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公開番号
2024139667
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-09
出願番号
2023183523
出願日
2023-10-25
発明の名称
生分解性樹脂の処理方法及び生分解性樹脂の処理システム
出願人
大阪瓦斯株式会社
代理人
弁理士法人R&C
主分類
B09B
3/65 20220101AFI20241002BHJP(固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生)
要約
【課題】生分解性樹脂と水以外に添加物を加えることなく、高効率でメタンを生成することができる、生分解性樹脂の処理方法及び処理システムを実現することにある。
【解決手段】生分解性樹脂1を含む廃棄物と水2とを混合し、密閉された分解槽11内で120℃以上の温度にて加水分解して生分解性樹脂1の分解物を含む分解液3を得る分解工程と、難分解性固形分を含む有機廃棄物4と分解液3とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽21内で30℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵工程、とを含む生分解性樹脂の処理方法であって、メタン発酵工程において、メタン発酵槽21内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように有機廃棄物4に分解液3を添加する、生分解性樹脂の処理方法及び処理システム。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
生分解性樹脂を含む廃棄物と水とを混合し、密閉された分解槽内で120℃以上の温度にて加水分解して前記生分解性樹脂の分解物を含む分解液を得る分解工程と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と前記分解液とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽内で30℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵工程、とを含み、
前記メタン発酵工程において、前記メタン発酵槽内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように前記有機廃棄物に前記分解液を添加する、生分解性樹脂の処理方法。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
生分解性樹脂を含む廃棄物と水蒸気とを混合し、密閉された分解槽内で120℃以上の温度にて加水分解して前記生分解性樹脂の分解物を含む分解液を得る分解工程と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と前記分解液とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽内で30℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵工程、とを含み、
前記メタン発酵工程において、前記メタン発酵槽内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように前記有機廃棄物に前記分解液を添加する、生分解性樹脂の処理方法。
【請求項3】
前記分解工程において、前記生分解性樹脂1.0質量部に対して、0.30質量部以上20質量部以下の水又は水蒸気を混合する、請求項1又は2に記載の生分解性樹脂の処理方法。
【請求項4】
前記分解槽は、少なくとも前記分解液と接する部分の材質がオーステナイト系ステンレス鋼で構成される、請求項1又は2に記載の生分解性樹脂の処理方法。
【請求項5】
前記分解工程における加水分解の温度が120℃以上170℃以下である、請求項4に記載の生分解性樹脂の処理方法。
【請求項6】
前記生分解性樹脂が、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカノエートのうち少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の生分解性樹脂の処理方法。
【請求項7】
前記分解工程で混合される前記生分解性樹脂は、ポリ乳酸以外の生分解性樹脂1.0質量部に対して、0.1質量部以上のポリ乳酸を含む請求項6に記載の生分解性樹脂の処理方法。
【請求項8】
生分解性樹脂を含む廃棄物と水とを混合し、密閉された分解槽内で120℃以上の温度にて加水分解して前記生分解性樹脂の分解物を含む分解液を得る分解装置と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と前記分解液とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽内で20℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵装置とを含み、
前記メタン発酵槽内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように前記有機廃棄物に前記分解液が添加される、生分解性樹脂の処理システム。
【請求項9】
生分解性樹脂を含む廃棄物と水蒸気とを混合し、密閉された分解槽内で120℃以上の温度にて加水分解して前記生分解性樹脂の分解物を含む分解液を得る分解装置と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と前記分解液とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽内で20℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵装置とを含み、
前記メタン発酵槽内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように前記有機廃棄物に前記分解液が添加される、生分解性樹脂の処理システム。
【請求項10】
前記分解槽に前記生分解性樹脂1.0質量部に対して、0.30質量部以上20質量部以下の水又は水蒸気を混合する、請求項8又は9に記載の生分解性樹脂の処理システム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂の処理方法及び生分解性樹脂の処理システムに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
従来のプラスチックに代わる材料に関する研究開発が、近年盛んに行われている。その中でも、再生可能資源で作られたポリ乳酸(PLA)を主成分とする生分解性プラスチックは、微生物の力で分解されるため、環境に優しいバイオマスプラスチックである。バイオマスプラスチックでは、分解されにくい従来のプラスチックに代わり、レジ袋の材料として使用されたり、人体への安全性が高いため、溶ける縫合糸などの医療用材料として用いられたりされている。
【0003】
近年、石油資源の急激な高騰によりバイオマス燃料への需要がますます高まっており、再生可能資源で作られたポリ乳酸等のバイオマスプラスチックを、メタン発酵によりメタンを含むバイオガスへ変換する試みが再度注目されている。
【0004】
特許文献1には、アミン化合物存在下で樹脂含有廃棄物を加温して、モノマーに加水分解する分解槽と、分解槽で得られるモノマーと難分解性固形分を含む有機廃棄物とが供給される発酵槽にてこれらをメタン発酵するメタン発酵部と、を備える廃棄物処理システムが開示されている。このような方法は、廃プラスチックを化学原料や燃料として利用可能なガスとして再生するケミカルリサイクルに比べて、水素及び一酸化炭素を主に含む混合ガスを経ることなくメタンを製造できる。また、難分解性固形分を含む有機廃棄物のメタン発酵を行っている発酵槽にモノマーを供給することで、発酵槽内において、難分解性固形分を含む有機廃棄物のメタン発酵と、モノマーのメタン発酵とを両立でき、効率的なメタン発酵を可能としている。
【0005】
特許文献2には、生分解性酵素、炭酸カルシウム、エタノール及び水を含有する分解液中でポリ乳酸樹脂を分解した後、分解液をメタン発酵させる工程を含む、メタンガスの生成方法が開示されている。この方法では、エタノールを添加しない場合に比べてガス発生量が1.5倍程度増加することが記載されている。また、エタノールと炭酸カルシウムを加えない場合と比べても、ガス発生量が約1.3倍増加することが記載されており、効率的なメタンガス生成方法となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2022-170390号公報
特許第5696971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の廃棄物処理システムは、分解槽にアミン化合物、エタノール、炭酸カルシウム等の添加物が加えられている。そのため、分解槽で生成された分解液を発酵槽に加えた場合に、これらの添加物が発酵槽内のメタン生成菌へ悪影響を及ぼし、メタン生成の効率を低減させる虞があった。
【0008】
本発明の目的は、生分解性樹脂と水又は水蒸気以外に添加物を加えることなく、高効率でメタンを生成することができる、生分解性樹脂の処理方法及び生分解性樹脂の処理システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の生分解性樹脂の処理方法の特徴構成は、
生分解性樹脂を含む廃棄物と水とを混合し、密閉された分解槽内で120℃以上の温度にて加水分解して前記生分解性樹脂の分解物を含む分解液を得る分解工程と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と前記分解液とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽内で30℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵工程、とを含み、
前記メタン発酵工程において、前記メタン発酵槽内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように前記有機廃棄物に前記分解液を添加する点にある。
本発明の生分解性樹脂の処理方法の特徴構成は、
生分解性樹脂を含む廃棄物と水蒸気とを混合し、密閉された分解槽内で120℃以上の温度にて加水分解して前記生分解性樹脂の分解物を含む分解液を得る分解工程と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と前記分解液とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽内で30℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵工程、とを含み、
前記メタン発酵工程において、前記メタン発酵槽内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように前記有機廃棄物に前記分解液を添加する点にある。
本発明の生分解性樹脂の処理システムの特徴構成は、
生分解性樹脂を含む廃棄物と水とを混合し、密閉された分解槽内で120℃以上の温度にて加水分解して前記生分解性樹脂の分解物を含む分解液を得る分解装置と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と前記分解液とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽内で20℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵装置とを含み、
前記メタン発酵槽内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように前記有機廃棄物に前記分解液が添加される点にある。
本発明の生分解性樹脂の処理システムの特徴構成は、
生分解性樹脂を含む廃棄物と水蒸気とを混合し、密閉された分解槽内で120℃以上の温度にて加水分解して前記生分解性樹脂の分解物を含む分解液を得る分解装置と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と前記分解液とを、メタン菌が存在するメタン発酵槽内で20℃以上60℃以下の温度にて処理するメタン発酵装置とを含み、
前記メタン発酵槽内の有機負荷が0.60gCODCr/L/日以上5.0gCODCr/L/日以下となるように前記有機廃棄物に前記分解液が添加される点にある。
【0010】
下水汚泥などの難分解性固形分を含む有機廃棄物のメタン発酵では、難分解性固形分を可溶化してアミノ酸、糖類及び長鎖脂肪酸等の有機物とし、これらの有機物を嫌気性細菌の働きにより有機酸又はアルコール類等の有機化合物に分解して、これらの有機化合物を基にメタンが生成される。
ここで、難分解性固形分の可溶化は、進行速度が遅いため、難分解性固形分を含む有機廃棄物はメタン発酵が進み難い。このため、難分解性固形分を含む有機廃棄物のみを発酵槽にてメタン発酵する場合、発酵槽に対する容積負荷を高くすることができず、容積負荷が低い状態となっており、発酵槽を有効に利用できていない。
しかしながら、本特徴構成によれば、生分解性樹脂と水又は水蒸気とを含む混合物を加水分解して、生分解性樹脂の分解物を含む分解液を生成できる。この分解液は、難分解性固形分を含む有機廃棄物よりもメタン発酵が進行し易い。そのため、難分解性固形分を含む有機廃棄物のメタン発酵を行っているメタン発酵槽に分解液を供給することで、メタン菌が存在する発酵槽内において、難分解性固形分を含む有機廃棄物のメタン発酵(難分解性固形分の可溶化段階及び有機物の酸発酵段階を経て行われるメタンの生成)と、分解液中の生分解性樹脂の分解物のメタン発酵(分解物が有機物である場合には、酸発酵段階を経て行われるメタンの生成、分解物が有機酸である場合には、当該有機酸を基にしたメタンの生成)とを両立できる。そのため、有機廃棄物のみをメタン発酵する場合に比べて、有機廃棄物及び分解液中の分解物から効率よくメタンを製造することができる。
さらに、本特徴構成によれば、生分解性樹脂と水又は水蒸気以外に添加剤を加える必要がないため、添加剤によりメタン発酵が阻害されることなく高効率でメタンを生成することができる。
また、本特徴構成によれば、分解液の有機負荷が上記範囲とされることで、発酵槽内でpHが低下することを防ぎ、メタン発酵に悪影響を与えないため好適である。
(【0011】以降は省略されています)
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