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公開番号2024118372
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-30
出願番号2023024748
出願日2023-02-20
発明の名称熱電窒化物膜およびその製造方法
出願人国立大学法人九州大学
代理人
主分類C01B 21/06 20060101AFI20240823BHJP(無機化学)
要約【課題】前駆体を基板上に塗布し、焼成して、熱電特性を有して、均一な薄膜であり、光を透過させることができるほど膜厚を低減した熱電薄膜を提供する
【解決手段】本発明の熱電窒化物膜は、膜厚が500nm以下であり、熱起電力(Seebeck係数)の絶対値が100μV/K以上かつ導電率が1×10-1S/cm以上を有し、非酸素雰囲気下にて、1000℃、24時間以上の熱耐久性を有する。すなわち熱電材料として窒化物膜を用いた熱電窒化物膜であり、膜厚を低減し、優れた熱電特性と、熱耐久性を有する。この結果、熱電発電などに有利に使用することができる。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
膜厚が500nm以下であり、
熱起電力(Seebeck係数)の絶対値が100μV/K以上かつ導電率が1×10
-1
S/cm以上を有し、非酸素雰囲気下にて、1000℃、24時間以上の熱耐久性を有する、熱電窒化物膜。
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
さらに、光透過率が可視光領域(350~800nm)で透過率15%以上、かつ近赤外領域(800~2500nm)で透過率40%以上である、請求項1に記載の熱電窒化物膜。
【請求項3】
前記熱窒化物は、一般式(1)
(Cr
1-x-y
M1

M2

)N (1)
(ただし、M1およびM2は、それぞれ同一ではなく、Ti,Al,Zr,Cu,Zn,Nb,Mo,Hf,Ta,W,およびSiのうち少なくとも1種を示す。0≦x≦0.01,0≦y≦0.01、1-x-y≠1)で示される金属窒化物であり、p型またはn型の熱電特性を有する、請求項1または2に記載の熱電窒化物膜。
【請求項4】
前記熱電窒化物膜が、複数層積層されている、請求項1または2に記載の熱電窒化物膜。
【請求項5】
少なくとも酢酸クロムを含む金属塩と、0~0.1体積%の安定化剤とを溶媒に溶解して前駆体溶液を作製する前駆体溶液作製工程と、
前記前駆体溶液を基板に塗布し、乾燥する前駆体溶液塗布・乾燥工程と、
前記前駆体をアンモニア雰囲気下で焼成して窒化処理する窒化工程とを含む、熱電窒化物膜の製造方法。
【請求項6】
少なくとも酢酸クロムを含む金属塩と、0~0.1体積%の安定化剤とを溶媒に溶解して前駆体溶液を作製する前駆体溶液作製工程と、
前記前駆体溶液を基板に塗布し、乾燥する前駆体溶液塗布・乾燥工程と、
前記前駆体を酸素雰囲気下で焼成して酸化処理する酸化工程と、
前記酸化工程の後に、アンモニア雰囲気下で焼成して窒化処理する窒化工程とを含む、熱電窒化物膜の製造方法。
【請求項7】
前記前駆体溶液は、さらにTi,Al,Zr,Cu,Zn,Nb,Mo,Hf,Ta,W,およびSiのうち少なくとも1種の塩を含む、請求項5または6に記載の熱電窒化物膜の製造方法。
【請求項8】
前駆体溶液塗布・乾燥工程において、前駆体溶液を塗布し乾燥した後、さらに同一または異なる組成の前駆体溶液を1回以上塗布し乾燥する、請求項5または6に記載の熱電窒化物膜の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電窒化物膜およびその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
石油の産出量は、近年中にピークを迎えるとされている。このため、経済活動を維持しながら、エネルギーの安定供給の問題を解決する必要がある。我が国では、年間に原油換算で数億klの一次供給エネルギーを消費しているが、その70%近くが廃熱として廃棄されている。したがって、廃熱エネルギーを有効に利用する必要がある。このように、廃熱エネルギーは、膨大であるが、個々の廃熱源は小さい(例えば、自動車1台)。
【0003】
廃熱を有効利用するために、様々なエネルギー変換材料が開発されている。エネルギー変換材料の中で、特に熱と電気のエネルギー変換材料である熱電材料が注目されている。熱電材料を有効に使えば、例えば、高温で使用可能な溶鉱炉や自動車の解熱回収、または宇宙産業における自立電源の補助などの様々な分野で使用可能となる。また、将来的に温度域を下げることが可能になれば、身の回りの熱を回収して、エネルギーリサイクルが可能になる。
【0004】
熱電材料の一例として、熱電変換用窒化物薄膜が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、CrzNを中心として、Crの結晶サイトにM(Ti,Al,Zn,Nb,Mo,Hf,Ta、W,およびSiの少なくとも1種以上)を置換した薄膜が開示されている。この薄膜は、真空系装置を利用したスパッタ法により、製造される。
【0005】
一方、本発明者らは、金属アルコキシドと、溶媒と、安定化剤とからなる前駆体を基板上に塗布し、焼成して、酸窒化物を得る方法を開示している(例えば、特許文献2、非特許文献2)。この方法では、真空系装置を必要とせず、産業上安価に製造できる技術である。また、特異な構造や膜厚を増大させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2016-184636号公報
特開2020-125222号公報
【非特許文献】
【0007】
Applied Physics Express,11,051003(2018)
塗装工学 第54巻 第11号 404~409号(令和元年9月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の方法は、スパッタ法などを行うために、真空系装置が必要であり、コストの点で問題がある。また、特許文献1では、柱状のCrNベースの熱導電膜を成膜し、p型、n型の窒化物薄膜が得られている。しかし、Mの種類と添加量に加え、窒素とアルゴンの混合ガスの割合が、熱電特性に重要な影響を与えている。一般的には、添加するMの種類やキャリア種の添加量を制御することにより、キャリア濃度を最適化する。特許文献1の例では、窒素とアルゴンの混合ガスの割合により、p型、n型が決まる。このため、添加するMの添加効果の解釈を難しくする。また、この文献では、熱導電材料として重要な基準の一つある、ゼーベック係数の絶対値が、すべての実施例において100μV/K未満であり、高性能な熱電薄膜が得られないという問題がある。
【0009】
一方、非特許文献1では、例えばスパッタ法にて、p型性能が得られているCr
1-x
Al



では、ゼーベック係数が100μV/K程度の薄膜が得られている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながらスパッタ法による場合、組成の制御が難しく、実用に耐えられないという問題がある。
【0010】
特許文献2の方法では、所定量の安定化剤を入れる。このため、特許文献2の方法を用いると、製法は簡易であるが、特許文献2の方法で得られる酸窒化物は、熱電特性が得られないという問題がある。また、均一な薄膜を得ることができず、光を透過させることができるほど膜厚を低減することは困難という問題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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