビボでの幹細胞の修飾及びその後の移植に関連する課題及び毒性を軽減する(Morgan et al.,2017)。したがって、内因性組織幹細胞にDNA修飾酵素を直接形質導入する機会は、幹細胞における治療的遺伝子
編集を目的とした現在進行中の学術的及び商業的取り組みに直接かつ特定の関連性があり、その全てが、これまで、エクスビボでの修飾及び再注入のために幹細胞を精製する必要性があると考えている(Morgan et al.,2017)。
【0006】
本明細書に記載のAAVベースのインビボシステムではまた、幹細胞機能を調査するための現在の実験システムに関連する重要な技術的及び実際的な制限も克服する。特に、一般的に採用されているトランスジェニック及び遺伝子ノックアウトベースのモデルは、複数の対立遺伝子を導入するために複雑な育種スキームを必要とすることが多く、時間及びリソースの両方に多大な投資を必要とし、高齢の動物において、非標準の遺伝子的背景において、または組み合わせた方式で、遺伝標的化効果を評価する際にはさらに問題となる。対照的に、本明細書に開示されるように、プログラム可能なDNA修飾酵素のAAV媒介送達は、広範な動物の年齢及び系統にわたって、そして様々な個々の及び多重化された遺伝子座に適用され得る。したがって、この技術は、遺伝子の機能及び相互作用をインビボで及び組織前駆体で調べることができるペースを加速する上で重要な用途を有する可能性が高い。最終的に、このシステムは、幹細胞の表現型に特異的に影響を与えると疑われる候補及び未知の遺伝子標的の迅速かつ直接的なインビボスクリーニングを可能にするように適合され得る。
【0007】
本開示のいくつかの態様は、インビボで対象の細胞集団のゲノムを修飾する方法に関するものであり、この方法は、対象をウイルスと接触させることであって、このウイルスが、配列標的化ヌクレアーゼをコードする核酸配列を細胞の集団に形質導入することと、この細胞集団のゲノム(例えば、細胞集団内の細胞のゲノム)を、配列標的化ヌクレアーゼで修飾することとを含み、この細胞集団は、造血幹細胞でも、造血前駆細胞でもない。いくつかの実施形態では、この方法は、細胞の集団に対して選択的であるか、または1つ以上の他の細胞の集団を除外するために選択的である(本明細書に開示されるかまたは当技術分野で公知である細胞の任意の集団は除外され得る)。いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。いくつかの実施形態では、AAVは、AAV血清型1、2、6、8、9、10またはAnc80L65である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、局所的または全身的に投与される。いくつかの実施形態では、ウイルスは、静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、ウイルスは、局所的に注射される(例えば、細胞の集団を含む組織(すなわち、細胞の標的化集団)に注射される)。
【0008】
いくつかの実施形態では、配列標的化ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、Creリコンビナーゼ、またはRNA誘導ヌクレアーゼ(例えば、Cas9ヌクレアーゼ)である。いくつかの実施形態では、配列標的化ヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、細胞の集団において1つ以上のgRNAをコードする核酸配列をさらに形質導入する。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、細胞集団において1つ以上のgRNAをコードする核酸配列を形質導入する第2のウイルスと対象とを接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、この第2のウイルスはAAVである。いくつかの実施形態では、このAAVは、AAV血清型1、2、6、8、9、10またはAnc80L65である。
【0010】
いくつかの実施形態では、細胞の集団は、幹細胞または前駆細胞である。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、組織幹細胞(例えば、固形組織幹細胞)である。いくつかの実施形態では、細胞の集団は機能的な筋肉幹細胞である。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、骨格筋におけるSca-1
+
間葉系前駆細胞である。いくつかの実施形態では
、細胞の集団は、皮膚組織における真皮間葉細胞(CD140a
+
)である。本発明のい
くつかの実施形態では、細胞の集団は、前駆細胞である(例えば、造血前駆細胞集団、一
般的な骨髄系前駆体集団、顆粒球単球前駆体集団、巨核球赤芽球前駆体集団、系統を方向付けられた赤血球前駆体集団)。
(【0011】以降は省略されています)

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