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公開番号2025007550
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-17
出願番号2023109026
出願日2023-07-03
発明の名称バルーンカテーテル用バルーンおよびバルーンカテーテル
出願人株式会社カネカ
代理人弁理士法人アスフィ国際特許事務所
主分類A61M 25/10 20130101AFI20250109BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】表面に凸条が設けられたバルーンであって、長手軸方向への屈曲性を高めることができるバルーンカテーテル用バルーンと当該バルーンを備えたバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】バルーンの直管部に長手軸方向に延びる凸条21が設けられ、凸条21に特定の切欠き22Xが形成され、凸条21は特定の切欠き22Xによって複数の凸条セグメント24に区分され、凸条21の頂部21A側から見た平面視で、特定の切欠き22Xの近位側に隣接する凸条セグメント24Pの遠位端縁31は遠位側に突出した凸形状を有し、特定の切欠き22Xの遠位側に隣接する凸条セグメント24Dの近位端縁41は近位側に突出した凸形状を有するバルーンカテーテル用バルーン。
【選択図】図9
特許請求の範囲【請求項1】
近位側から遠位側に延びる長手軸方向と、前記長手軸方向に垂直な径方向を有するバルーンカテーテル用バルーンであって、
前記バルーンは、直管部と、前記直管部よりも近位側に位置する近位側テーパー部と、前記直管部よりも遠位側に位置する遠位側テーパー部とを有し、
前記直管部は、筒形状のバルーン本体部と、前記バルーン本体部の外面に、径方向の外方に突出し前記長手軸方向に延びる凸条とを有し、
前記凸条には切欠きが形成されており、前記凸条は前記切欠きによって複数の凸条セグメントに区分され、
前記切欠きは、下記要件を満たす特定の切欠きを含むバルーンカテーテル用バルーン。
(要件)
前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記特定の切欠きの近位側に隣接する前記凸条セグメント(以下、「近位側凸条セグメント」と称する)の遠位端縁は遠位側に突出した凸形状を有し、前記特定の切欠きの遠位側に隣接する前記凸条セグメント(以下、「遠位側凸条セグメント」と称する)の近位端縁は近位側に突出した凸形状を有する。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記近位側凸条セグメントの前記遠位端縁の最遠位部は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記凸条の頂部を通り前記長手軸方向に延びる仮想直線上にある、および/または、
前記遠位側凸条セグメントの前記近位端縁の最近位部は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記凸条の頂部を通り前記長手軸方向に延びる仮想直線上にある請求項1に記載のバルーン。
【請求項3】
前記近位側凸条セグメントの前記遠位端縁の前記凸形状は、遠位側に向かって湾曲した湾曲部を有する、および/または、
前記遠位側凸条セグメントの前記近位端縁の前記凸形状は、近位側に向かって湾曲した湾曲部を有する請求項1に記載のバルーン。
【請求項4】
前記近位側凸条セグメントの前記遠位端縁の前記凸形状は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記凸条の頂部を通り前記長手軸方向に延びる仮想直線に対して一方側に位置する近位側第1直線部と他方側に位置する近位側第2直線部を有し、前記近位側第1直線部と前記近位側第2直線部は近位側にいくに従い前記仮想直線から離れるように延びている、および/または、
前記遠位側凸条セグメントの前記近位端縁の前記凸形状は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記仮想直線に対して一方側に位置する遠位側第1直線部と他方側に位置する遠位側第2直線部を有し、前記遠位側第1直線部と前記遠位側第2直線部は遠位側にいくに従い前記仮想直線から離れるように延びている請求項1に記載のバルーン。
【請求項5】
前記近位側凸条セグメントの前記遠位端縁の前記凸形状は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記近位側第1直線部と前記近位側第2直線部の間に近位側第3直線部をさらに有し、前記近位側第1直線部と前記近位側第2直線部は前記近位側第3直線部よりも近位側に位置する、および/または、
前記遠位側凸条セグメントの前記近位端縁の前記凸形状は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記遠位側第1直線部と前記遠位側第2直線部の間に遠位側第3直線部をさらに有し、前記遠位側第1直線部と前記遠位側第2直線部は前記遠位側第3直線部よりも遠位側に位置する請求項4に記載のバルーン。
【請求項6】
前記近位側第3直線部および/または前記遠位側第3直線部は、前記長手軸方向に対して垂直に延びている請求項5に記載のバルーン。
【請求項7】
前記近位側第1直線部の遠位端は前記近位側第2直線部の遠位端に接続している、および/または、
前記遠位側第1直線部の近位端は前記遠位側第2直線部の近位端に接続している請求項4に記載のバルーン。
【請求項8】
前記凸条の頂部を通る長手軸方向に沿った断面において、前記近位側凸条セグメントの遠位外縁は、径方向の外方に向かって近位側に傾斜して延びている、および/または、
前記凸条の頂部を通る長手軸方向に沿った断面において、前記遠位側凸条セグメントの近位外縁は、径方向の外方に向かって遠位側に傾斜して延びている請求項1に記載のバルーン。
【請求項9】
前記凸条は、樹脂製、金属製、またはその組み合わせである請求項1に記載のバルーン。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のバルーンを備えるバルーンカテーテル。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテル用バルーンと当該バルーンを備えたバルーンカテーテルに関するものである。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
体内で血液が循環するための流路である血管に狭窄が生じ、血液の循環が滞ることにより、様々な疾患が発生することが知られている。特に心臓に血液を供給する冠状動脈に狭窄が生じると、狭心症、心筋梗塞等の重篤な疾病をもたらすおそれがある。このような血管の狭窄部を治療する方法の一つとして、バルーンカテーテルを用いて狭窄部を拡張させる血管形成術(PTA、PTCA等)がある。
【0003】
バルーンカテーテルには、バルーンの表面に凸条が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1~3)。このようなバルーンカテーテルを用いれば、バルーンを拡張させた際に、バルーンの凸条を狭窄部に食い込ませて、狭窄部を効果的に拡張させることができる。一方、凸条が設けられたバルーンは、凸条が設けられた部分で剛性が高くなる傾向を示し、長手軸方向の屈曲性が低下しやすくなる。これに対して、バルーン表面の凸条に切欠きが形成されたバルーンカテーテルが知られている(例えば、特許文献4、5)。このようなバルーンカテーテルを用いれば、凸条が設けられたバルーンであっても長手軸方向の屈曲性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2020/250611号
特開2009-112361号公報
特開2013-176507号公報
国際公開第2012/099950号
国際公開第2020/255923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バルーン表面に凸条が設けられ、当該凸条に切欠きが形成されたバルーンは、凸条によってスコアリング機能を発揮することができるとともに、凸条に形成された切欠きによってバルーンの長手軸方向の屈曲性を確保することができる。一方、血管には大きく屈曲した屈曲部が存在することから、そのような屈曲部であっても、凸条が設けられたバルーンをスムーズに挿通できることが望まれる。そのため、バルーンの屈曲性をさらに高めることができればなお望ましい。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面に凸条が設けられたバルーンであって、長手軸方向への屈曲性を高めることができるバルーンカテーテル用バルーンと当該バルーンを備えたバルーンカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することができた本発明のバルーンカテーテル用バルーンおよび当該バルーンを備えたバルーンカテーテルは、下記の通りである。
[1] 近位側から遠位側に延びる長手軸方向と、前記長手軸方向に垂直な径方向を有するバルーンカテーテル用バルーンであって、
前記バルーンは、直管部と、前記直管部よりも近位側に位置する近位側テーパー部と、前記直管部よりも遠位側に位置する遠位側テーパー部とを有し、
前記直管部は、筒形状のバルーン本体部と、前記バルーン本体部の外面に、径方向の外方に突出し前記長手軸方向に延びる凸条とを有し、
前記凸条には切欠きが形成されており、前記凸条は前記切欠きによって複数の凸条セグメントに区分され、
前記切欠きは、下記要件を満たす特定の切欠きを含むバルーンカテーテル用バルーン。
(要件)
前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記特定の切欠きの近位側に隣接する前記凸条セグメント(以下、「近位側凸条セグメント」と称する)の遠位端縁は遠位側に突出した凸形状を有し、前記特定の切欠きの遠位側に隣接する前記凸条セグメント(以下、「遠位側凸条セグメント」と称する)の近位端縁は近位側に突出した凸形状を有する。
[2] 前記近位側凸条セグメントの前記遠位端縁の最遠位部は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記凸条の頂部を通り前記長手軸方向に延びる仮想直線上にある、および/または、前記遠位側凸条セグメントの前記近位端縁の最近位部は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記凸条の頂部を通り前記長手軸方向に延びる仮想直線上にある[1]に記載のバルーン。
[3] 前記近位側凸条セグメントの前記遠位端縁の前記凸形状は、遠位側に向かって湾曲した湾曲部を有する、および/または、前記遠位側凸条セグメントの前記近位端縁の前記凸形状は、近位側に向かって湾曲した湾曲部を有する[1]または[2]に記載のバルーン。
[4] 前記近位側凸条セグメントの前記遠位端縁の前記凸形状は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記凸条の頂部を通り前記長手軸方向に延びる仮想直線に対して一方側に位置する近位側第1直線部と他方側に位置する近位側第2直線部を有し、前記近位側第1直線部と前記近位側第2直線部は近位側にいくに従い前記仮想直線から離れるように延びている、および/または、前記遠位側凸条セグメントの前記近位端縁の前記凸形状は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記仮想直線に対して一方側に位置する遠位側第1直線部と他方側に位置する遠位側第2直線部を有し、前記遠位側第1直線部と前記遠位側第2直線部は遠位側にいくに従い前記仮想直線から離れるように延びている[1]~[3]のいずれかに記載のバルーン。
[5] 前記近位側凸条セグメントの前記遠位端縁の前記凸形状は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記近位側第1直線部と前記近位側第2直線部の間に近位側第3直線部をさらに有し、前記近位側第1直線部と前記近位側第2直線部は前記近位側第3直線部よりも近位側に位置する、および/または、前記遠位側凸条セグメントの前記近位端縁の前記凸形状は、前記凸条の頂部側から見た平面視で、前記遠位側第1直線部と前記遠位側第2直線部の間に遠位側第3直線部をさらに有し、前記遠位側第1直線部と前記遠位側第2直線部は前記遠位側第3直線部よりも遠位側に位置する[4]に記載のバルーン。
[6] 前記近位側第3直線部および/または前記遠位側第3直線部は、前記長手軸方向に対して垂直に延びている[5]に記載のバルーン。
[7] 前記近位側第1直線部の遠位端は前記近位側第2直線部の遠位端に接続している、および/または、前記遠位側第1直線部の近位端は前記遠位側第2直線部の近位端に接続している[4]に記載のバルーン。
[8] 前記凸条の頂部を通る長手軸方向に沿った断面において、前記近位側凸条セグメントの遠位外縁は、径方向の外方に向かって近位側に傾斜して延びている、および/または、前記凸条の頂部を通る長手軸方向に沿った断面において、前記遠位側凸条セグメントの近位外縁は、径方向の外方に向かって遠位側に傾斜して延びている[1]~[7]のいずれかに記載のバルーン。
[9] 前記凸条は、樹脂製、金属製、またはその組み合わせである[1]~[8]のいずれかに記載のバルーン。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載のバルーンを備えるバルーンカテーテル。
【発明の効果】
【0008】
本発明のバルーンカテーテル用バルーンは、バルーンの直管部の外面に凸条が設けられているため、当該バルーンを備えたバルーンカテーテルを用いて血管の狭窄部等においてバルーンを拡張させると、凸条が狭窄部等に食い込んで効果的に拡張させることができる。また、バルーンの凸条に切欠きが形成され、切欠きの少なくとも一部として上記の特定の切欠きが形成されているため、バルーンの屈曲性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施の形態に係るバルーンカテーテルの構成例を表し、バルーンカテーテルの側面図を表す。
図1に示したバルーンカテーテルのII-II断面図を表す。
図1に示したバルーンカテーテルのIII-III断面図を表す。
バルーンカテーテルに備えられるバルーンの斜視図の一例を表す。
図4に示したバルーンの直管部の長手軸方向の垂直断面図を表す。
図5に示したバルーンの凸条の長手軸方向の垂直断面図を表す。
バルーンの凸条に形成された特定の切欠きとこれに隣接した凸条セグメントの構成例を表し、図7(a)は凸条セグメントの端部の斜視図を表し、図7(b)は凸条の頂部側から見た凸条セグメントの端部の平面図を表す。
バルーンの凸条に形成された特定の切欠きとこれに隣接した凸条セグメントの構成例を表し、図8(a)は凸条セグメントの端部の斜視図を表し、図8(b)は凸条の頂部側から見た凸条セグメントの端部の平面図を表す。
バルーンの凸条に形成された特定の切欠きとこれに隣接した凸条セグメントの構成例を表し、図9(a)は凸条セグメントの端部の斜視図を表し、図9(b)は凸条の頂部側から見た凸条セグメントの端部の平面図を表す。
バルーンの凸条に形成された特定の切欠きとこれに隣接した凸条セグメントの構成例を表し、図10(a)は凸条セグメントの端部の斜視図を表し、図10(b)は凸条の頂部側から見た凸条セグメントの端部の平面図を表す。
バルーンの凸条に形成された特定の切欠きとこれに隣接した凸条セグメントの構成例を表し、図11(a)は凸条セグメントの端部の斜視図を表し、図11(b)は凸条の頂部側から見た凸条セグメントの端部の平面図を表す。
バルーンの凸条に形成された特定の切欠きとこれに隣接した凸条セグメントの構成例を表し、図12(a)は凸条セグメントの端部の斜視図を表し、図12(b)は凸条の頂部側から見た凸条セグメントの端部の平面図を表す。
バルーンの凸条に形成された特定の切欠きとこれに隣接した凸条セグメントの構成例を表し、図13(a)は凸条セグメントの端部の斜視図を表し、図13(b)は凸条の頂部側から見た凸条セグメントの端部の平面図を表す。
バルーンの凸条に形成された特定の切欠きとこれに隣接した凸条セグメントの構成例を表し、図14(a)は凸条セグメントの端部の斜視図を表し、図14(b)は凸条の頂部側から見た凸条セグメントの端部の平面図を表す。
バルーンに設けられた凸条および特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンカテーテルに備えられるバルーンの斜視図の他の一例を表す。
バルーンカテーテルに備えられるバルーンの斜視図の他の一例を表す。
バルーンの凸条の長手軸方向の垂直断面図の他の一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、下記実施の形態に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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