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公開番号2024143681
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023056469
出願日2023-03-30
発明の名称けん引式アンダーパス工法
出願人株式会社奥村組,植村技研工業株式会社
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類E21D 9/06 20060101AFI20241003BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】広大な広さの発進基地において、作業工程に改良を加えることで、効率良く且つ効果的に、工事期間の短縮を図ることのできるけん引式アンダーパス工法を提供する。
【解決手段】発進基地51に仮設支持壁体55を立設させて、発進基地51を、けん引方向Xに、推進作業領域51Aと函体築造作業領域51Bとに区分けする。推進作業領域51Aにおいて、箱形ルーフ形成工程を実施すると共に、これと並行して、函体築造作業領域51Bにおいて、函体構造物20を築造する函体築造工程を実施する。これらの工程の後に、解体撤去工程により仮設壁体形成を撤去して、函体築造工程で築造した地下空間となる函体構造物20を、高速道路50の直下部分の地盤に形成された箱形ルーフ22と置き換えるようにしつつ、そのまま到達基地52側にけん引できるようにする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
既存構造物の下方の地盤を横断させて、矩形断面形状を備える函体構造物を、先行して形成された天面部パイプ列と天面部を置き換えるようにしつつ、又は天面部パイプ列に天面部を沿わせるようにしつつ、けん引することにより設置して、地下空間を形成するためのけん引式アンダーパス工法であって、
前記函体構造物が設置されることになる、前記既存構造物の下方の地盤における前記函体構造物の計画設置領域を挟んだ一方の側の発進基地に、仮設支持壁体を立設させて、当該発進基地を、前記仮設支持壁体を挟んだ前記既存構造物側の推進作業領域と、これとは反対側の函体築造作業領域とに、けん引方向に区分けする仮設壁体形成工程と、
該仮設壁体形成工程で区分けされたけん引方向の前方側の前記推進作業領域において、前記計画設置領域を挟んだ他方の側に設けられた到達基地に向けて、複数の中空パイプ部材を、前記仮設支持壁体から推進反力を得ながら推進させることで、前記計画設置領域の周方向に並べて連設させるようにして、前記既存構造物の直下部分の地盤に各々押し込むことにより、前記既存構造物の直下部分の地盤を横断する少なくとも天面部パイプ列を含む箱形ルーフを形成する箱形ルーフ形成工程と、
前記仮設壁体形成工程で区分けされたけん引方向の後方側の前記函体築造作業領域において、前記箱形ルーフ形成工程と並行して実施される、型枠を組み付けると共に現場打ちコンクリートを打設することで、鉄筋コンクリート製の前記函体構造物を築造する函体築造工程と、
前記箱形ルーフ形成工程で複数の前記中空パイプ部材の全てを前記既存構造物の直下部分の地盤に押し込んだ後に、前記推進作業領域の推進用設備及び前記仮設支持壁体を解体撤去する解体撤去工程と、
しかる後に、前記計画設置領域を挟んだ他方の側の到達基地に立設させた、けん引用支持壁体のけん引方向の背面部に一端部が連結支持されると共に、前記計画設置領域を横断するように延設して、前記発進基地の前記函体築造作業領域で築造された前記函体構造物のけん引方向の後端部に他端部が係止されたけん引用鋼線によって、前記函体構造物を、天面部を前記天面部パイプ列と置き換えるようにしつつ、又は天面部を前記天面部パイプ列に沿わせるようにしつつ、前記到達基地側にけん引することで、前記既存構造物の下方の地盤において前記函体構造物を移動させる函体けん引工程とを含んで構成されるけん引式アンダーパス工法。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
前記函体構造物は、けん引方向に間隔をおいて連設された複数の単位函体からなり、隣接する単位函体の間の間隔部分に中押しジャッキが介在していることで、前記函体けん引工程では、推進しない単位函体の摩擦抵抗を反力として、各々の単位函体を一方向にけん引可能なESA工法によって、前記函体構造物をけん引方向に移動させる自走式けん引工程を含んでいる請求項1記載のけん引式アンダーパス工法。
【請求項3】
前記仮設支持壁体は、土留め部材によって矩形状に周囲を囲まれた内部に、土砂を充填して形成されたものとなっている請求項1又は2記載のけん引式アンダーパス工法。
【請求項4】
前記函体構造物のけん引方向の前面部の切羽部で掘削作業を行ないながら、天面部を前記天面部パイプ列と置き換えるようにしつつ前記函体構造物がけん引される、R&C工法(登録商標)において実施される請求項1又は2記載のけん引式アンダーパス工法。
【請求項5】
前記函体構造物のけん引方向の前面部の切羽部で掘削作業を行ないながら、天面部を前記天面部パイプ列の下面側に沿わせるようにしつつ、前記天面部パイプ列を地中に残置したまま前記函体構造物がけん引される、フロンテジャッキング工法(登録商標)において実施される請求項1又は2記載のけん引式アンダーパス工法。
【請求項6】
前記既存構造物の下方の地盤が、盛土地盤となっている請求項1又は2記載のけん引式アンダーパス工法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、けん引式アンダーパス工法に関し、特に、既存構造物の下方の地盤を横断させて、函体構造物による地下空間を形成するためのけん引式アンダーパス工法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
アンダーパス工法は、例えば鉄道線路や道路等の既存構造物の下方の地盤に、鉄道や車両等の運行を妨げることなく、これらの既存構造物の下方の地盤を横断する地下空間を形成するための工法であり、例えばSFT工法(登録商標)やR&C工法(登録商標)等の、矩形断面形状を備える函体構造物を箱型ルーフと置換して設置する工法や、フロンテジャッキング工法等が知られている。SFT工法やR&C工法は、例えば地下空間の形成予定箇所となる函体構造物の計画設置領域の地盤に、鉄道線路や道路等の既存構造物を下方から支持する上床部のパイプルーフ(天面部パイプ列)を含む、好ましくは矩形断面形状を備える中空パイプ部材による箱形ルーフを形成し、形成した上床部のパイプルーフを含む箱形ルーフを、例えばコンクリート製の矩形断面形状を備える函体構造物を計画設置領域の地盤に推進したりけん引したりすることによって、当該函体構造物と置換して、函体構造物による地下空間を形成するようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、フロンテジャッキング工法は、例えば函体構造物の計画設置領域の地盤に形成された上床部のパイプルーフを含むパイプ列を、地中に残置したまま、残置されたパイプ列の特に上床部のパイプルーフに天面部を沿わせるようにしながら、発進基地の函体構造物を到達基地側にけん引することによって、残置したパイプ列の内側に函体構造物による地下空間を形成するようになっている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
ここで、例えば到達基地側に、現場打ちコンクリートによって函体構造物を築造するのに十分な広さのスペースを確保することができず、発進基地において函体構造物を築造する必要がある場合、一般に、発進基地に設けた推進設備を用いて、箱形ルーフを構成する各々のパイプ部材を地中に推進させた後に、推進設備を撤去し、撤去した推進設備のスペースにおいて、型枠等を組み付けてコンクリートを打設すると共に、打設したコンクリートを硬化・養生させて築造するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007-177553号公報
特開2012-144942号公報
特開平6-41996号公報
特開2004-257025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発進基地において、現場打ちコンクリートによって函体構造物を築造する場合、型枠や鉄筋を組み付けてからコンクリートを打設して硬化させた後に、さらに所定の養生期間が経過するまでには、相当の日数を要することになる。このため、箱形ルーフを構成する複数のパイプ部材の各々を、地中に推進してゆく工程の日数を含めると、工事期間が長期に及ぶことになることから、このような工事期間を短縮できるようにすることが望まれる。
【0007】
特に、例えば既存構造物の下方の地盤が盛土地盤となっていて、既存構造物を挟んだ少なくとも一方の側に広大な広さの発進基地の敷地(スペース)を確保できる場合や、既存構造物を横断させる延長が長くなる場合には、好ましくは推進用のジャッキ等によって移動させることか可能な重量となるように、函体構造物を複数の単位函体に分割して築造する必要があることから、工事期間がさらに長期に及ぶことになる。
【0008】
一方、アンダーパス工法として、けん引用鋼線を用いて函体構造物をけん引することにより移動させる、けん引式のアンダーパス工法を採用した場合に、函体構造物を推進ジャッキにより押し出す際の支持反力を得るための支持壁体は、発進基地には設ける必要がないことから、このようなけん引式のアンダーパス工法を採用すると共に、発進基地の広大な広さの敷地を利用して、作業工程に改良を加えれば、より効率良く且つ効果的に、工事期間の短縮を図ることが可能になると考えられる。
【0009】
本発明は、発進基地の広大な広さの敷地を利用して、作業工程に改良を加えることで、効率良く且つ効果的に、工事期間の短縮を図ることのできるけん引式アンダーパス工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、既存構造物の下方の地盤を横断させて、矩形断面形状を備える函体構造物を、先行して形成された天面部パイプ列と天面部を置き換えるようにしつつ、又は天面部パイプ列に天面部を沿わせるようにしつつ、けん引することにより設置して、地下空間を形成するためのけん引式アンダーパス工法であって、前記函体構造物が設置されることになる、前記既存構造物の下方の地盤における前記函体構造物の計画設置領域を挟んだ一方の側の発進基地に、仮設支持壁体を立設させて、当該発進基地を、前記仮設支持壁体を挟んだ前記既存構造物側の推進作業領域と、これとは反対側の函体築造作業領域とに、けん引方向に区分けする仮設壁体形成工程と、該仮設壁体形成工程で区分けされたけん引方向の前方側の前記推進作業領域において、前記計画設置領域を挟んだ他方の側に設けられた到達基地に向けて、複数の中空パイプ部材を、前記仮設支持壁体から推進反力を得ながら推進させることで、前記計画設置領域の周方向に並べて連設させるようにして、前記既存構造物の直下部分の地盤に各々押し込むことにより、前記既存構造物の直下部分の地盤を横断する少なくとも天面部パイプ列を含む箱形ルーフを形成する箱形ルーフ形成工程と、前記仮設壁体形成工程で区分けされたけん引方向の後方側の前記函体築造作業領域において、前記箱形ルーフ形成工程と並行して実施される、型枠を組み付けると共に現場打ちコンクリートを打設することで、鉄筋コンクリート製の前記函体構造物を築造する函体築造工程と、前記箱形ルーフ形成工程で複数の前記中空パイプ部材の全てを前記既存構造物の直下部分の地盤に押し込んだ後に、前記推進作業領域の推進用設備及び前記仮設支持壁体を解体撤去する解体撤去工程と、しかる後に、前記計画設置領域を挟んだ他方の側の到達基地に立設させた、けん引用支持壁体のけん引方向の背面部に一端部が連結支持されると共に、前記計画設置領域を横断するように延設して、前記発進基地の前記函体築造作業領域で築造された前記函体構造物のけん引方向の後端部に他端部が係止されたけん引用鋼線によって、前記函体構造物を、天面部を前記天面部パイプ列と置き換えるようにしつつ、又は天面部を前記天面部パイプ列に沿わせるようにしつつ、前記到達基地側にけん引することで、前記既存構造物の下方の地盤において前記函体構造物を移動させる函体けん引工程とを含んで構成されるけん引式アンダーパス工法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
(【0011】以降は省略されています)

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