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公開番号2024144382
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2024054455
出願日2024-03-28
発明の名称ダイズ植物、ダイズ植物の判定方法、及びダイズ植物のスクリーニング方法
出願人国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構,住友化学株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類A01H 5/00 20180101AFI20241003BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】本発明は、これまで知られている抵抗性遺伝子を導入することなく、ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物を提供することを目的とする。また、本発明は、これまで知られている抵抗性遺伝子を導入することなく、ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物の判定方法、及びダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物のスクリーニング方法も提供することを目的とする。
【解決手段】ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物であり、前記ダイズ植物が、ホモ型のSSI2A遺伝子変異を含み、前記SSI2A遺伝子変異が、SSI2A遺伝子の発現産物の量又は機能を低下させる変異である、ダイズ植物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物であり、
前記ダイズ植物が、ホモ型のSSI2A遺伝子変異を含み、
前記SSI2A遺伝子変異が、SSI2A遺伝子の発現産物の量又は機能を低下させる変異である、ダイズ植物。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
ステアリン酸からオレイン酸を生成する機能が低下している、請求項1に記載のダイズ植物。
【請求項3】
前記SSI2A遺伝子変異が、配列番号1で示されるアミノ酸配列の第215番目のグリシン残基に相当するアミノ酸残基がアルギニン残基に置換される変異、及び/又は配列番号1で示されるアミノ酸配列の第186番目のグリシン残基に相当するアミノ酸残基がアスパラギン酸残基に置換される変異を含む、請求項1に記載のダイズ植物。
【請求項4】
SSI2B遺伝子変異を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載のダイズ植物。
【請求項5】
ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物の判定方法であり、
ダイズ植物が、ホモ型のSSI2A遺伝子変異を有している場合に、ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物であると判定することを含み、
前記SSI2A遺伝子変異が、SSI2A遺伝子の発現産物の量又は機能を低下させる変異である、判定方法。
【請求項6】
前記ダイズ植物の、ステアリン酸からオレイン酸を生成する機能が、低下している、請求項5に記載の判定方法。
【請求項7】
前記SSI2A遺伝子変異が、配列番号1で示されるアミノ酸配列の第215番目のグリシン残基に相当するアミノ酸残基がアルギニン残基に置換される変異、及び/又は配列番号1で示されるアミノ酸配列の第186番目のグリシン残基に相当するアミノ酸残基がアスパラギン酸残基に置換される変異を含む、請求項5に記載の判定方法。
【請求項8】
請求項5~7のいずれかのいずれか一項に記載の判定方法により、ダイズさび病に対する抵抗性を示すダイズ植物をスクリーニングすることを含む、ダイズ植物の作出方法。
【請求項9】
ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物のスクリーニング方法であり、前記方法が、
ダイズ植物に対して、ホモ型のSSI2A遺伝子変異を含むダイズ植物を選別する選別工程を備え、
前記SSI2A遺伝子変異が、SSI2A遺伝子の発現産物の量又は機能を低下させる変異である、スクリーニング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイズ植物、ダイズ植物の判定方法、及びダイズ植物のスクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
ダイズさび病は南北アメリカ大陸で蔓延しているダイズ植物の最重要病害である。現在、主にダイズ植物に殺菌剤を散布する方法によってダイズさび病の防除が行われている。また、抵抗性ダイズ系統が有するダイズさび病に対する抵抗性遺伝子を、ダイズ植物へ導入することによる抵抗性品種の開発も進められている(例えば、非特許文献1及び2)。一方、殺菌剤はコストが高いうえに殺菌剤抵抗性菌株が出現する。現在知られている抵抗性遺伝子は、さび病菌レースに特異的なものであり打破菌株が出現するため、多様なさび病菌レースに対応することができない。
【0003】
ダイズ植物には、オレイン酸(18:1)の合成を触媒するステアロイル-アシルキャリア蛋白質-デサチュラーゼ(SACPD)をコードする遺伝子が存在しており、SACPD-A、SACPD-B、SACPD-C、SACPD-D、SACPD-Eの5つのSACPDファミリー遺伝子が同定されている(例えば、非特許文献3及び4)。中でもSACPD-A、SACPD-BはそれぞれSSI2A、SSI2Bとも称されており、非常に相同性が高い。ダイズ植物において、SACPD-A、及びSACPD-B遺伝子の発現量が低減すると、Pseudomonas syringae pv. glycineaが病原菌であるダイズ斑点細菌病、及びPhytophthora sojaeが病原菌である茎疫病に対して抵抗性を示すようになることは知られている(例えば、非特許文献3)。しかしながら、これまで知られている抵抗性遺伝子以外の遺伝子が関与して、ダイズさび病に対する抵抗性が付与されることは具体的に明らかにされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Godoyet al., “Asian soybean rust in Brazil: past, present,and future”, Pesqui. Agropec. Bras., 2016;51:407-421.
Yamanakaet al., “Soybean Breeding Materials Useful forResistance to Soybean Rust in Brazil”, JARQ45(4)385-395(2011).
Kachrooet al., “An Oleic Acid-Mediated Pathway Induces Constitutive Defense Signaling and Enhanced Resistance to Multiple Pathogens inSoybean”, Molecular Plant-Microbe Interactions, vol.21,no.5, 2008, 564-575.
NaoufalLakhssassi et al, “Soybean TILLING-by-Sequencing+reveals the role of novel GmSACPD members in unsaturated fatty acidbiosynthesis while maintaining healthy nodules”,Journal of Experimental Botany, Volume 71,Issue 22, 31 December 2020, Pages6969-6987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これまで知られている抵抗性遺伝子を導入することなく、ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物を提供することを目的とする。また、本発明は、これまで知られている抵抗性遺伝子を導入することなく、ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物の判定方法、及びダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物のスクリーニング方法も提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、SSI2A遺伝子変異を有するダイズ植物は、ダイズさび病に対して抵抗性を示すことを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、例えば以下の発明に関する。
[1]
ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物であり、
上記ダイズ植物が、ホモ型のSSI2A遺伝子変異を含み、
上記SSI2A遺伝子変異が、SSI2A遺伝子の発現産物の量又は機能を低下させる変異である、ダイズ植物。
[2]
ステアリン酸からオレイン酸を生成する機能が低下している、[1]に記載のダイズ植物。
[3]
上記SSI2A遺伝子変異が、配列番号1で示されるアミノ酸配列の第215番目のグリシン残基に相当するアミノ酸残基がアルギニン残基に置換される変異、及び/又は配列番号1で示されるアミノ酸配列の第186番目のグリシン残基に相当するアミノ酸残基がアスパラギン酸残基に置換される変異を含む、[1]又は[2]に記載のダイズ植物。
[4]
SSI2B遺伝子変異を含まない、[1]~[3]のいずれかに記載のダイズ植物。
[5]
ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物の判定方法であり、
ダイズ植物が、ホモ型のSSI2A遺伝子変異を有している場合に、ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物であると判定することを含み、
上記SSI2A遺伝子変異が、SSI2A遺伝子の発現産物の量又は機能を低下させる変異である、判定方法。
[6]
上記ダイズ植物の、ステアリン酸からオレイン酸を生成する機能が、低下している、[5]に記載の判定方法。
[7]
上記SSI2A遺伝子変異が、配列番号1で示されるアミノ酸配列の第215番目のグリシン残基に相当するアミノ酸残基がアルギニン残基に置換される変異、及び/又は配列番号1で示されるアミノ酸配列の第186番目のグリシン残基に相当するアミノ酸残基がアスパラギン酸残基に置換される変異を含む、[5]又は[6]に記載の判定方法。
[8]
[5]~[7]に記載の判定方法により、ダイズさび病に対する抵抗性を示すダイズ植物をスクリーニングすることを含む、ダイズ植物の作出方法。
[9]
ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物のスクリーニング方法であり、上記方法が、
ダイズ植物に対して、ホモ型のSSI2A遺伝子変異を含むダイズ植物を選別する選別工程を備え、
上記SSI2A遺伝子変異が、SSI2A遺伝子の発現産物の量又は機能を低下させる変異である、スクリーニング方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、これまで知られている抵抗性遺伝子を導入することなく、ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物を提供することができる。また、本発明によれば、ダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物の判定方法、及びダイズさび病に対して抵抗性を示すダイズ植物のスクリーニング方法も提供することができる。
【0009】
また、非特許文献3に記載されているように、SSI2A遺伝子等を含むSSI2遺伝子の変異はサリチル酸が関与して広範囲な抵抗反応を誘導することが知られている。そのため、本発明によれば、ダイズさび病菌レースに特異的なダイズさび病に対する抵抗性遺伝子を導入しないため、打破菌株が出現しにくいと考えられ、また、多様なダイズさび病菌レースの防除が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1において、第215番目のグリシン残基がアルギニン残基に置換されている変異をホモ型に有するダイズ植物(SSI2A G215R変異ホモ型のダイズ植物)について、ダイズさび病に対する抵抗性の評価(病斑面積の計測)と遺伝子型の解析を行った結果を示すグラフである。
実施例1において、ホモ型のSSI2A遺伝子の変異を有する(ダイズさび病に対して抵抗性を示す)ダイズ植物(SSI2A G215R変異ホモ型のダイズ植物)の葉(B)とSSI2A遺伝子に変異を有しない(ダイズさび病に対して抵抗性を示さない)ダイズ植物の葉(A)を比較した画像である。
実施例2において、SSI2A G215R変異ホモ型のダイズ植物について、SSI2A遺伝子の発現量を解析した結果を示すグラフである。
実施例3において、SSI2A G215R変異ホモ型のダイズ植物の葉のステアリン酸の蓄積量(A)、及び当該ダイズ植物の葉のオレイン酸の蓄積量(B)を示すグラフである。
実施例4において、第186番目のグリシン残基がアスパラギン酸残基に置換されている変異をホモ型に有するダイズ植物(SSI2A G186D変異ホモ型のダイズ植物)について、ダイズさび病に対する抵抗性の評価(病斑面積の計測)と遺伝子型の解析を行った結果を示すグラフである。
実施例5において、Alpha-Fold2により、ダイズのSSI2Aの立体構造予測をした結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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