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公開番号2024120188
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2021114253
出願日2021-07-09
発明の名称医療デバイスおよびシャント形成方法
出願人テルモ株式会社
代理人個人,個人
主分類A61B 18/14 20060101AFI20240829BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】拡張体を生体組織に対して適切な角度で配置させることのできる医療デバイスおよびこれを用いたシャント形成方法を提供する。
【解決手段】拡張体21と、長尺なシャフト部20と、電極部22と、を備え、拡張体21は、拡張体21の拡張時に径方向内側に窪み、生体組織を受容可能な受容空間51bを画成する凹部51を有し、電極部22は、受容空間51bに面するように凹部51に沿って配置されており、 基端固定部31から凹部51の底部51aまでの軸方向に沿う長さが10mm~30mmであり、シャフト部20には、基端固定部31または基端固定部31より手元側位置を起点として、手元側に向かって一方向に屈曲する第1カーブ60と、第1カーブ60の基端または該基端より手元側位置を起点として、手元側に向かって第1カーブ60と反対方向に屈曲する第2カーブ62と、が形成される医療デバイス10である。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
径方向に拡縮可能な拡張体と、
前記拡張体の基端が固定された基端固定部を有する長尺なシャフト部と、
前記拡張体に沿って設けられる電極部と、
を備え、
前記拡張体は、前記拡張体の拡張時に径方向内側に窪み、生体組織を受容可能な受容空間を画成する凹部を有し、
前記電極部は、前記受容空間に面するように前記凹部に沿って配置されており、
前記基端固定部から前記凹部の底部までの軸方向に沿う長さが10mm~30mmであり、
前記シャフト部には、前記基端固定部または前記基端固定部より手元側位置を起点として、手元側に向かって一方向に屈曲する第1カーブと、前記第1カーブの基端または該基端より手元側位置を起点として、手元側に向かって前記第1カーブと反対方向に屈曲する第2カーブと、が形成される医療デバイス。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記シャフト部は、前記第1カーブの曲げ角度をα(°)、前記第1カーブの曲げ半径をl(mm)、前記第2カーブの曲げ角度をβ(°)、前記第2カーブの曲げ半径をr(mm)、前記拡張体の軸方向長さをL(mm)として、
(l-lcos(α-β))+(r-rcosβ))≦15mm
Lsin45°+lsin(α-β)+lsinβ≦40mm
35°≦α-β≦55°
の関係を全て満たす請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記シャフト部は、生体内に挿入される前の状態において、予め前記第1カーブと前記第2カーブの形状を有している請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記シャフト部は屈曲操作部を有し、
前記シャフト部および前記拡張体を生体内に配置した状態で前記屈曲操作部を操作することで、前記シャフト部に前記第1カーブと前記第2カーブとが形成される請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記第1カーブと前記第2カーブは、前記拡張体を心房中隔に配置した状態で右心房内に配置される請求項1~4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
径方向に拡縮可能な拡張体と、前記拡張体の基端が固定された基端固定部を有する長尺なシャフト部と、前記拡張体に沿って設けられる電極部と、を備える医療デバイスを用いて卵円窩に右房と左房を連通するシャントを形成するシャント形成方法であって、
前記拡張体は、前記拡張体の拡張時に径方向内側に窪み、生体組織を受容可能な受容空間を画成する凹部を有し、
前記電極部は、前記受容空間に面するように前記凹部に沿って配置されており、
前記シャフト部は、前記基端固定部または前記基端固定部より手元側位置を起点として、手元側に向かって一方向に屈曲する第1カーブと、前記第1カーブの基端または該基端より手元側位置を起点として、手元側に向かって前記第1カーブと反対方向に屈曲する第2カーブと、を有し、
前記医療デバイスを下大静脈から前記右房内に挿入し、
前記右房内において、前記第1カーブを前記卵円窩から離れる方向に凸となるように配置した状態で、前記卵円窩に形成した孔に収縮した前記拡張体を挿入し、
前記孔内で前記拡張体を拡張させて、前記孔を取り囲む生体組織を前記凹部の前記受容空間に配置し、
前記孔の自然治癒による閉塞を阻害するように、前記電極部を用いて前記受容空間に配置された前記生体組織を焼灼する、シャント形成方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織にエネルギーを付与する医療デバイスおよびこれを用いたシャント形成方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
医療デバイスとして、生体内で拡縮する拡張体に電極部が配置され、電極部からの高周波電流により生体組織を焼灼するアブレーションによる治療を行うものが知られている。アブレーションによる治療の一つとして、心房中隔に対するシャント治療が知られている。シャント治療は、心不全患者に対し、上昇した心房圧の逃げ道となるシャント(穿刺孔)を心房中隔の卵円窩に形成し、心不全症状の緩和を可能にする。シャント治療では、経静脈アプローチで心房中隔にアクセスし、所望のサイズのシャントを形成する。このような医療デバイスは、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2020-094094号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャント治療を行う医療デバイスにおいて、拡張体は、拡張時に径方向内側に窪み、生体組織を受容可能な受容空間を画成する凹部を有する。前述の電極部は凹部に配置される。電極部から生体組織に対し十分なエネルギー付与を行うためには、凹部が周方向の全周に渡り、生体組織に対して密着する必要がある。
【0005】
拡張体が心房中隔の面方向に対して直角あるいはそれに近い角度で配置されると、凹部は全周に渡って生体組織に対し均等に接触することができる。拡張体が心房中隔に対し大きく傾斜して配置された場合、凹部の周方向一部の領域は生体組織に十分接触できなくなり、電極部からのエネルギー付与を十分に実施できないことで、シャントを狙い通りの径に形成できない可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、拡張体を生体組織に対して適切な角度で配置させることのできる医療デバイスおよびこれを用いたシャント形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスは、径方向に拡縮可能な拡張体と、前記拡張体の基端が固定された基端固定部を有する長尺なシャフト部と、前記拡張体に沿って設けられる電極部と、を備え、前記拡張体は、前記拡張体の拡張時に径方向内側に窪み、生体組織を受容可能な受容空間を画成する凹部を有し、前記電極部は、前記受容空間に面するように前記凹部に沿って配置されており、 前記基端固定部から前記凹部の底部までの軸方向に沿う長さが10mm~30mmであり、前記シャフト部には、前記基端固定部または前記基端固定部より手元側位置を起点として、手元側に向かって一方向に屈曲する第1カーブと、前記第1カーブの基端または該基端より手元側位置を起点として、手元側に向かって前記第1カーブと反対方向に屈曲する第2カーブと、が形成される。
【0008】
上記目的を達成する本発明に係るシャント形成方法は、径方向に拡縮可能な拡張体と、前記拡張体の基端が固定された基端固定部を有する長尺なシャフト部と、前記拡張体に沿って設けられる電極部と、を備える医療デバイスを用いて卵円窩に右房と左房を連通するシャントを形成するシャント形成方法であって、前記拡張体は、前記拡張体の拡張時に径方向内側に窪み、生体組織を受容可能な受容空間を画成する凹部を有し、前記電極部は、前記受容空間に面するように前記凹部に沿って配置されており、前記シャフト部は、前記基端固定部または前記基端固定部より手元側位置を起点として、手元側に向かって一方向に屈曲する第1カーブと、前記第1カーブの基端または該基端より手元側位置を起点として、手元側に向かって前記第1カーブと反対方向に屈曲する第2カーブと、を有し、前記医療デバイスを下大静脈から前記右房内に挿入し、前記右房内において、前記第1カーブを前記卵円窩から離れる方向に凸となるように配置した状態で、前記卵円窩に形成した孔に収縮した前記拡張体を挿入し、前記孔内で前記拡張体を拡張させて、前記孔を取り囲む生体組織を前記凹部の前記受容空間に配置し、前記孔の自然治癒による閉塞を阻害するように、前記電極を用いて前記受容空間に配置された前記生体組織を焼灼する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した医療デバイスおよびシャント形成方法は、シャフト部を、下大静脈から第2カーブによって一旦拡張体が配置される心房中隔と反対側に屈曲し、第1カーブによって心房中隔側に屈曲するように配置できるので、拡張体を心房中隔に対し垂直に近い角度に配置できる。これにより、凹部を周方向の全周に渡って生体組織に密着させ、所望サイズのシャント形成を確実に実施できる。
【0010】
前記シャフト部は、前記第1カーブの曲げ角度をα(°)、前記第1カーブの曲げ半径をl(mm)、前記第2カーブの曲げ角度をβ(°)、前記第2カーブの曲げ半径をr(mm)、前記拡張体の軸方向長さをL(mm)として、
(l-lcos(α-β))+(r-rcosβ))≦15mm
Lsin45°+lsin(α-β)+lsinβ≦40mm
35°≦α-β≦55°
の関係を全て満たすようにしてもよい。これにより、拡張体を下大静脈から心房中隔に向かわせることで、確実に心房中隔に対し適切な角度で配置することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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