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公開番号2024125709
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-19
出願番号2023033709
出願日2023-03-06
発明の名称タンパク質含有麹菌組織物の製造方法
出願人国立大学法人 筑波大学
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類C12N 1/14 20060101AFI20240911BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】タンパク質の含有量が高い麹菌組織物を製造することができる方法を提供する。
【解決手段】タンパク質含有麹菌組織物の製造方法であって、少なくとも炭素源を含む液体培地中で麹菌の培養を開始すること、上記麹菌が増殖を開始した時点より後に、第1の窒素源を上記液体培地に添加すること、および第1の窒素源の添加後、第1の窒素源を原料とするタンパク質の生成に要する時間、培養を継続することをこの順に含む製造方法;または玄米粉、酒粕、および粗糖からなる群より選択される1つ以上を含み、さらに酵母エキス、カザミノ酸、およびペプトンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸含有成分が0.25~1%(w/v)となるように添加された液体培地において麹菌の培養を行なうことを含む、製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
タンパク質含有麹菌組織物の製造方法であって、
少なくとも炭素源を含む液体培地中でスターターである麹菌の培養を開始すること、
前記液体培地中で前記麹菌が増殖を開始した時点より後に、第1の窒素源を前記液体培地に添加すること、および
第1の窒素源の添加後、第1の窒素源を原料とするタンパク質の生成に要する時間、培養を継続すること
をこの順に含む製造方法。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
第1の窒素源の添加が前記培養の開始18時間後以降であって、得られたタンパク質含有麹菌組織物の回収開始の8時間前までに行なわれる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記培養が3日間行なわれる請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
第1の窒素源がアミノ酸および低分子のペプチドを含む成分である請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
第1の窒素源が酵母エキス、カザミノ酸、およびペプトンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸含有成分である請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記添加が、第1の窒素源が、液体培地体積に対し0.1~1%(w/v)となるように行なわれる、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記添加が、第1の窒素源が、液体培地体積に対し0.25~0.5%(w/v)となるように行なわれる、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
培養開始時の前記液体培地が発酵残渣、米ぬか、ふすま、穀物粉および穀物ペーストからなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
培養開始時の前記液体培地が玄米粉、酒粕、および粗糖からなる群より選択される1つ以上を含む請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
麹菌を培養することを含むタンパク質含有麹菌組織物の製造方法であって、
発酵残渣、米ぬか、ふすま、穀物粉および穀物ペーストからなる群より選択される少なくとも1つの成分を少なくとも含み、さらに酵母エキス、カザミノ酸、およびペプトンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸含有成分が0.25~1%(w/v)となるように添加された液体培地において前記培養を行なうことを含む、製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質含有麹菌組織物の製造方法に関する。本発明は特に高濃度でタンパク質を含有する麹菌組織物の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
世界人口の増加による食料不足や家畜生産が環境に与える問題を解決するために代替タンパク質源の研究が進んでいる。代替タンパク質源としては、大豆やエンドウ豆などを原料とするプラントベースミート、細胞培養により人工的に製造する培養肉、コオロギなどの昆虫食、発酵技術を利用する発酵由来のタンパク質などがある。
【0003】
発酵由来のタンパク質の製造方法として、特許文献1には、液体培養した麹菌体を主原料とし、肉様の食感を有する挽肉様食品の製造方法が開示されている。特許文献1では、グルコースとともに、酵母エキス0.6%、ペプトン1.0%で含む液体培地で麹菌粉末を培養してタンパク質を40%以上含有する麹菌体を得たことが開示されている。
【0004】
特許文献2には、真菌細胞を増殖させ、菌糸体の乾燥質量の40質量%を超えるタンパク質含有量を有する繊維状菌糸塊を得ることを含む方法において、真菌細胞および増殖培地を含むブロスの一部を除去するステップと、ブロスを含有する容器に、新しい増殖培地を添加するステップとを含むことができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-023172号公報
国際公開第2019/237059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に記載の真菌細胞を利用した代替タンパク質源は植物の栽培などを必要とする他の代替タンパク質源よりも、短い期間で製造できるという利点がある。特に従来から食品に用いられてきている麹菌を培養して得られる組織物がタンパク質を高い含有量で含むと、安全性や消費者心理の観点から現実的な代替タンパク質源となる。さらに、食料不足や環境問題を解決する恒久的な代替タンパク質源とするために、麹菌組織物において効率的に高いタンパク質含有量を得る方法が求められている。
【0007】
本発明の課題は、タンパク質を含有する麹菌組織物の製造方法を提供することであり、特に、使用される培地成分に対してタンパク質の含有量が高い麹菌組織物を製造することができる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題の解決のためタンパク質を含有する麹菌組織物の培養においてより高濃度でタンパク質を含有する生成物を得る方法を検討していたところ、麹菌の培養における培地成分の選択や、窒素源となる成分の添加のタイミングにより生成物のタンパク質含有量が異なることを見出した。本発明者らは、この知見に基づき、さらに検討を重ねて、本発明を完成させた。
具体的には、本発明は以下のとおりである。
【0009】
<1>タンパク質含有麹菌組織物の製造方法であって、
少なくとも炭素源を含む液体培地中でスターターである麹菌の培養を開始すること、
上記液体培地中で上記麹菌が増殖を開始した時点より後に、第1の窒素源を上記液体培地に添加すること、および
第1の窒素源の添加後、第1の窒素源を原料とするタンパク質の生成に要する時間、培養を継続すること
をこの順に含む製造方法。
<2>第1の窒素源の添加が上記培養の開始18時間後以降であって、得られたタンパク質含有麹菌組織物の回収開始の8時間前までに行なわれる<1>に記載の製造方法。
<3>上記培養が3日間行なわれる<2>に記載の製造方法。
<4>第1の窒素源がアミノ酸および低分子のペプチドを含む成分である<1>~<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5>第1の窒素源が酵母エキス、カザミノ酸、およびペプトンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸含有成分である<4>に記載の製造方法。
<6>上記添加が、第1の窒素源が、液体培地体積に対し0.1~1%(w/v)となるように行なわれる、<1>~<5>のいずれかに記載の製造方法。
<7>上記添加が、第1の窒素源が、液体培地体積に対し0.25~0.5%(w/v)となるように行なわれる、<1>~<5>のいずれかに記載の製造方法。
<8>培養開始時の上記液体培地が発酵残渣、米ぬか、ふすま、穀物粉および穀物ペーストからなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む<1>~<7>のいずれかに記載の製造方法。
<9>培養開始時の上記液体培地が酒粕を含む<8>に記載の製造方法。
<10>麹菌を培養することを含むタンパク質含有麹菌組織物の製造方法であって、
発酵残渣、米ぬか、ふすま、穀物粉および穀物ペーストからなる群より選択される少なくとも1つの成分を少なくとも含み、さらに酵母エキス、カザミノ酸、およびペプトンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸含有成分が0.25~1%(w/v)となるように添加された液体培地において上記培養を行なうことを含む、製造方法。
<11>上記液体培地が玄米粉、酒粕、および粗糖からなる群より選択される1つ以上を含む<10>に記載の製造方法。
<12>タンパク質含有麹菌組織物の製造のための培地用液体組成物であって、
発酵残渣、米ぬか、ふすま、穀物粉および穀物ペーストからなる群より選択される少なくとも1つの成分を含み、さらに酵母エキス、カザミノ酸、およびペプトンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸含有成分を0.25~1%(w/v)含む培地用液体組成物。
<13>玄米粉、酒粕、および粗糖からなる群より選択される1つ以上を含む<12>に記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、タンパク質を含有する麹菌組織物の製造方法が提供される。本発明の製造方法により、タンパク質の含有量が高い麹菌組織物を低コストで製造することができる。また、本発明の一実施形態の製造方法においては、他の産業的用途の少ない原料を有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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