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公開番号
2024144353
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2024051967
出願日
2024-03-27
発明の名称
軟部組織再生用組成物
出願人
株式会社カネカ
代理人
弁理士法人平木国際特許事務所
主分類
C12N
5/0775 20100101AFI20241003BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】本発明は、脂肪組織の生着率を向上させる方法、並びに脂肪組織の生着率が改善された軟部組織再生用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、低酸素条件で培養した間葉系幹細胞又はこれを含む細胞集団と脂肪組織を含有する軟部組織再生用組成物、及び低酸素条件で培養した間葉系幹細胞又はこれを含む細胞集団と脂肪組織を混合して生体に移植することにより、脂肪組織の生着率を向上させる方法を提供する。本発明では、低酸素条件で培養した間葉系幹細胞又はこれを含む細胞集団を、脂肪組織と混合して生体に移植することで、脂肪組織の生着率が向上する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
低酸素条件で培養した間葉系幹細胞と脂肪組織を含有する軟部組織再生用組成物。
続きを表示(約 630 文字)
【請求項2】
前記間葉系幹細胞が脂肪組織に由来する請求項1に記載の軟部組織再生用組成物。
【請求項3】
前記低酸素条件が、酸素濃度10%以下である請求項1に記載の軟部組織再生用組成物。
【請求項4】
前記間葉系幹細胞が細胞懸濁液の状態であり、前記軟部組織再生用組成物の総量に対する前記細胞懸濁液の含有量が2.5容量%以上であり、前記軟部組織再生用組成物の総量に対する脂肪組織の含有量が97.5容量%未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の軟部組織再生用組成物。
【請求項5】
脂肪組織1mLあたり2.0×10
4
cells以上、15×10
5
cells以下の前記間葉系幹細胞を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軟部組織再生用組成物。
【請求項6】
脂肪組織の移植後生着率の向上方法であって、移植用脂肪組織に、低酸素条件で培養した間葉系幹細胞を混合することを特徴とする方法。
【請求項7】
軟部組織の再生方法であって、
低酸素条件で培養した間葉系幹細胞と脂肪組織とを混合し、軟部組織再生用組成物を調製する工程、および
該軟部組織再生用組成物を、対象となる非ヒト動物の陥凹病変部に移植する工程
を含む方法。
【請求項8】
低酸素条件で培養した間葉系幹細胞を含む、脂肪組織の移植後生着率向上剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟部組織再生用組成物、詳細には培養された間葉系幹細胞と脂肪組織を含有する軟部組織再生用組成物に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)
【背景技術】
【0002】
脂肪注入術は、自己の脂肪組織を回収して陥凹病変に注入することで軟部組織を再生する方法であり、エリテマトーデスなどの膠原病やParry-Romberg症候群などの先天性疾患、癌などの疾病治療を目的とした外科的手術、交通事故などによる外傷などの要因により起こる顔面変性疾患の陥凹変形治療の選択肢の一つである(非特許文献1)。
【0003】
本術式では、脂肪組織の採取は細いカニューレを用い、注入は注射器により行われるため侵襲性が低く、瘢痕が残りにくい。また、自家組織を移植するため、異物移植に伴う後遺症などの問題が発生しないことも大きなメリットである。そのため、脂肪注入術は豊胸などの美容改善目的にも用いられる。
【0004】
脂肪注入術には上述したメリットがあるが、脂肪組織が部分的に壊死するため、脂肪組織の生着率が低下することが問題とされてきた(非特許文献2)。そこで近年、脂肪移植時に、自家脂肪組織内の間質血管細胞群(Stromal Vascular Fraction:SVF)に含まれる間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell:MSC)を混合することで、脂肪組織の生着率を向上させる方法(Cell-assisted lipotransfer:CAL)が考案された(特許文献1)。
【0005】
間葉系幹細胞は、骨髄中に存在する幹細胞として最初に見出された体性幹細胞であり、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞などの間葉系に属する細胞へ分化することが可能である。間葉系幹細胞は、骨髄のみならず、脂肪、歯髄、胎児付属物(胎盤、臍帯、卵膜、羊膜、羊水)等の組織にも存在することもわかっている。脂肪間葉系幹細胞は、脂肪組織から簡単に採取できるというメリットもあることから、再生医療の現場で実用化されている幹細胞の一つである。
【0006】
近年では、脂肪間葉系幹細胞(Adipose-derived stem cell:ASC)を体外で通常条件で培養した後に、脂肪組織と混合する培養CALも活用されている(非特許文献3)。
【0007】
しかしながら、ドナーによって脂肪生着率が大きく異なる(20~80%)ため、脂肪注入術、CAL法や培養CAL法による陥凹変形治療においても、複数回の脂肪移植が必要となり、患者負担が増大する場合があり(非特許文献3)、さらに改善の余地が残されていた。
【0008】
一方、低酸素条件で培養した脂肪間葉系幹細胞は、多量のTNF-αを誘導し、炎症を惹起する可能性があり、移植には適さないと考えられている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特表2007-507202
特許第6826744号
【非特許文献】
【0010】
Francesco M Egro. et al, Clin Plast Surg. 2020 Jan;47(1):1-6.
Coleman SR, Clin Plast Surg. 2001 Jan;28(1):111-9.
Ming Li, et al. Aesthetic Plast Surg. 2021 Aug;45:1478-86.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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