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公開番号
2024148293
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-18
出願番号
2023061306
出願日
2023-04-05
発明の名称
シアン化水素検知紙
出願人
日本曹達株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
G01N
31/00 20060101AFI20241010BHJP(測定;試験)
要約
【課題】
高濃度(1.5vol%以上)の漏洩シアン化水素ガス発生の恐れがある現場において、簡便にシアン化水素ガスの存在を検知することができる、シアン化水素検知紙を提供することである。
【解決手段】
本発明のシアン化水素検知紙は、金属塩と、その金属塩と有色錯体を形成する色素とを含有し、湿潤した担持紙からなる。
金属塩としては酢酸銅(II)等であり、色素としては赤色102号などが挙げられる。
長期に保存して使う場合は、担持紙に、酸化防止剤として酢酸アンモニウム等、保湿剤としてエチレングリコール等を含有させることができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
金属塩と、その金属塩と有色錯体を形成する色素とを含有し、湿潤した担持紙からなる、シアン化水素検知紙。
続きを表示(約 130 文字)
【請求項2】
金属塩が酢酸銅(II)であって、色素が赤色102号である、請求項1に記載のシアン化水素検知紙。
【請求項3】
担持紙に、さらに、酢酸アンモニウムとエチレングリコールを含有する、請求項1又は2に記載のシアン化水素検知紙。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、雰囲気中に含まれているシアン化水素と呈色反応させて、その存在、及び漏洩の有無を確認するためのシアン化水素検知紙に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
シアン化水素は毒性が比較的強いため、設備内のシアンガス漏洩確認が環境整備上重要となる。漏洩ガス濃度の確認は、ガス検知器の使用や、各種反応機構の利用(ベルリンブルー反応、ロダン反応、ピリジンピラゾロン法等)が行われているが、簡便な方法として、シアン化水素検知紙を用いる方法もある。
シアン化水素検知紙を用いる方法として、具体的には、酢酸銅(II)、酸化防止剤、保湿剤、及びシアン化銅の酸化力により変色する発色剤を担持紙に展開してなるシアン化水素検知紙が知られている(特許文献1)。
特許文献1では、発色剤としてテトラメチルジアミノジフェニルメタンが使用されており、酢酸銅と一緒に担持されている発色剤が、シアン化水素の存在下で酢酸銅がシアン化銅となったことで変色することにより、シアンの存在を検知する方法である。
工場などにおける高濃度の漏洩ガスの場合、高精度の機器では短時間での反復確認に不向きで、確認能率が低いという問題がある。また、各種従来反応では、グアヤクチンキ試験紙法でのグアヤク樹脂のように、使用する原料が枯渇する懸念や、有害物質の使用を含むといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2001-013076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高濃度(1.5vol%以上)の漏洩シアン化水素ガス発生の恐れがある現場において、簡便にシアン化水素ガスの存在を検知することができる、シアン化水素検知紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は以下の本発明により解決される。
(1)金属塩と、その金属塩と有色錯体を形成する色素とを含有し、湿潤した担持紙からなる、シアン化水素検知紙。
(2)金属塩が酢酸銅(II)であって、色素が赤色102号である、(1)に記載のシアン化水素検知紙。
(3)担持紙に、さらに、酢酸アンモニウムとエチレングリコールを含有する、(1)又は(2)に記載のシアン化水素検知紙。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、金属塩と、有色錯体を形成する色素とを含有し湿潤した担持紙による検知紙を提供し、工場などから漏洩する高濃度のシアン化水素を簡便に検知することができる。例えば、シアン化水素の漏洩している恐れのある箇所(フランジ部など)にかざして使用することができる。
特許文献1の検知紙と比べると、入手が容易で食品にも使われる安全な赤色色素等を用いることができる点で、優れている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のシアン化水素検知紙は、金属塩と、その金属塩と有色錯体を形成する色素とを含有し、湿潤した担持紙からなる。
シアン化水素検知紙中では、金属塩と色素とから有色錯体が形成されている。検知紙がシアン化水素の雰囲気下に置かれると、金属塩と色素とから形成された有色錯体にシアン化水素が作用し、シアン化水素に金属塩が奪われることで色素本来の色調に戻り、シアン化水素の存在を検知することができる。また、酸化防止剤と保湿剤を含有することで、用時調製ではなく事前に試験紙を用意し、常温保存後に使用することも可能である。
本発明において、「湿潤した」とは、金属塩と、その金属塩と有色錯体を含む溶液により担持紙が湿っていて、乾燥していないことを意味するが、湿潤の程度は、手で触れた時に湿っていると感じる状態であることは勿論、手で感じなくても、検知し得る程度に乾燥していなければよい。
【0008】
(金属塩)
金属塩としては、色素と有色錯体を形成することができ、シアン化水素と反応して色素が元の色に戻ることができる限り特に制限はないが、遷移金属原子のカルボン酸塩が好ましく、特に、酢酸銅が好ましい。
遷移金属としては、周期表第7~12族に属する遷移金属原子からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属原子であり、中でも、価格や入手容易性の観点から、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属原子が好ましい。
カルボン酸としては、遷移金属の配位子として知られている任意のものを使用可能である。例えば、酢酸、プロピオン酸等の一価のカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸などの二価以上の多価カルボン酸が挙げられる。
金属塩として、具体的には、酢酸銅、プロピオン酸銅、シュウ酸銅、酢酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、酢酸コバルト、シュウ酸コバルト、クエン酸コバルト、酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、クエン酸亜鉛等、又は、これらの水和物が挙げられる。
【0009】
(金属塩と錯体形成可能な色素)
色素は、上記金属塩と有色錯体を形成できるものであれば、特に限定されないが、アゾ染料が好ましい。
アゾ色素としては、例えば、式(I)で表される化合物又はそれらの塩が挙げられる。
A
1
(-N=N-A
2
)
p
-N=N-A
3
(I)
式(I)中、A
1
およびA
3
は、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよい安息香酸フェニルエステル基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表わす。A
2
は、置換基を有していてもよいp-フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン-1,4-ジイル基、置換基を有していてもよい4,4’-スチルベニレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表わす。pは0~4の整数を表わす。pが2以上の整数である場合、複数のA
2
は互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。
1価の複素環基としては、例えば、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾールなどの複素環化合物から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。2価の複素環基としては、前記複素環化合物から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
「置換基を有していてもよい」の置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、重合性基を有する炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1~20のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1~4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;アミノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基等が挙げられる。
塩としては、Na、Kなどのアルカリ金属塩、Ca、Mg等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
特に、以下の化学構造を有する赤色102号等の遷移金属原子と錯体を形成できる食用アゾ色素が好ましい。
JPEG
2024148293000001.jpg
41
170
【0010】
(担持紙)
担持紙としては、セルロースを素材とするろ紙等が使用できる。
(【0011】以降は省略されています)
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