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公開番号
2024122883
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-09
出願番号
2024012555
出願日
2024-01-31
発明の名称
分離装置、分離方法及びフィルタ
出願人
テルモ株式会社
代理人
IBC一番町弁理士法人
主分類
C12M
1/00 20060101AFI20240902BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】フィルタを用いて細胞懸濁液から細胞を分離する場合、剥離液による細胞の損傷を避けるために、剥離液を用いることなく、フィルタから細胞を回収する分離装置、分離方法およびフィルタを提供する。
【解決手段】分離装置40は、分離対象物を着脱し得る着脱部材が備えられる分離室12と、着脱部材の温度を制御し得る温度制御部110と、を備え、着脱部材は、分離対象物に備えられた抗原と特異的に結合し得る結合物質と、所定の応答温度で結合物質から抗原を脱離させ得る温度応答性高分子とを含む着脱層が基材に備えられることによって構成され、温度制御部は、着脱部材の温度を応答温度に制御することによって、着脱部材に付着した分離対象物を着脱部材から脱離させる。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
細胞又はタンパク質から成る分離対象物を含む懸濁液から前記分離対象物を分離する分離装置であって、
前記分離対象物を着脱し得る着脱部材が備えられる分離室と、
前記着脱部材の温度を制御し得る温度制御部と、
を備え、
前記着脱部材は、前記分離対象物に備えられた抗原と特異的に結合し得る結合物質と、所定の応答温度で前記結合物質から前記抗原を脱離させ得る温度応答性高分子とを含む着脱層が基材に備えられることによって構成され、
前記温度制御部は、前記着脱部材の温度を前記応答温度に制御することによって、前記着脱部材に付着した前記分離対象物を前記着脱部材から脱離させる、分離装置。
続きを表示(約 1,600 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の分離装置において、
前記結合物質は、前記分離対象物に備えられた前記抗原と特異的に結合し得る抗体又はアプタマーである、分離装置。
【請求項3】
請求項1に記載の分離装置において、
前記分離対象物を回収するための回収液を前記分離室に供給し得る供給部と、
前記着脱部材から脱離した前記分離対象物を回収し得る回収部と、
を備え、
前記供給部は、前記分離対象物が前記着脱部材から脱離した後に前記分離室に前記回収液を供給し、
前記回収部は、前記分離室から前記分離対象物を含む前記回収液を回収する、分離装置。
【請求項4】
請求項3に記載の分離装置において、
前記供給部は、前記結合物質を含む結合物質溶液と、前記温度応答性高分子を含む高分子溶液とを前記分離室に供給することが可能であり、前記分離室に前記懸濁液を供給する前に、前記分離室に前記結合物質溶液を供給することによって前記基材に前記結合物質を予め定着させ、前記分離室に前記高分子溶液を供給することによって前記基材に前記温度応答性高分子を予め定着させる、分離装置。
【請求項5】
請求項3に記載の分離装置において、
前記供給部は、前記結合物質と前記温度応答性高分子とを含む混合溶液を前記分離室に供給することが可能であり、前記分離室に前記懸濁液を供給する前に、前記分離室に前記混合溶液を供給することによって前記基材に前記結合物質と前記温度応答性高分子とを予め定着させる、分離装置。
【請求項6】
細胞又はタンパク質から成る分離対象物を含む懸濁液から前記分離対象物を分離する分離方法であって、
前記分離対象物に備えられた抗原と特異的に結合し得る結合物質と、所定の応答温度で前記結合物質から前記抗原を脱離させ得る温度応答性高分子とを含む着脱層を着脱部材の基材に定着させる工程と、
前記懸濁液と前記着脱部材とを接触させることによって、前記懸濁液に含まれる前記分離対象物に備えられた前記抗原と前記着脱部材に定着している前記結合物質とを結合させる工程と、
前記着脱部材の温度を前記応答温度に制御することによって、前記着脱部材に付着した前記分離対象物を前記着脱部材から脱離させる工程と、
前記着脱部材から脱離した前記分離対象物を回収する工程と、
を備える、分離方法。
【請求項7】
細胞又はタンパク質から成る分離対象物を含む懸濁液から前記分離対象物を分離するフィルタであって、
前記分離対象物を着脱し得る着脱部材が備えられる分離室を備え、
前記着脱部材は、前記分離対象物に備えられた抗原と特異的に結合し得る結合物質と、所定の応答温度で前記結合物質から前記抗原を脱離させ得る温度応答性高分子とを含む着脱層が基材に備えられることによって構成される、フィルタ。
【請求項8】
前記温度応答性高分子は、下限臨界溶液温度を有する高分子を含む、請求項1に記載の分離装置。
【請求項9】
前記温度応答性高分子は、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリ-N-n-プロピルアクリルアミド、ポリ-N-n-プロピルメタクリルアミド、ポリ-N-エトキシエチルアクリルアミド、ポリ-N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、ポリ-N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミドおよびポリ-N,N-ジエチルアクリルアミドから選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載の分離装置。
【請求項10】
前記温度応答性高分子は、上限臨界溶液温度を有する高分子を含む、請求項1に記載の分離装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞又はタンパク質から成る分離対象物を含む懸濁液から分離対象物を分離する分離装置、分離方法及びフィルタに関する。
続きを表示(約 1,400 文字)
【背景技術】
【0002】
細胞懸濁液から細胞を分離する手法として、フィルタを用いる方法、遠心分離法等が挙げられる。例えば、特許文献1には、遠心分離法が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2011-24575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルタを用いる方法の場合、フィルタに細胞懸濁液中の細胞を付着させた後に、フィルタに付着した細胞を回収する。細胞の回収時には、剥離液が用いられる。しかし、剥離液は細胞を損傷させる虞がある。このため、剥離液を用いることなく、フィルタから細胞を剥離する技術が望まれる。
【0005】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)第1発明は、細胞又はタンパク質から成る分離対象物を含む懸濁液から前記分離対象物を分離する分離装置であって、前記分離対象物を着脱し得る着脱部材が備えられる分離室と、前記着脱部材の温度を制御し得る温度制御部と、を備え、前記着脱部材は、前記分離対象物に備えられた抗原と特異的に結合し得る結合物質と、所定の応答温度で前記結合物質から前記抗原を脱離させ得る温度応答性高分子とを含む着脱層が基材に備えられることによって構成され、前記温度制御部は、前記着脱部材の温度を前記応答温度に制御することによって、前記着脱部材に付着した前記分離対象物を前記着脱部材から脱離させる。
【0007】
第1発明において、着脱部材に備えられる結合物質は、分離対象物の抗原と結合し得る。また、着脱部材に備えられる温度応答性高分子は、温度応答性高分子の温度が応答温度になると、結合物質から分離対象物の抗原を脱離させ得る。このため、第1発明によれば、温度制御を行うことによって、着脱部材から細胞を剥離することができる。つまり、第1発明によれば、剥離剤を用いることなく着脱部材から細胞を剥離することができる。従って、第1発明によれば、着脱部材に付着した分離対象物の回収時に、分離対象物の損傷を抑制することができる。
【0008】
(2)上記項目(1)に記載の分離装置において、前記結合物質は、前記分離対象物に備えられた前記抗原と特異的に結合し得る抗体又はアプタマーであってもよい。
【0009】
(3)上記項目(1)又は項目(2)に記載の分離装置は、前記分離対象物を回収するための回収液を前記分離室に供給し得る供給部と、前記着脱部材から脱離した前記分離対象物を回収し得る回収部と、を備え、前記供給部は、前記分離対象物が前記着脱部材から脱離した後に前記分離室に前記回収液を供給し、前記回収部は、前記分離室から前記分離対象物を含む前記回収液を回収してもよい。
【0010】
(4)上記項目(3)に記載の分離装置において、前記供給部は、前記結合物質を含む結合物質溶液と、前記温度応答性高分子を含む高分子溶液とを前記分離室に供給することが可能であり、前記分離室に前記懸濁液を供給する前に、前記分離室に前記結合物質溶液を供給することによって前記基材に前記結合物質を予め定着させ、前記分離室に前記高分子溶液を供給することによって前記基材に前記温度応答性高分子を予め定着させてもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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