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公開番号2024123649
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023031247
出願日2023-03-01
発明の名称燃料電池システム、及びその制御方法
出願人大阪瓦斯株式会社
代理人弁理士法人R&C
主分類H01M 8/04746 20160101AFI20240905BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】運転停止工程において空気と燃料ガスの圧力差による必要以上の力が燃料電池セルに加えられ燃料電池セルが破損することを防止できながらも、当該燃料電池セルを効果的に冷却でき、運転停止工程の時間短縮を図る。
【解決手段】燃料極7からの燃料排ガスを通流する燃料排ガス流出路33に開度を調整可能な燃料排ガス用開度調整弁Vと、空気極8へ供給される空気の流量を調整可能な空気流量調整機構とを備え、制御装置Sは、発電を停止する発電停止工程において、燃料排ガス用開度調整弁Vの開度を現時点の直前の開度よりも閉じ側へ制御する第1開度低下制御を実行した時点以降に、空気流量調整機構により空気極8へ導かれる空気流量を増加する空気流量増加制御を実行する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電解質層の一方側の面に相対して燃料ガスが供給される燃料極を設け、他方側の面に相対して空気が供給される空気極を設けて構成される燃料電池セルと、運転を制御する制御装置とを備えた燃料電池システムであって、
前記燃料極からの燃料排ガスを通流する燃料排ガス流出路に開度を調整可能な燃料排ガス用開度調整弁と、
前記空気極へ供給される空気の流量を調整可能な空気流量調整機構とを備え、
前記制御装置は、発電を停止する発電停止工程において、前記燃料排ガス用開度調整弁の開度を現時点の直前の開度よりも閉じ側へ制御する第1開度低下制御を実行した時点以降に、前記空気流量調整機構により前記空気極へ導かれる空気流量を増加する空気流量増加制御を実行する燃料電池システム。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記燃料極へ供給される燃料ガスの流量を調整可能な燃料ガス流量調整機構と、
前記燃料電池セルの雰囲気温度を計測可能な温度計測部とを備え、
前記制御装置は、前記発電停止工程において、前記温度計測部にて計測される温度が予め設定される放冷温度閾値未満となった場合、前記燃料排ガス用開度調整弁の開度を前記第1開度低下制御における開度よりも閉じ側へ制御する第2開度低下制御を実行した時点以降に、前記燃料ガス流量調整機構により前記燃料極へ供給される燃料ガスの流量を現状の流量よりも低下する燃料流量低下制御を実行する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記電解質層の前記面に直交する方向視で、
前記燃料電池セルにおける空気の流れ方向での所定位置において、前記空気極の空気による空気圧と、前記燃料極の燃料ガスによる燃料ガス圧との圧力差であって、当該圧力差が最大となる前記面上の特定位置での最大圧力差を導出可能な圧力差導出機構を備え、
前記制御装置は、前記圧力差導出機構にて導出される前記最大圧力差が、予め定められた許容最大圧力差以下となるように、前記空気流量増加制御を実行する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記電解質層の前記面に直交する方向視で、
前記燃料電池セルにおける空気の流れ方向での所定位置において、前記空気極の空気による空気圧と、前記燃料極の燃料ガスによる燃料ガス圧との圧力差であって、当該圧力差が最大となる前記面上の特定位置での最大圧力差を導出可能な圧力差導出機構を備え、
前記制御装置は、前記圧力差導出機構にて導出される前記最大圧力差が、予め定められた許容最大圧力差以下となるように、前記空気流量増加制御及び前記燃料流量低下制御を実行する請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
電解質層の一方側の面に相対して燃料ガスが供給される燃料極を設け、他方側の面に相対して空気が供給される空気極を設けて構成される燃料電池セルと、運転を制御する制御装置とを備えた燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムが、前記燃料極からの燃料排ガスを通流する燃料排ガス流出路に開度を調整可能な燃料排ガス用開度調整弁と、前記空気極へ供給される空気の流量を調整可能な空気流量調整機構とを備えた構成で、
発電を停止する発電停止工程において、前記燃料排ガス用開度調整弁の開度を現時点の直前の開度よりも閉じ側へ制御する第1開度低下制御を実行すると共に、前記空気流量調整機構により前記空気極へ導かれる空気流量を増加する空気流量増加制御を実行する、燃料電池システムの制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質膜の一方側の面に相対して燃料ガスが供給される燃料極を設け、他方側の面に相対して空気が供給される空気極を設けて構成される燃料電池セルと、運転を制御する制御装置とを備えた燃料電池システム、及びその制御方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1、2に示されているように、固体酸化物形燃料電池等の高温作動型の燃料電池システムは、運転停止工程の降温過程に時間がかかるという課題がある。
ただし、運転停止工程の降温過程では、例えば、特許文献1に示されるように、燃料電池セルの燃料極が酸化しないように、最低限の燃料(あるいはパージガス)を供給し続ける必要があるため、経済的な観点からできるだけ停止時間を短くできることが望ましい。
【0003】
そこで、例えば、特許文献2に開示の技術では、運転停止工程を短縮する方法として、運転停止工程中に、燃料を間欠的に供給する制御が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006-294508号公報
特開2013-186945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように燃料を間欠的に供給する制御では、スタック周囲の温度を早期に下げることができるが、セルスタックの内部まで冷却するには時間がかかるという問題がある。また、セルスタック内外の温度差がつきやすくなることで、セルスタックに熱応力が生じる懸念もある。さらに、燃料を供給しない時間帯が存在することで、燃料電池セルが酸化するリスクも上がる。
一方、セルスタックの内部を効果的に冷却する方法としては、燃料電池に供給する空気量を増やすことが考えられる。
しかし、平板型の燃料電池のように、空気が導かれる空気室(及び燃料ガスが導かれる燃料室)が閉じられている構成においては、空気量を増やすことで空気室の圧力が上昇する。それにより、空気室と燃料室で圧力差が生じ、その間にある燃料電池セルに圧力差に起因する力がかかる。当該圧力差に起因する力が大きくなり過ぎると、燃料電池セルが破損する虞があるため、空気室(空気極)に供給可能な空気量は一定未満に制限されるため、十分な冷却効果が得られない場合があり、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転停止工程において空気と燃料ガスの圧力差による必要以上の力が燃料電池セルに加えられ燃料電池セルが破損することを防止できながらも、当該燃料電池セルを効果的に冷却でき、運転停止工程の時間短縮を図ることができる燃料電池システム、及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための燃料電池システムは、
電解質層の一方側の面に相対して燃料ガスが供給される燃料極を設け、他方側の面に相対して空気が供給される空気極を設けて構成される燃料電池セルと、運転を制御する制御装置とを備えた燃料電池システムであって、その特徴構成は、
前記燃料極からの燃料排ガスを通流する燃料排ガス流出路に開度を調整可能な燃料排ガス用開度調整弁と、
前記空気極へ供給される空気の流量を調整可能な空気流量調整機構とを備え、
前記制御装置は、発電を停止する発電停止工程において、前記燃料排ガス用開度調整弁の開度を現時点の直前の開度よりも閉じ側へ制御する第1開度低下制御を実行した時点以降に、前記空気流量調整機構により前記空気極へ導かれる空気流量を増加する空気流量増加制御を実行する点にある。
【0008】
上記目的を達成するための燃料電池システムの制御方法は、
電解質層の一方側の面に相対して燃料ガスが供給される燃料極を設け、他方側の面に相対して空気が供給される空気極を設けて構成される燃料電池セルと、運転を制御する制御装置とを備えた燃料電池システムの制御方法であって、その特徴構成は、
前記燃料電池システムが、前記燃料極からの燃料排ガスを通流する燃料排ガス流出路に開度を調整可能な燃料排ガス用開度調整弁と、前記空気極へ供給される空気の流量を調整可能な空気流量調整機構とを備えた構成で、
前記制御装置が、発電を停止する発電停止工程において、前記燃料排ガス用開度調整弁の開度を現時点の直前の開度よりも閉じ側へ制御する第1開度低下制御を実行すると共に、前記空気流量調整機構により前記空気極へ導かれる空気流量を増加する空気流量増加制御を実行する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、発電停止工程において、空気流量調整機構により空気極へ導かれる空気流量を増加する空気流量増加制御を実行する以前に、燃料排ガス用開度調整弁の開度を現時点の直前の開度よりも閉じ側へ制御する第1開度低下制御を実行するから、空気流量増加制御のみを実行する場合に比べて、燃料ガスによる圧力と空気による圧力との圧力差により燃料電池セルに対して係る力を低減できる。
これにより、空気流量増加制御により従来よりも多くの空気を燃料電池セルに導いて燃料電池セルを効果的に冷却して、運転停止工程の時間短縮を図ることができる燃料電池システム、及びその制御方法を実行できる。
尚、空気流量の上限値は、セルスタックが熱応力により損傷しない冷却速度である冷却許容速度、且つ空気流量調整機構としてのブロアのブロア能力等により決定されるものである。
また、燃料排ガス用開度調整弁の開度は、燃料電池セルでの酸化が生じない程度の開度に適宜調整される。
【0010】
燃料電池システムの更なる特徴構成は、
前記燃料極へ供給される燃料ガスの流量を調整可能な燃料ガス流量調整機構と、
前記燃料電池セルの雰囲気温度を計測可能な温度計測部とを備え、
前記制御装置は、前記発電停止工程において、前記温度計測部にて計測される温度が予め設定される放冷温度閾値未満となった場合、前記燃料排ガス用開度調整弁の開度を前記第1開度低下制御における開度よりも閉じ側へ制御する第2開度低下制御を実行した時点以降に、前記燃料ガス流量調整機構により前記燃料極へ供給される燃料ガスの流量を現状の流量よりも低下する燃料流量低下制御を実行する点にある。
(【0011】以降は省略されています)

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