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公開番号2024124771
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-13
出願番号2023032672
出願日2023-03-03
発明の名称ニッケル粉末の製造方法およびその利用
出願人ノリタケ株式会社
代理人個人,個人
主分類B22F 1/14 20220101AFI20240906BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約【課題】耐焼結性に優れたニッケル粉末を実現する。
【解決手段】ここで開示されるニッケル粉末の製造方法は、有機溶媒にNi粒子が分散したNiスラリーを準備する準備工程S10と、Niスラリーに非水溶性のチオ尿素化合物を添加した後に加熱することによって、Ni粒子の表面に硫化Ni層を形成する硫化Ni層形成工程S20と、Ni粒子をアミン系化合物に分散させた後に加熱することによって、Ni粒子の表面にアミン系化合物を付着させるアミン付着工程S40とを含む。これによって、優れた焼結抑制効果を有する硫化Ni層とアミン系化合物をNi粒子の表面に存在させることができるため、製造後のニッケル粉末の耐焼結性を顕著に改善できる。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
有機溶媒にNi粒子が分散したNiスラリーを準備する準備工程と、
前記Niスラリーに非水溶性のチオ尿素化合物を添加した後に加熱することによって、前記Ni粒子の表面に硫化Ni層を形成する硫化Ni層形成工程と、
前記Ni粒子をアミン系化合物に分散させた後に加熱することによって、前記Ni粒子の表面に前記アミン系化合物を付着させるアミン付着工程と
を含む、ニッケル粉末の製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記硫化Ni層形成工程と前記アミン付着工程との間に、前記Niスラリーから前記Ni粒子を分離する分離工程を実施する、請求項1に記載のニッケル粉末の製造方法。
【請求項3】
前記チオ尿素化合物は、R

-HNCSNH-R

(ここで、式中のR

およびR

は、炭素数6以上の鎖状アルキル基又は環状アルキル基である)で示されるチオ尿素化合物を含む、請求項1または2に記載のニッケル粉末の製造方法。
【請求項4】
前記チオ尿素化合物は、N,N’-ジフェニルチオ尿素、N,N’-ジヘキシルチオ尿素、1,3-ジシクロヘキシルチオ尿素からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項3に記載のニッケル粉末の製造方法。
【請求項5】
前記アミン系化合物は、炭素数8以上18以下の脂肪族モノアミンを含む、請求項1または2に記載のニッケル粉末の製造方法。
【請求項6】
前記アミン系化合物は、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-デシルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項5に記載のニッケル粉末の製造方法。
【請求項7】
FE-SEM観察に基づいた前記Ni粒子の平均粒子径が100nm以下である、請求項1または2に記載のニッケル粉末の製造方法。
【請求項8】
前記Ni粒子は、コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するシェルとを備えたコアシェル粒子であり、前記シェルにニッケル元素が含まれている、請求項1または2に記載のニッケル粉末の製造方法。
【請求項9】
前記硫化Ni層形成工程において、前記Niスラリーに不活性ガスをバブリングしながら加熱処理を実施する、請求項1または2に記載のニッケル粉末の製造方法。
【請求項10】
Ni粒子を主体とするニッケル粉末であって、
前記Ni粒子は、
硫化ニッケルを主成分とする硫化Ni層と、
前記硫化Ni層の表面に付着したアミン系化合物と
を備えており、
X線光電子分光法により測定される前記Ni粒子の光電子スペクトルにおいて、S2p軌道を示す領域における合計ピーク面積に対する、前記硫化ニッケルに由来するピークのピーク面積の比率が80%以上である、ニッケル粉末。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、ニッケル粉末の製造方法およびその利用に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの電子部品の電極は、例えば、ニッケル粉末を含む電極ペーストを焼成することで形成される。このとき、ペースト中のニッケル粉末は、比較的に低温で焼結しやすい。このため、同時に焼成される他の部品(誘電体、基板など)との焼結温度差によって、焼成後の電極にクラック等の構造的欠陥が生じる可能性がある。このため、電極形成用のニッケル粉末には、硫黄化合物による表面処理(硫黄化処理)が行われることがある。これによって、焼成中のニッケル粒子の焼結温度が上昇するため、焼成後の構造的欠陥を抑制できる。
【0003】
この硫黄化処理に関する技術の一例が特許文献1、2に開示されている。例えば、特許文献1に記載の製造方法では、硫黄含有化合物でニッケル粉末を処理している。特許文献1には、この硫黄化処理によって、ニッケル粒子の表面に硫黄化合物の被膜が生じる、あるいはニッケルと硫黄の化合物層(硫化Ni層)が形成されるため焼結挙動が改善されると記載されている。一方、特許文献2の実施例では、ニッケル粉末とラウリルアミンを含む金属ニッケル粒子スラリーに、硫黄化合物(ドデカンチオール)を添加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2005/123307号
特開2013-231230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、電極形成用のニッケル粉末の微小化が試みられている。これによって、焼成後の電極の膜厚が薄くなるため、電子部品の小型化に大きく貢献できる。しかしながら、ニッケル粒子の焼結温度は、粒径の微小化に伴って低下する傾向がある。このため、ニッケル粉末の耐焼結性をより改善できる硫黄化処理への要求が高まっている。ここに開示される技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、耐焼結性に優れたニッケル粉末を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ここに開示される技術によって、以下の構成のニッケル粉末の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)が提供される。
【0007】
ここに開示される製造方法は、有機溶媒にNi粒子が分散したNiスラリーを準備する準備工程と、Niスラリーに非水溶性のチオ尿素化合物を添加した後に加熱することによって、Ni粒子の表面に硫化Ni層を形成する硫化Ni層形成工程と、Ni粒子をアミン系化合物に分散させた後に加熱することによって、Ni粒子の表面にアミン系化合物を付着させるアミン付着工程とを含む。
【0008】
本発明者は、種々の実験を重ねた結果、硫黄化処理において特定の硫黄供給源(硫黄化合物)を使用した場合に、製造後のニッケル粉末の耐焼結性が顕著に向上するという驚くべき現象を発見した。この点について更に検討を行った結果、チオ尿素化合物は、種々の硫黄化合物の中でも特に分解されやすく、Ni粒子の表面にS元素を十分に供給できることが分かった。上述の通り、ニッケル粉末に硫黄化処理を行うと、粒子表面に硫黄化合物の被膜が生じる場合と、粒子表面に硫化Ni層が形成される場合とがある。そして、これらを比較すると、硫化Ni層は、硫黄化合物の被膜よりも優れた焼結抑制効果を有している。すなわち、上記構成の製造方法は、チオ尿素化合物を用いてNi粒子の表面に好適な硫化Ni層を形成するため、ニッケル粉末の耐焼結性を顕著に改善できる。加えて、ここに開示される製造方法は、硫化Ni層が形成されたNi粒子の表面にアミン系化合物を付着させるアミン付着工程を備えている。このアミン系化合物は、Ni粒子の保護剤として機能するため、ニッケル粉末の耐焼結性をさらに顕著に改善できる。以上の通り、ここに開示される製造方法によると、従来よりも耐焼結性に優れたニッケル粉末を製造できる。
【0009】
ここに開示される製造方法の一態様では、硫化Ni層形成工程とアミン付着工程との間に、NiスラリーからNi粒子を分離する分離工程を実施する。これによって、Ni粒子の表面にアミン系化合物が付着しやすくなるため、製造後のニッケル粉末の耐焼結性をさらに改善できる。
【0010】
ここに開示される製造方法の一態様では、チオ尿素化合物は、R

-HNCSNH-R

(ここで、式中のR

およびR

は、炭素数6以上の鎖状アルキル基又は環状アルキル基である)で示されるチオ尿素化合物を含む。かかるチオ尿素化合物の一例として、N,N’-ジフェニルチオ尿素、N,N’-ジヘキシルチオ尿素、1,3-ジシクロヘキシルチオ尿素が挙げられる。これらのチオ尿素化合物は、硫化Ni層の形成をより好適に促進することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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