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公開番号2024148230
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023061178
出願日2023-04-05
発明の名称金属薄膜の原子層堆積方法
出願人株式会社高純度化学研究所
代理人個人,個人
主分類C23C 16/18 20060101AFI20241010BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】金属錯体を前駆体原料として、熱原子層堆積(熱ALD)法により金属薄膜を堆積させる方法であって、失活の懸念のあるプラズマや酸素混入の懸念があるオゾンなどの酸素含有酸化剤を用いない方法を提供する。
【解決手段】芳香族アニオン配位子を持つ金属錯体を、基板温度を金属錯体の分解温度よりも3℃以上低い温度とした反応室内に供給する工程1と、該反応室内に100~50,000Paの水素分圧をもつ水素含有ガスを供給する工程2とを含む、熱ALD法を用いた金属薄膜の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
芳香族アニオン配位子を持つ金属錯体を、基板温度を金属錯体の分解温度よりも3℃以上低い温度とした反応室内に供給する工程1と、
該反応室内に100~50,000Paの水素分圧をもつ水素含有ガスを供給する工程2とを含む、熱原子層堆積(熱ALD)法を用いた金属薄膜の製造方法。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
前記芳香族アニオン配位子がシクロペンタジエニル配位子である、請求項1に記載の金属薄膜の製造方法。
【請求項3】
アルキル配位子を持つ金属錯体を、基板温度を金属錯体の分解温度よりも3℃以上低い温度とした反応室内に供給する工程1と、
該反応室内に100~50,000Paの水素分圧をもつ水素含有ガスを供給する工程2とを含む、熱原子層堆積(熱ALD)法を用いた金属薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記金属錯体が水溶液中における水和イオンと単体金属との間の標準酸化還元電位が-1.1Vより大きい金属の錯体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属薄膜の製造方法。
【請求項5】
前記水素含有ガスが、酸素原子を含まない混合ガスである、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属薄膜の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱原子層堆積(熱ALD)法により、金属薄膜を形成するための方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
一般的な化学蒸着(CVD)法と比べて、段差被覆性や膜厚制御性に優れる技術として、原子層堆積(ALD)法が知られている。ALD法は、原子層単位で薄膜を形成する技術であり、通常、(1)ガス化した原料を一層だけ基板表面と反応または吸着させ、余分な原料をパージする、(2)酸化剤や還元剤などの反応ガスを供給して、基板上の原料を目的とする堆積物になるように反応させる、の二つの工程を繰り返すことにより成膜を行う。このように、原料を連続的でなく一層ずつ堆積させるため、ALD法には段差被覆性や膜厚制御性に優れるという特徴がある。また、ALD法では、原料を熱分解させないので、比較的低温下に絶縁膜を形成することができる。このため、例えば、メモリ素子のキャパシタや、液晶ディスプレイのようにガラス基板を用いる表示装置における、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜の形成などへの応用が期待される。
【0003】
ALD法には、熱で反応を促進する熱ALD(TALD)や、プラズマを利用して反応を促進するプラズマ援用ALD(PEALD)がある。このうち、PEALDはより低温で成膜可能であることから、温度に敏感な材料への適用が可能である。例えば、特許文献1には、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(Ru(Cp)
2
)やビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)(Ru(EtCp)
2
)等のルテニウム前駆体を使用し、反応ガスおよびパージガスとして、アンモニア(NH
3
)ガス、または、窒素(N
2
)と水素(H
2
)の混合ガスを使用して、400℃以下の温度でプラズマ援用ALD(PEALD)により、ルテニウム薄膜を形成する方法が記載されている。
【0004】
前記ルテニウム薄膜の形成方法では、400℃以下の加熱下に、プラズマと、アンモニアガスまたは窒素/水素混合ガスが用いられる。特許文献1では、アンモニア(NH
3
)ガスおよび窒素/水素混合ガスのいずれもプラズマ支援無しではルテニウム前駆体と反応しないと記載されるとおり、特許文献1の成膜方法においては、プラズマ支援無しに熱だけで反応を進行させてルテニウム薄膜を堆積することは困難である。
【0005】
プラズマを利用して反応を促進することで、低温での成膜が可能となり、温度に敏感な材料への適用が可能となる一方、アンモニアおよび水素などを用いる際に、プラズマによってラジカル種を生成させて行うため、これらが堆積途中で失活することにより段差被覆性が悪くするおそれがある。
【0006】
一方、特許文献2では、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)(Ru(EtCp)
2
)などの芳香族アニオン配位子を持つ有機金属錯体を前駆体とし、求核性のアンモニアガスと求電子性の水素ガスとの混合ガスを反応ガスとして使用することで、プラズマを使用せずに、ルテニウム薄膜を形成する方法や、トリメチルトリメチルホスフィン金((CH
3

3
AuP(CH
3

3
)などのアルキル配位子を持つ有機金属錯体を前駆体とし、アンモニアと水素の混合ガスを反応ガスとして使用することで、プラズマを使用せずに、ルテニウム薄膜を形成する方法が記載されている。しかしながら、特許文献2の方法では、求核性のガスと求電子性のガスを混合して用いるので、複数の原料を混合して反応室に供給するか、または、あらかじめ混合した特別な原料を使用する必要があり煩雑である。このため、プラズマ支援無しに熱ALD法を用いて、煩雑な工程を必要とせずにルテニウム薄膜を成膜する方法が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
米国特許出願公開第2006/0177601号明細書
国際公開第2019/017285号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、金属錯体を前駆体原料として、熱原子層堆積(熱ALD)法により金属薄膜を堆積させる方法であって、失活の懸念のあるプラズマや、酸素混入の懸念があるオゾンなどの酸素含有酸化剤を用いない方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、熱原子層堆積(熱ALD)法において、芳香族アニオン配位子を持つ金属錯体またはアルキル配位子を持つ金属錯体に対して、特定の水素分圧をもつ水素含有ガスを用いることで、プラズマや酸化剤を用いずに金属薄膜を堆積できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の事項からなる。
本発明の熱ALD法を用いた金属薄膜の製造方法は、芳香族アニオン配位子を持つ金属錯体を、基板温度を金属錯体の分解温度よりも3℃以上低い温度とした反応室内に供給する工程1と、該反応室内に100~50,000Paの水素分圧をもつ水素含有ガスを供給する工程2とを含むことを特徴とする。
前記芳香族アニオン配位子はシクロペンタジエニル配位子であることが好ましい。
【0010】
本発明の熱ALD法を用いた金属薄膜の製造方法は、アルキル配位子を持つ金属錯体を、基板温度を金属錯体の分解温度よりも3℃以上低い温度とした反応室内に供給する工程1と、該反応室内に100~50,000Paの水素分圧をもつ水素含有ガスを供給する工程2とを含むことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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