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公開番号2024170152
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-06
出願番号2023087156
出願日2023-05-26
発明の名称地下構造物予測システム、地下構造物予測方法
出願人清水建設株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類E21D 11/40 20060101AFI20241129BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】解析技術者が不在であっても、解析条件を推定することができ、工程の遅延を低減することができる。
【解決手段】トンネルが施工される地山の変位が計測された結果である地山変位データを取得する地山変位データ取得部と、前記トンネルの内周面に沿って設けられた施工物に作用する応力が計測された結果である応力計測データを取得する応力計測データ取得部と、前記地山の物性を表す物性値を記憶する記憶部と、前記物性値と前記地山の地質を表す地質モデルとを用い、前記地山に生じる変位と支保工に作用する応力を解析する解析モデルによって解析を行う解析部と、前記解析対象の区間について前記解析部によって解析することで得られる前記変位及び前記応力と、前記解析対象の区間について測定されることで得られる前記地山変位データ及び前記応力計測データとに基づいて、前記地山の物性値を更新するデータ同化処理部を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
トンネルに吹き付けられたコンクリートの内周面を測定することで前記トンネルが施工される地山の変位が計測された結果である地山変位データを取得する地山変位データ取得部と、
前記トンネルの内周面に沿って設けられた施工物に作用する応力が計測された結果である応力計測データを取得する応力計測データ取得部と、
前記地山の物性を表す物性値を記憶する記憶部と、
前記物性値と前記地山の地質を表す地質モデルとを用い、前記地山に生じる変位と支保工に作用する応力を解析する解析モデルによって解析を行う解析部と、
前記解析対象の区間について前記解析部によって解析することで得られる前記変位及び前記応力と、前記解析対象の区間について測定されることで得られる前記地山変位データ及び前記応力計測データとに基づいて、前記地山の物性値を更新するデータ同化処理部
を有する地下構造物予測システム。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記地山に対する第1の掘削を行うことで施工された第1区間と、前記第1区間から第2の掘削を行うことで施工された第2区間とがあり、
前記データ同化処理部は、
前記第1区間について解析された解析結果と、前記第2区間について解析された解析結果とに基づいて生成される状態ベクトルと、
前記第1区間について測定されることで得られる前記地山変位データ及び前記応力計測データと、前記第2区間について測定されることで得られる前記地山変位データ及び前記応力計測データとに基づいて生成される観測ベクトルと、
を用いてデータ同化処理をすることで、前記地山の物性値を更新する
請求項1に記載の地下構造物予測システム。
【請求項3】
前記解析部は、
前記更新された後の物性値を用いて、第2区間を起点としてこれから掘削する対象区間について解析を行うことで、前記対象区間における変位及び応力を予測し、
前記地下構造物予測システムは、
前記対象区間について予測された変位及び応力と、変位基準値及び応力基準値との大小関係を把握可能な情報を出力する出力部
を有する請求項1または請求項2に記載の地下構造物予測システム。
【請求項4】
前記解析部は、
解析結果として、前記変位を予測した変位予測値の確率分布と、前記応力を予測した応力予測値の確率分布を得る
請求項3に記載の地下構造物予測システム。
【請求項5】
前記出力部は、
前記変位予測値の確率分布を表すグラフに対して前記変位基準値を表す図形を加えた画像または、前記応力予測値の確率分布を表すグラフに対して前記応力基準値を表す図形を加えた画像を表示画面に表示させる
請求項4に記載の地下構造物予測システム。
【請求項6】
コンピュータに、
トンネルに吹き付けられたコンクリートの内周面を測定することで前記トンネルが施工される地山の変位が計測された結果である地山変位データを取得する地山変位計測データ取得ステップ、
前記トンネルの内周面に沿って設けられた施工物に作用する応力が計測された結果である応力計測データを取得する応力計測データ取得ステップ、
前記地山の物性を表す物性値を記憶する記憶部に記憶された前記物性値と前記地山の地質を表す地質モデルとを用い、前記地山に生じる変位と支保工に作用する応力を解析する解析モデルによって解析を行う解析ステップ、
前記解析対象の区間について前記解析ステップによって解析することで得られる前記変位及び前記応力と、前記解析対象の区間について測定されることで得られる前記地山変位データ及び前記応力計測データとに基づいて、前記地山の物性値を更新するデータ同化処理ステップ
を実行させる地下構造物予測方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造物予測システム、地下構造物予測方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
山岳トンネル、地下発電所などの地下構造物の施工では、施工中の切羽観察や計測工のデータに基づいて、設計の修正を行う情報化施工が採用されている。
特に、山岳トンネルの設計の修正の際には、例えば(1)標準設計、(2)類次条件の設計、(3)解析手法のいずれかが適用される。
(1)の標準設計による手法は、予め地山条件ごとに作成した支保パターンを地山等級に応じて適用するものである。
(2)の類次条件の設計は、過去に行ったトンネルの設計実積を参考に設計するものである。
(3)の解析手法は、標準設計や類次設計が適用できない場合に、解析を用いた手法により地山に生じる変位や支保工に作用する応力に基づいて設計を行うものである。
また、支保工の安定性と妥当性の確認をするために支保工に変位センサを設け、支保工のひずみ計測を行い、リアルタイムに地山挙動予測をする歪み計測システムがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-177992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の(3)の解析を適用しようとする場合、次のような問題点がある。
例えば、初期応力の状態や境界条件、岩盤物性など解析条件の設定方法に確立された手法はなく、解析技術者の経験や知識に基づき合理的に設定されているのが現状である。
また、実際の複雑な地山条件と支保工や覆工、さらにはその相互作用をモデル化したうえでの解析をすることから、現実の挙動を十分に再現できない場合もあり、さらに、結果の評価には経験による知見も必要とするなど、高度な技術的解釈が求められる。
以上のように、解析手法を用いて山岳トンネルの設計の修正を行う場合には、解析技術者が、上記の解析条件の設定と、解析結果の評価に手間と時間を要するという問題がある。
また、解析条件の設定と、解析結果の評価に時間を要することから、設計の修正のために施工を中断し、設計の修正結果が得られてから設計の修正内容も考慮しつつ施工を再開する場合は、施工を中断する期間が生じるため、工程の遅延につながる場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、解析技術者が不在であっても、解析条件を推定することができ、工程の遅延を低減することができる地下構造物予測システム、地下構造物予測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、トンネルに吹き付けられたコンクリートの内周面を測定することで前記トンネルが施工される地山の変位が計測された結果である地山変位データを取得する地山変位データ取得部と、前記トンネルの内周面に沿って設けられた施工物に作用する応力が計測された結果である応力計測データを取得する応力計測データ取得部と、前記地山の物性を表す物性値を記憶する記憶部と、前記物性値と前記地山の地質を表す地質モデルとを用い、前記地山に生じる変位と支保工に作用する応力を解析する解析モデルによって解析を行う解析部と、前記解析対象の区間について前記解析部によって解析することで得られる前記変位及び前記応力と、前記解析対象の区間について測定されることで得られる前記地山変位データ及び前記応力計測データとに基づいて、前記地山の物性値を更新するデータ同化処理部を有する地下構造物予測システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、トンネルに吹き付けられたコンクリートの内周面を測定することで前記トンネルが施工される地山の変位が計測された結果である地山変位データを取得する地山変位計測データ取得ステップ、前記トンネルの内周面に沿って設けられた施工物に作用する応力が計測された結果である応力計測データを取得する応力計測データ取得ステップ、前記地山の物性を表す物性値を記憶する記憶部に記憶された前記物性値と前記地山の地質を表す地質モデルとを用い、前記地山に生じる変位と支保工に作用する応力を解析する解析モデルによって解析を行う解析ステップ、前記解析対象の区間について前記解析ステップによって解析することで得られる前記変位及び前記応力と、前記解析対象の区間について測定されることで得られる前記地山変位データ及び前記応力計測データとに基づいて、前記地山の物性値を更新するデータ同化処理ステップを実行させる地下構造物予測方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、解析技術者が不在であっても、解析条件を推定することができ、工程の遅延を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この発明の一実施形態による地下構造物予測システムSの構成を示す概略構成図である。
地下構造物予測システムSのデータフローを示す図である。
解析用コンピュータ20の機能について説明する概略ブロック図である。
地下構造物予測システムSの動作を説明するフローチャートである。
予測結果の確率分布の一例を示す図である。
双子実験を行う実施手順を示すフローチャートである。
円形断面の素堀のトンネルの掘削を模擬した解析モデルの一例を示す図である。
データ同化で更新前と更新後の地山のヤング率を示すグラフである。
天端の観測点のz軸方向の変位の正解値、アンサンブルの予測結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による地下構造物予測システムSについて図面を参照して説明する。
本実施形態における地下構造物予測システムSは、前述した課題に対し、データ同化を組み込んだ掘削解析により、地山の物性の同定、地山に生じる変位と支保工に作用する応力の予測を行うシステムである。一般的に、計算モデルは実現象に対して理想化・簡略化された偏微分方程式、初期・境界条件、構成式などの数学モデルに基づき構築されているだけでなく、離散化誤差や丸め誤差等も含んでいるため、実現象を完璧に再現することは困難である。これに対し、地下構造物予測システムSは、データ同化を行うことで、計算モデルのもつ誤差を考慮し、シミュレーションの実行中に観測データを活用して、計算モデルを修正し、解析・予測の性能を向上させることが可能である。
この実施形態では、山岳トンネルの施工を対象として、施工を進めた時に地山に生じる変位、支保工に作用する応力の予測を行う場合について説明する。ここでデータ同化手法には、逐次型データ同化手法の、アンサンブルベースのデータ同化手法であるアンサンブルカルマンフィルターを用いる場合を例に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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