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公開番号
2024129853
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-30
出願番号
2023039208
出願日
2023-03-14
発明の名称
筒状体の扱き加工方法
出願人
株式会社三五
代理人
弁理士法人プロスペック特許事務所
主分類
B21D
22/28 20060101AFI20240920BHJP(本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き)
要約
【課題】有底又は無底を問わず、筒状のワークの内周面に対する扱き加工において、ワークの内周面とパンチとの間に潤滑油を潤沢に供給して油膜切れを防止することにより、ダイス及び/又はパンチへの凝着並びに温度上昇等の問題を低減する。
【解決手段】ダイスに形成された空洞に保持された有底又は無底の筒状体であるワークの内部にパンチを挿通することによって当該ワークの内周面を均す扱き加工において、ワークの内周面の少なくとも扱き加工を受ける部分である被扱き部分の全体が潤滑油に浸漬している状態においてワークの内部にパンチを挿通させる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
ダイスに形成された空洞に保持された有底又は無底の筒状体であるワークの内部にパンチを挿通することによって当該ワークの内周面を均す扱き加工であって、
前記ワークの前記内周面の少なくとも前記扱き加工を受ける部分である被扱き部分の全体が潤滑油に浸漬している状態において前記ワークの前記内部に前記パンチを挿通させる、
ことを特徴とする、筒状体の扱き加工方法。
続きを表示(約 580 文字)
【請求項2】
請求項1に記載された筒状体の扱き加工方法であって、
前記パンチの先端部には潤滑油を溜めることができる凹部である潤滑油溜まりが設けられている、
ことを特徴とする、筒状体の扱き加工方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された筒状体の扱き加工方法であって、
前記ダイスに形成された前記空洞の外部へ前記潤滑油を排出することが可能なリリーフバルブ及び流路が前記パンチに設けられている、
ことを特徴とする、筒状体の扱き加工方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載された筒状体の扱き加工方法であって、
前記ワークが無底の筒状体であり、
前記ダイスに形成された前記空洞の内部へ前記潤滑油を供給すること及び前記ダイスに形成された前記空洞の外部へ前記潤滑油を排出することが可能なバルブ及び流路が前記ダイスに設けられている、
ことを特徴とする、筒状体の扱き加工方法。
【請求項5】
請求項4に記載された筒状体の扱き加工方法であって、
前記被扱き部分が浸漬している前記潤滑油を前記ダイスに形成された前記空洞の外部へと排出することが可能なリリーフバルブ及び流路が前記パンチに設けられている、
ことを特徴とする、筒状体の扱き加工方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体の扱き加工方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
絞り加工等の塑性加工によって成形された有底又は無底の筒状体であるワーク(中間素材)の内外の表面を円滑化することを目的として、パンチ等の金属部材を摺動させることによりワークの板厚を減少させると共に表面の凹凸を均す所謂「扱き加工」が広く用いられている。特に内部に流体を流すノズル等の部材においては、扱き加工によって内表面を円滑化することが強く求められる。
【0003】
上記のような部材を構成する材料としては、ステンレス鋼(SUS)が昨今多用されているが、SUSは硬く、また前工程(塑性加工)による加工硬化が顕著であるので、扱き加工においては強い面圧が作用する(大きい加工荷重によって表面を均す)こととなる。このため、SUS製のワークの扱き加工においては、ダイス(型)及び/又はパンチへの凝着が発生し易く、扱き加工に伴う温度上昇も大きい。従って、量産時には、これらの問題に対する対処が必要となる。斯かる対処としてはワークの表面にボンデ処理を施した上で扱き加工を行うことが挙げられるが、ボンデ処理に伴う工程及びコストの増大が大きな課題となる。
【0004】
そこで、加工工程においてワークに対して積極的に潤滑を施すことが考えられる。例えば、特許文献1(特開2021-137851号公報)には、板状のワーク(被加工材)とノックアウトとの間にプレスオイル(潤滑油)のオイル溜めを設けるプレス金型が開示されている。これによれば、深絞り加工の際にオイル溜めに油圧が生じてノックアウトとダイとの間の隙間からプレスオイルがリークすることにより板状のワークから成形される有底円筒体の外表面にプレスオイルが供給されて油膜切れが防止され潤滑が確保される。しかしながら、当該技術は有底円筒体の外表面の深絞り加工には有効であるものの、筒状体の内表面の扱き加工には適用することができない。
【0005】
一方、特許文献2(特許第2945824号公報)には、有底円筒体であるワークに潤滑油を供給しつつ行う扱き加工においてワークへのパンチ(ポンチ)の進入により潤滑油と空気とがワークの底部に密封されワークの底面までパンチを十分に到達させることができないという課題を解決する技術が開示されている。具体的には、パンチの内部に設けられた嵌合穴に嵌合された入子に形成された切除部を介して潤滑油及び空気を排出することにより、ワークの底面までパンチを十分に到達させる。即ち、当該技術における潤滑油の供給量はワークの底部に空気と共に溜まる程度の微量であり、ワークの内表面とパンチとの間に潤滑油を積極的に供給して油膜切れを防止して潤滑を確保することは企図されていない。
【0006】
そもそも、上記技術は、上述したように潤滑油と空気とがワークの底部に密封された状態となりワークの底面までパンチを十分に到達させることができないという課題を解決することを目的としており、斯かる課題が存在しない無底の筒状体には適用することができない。
【0007】
以上のように、当該技術分野においては、有底又は無底を問わず、筒状のワークの内周面に対する扱き加工において、ワークの内周面とパンチとの間に潤滑油を潤沢に供給して油膜切れを防止することにより、ダイス及び/又はパンチへの凝着並びに温度上昇等の問題を低減することができる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2021-137851号公報
特許第2945824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、当該技術分野においては、有底又は無底を問わず、筒状のワークの内周面に対する扱き加工において、ワークの内周面とパンチとの間に潤滑油を潤沢に供給して油膜切れを防止することにより、ダイス及び/又はパンチへの凝着並びに温度上昇等の問題を低減することができる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、有底又は無底の筒状体であるワークの内周面を均す扱き加工において、ワークの内周面の少なくとも扱き加工を受ける部分の全体が潤滑油に浸漬している状態においてワークの内部にパンチを挿通させることにより上記課題を解決することができることを見出した。
(【0011】以降は省略されています)
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