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公開番号2024127253
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023036282
出願日2023-03-09
発明の名称非晶質粉末およびその製造方法
出願人DOWAエレクトロニクス株式会社
代理人個人,個人
主分類C03C 3/253 20060101AFI20240912BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】焼成操作による結晶化によって、緻密な焼結体を製造することができる、非晶質粉末およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
リチウムを1.0質量%以上4.0質量%以下、アルミニウムを0.5質量%以上6.0質量%以下、ゲルマニウムを15質量%以上35質量%以下、リンを10質量%以上30質量%以下含有し、残部が酸素および不可避不純物であり、TG-DTA測定による結晶化温度が、620℃以上650℃以下である非晶質粉末を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
リチウムを1.0質量%以上4.0質量%以下、
アルミニウムを0.5質量%以上6.0質量%以下、
ゲルマニウムを15質量%以上35質量%以下、
リンを10質量%以上30質量%以下含有し、
残部が酸素および不可避不純物であり、
TG-DTA測定による結晶化温度が、620℃以上650℃以下である非晶質粉末。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
リチウムを1.0質量%以上4.0質量%以下、
アルミニウムを0.5質量%以上6.0質量%以下、
ゲルマニウムを15質量%以上35質量%以下、
リンを10質量%以上30質量%以下含有し、
残部が酸素および不可避不純物であり、
TG-DTA測定によるDTAの最大ピーク値であるDTA
max
(μV)、DTAのベースラインとなる値であるDB(μV)、測定試料質量S(mg)により、下記式(1)から算出される発熱量(μV/mg)が、2μV/mg以上10μV/mg以下である非晶質粉末。
発熱量(μV/mg)=(DTA
max
(μV)-DB(μV))/S(mg)・・・式(1)
【請求項3】
TMA測定による700℃の体積変化が、-25%以上-40%以下である、請求項1または2に記載の非晶質粉末。
【請求項4】
前記非晶質粉末を700℃において焼結して得た焼結体の密度が、2.40g/cm

以上3.40g/cm

以下である、請求項1または2に記載の非晶質粉末。
【請求項5】
前記非晶質粉末に含まれる粒子のアスペクト比(短径/長径)が、0.6以上1.0以下である、請求項1または2に記載の非晶質粉末。
【請求項6】
チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、ホウ素およびガリウムからなる群から選ばれる1種以上の元素を、合計5質量%以下の範囲でさらに含有する、請求項1または2に記載の非晶質粉末。
【請求項7】
非晶質粉末の製造方法であって、
リチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、リンを含む原料を溶融し、溶湯を得る工程と、
前記溶湯を冷却粉砕する工程とを有する、非晶質粉末の製造方法。
【請求項8】
前記冷却粉砕の冷却速度が、2.0×10

K/sec以上1.0×10

K/sec以下である、請求項7に記載の非晶質粉末の製造方法。
【請求項9】
前記冷却粉砕の冷却速度が、5.0×10

K/sec以上5.0×10

K/sec以下である、請求項7に記載の非晶質粉末の製造方法。
【請求項10】
前記溶湯を冷却粉砕する工程が、溶湯へアトマイズガスを噴射するものである、請求項7に記載の非晶質粉末の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体電池に使用される固体電解質の前駆体である非晶質粉末およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
全固体電池の固体電解質の一例としてNASICON型結晶構造を有するリチウムイオン伝導体があり、その一つとして、リチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、リンを含有し、一般式Li
1+x
Al

Ge
2-x
(PO



(xの範囲は、0<x≦1)にて記載されるリチウムイオン伝導体(本発明において「LAGP」と記載する場合がある)が知られている。そして、全固体電池において固体電解質は、固体電解質粉末を焼結させた焼結体として用いられる。高いリチウム伝導性を得るには固体電解質粉末の焼結体が緻密であることが望まれている。
【0003】
特許文献1には、緻密なLAGP焼結体を得るために固相反応により製造した結晶質のLAGP粒子をCIP(冷間静水等方圧プレス)成形することにより成形体を作製し、当該成形体を熱処理して製造することが記載されている。
特許文献2には、非晶質のLAGP粒子を高アスペクト比の鱗片状形状に制御することで、緻密なLAGP焼結体を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5970284号
特開2013-58376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、結晶質のLAGP粒子を用いて緻密なLAGP焼結体を得ているが、結晶質のLAGP粒子は非晶質のLAGP粒子に比較して硬いため、緻密なLAGP焼結体を得ることが難しい。そのために、特許文献1では、CIPによって結晶質のLAGP粒子へ高圧をかけることで成形体を作製し、当該成形体を熱処理することで、緻密なLAGP焼結体を得ている。しかし、この製造方法を工業的なプロセスとして用いることは生産性に課題があるため、非晶質の固体電解質粉末が求められている。
【0006】
一方、特許文献2では、高アスペクト比の鱗片状の非晶質LAGP粒子を使用している。一般的に鱗片状の粒子においては、体積に対する比表面積が大きくたるため、結晶化温度は低くなる。この結果、緻密なLAGP焼結体を得るのは、難しいものであった。
【0007】
本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、焼成操作による結晶化によって、緻密な焼結体を製造することができる、非晶質粉末およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、上述の課題を解決する第1の発明は、
リチウムを1.0質量%以上4.0質量%以下、
アルミニウムを0.5質量%以上6.0質量%以下、
ゲルマニウムを15質量%以上35質量%以下、
リンを10質量%以上30質量%以下含有し、
残部が酸素および不可避不純物であり、
TG-DTA測定による結晶化温度が、620℃以上650℃以下である非晶質粉末である。
第2の発明は、
リチウムを1.0質量%以上4.0質量%以下、
アルミニウムを0.5質量%以上6.0質量%以下、
ゲルマニウムを15質量%以上35質量%以下、
リンを10質量%以上30質量%以下含有し、
残部が酸素および不可避不純物であり、
TG-DTA測定によるDTAの最大ピーク値であるDTA
max
(μV)、DTAのベースラインとなる値であるDB(μV)、測定試料質量S(mg)により、下記式(1)から算出される発熱量(μV/mg)が、2μV/mg以上10μV/mg以下である非晶質粉末である。
発熱量(μV/mg)=(DTA
max
(μV)-DB(μV))/S(mg)・・・式(1)
第3の発明は、
TMA測定による700℃の体積変化が、-25%以上-40%以下である、第1または第2の発明に記載の非晶質粉末である。
第4の発明は、
前記非晶質粉末を700℃において焼結して得た焼結体の密度が、2.40g/cm

以上3.40g/cm

以下である、第1または第2の発明に記載の非晶質粉末である。
第5の発明は、
前記非晶質粉末に含まれる粒子のアスペクト比(短径/長径)が、0.6以上1.0以下である、第1または第2の発明に記載の非晶質粉末である。
第6の発明は、
チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、ホウ素およびガリウムからなる群から選ばれる1種以上の元素を、合計5質量%以下の範囲でさらに含有する、第1または第2の発明に記載の非晶質粉末である。
第7の発明は、
非晶質粉末の製造方法であって、
リチウム、アルミニウム、ゲルマニウム、リンを含む原料を溶融し、溶湯を得る工程と、
前記溶湯を冷却粉砕する工程とを有する、非晶質粉末の製造方法である。
第8の発明は、
前記冷却粉砕の冷却速度が、2.0×10

K/sec以上1.0×10

K/sec以下である、第7の発明に記載の非晶質粉末の製造方法である。
第9の発明は、
前記冷却粉砕の冷却速度が、5.0×10

K/sec以上5.0×10

K/sec以下である、第7の発明に記載の非晶質粉末の製造方法である。
第10の発明は、
前記溶湯を冷却粉砕する工程が、溶湯へアトマイズガスを噴射するものである、第7の発明に記載の非晶質粉末の製造方法である。
第11の発明は、
前記溶湯を得る工程において、さらにチタン原料化合物、ジルコニウム原料化合物、ハフニウム原料化合物、ケイ素原料化合物、ホウ素原料化合物およびガリウム原料化合物からなる群から選ばれる1種以上の原料を溶融する、第7の発明に記載の非晶質粉末の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る非晶質粉末を用いた焼成操作による結晶化によって緻密なLAGP焼結体を製造することができるため、LAGP焼結体のイオン伝導度の向上を図ることができる。そのため、全固体電池の固体電解質層を形成する固体電解質として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明に係る非晶質粉末の製造フローである。
本発明に係る非晶質粉末を製造するためのアトマイズ装置の模式的な断面図である。
実施例1に係る非晶質粉末と、当該非晶質粉末700℃で2時間焼成した粉末とのXRDスペクトルである。
実施例1に係る非晶質粉末のTG-DTA測定結果を示すグラフである。
図4に示すTG-DTA測定結果を得る際、0.5秒間隔でサンプリングしたDTA(μm)値の差であるΔDTA(μV)の値を縦軸とし、温度を横軸としたグラフである。
図5におけるA部分の拡大図である。
図4へ、ベースライン温度の値を当て嵌めたグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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