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公開番号2024148566
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023061789
出願日2023-04-05
発明の名称横型熱電効果の計測装置及び方法
出願人国立研究開発法人物質・材料研究機構
代理人
主分類H10N 15/20 20230101AFI20241010BHJP()
要約【課題】熱電効果材料の熱電能の温度依存性を測定する場合でも、横型熱電効果素子の横型熱電変換係数が定量的に測定する計測装置及び方法を提供する。
【解決手段】被測定対象の横型熱電効果素子10の長手方向の両端のヒータ20a、20bと、横型熱電効果素子の幅方向に設けられた第1のプローブ対30a、30bと、第1のプローブ対から横型熱電効果素子の長手方向に一定距離Lx離れ、幅方向Lyに設けられた第2のプローブ対32a、32bと、各プローブ対の試料接触点における温度を測定するプローブ温度測定部54と、各プローブ対に夫々設けられた試料接触点における温度を制御するプローブ温度制御機構40a、40b、42a、42bを有するプローブ温度制御部50を備え、プローブ温度制御機構は、横型熱電効果素子の長手方向の温度勾配に対して、各のプローブ対を横型熱電効果素子に装着した場合に生ずる温度勾配に対する影響を少なくする。
【選択図】図6A
特許請求の範囲【請求項1】
被測定対象の横型熱電効果素子の長手方向の両端に設けられた温度勾配印加手段と、
前記横型熱電効果素子の幅方向に設けられた第1のプローブ対と、
前記第1のプローブ対から前記横型熱電効果素子の長手方向の一定距離離れた位置であって、幅方向に設けられた第2のプローブ対と、
前記第1及び第2のプローブ対の夫々の起電力を測定する起電力測定部と、
前記起電力測定部の測定する起電力を用いて、前記第1及び第2のプローブ対の試料接触点における温度を測定するプローブ温度測定部と、
前記第1及び第2のプローブ対の夫々設けられた前記試料接触点における温度を制御するプローブ温度制御機構を備え、
前記プローブ温度制御機構は、前記横型熱電効果素子の長手方向における温度勾配に対して、前記第1及び第2のプローブ対を前記横型熱電効果素子に装着された場合に生ずる、前記温度勾配に対する影響を少なくする、
ことを特徴とする横型熱電効果の計測装置。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記プローブ温度制御機構は、
前記第1及び第2のプローブ対温度を前記横型熱電効果素子の長手方向における平均温度近傍に制御する手段を有する、
請求項1に記載の横型熱電効果の計測装置。
【請求項3】
前記プローブ温度制御機構は、
前記横型熱電効果素子の長手方向における実温度勾配を推定する手段と、
前記第1及び第2のプローブ対の長手方向装着位置での実温度勾配と一致するように、前記第1及び第2のプローブ対での温度を校正する手段を有する、
請求項1に記載の横型熱電効果の計測装置。
【請求項4】
前記横型熱電効果素子の長手方向における実温度勾配を推定する手段は、
前記温度勾配印加手段の前記横型熱電効果素子に対する温度を変更し、
各温度変更された段階での前記第1及び第2のプローブ対の温度測定を繰り返して、
前記第1及び第2のプローブ対の熱流出係数、前記横型熱電効果素子の両端と前記温度勾配印加手段での熱コンダンクタンス、及び前記横型熱電効果素子の熱コンダンクタンスを演算し、
前記第1及び第2のプローブ対の熱流出係数と、前記3種の熱コンダンクタンスを用いて、熱拡散方程式に基づく解析又はシミュレーションにより、前記第1及び第2のプローブ対の長手方向装着位置での実温度勾配を求め、前記横型熱電効果素子の熱電能を求める手段を有する、
請求項3に記載の横型熱電効果の計測装置。
【請求項5】
前記プローブ温度制御機構は、
前記第1及び第2のプローブ対への熱流出入量を測定する手段を備え、
前記第1及び第2のプローブ対の熱流出入を等量になるように、前記第1及び第2のプローブ対温度を制御することで温度勾配の誤差を防ぐ手段を有する、
請求項1に記載の横型熱電効果の計測装置。
【請求項6】
前記プローブ温度制御機構は、
前記第1及び第2のプローブ対の中間位置に起電力測定用プローブを備え、
前記第1及び第2のプローブ対で測定した温度差から前記温度勾配を求める、
請求項1に記載の横型熱電効果の計測装置。
【請求項7】
前記プローブ温度制御機構は、
前記第1及び第2のプローブ対の起電力における前記横型熱電効果素子の長手方向における平均起電力を演算する手段を有し、
前記第1及び第2のプローブ対の前記横型熱電効果素子との接続点の温度を、前記第1及び第2のプローブ対の平均起電力に対応する平均温度近傍に制御する、
請求項1に記載の横型熱電効果の計測装置。
【請求項8】
前記横型熱電効果素子は、ネルンスト効果、異常ネルンスト効果、スピンゼーベック効果、若しくはゼーベック駆動横型熱電発電の何れかを発現する素子、又はゴニオポーラ材料、若しくは(p×n)型熱電変換材料(超格子、斜方切断型バルク積層体を含む)の何れかである、
請求項1に記載の横型熱電効果の計測装置。
【請求項9】
被測定対象の横型熱電効果素子の長手方向の両端に設けられた温度勾配印加手段と、
前記横型熱電効果素子の幅方向に設けられた第1のプローブ対と、
前記第1のプローブ対から前記横型熱電効果素子の長手方向の一定距離離れた位置であって、幅方向に設けられた第2のプローブ対と、
前記第1及び第2のプローブ対の試料接触点における温度を測定するプローブ温度測定部と、
前記第1及び第2のプローブ対に夫々設けられた前記試料接触点における温度を制御するプローブ温度制御機構を備える横型熱電効果の計測を用いて、前記横型熱電効果素子の横型熱電効果を計測する方法であって、
前記温度勾配印加手段により、前記横型熱電効果素子の長手方向に温度勾配を生じさせ、
前記プローブ温度制御機構により、前記横型熱電効果素子の長手方向における温度勾配に対して、前記第1及び第2のプローブ対を前記横型熱電効果素子に装着された場合に生ずる、前記温度勾配に対する影響を少なくするように補償動作を行う、
ことを特徴とする横型熱電効果の計測方法。
【請求項10】
前記プローブ温度制御機構の補償動作は、
前記プローブ温度制御機構により、前記第1及び第2のプローブ対温度を前記横型熱電効果素子の長手方向における平均温度近傍に制御することを特徴とする、
請求項9に記載の横型熱電効果の計測方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、横型熱電効果の計測装置及び方法に関し、特に例えばネルンスト効果や異常ネルンスト効果のように、横型熱電効果素子での温度勾配と直交する方向に起電力を生ずる横型の熱電能測定に適した横型熱電効果の計測装置及び方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
熱電効果は、伝導体における熱エネルギーと電気エネルギーの相互変換現象であり、廃熱を利用した発電や温室効果ガスフリーの冷却の応用展開に期待されている。
熱電効果には、「縦型」と「横型」の2類型があり、「縦型」には例えばゼーベック効果があり、「横型」には例えばネルンスト効果や異常ネルンスト効果がある。モジュール構造作製の容易性などから、「横型」の熱電効果が近年注目を集めている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
熱電変換性能を示す指標の1つとして、熱電能Sがあり、単位温度勾配∇Tあたりの出力電場Eで表される。
S=E/∇T (1)
高い熱電変換特性を持つ物質の探索には、精度の良い熱電能Sの計測が重要である。
【0004】
図1は、縦型の熱電能測定を示す電圧測定プローブの配置図である。電圧測定プローブは2本の異なる金属線から成る熱電対により構成され、電圧測定プローブ点での温度を計測できる。
第1の電圧測定プローブ対30a、30bは、縦型熱電効果素子12の幅方向に位置する二つの第1の電圧測定プローブ30a、30bで構成される。第2の電圧測定プローブ対32a、32bは、縦型熱電効果素子12の幅方向に位置する二つの第2の電圧測定プローブ32a、32bで構成される。第1の電圧測定プローブ30aと第2の電圧測定プローブ対32aの間の長手方向の距離をLxとする。第1の電圧測定プローブ30bと第2の電圧測定プローブ32bの間の電位差をVとする。第1及び第2の電圧測定プローブ30b、32b間の長手方向の温度差をdTすると、出力電場Eと温度勾配∇Tは次式で表される。
E=V/Lx、 ∇T=dT/Lx (2)
ここで、温度差dTは電圧測定プローブ30b、32bによって直接測られている。そこで、プローブ接触による熱流出の影響は、測定される熱電能に対しては少ないという性質がある。(2)式を(1)式に代入するとLxが打ち消しあい、S=V/dTとなる。縦型の熱電能測定においては電圧測定プローブ2点間の温度差のみが重要であり、中間領域の温度分布には影響されない。このような縦型の熱電能測定装置は、例えば特許文献1~3に開示されている。
【0005】
図2は、横型熱電効果素子の横型の熱電能測定を示す電圧測定プローブの配置図である。第1の電圧測定プローブ対30a、30bと、第2の電圧測定プローブ対32a、32b間の長手方向の距離をLxとする。横型熱電効果素子10の幅方向の距離をLyとし、第1及び第2の電圧測定プローブ対間の長手方向の温度差をdTする。すると、試料長手方向に沿って線形な温度プロファイルの場合には、出力電場Eと温度勾配∇Tは次式で表される。
E=V/Ly、 ∇T=dT/Lx (3)
即ち、「横型」の熱電能はS=(V・Lx)/(dT・Ly)となり、電圧方向と温度勾配方向の距離情報が打ち消しあわない。横型熱電効果素子10の「横型」の熱電能(横熱電能)は第1の電圧測定プローブ対の間の長手方向の温度勾配に依存する(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5992194号
特許第6540364号
WO2011/101900号
【非特許文献】
【0007】
K. Uchida et al., Joule 6, 2240 (2022).
Y. Sakuraba et al., Appl. Phys. Express 6, 033003(2013).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら横型熱電変換の場合、試料幅方向の起電力測定のための電圧測定プローブ間における長手方向の温度勾配を直接測定することができないために、試料における温度プロファイルの仮定が必要であり、プローブからの熱流出入により試料の温度プロファイルが変化してしまった場合、長手方向の二点の温度差と電圧測定プローブ間における温度勾配が一致せず、計測結果の正確性が損なわれる課題がある。即ち、横型熱電変換の場合、プローブ接触による熱流出の影響が大きいという性質がある。従って、横型熱電効果素子10の「横型」の測定電圧は測定環境・セットアップに大きく依存し得るため、熱電能を正確に見積もれない可能性も高くなるという課題がある。
【0009】
そこで、横熱電能測定においては、本来は熱起電力=0の設定のはずなのに、有限の横熱起電力が測定されてしまうという課題がある。例えば、図3、図4では、横型熱電効果素子10としての1mm幅試料10aと3mm幅試料10bについて、温度勾配印加手段(20a、20b)を50℃という常温よりも25℃程度高温に保持した際の、熱電効果材料10の熱電能測定を行っており、ここでは赤外線カメラを用いた温度分布測定図を示している。
図3は、赤外線カメラを用いた温度分布測定において、1mm幅試料10aで、図3Aはプローブ接触、図3Bはプローブ非接触の時の結果を示している。プローブ接触では、第1の電圧測定プローブ30a、30bと第2の電圧測定プローブ32a、32bに対する1mm幅試料10aとの接触部分で、1mm幅試料10aの温度の低下が観測されている。これに対して、プローブ非接触では、1mm幅試料10aの温度分布は、一様な温度勾配分布となっている。
【0010】
図4は、赤外線カメラを用いた温度分布測定において、3mm幅試料10bで、図4Aはプローブ接触、図4Bはプローブ非接触を示している。プローブ接触では、第1の電圧測定プローブ30a、30bと第2の電圧測定プローブ32a、32bに対する3mm幅試料10bでの接触部分で、3mm幅試料10bの温度の低下が観測されているが、1mm幅試料10aと比較すると、温度分布の非一様性は改善されている。これに対して、プローブ非接触では、3mm幅試料10bの温度分布は、一様な温度勾配分布となっている。
図3A、図4Aで示されるセットアップでは、プローブ接触による熱流出を観測しており、∇T=dT/Lxによる温度勾配の推定を用いると、∇T=0でありながら、左右のプローブペア(第1の電圧測定プローブ30a、30bと第2の電圧測定プローブ32a、32b)有限の横熱起電力が観測される。
(【0011】以降は省略されています)

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