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公開番号2024123352
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023030686
出願日2023-03-01
発明の名称創薬スクリーニング方法及び脊椎動物細胞への遺伝子導入方法
出願人個人
代理人個人
主分類C12N 15/85 20060101AFI20240905BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】ゲノムDNAプロモーターを用いた目的タンパク質の組織特異的な発現を、生きている脊椎動物の個体レベルで簡便に可視化し、かつ、ハイスループットで評価可能な創薬スクリーニングシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、DNA構築物を脊椎動物細胞に導入する工程と、目的タンパク質の組織特異的な発現の程度を観察する工程とを含む創薬スクリーニング方法である。DNA構築物は、一対のTol2トランスポゾン由来の塩基配列の間に、目的タンパク質をコードする外来遺伝子断片を含む遺伝子断片が挿入され、外来遺伝子断片の配列が脊椎動物の所定細胞に組織特異的に発現する組織特異的プロモーター配列を有する。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
DNA構築物を脊椎動物細胞に導入する工程と、
目的タンパク質の組織特異的な発現の程度を観察する工程を含み、
前記DNA構築物は、一対のTol2トランスポゾン由来の塩基配列の間に、前記目的タンパク質をコードする外来遺伝子断片を含む遺伝子断片が挿入され、前記外来遺伝子断片の配列が脊椎動物の所定細胞に組織特異的に発現する組織特異的プロモーター配列を有する、創薬スクリーニング方法。
続きを表示(約 960 文字)【請求項2】
前記遺伝子断片は、前記外来遺伝子断片の下流に、蛍光タンパク質遺伝子、発光タンパク質遺伝子、活性酸素産生遺伝子及び薬剤耐性遺伝子から選択される選択マーカー遺伝子をさらに含む、請求項1に記載の創薬スクリーニング方法。
【請求項3】
前記遺伝子断片は、前記外来遺伝子断片の下流に、酵母転写因子GAL4をコードするGAL4遺伝子をさらに含み、
前記選択マーカー遺伝子は、前記GAL4遺伝子の下流に配される、請求項2に記載の創薬スクリーニング方法。
【請求項4】
ゲノム編集法によって前記DNA構築物を構築する工程をさらに含む、請求項1に記載の創薬スクリーニング方法。
【請求項5】
前記ゲノム編集法は、CRISPRを介した遺伝子編集、Base Editor(塩基エディター)を介した遺伝子編集、Cre/loxPを介した遺伝子編集、及びPrime editorから選択される1種以上を含む、請求項4に記載の創薬スクリーニング方法。
【請求項6】
前記ゲノム編集法は、CRISPRを介した遺伝子編集であり、
前記CRISPRを介した遺伝子編集は、CRISPR/Cas9を介した遺伝子編集、CRISPR/Cas9nを介した遺伝子編集、及びCRISPR/Cas12aを介した遺伝子編集から選択される1種以上を含む、請求項5に記載の創薬スクリーニング方法。
【請求項7】
前記外来遺伝子断片がアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)をコードするDNA断片である、請求項1に記載の創薬スクリーニング方法。
【請求項8】
前記一対のTol2トランスポゾン由来の塩基配列のうち、5’側の塩基配列の長さが180bp以上である、請求項1に記載の創薬スクリーニング方法。
【請求項9】
前記一対のTol2トランスポゾン由来の塩基配列のうち、3’側の塩基配列の長さが140bp以上である、請求項1に記載の創薬スクリーニング方法。
【請求項10】
前記外来遺伝子断片の長さが700bp以上164kbp以下である、請求項1に記載の創薬スクリーニング方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、創薬スクリーニング方法及び脊椎動物細胞への遺伝子導入方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
COVID-19を引き起こすウイルスSARS-CoV-2のヒト細胞への感染は、ウイルス外膜のスパイクタンパク質(Sタンパク質)とヒト細胞表面に存在するACE2(angiotensin-converting enzyme 2)受容体との結合が引き金となる。ACE2受容体に結合したSタンパク質は、タンパク質分解酵素であるTMPRSS2により切断されて活性化され、ウイルス外膜と細胞膜との融合を促進することにより、ウイルスはヒト細胞へと侵入する。このようにSARS-CoV-2への感染はACE2とTMPRSS2を発現する細胞において起こるが、TMPRSS2は広汎な細胞に発現が見られており、ACE2の発現が主にSARS-CoV-2への感染を規定している。
【0003】
ヒトACE2遺伝子は、小腸・十二指腸・大腸の腸上皮細胞や、腎臓、精巣、胆嚢、心臓などの一部の細胞に特に強く発現するが、一部の鼻粘膜上皮細胞や肺胞細胞にも発現している。COVID-19の主な症状である呼吸器系の症状はこの鼻粘膜上皮細胞や肺胞細胞への感染を通じて生じると考えられるが、下痢などの症状が出るケースもあり、SARS-CoV-2はACE2の発現を利用して種々の細胞に入り込み増殖し、その機能を撹乱するものと考えられている。
【0004】
また、ACE2は角膜で強く発現されていることも報告されており、眼がSARS-CoV-2感染の入り口になりうる可能性も提唱されている。小児では鼻粘膜上皮細胞におけるACE2の発現が低いという報告もあり、このACE2の低発現が小児での流行が抑制されている理由である可能性もある。
【0005】
このように、ある特定の組織におけるACE2の発現を調節することが可能であれば、感染リスクの低減、重症化の抑制につながるものと考えられる。
【0006】
ここで、ACE2の発現と機能についてマウスを用いた個体レベルでの研究が進められている(特許文献1/非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Hongpeng Jia et al., ACE2 mouse models: a toolbox for cardiovascular and pulmonary research, Nature Communications 11, 5165 (2020)
Koga, et al., Transposable element in fish, Nature, 383, 30 (1996)
Kawakami, K., Shima, A., and Kawakami, Identification of a functional transposase of the Tol2 element, an Ac-like element from the Japanese medaka fish, and its transposition in the zebrafish germ lineage, N. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97, 11403-11408 (2000)
Kawakami, K. and Noda, T., Transposition of the Tol2 element, an Ac-like element from the Japanese medaka fish Oryzias latipes, in mouse embryonic stem cells. Genetics 166, 895-899 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1に記載の研究は、マウスACE2プロモーターで行われたものであり、ヒトプロモーターを用いて行われたものではない。また、ACE2の発現を、個体レベルで簡便に可視化し、かつ、ハイスループットで評価するシステムは存在しなかった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ゲノムDNAプロモーターを用いた目的タンパク質の組織特異的な発現を、生きている脊椎動物の個体レベルで簡便に可視化し、かつ、ハイスループットで評価可能なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
メダカ(Oryzias latipes)は、東アジアに生息する魚である。メダカのi遺伝子座の変異は、メラニン欠乏症及び赤目を生じさせる。このi遺伝子座は、チロシナーゼの遺伝子をコードしていることが知られている。図1は、トランスポゾンの全体構造を示す。図1の太線部分がトランスポゾンを表し、網掛け部分が転移酵素遺伝子のエキソンを表し、矢印が転移酵素遺伝子の転写を表す。白抜き三角はトランスポゾン両端の繰り返し配列を表し、網掛け三角はトランスポゾンに隣接するゲノム上の繰り返し配列を表す。また、ATGは開始であり、TAGは終止コドンである。
(【0011】以降は省略されています)

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