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公開番号2024148457
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023061620
出願日2023-04-05
発明の名称地盤掘削用拡径ドリル
出願人日本基礎技術株式会社,株式会社亀山
代理人個人
主分類E21B 10/32 20060101AFI20241010BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】 ドリル打込機の打込先端に取付けたドリルに対し、地盤に向けた押付力と回転力にダウンザホールハンマーによって往復打撃力を加えて地盤を効果的に拡径掘削するドリルにあって、ドリルが拡径削孔しても、ドリルが地盤からのトルク・力によって構造破損することが少なくドリル寿命を長くできる構造のドリルの提供。
【解決手段】 円柱状のドリルの先部の外周部を切削して三つドリル外径に内接する切削面を形成し、各切削面に板状の揺動羽根をその後部で軸支し、前記切削面に揺動羽根の内面は摺動して回動して且つドリル外径より拡径でき、しかも前記軸支ピンまわりの径差がある切削面上の径差間領域を底面にして所定厚みの二つの突出部を設け、前記揺動羽根の内面にアリ溝を設け、同アリ溝内に前記突出部を嵌入し、前記揺動羽根のアリ溝内に前記突出部を嵌合することで揺動羽根を強固に係合して破損しにくくする。
【選択図】図12
特許請求の範囲【請求項1】
先端に掘削用ビット又は刃部を有するドリルを地盤に向って進退可能に取り付ける構造を有するとともに、前記ドリルの後部に前記ドリルをそのドリル軸心まわりに回動させる回転力と,地盤に向けて前記ドリルを加圧する押付力及び又はこれらに打撃力を与える回転装置とを備えた構成のドリル打込機、又はこれらにドリルに対し往復打撃振動を与えるダウンザホールハンマーを組み込んだ構成のドリル打込機に使用される地盤掘削用拡径ドリルであって、
前記地盤掘削用拡径ドリルは所定外径で所要の軸心方向の長さを有する円柱状であって、しかも前記拡径ドリルの後部は前記ドリル打込機の前記回転装置が発生させる回転力を伝達できる構造とし且つ前記拡径ドリルに前記ドリル打込機が発生させるドリルの軸心方向の押付力・打撃力又は振動を前記拡径ドリルに負荷できる構造とするとともに、
前記拡径ドリル本体の先端から所定長さの先部の外周部分を切削し、前記拡径ドリルの外周部の切削面がドリル本体の外径円内に内接する三つの平面を形成するように整形し、前記先部が断面三角形状の三角柱部となるようにし、
更に前記の三つの各切削面それぞれに先端にビット又は刃部を有してその左右巾が各切削面の左右巾より短く且つ羽根内面が前記切削面と摺動する板状の揺動羽根を配置し、しかも前記揺動羽根の後端近くで前記揺動羽根を前記切削面に対して直角の軸支ピンで枢支して前記揺動羽根をその軸支ピンまわりに前記切削面と摺動しながら回転可能に軸着する構造とし、更に前記軸支ピンを中心とした径差がある二つの半径が描く円弧軌跡の間にある前記切削面領域を底面として外方に所定厚み突出した突出部をドリル軸心方向に二個所以上設け、しかも前記突出部のドリル軸心方向の縦断面形状が底面の径差の下面長さより突出部の上面の長さが長くなる逆台形の形状寸法とし、又前記揺動羽根の内側に前記切削面に設けた逆台形状の前記突出部を嵌入できる断面逆台形状の空間のアリ溝を前記揺動羽根の内側に設け、しかも前記揺動羽根が前記軸支ピンまわりに回動して揺動羽根の側辺部がドリル本体の外径より外側に突出した所定角度の拡径位置で前記揺動羽根に取付けた切削面に向けてスプリングで付勢されたストッパーピンが切削面に設けたピン受溝の一方の溝端にあるストッパーピン用丸ザグリに向けて圧接させて回転停止させるとともに前記揺動羽根のアリ溝に前記突出部の嵌合状態を保持することで拡径状態を保持して拡径削孔できるようにし、更に揺動羽根の後部の軸支部JBまわりの外周側面α,βと凹んだ前記切削面CFの外周に垂直に立ち上がった切削壁面GFとのα’,β’の当接により、揺動羽根SFに地盤側から高い回転トルクと押付力が作用しても前記の拡径構造の破損を少なく拡径削孔ができることを特徴とするドリル打込機に使用される地盤掘削用拡径ドリル。
続きを表示(約 270 文字)【請求項2】
前記揺動羽根に設けた前記アリ溝の前記揺動羽根の回転方向の溝終端及び始端ともに開口されていて、前記アリ溝に前記揺動羽根が回動することでアリ溝内の異物を外方に排出できることを特徴とする請求項1記載のドリル打込機に使用される地盤掘削用拡径ドリル。
【請求項3】
前記三つの切削面の各揺動羽根を拡径方向にした状態で、ドリル本体の外周で拡径した隣り合う揺動羽根の羽根間に排泥用空間が形成されて、同排泥空間をドリルの外周に確保できるようにした、請求項1又は2いずれか記載のドリル打込機に使用される地盤掘削用拡径ドリル。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤掘削用ドリルに回転力と押付力を与えて削孔する回転装置を備えた構成のドリル打込機、又は管内で往復動してドリルに振動又は打撃力を与えるダウンザホールハンマーを備えた構成のドリル打込機に使用されるドリルであって、ドリル本体の外径より広い径の削孔を可能とする拡径削孔ドリルの構造の改良発明に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来の地盤削孔工法でドリル打込機に用いる掘削工法としては、下記1),2),3),4)の工法があり、これらを大きく分けると単管削孔工法と二重管削孔工法に分けられる。
1):ドリル打込機のトップハンマー方式(打撃・左正回転・押込み)によるケーシング(外管)の内側にインナーロッド(内管)を配置した二重管削孔工法。
2):前記1)の二重管削孔工法のケーシング(外管)かインナーロッド(内管)のみを用いる単管削孔工法。
3):ドリル打込機が左正回転・押込みするとともにケーシング(外管)とインナーロッド(内管)の上端にダウンザホールハンマー(先端打撃)を接続して削孔した二重管削孔工法。
4):前記3)のケーシング(外管)もしくはインナーロッド(内管を外管に使用)にダウンザホールハンマーを接続した単管削孔工法。
上記に記した種々の掘削工法等があり、削孔後はアンカー体(テンドン)を挿入しセメントミルク注入を行う。
【0003】
しかしながら、上記各削孔工法には下記イ,ロの問題点があった。
イ):ドリル打込機の二重管削孔ツールスは3種類程(他大径あり)ある。ケーシング(外管)のオスネジ部内径側が肉厚(アプセット加工)となりケーシング内径に見合うインナーロッドと取り付けるビットサイズが変更され、ドリル打込機の性能にもよるが、大深度削孔に対する打撃力低下、排泥(スライム)沈殿によるジャーミング(スライムによる締め付け)等で削孔不能となる場合がある。
ロ):ケーシングのみの単管削孔工法の場合も上記と同じことが起こる。
ダウンザホールハンマー(先端打撃)二重管削孔の場合、ドリル打込機に用いる拡径ビットが左回転用となるが使用できる拡径ビットがなく、従来のケーシング等削孔ツールスを右回転仕様へ変更する必要がある。ただしケーシングがアプセット加工材となるため、対応できる拡径ビットサイズを同時製作する必要があり、コスト高となってしまう。
単管削孔工法の場合も、上記ダウンザホールエアハンマー二重管削孔と同じくツールスの変更が必要となり、ケーシングを回収後、孔壁が保持できればよいが崩落した場合はアンカー体を挿入することが出来ない為、再度削孔する必要がある。単管掘りは排泥の粉塵対策も必要となり、コスト高となってしまう。
【0004】
ハ):更に、拡径ドリルとして、地盤を所定深さ削孔した後ドリル本体の先端の掘削羽根がドリル軸心まわりに回転してドリルの軸心まわりに展開して拡がって、広い拡径範囲削孔できる構造の拡径ドリル構造も特許文献1,2で周知である。
【0005】
しかし、かかるドリルの下端で掘削羽根がドリルの軸心まわりに拡径する場合、ドリルの拡径した掘削羽根のドリル本体先部の回転取付部には地盤からの大きなトルク、力が作用してこの回転取付部が破損し易く、十分な拡径削孔が困難であるという問題点がある。
【0006】
特開2005-299217号公報
特開2014-43732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の拡径ドリルの構造が地盤からの抗力・トルクで破損し易い点を解決し、拡径してもドリルの破損が少なく長時間使用できる長寿命の構造の拡径ドリルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 先端に掘削用ビット又は刃部を有するドリルを地盤に向って進退可能に取り付ける構造を有するとともに、前記ドリルの後部に前記ドリルをそのドリル軸心まわりに回動させる回転力と,地盤に向けて前記ドリルを加圧する押付力及び又はこれらに打撃力を与える回転装置とを備えた構成のドリル打込機、又はこれらにドリルに対し往復打撃振動を与えるダウンザホールハンマーを組み込んだ構成のドリル打込機に使用される地盤掘削用拡径ドリルであって、
前記地盤掘削用拡径ドリルは所定外径で所要の軸心方向の長さを有する円柱状であって、しかも前記拡径ドリルの後部は前記ドリル打込機の前記回転装置が発生させる回転力を伝達できる構造とし且つ前記拡径ドリルに前記ドリル打込機が発生させるドリルの軸心方向の押付力・打撃力又は振動を前記拡径ドリルに負荷できる構造とするとともに、
前記拡径ドリル本体の先端から所定長さの先部の外周部分を切削し、前記拡径ドリルの外周部の切削面がドリル本体の外径円内に内接する三つの平面を形成するように整形し、前記先部が断面三角形状の三角柱部となるようにし、
更に前記の三つの各切削面それぞれに先端にビット又は刃部を有してその左右巾が各切削面の左右巾より短く且つ羽根内面が前記切削面と摺動する板状の揺動羽根を配置し、しかも前記揺動羽根の後端近くで前記揺動羽根を前記切削面に対して直角の軸支ピンで枢支して前記揺動羽根をその軸支ピンまわりに前記切削面と摺動しながら回転可能に軸着する構造とし、更に前記軸支ピンを中心とした径差がある二つの半径が描く円弧軌跡の間にある前記切削面領域を底面として外方に所定厚み突出した突出部をドリル軸心方向に二個所以上設け、しかも前記突出部のドリル軸心方向の縦断面形状が底面の径差の下面長さより突出部の上面の長さが長くなる逆台形の形状寸法とし、又前記揺動羽根の内側に前記切削面に設けた逆台形状の前記突出部を嵌入できる断面逆台形状の空間のアリ溝を前記揺動羽根の内側に設け、しかも前記揺動羽根が前記軸支ピンまわりに回動して揺動羽根の側辺部がドリル本体の外径より外側に突出した所定角度の拡径位置で前記揺動羽根に取付けた切削面に向けてスプリングで付勢されたストッパーピンが切削面に設けたピン受溝の一方の溝端にあるストッパーピン用丸ザグリに向けて圧接させて回転停止させるとともに前記揺動羽根のアリ溝に前記突出部の嵌合状態を保持することで拡径状態を保持して拡径削孔できるようにし、更に揺動羽根の後部の軸支部JBまわりの外周側面α,β と凹んだ前記切削面CFの外周に垂直に立ち上がった切削壁面GFとのα’,β’の当接により、揺動羽根SFに地盤側から高い回転トルクと押付力が作用しても前記の拡径構造の破損を少なく拡径削孔ができることを特徴とするドリル打込機に使用される地盤掘削用拡径ドリル
2) 前記揺動羽根に設けた前記アリ溝の前記揺動羽根の回転方向の溝終端及び始端ともに開口されていて、前記アリ溝に前記揺動羽根が回動することでアリ溝内の異物を外方に排出できることを特徴とする前記1)記載のドリル打込機に使用される地盤掘削用拡径ドリル
3) 前記三つの切削面の各揺動羽根を拡径方向にした状態で、ドリル本体の外周で拡径した隣り合う揺動羽根の羽根間に排泥用空間が形成されて、同排泥空間をドリルの外周に確保できるようにした、前記1)又は2)いずれか記載のドリル打込機に使用される地盤掘削用拡径ドリル
にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の拡径ドリルによれば、ドリル本体の各ドリル切削面に揺動羽根を取付けたのでドリル本体の外径に収まった状態とこれから突出した拡径状態の揺動羽根により、回転装置又はダウンザホールハンマーにより発生する回転力と押付力又はこれらと往復打撃力とでドリル本体の外径程の削孔ができる。次に削孔の最下位置又は削孔途中でドリルの回転を左又は右の一方向にさせることで、揺動羽根に削孔の地盤内面との押付力と摩擦力が加わって揺動羽根はその軸支ピンまわりに拡径方向に回動して前記ストッパーピンがピン受溝の丸ザグリに係止して拡径状態で削孔する。しかし揺動羽根は断面逆台形状の空間のアリ溝内にドリル切削面から突出した二つ以上ある断面逆台形の突出部を強固に嵌入していることで揺動羽根は前記アリ溝で前記突出部を抱合されながら且つ揺動羽根の内面をドリル本体側の切削面に圧接した状態で接触させながら、その軸支ピンまわりに摺動しながら回転して所定の拡径角度で拡径削孔可能となっている。そして揺動羽根は回転方向及び外方に向った外力・モーメントに対して、アリ溝を介して強固に前記突出部を係合していて切削面から外方に引きはがされること及び押付力・打撃振動が加わってもドリル軸心方向の先後移動されることはない。尚、本発明で押付力のみの負荷では削孔径はドリル本体の外径程であり、小さい。これに回転と押付力と振動・往復打撃力を与えれば拡径して大きく削孔できるものとなる(図10参照)。
【0010】
又、拡径した揺動羽根の軸支ピンまわりに作用するトルク・力は、揺動羽根の後部の外周面と前記軸支ピンまわりに形成される凹んだ切削面の外周に形成されるドリル本体の垂直の切削壁面とが図2,4,10(a)の如くαとα’及びβとβ’の個所で当接し、揺動羽根に働く地盤からの反力トルク・外力は当接する切削壁面αとα’,βとβ’によって受け止められて、拡径の状態を強固に保持して、地盤の拡径削孔の作業を長時間可能にする。又、この拡径の状態は、揺動羽根の内面に設けられて切削面に向けてスプリングで付勢されたストッパーピンSPが切削面に設けたピン受溝SPMの溝端の丸ザグリSPM1に押し当てられて、ストッパーピンSPとピン受溝SPMとの拡径状態を安定保持するようにしている。
(【0011】以降は省略されています)

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