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公開番号
2024113308
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-22
出願番号
2023018195
出願日
2023-02-09
発明の名称
機械式時計
出願人
セイコーエプソン株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
G04C
3/06 20060101AFI20240815BHJP(時計)
要約
【課題】蓄電部の電圧が低下しても、指針が指示する時刻精度への影響を低減できる機械式時計を提供すること。
【解決手段】機械式時計は、ゼンマイと、ゼンマイからの動力により駆動されるテンプと、クロック信号を出力する発振回路と、テンプの振動を検出して振動検出信号を出力する振動検出手段と、永久磁石およびコイルを備える調速手段と、調速手段を制御してテンプを調速制御する調速制御手段と、調速制御手段に供給する電気エネルギーを蓄電する蓄電手段と電気エネルギーを発電する発電機と、を備え、永久磁石およびコイルの一方はテンプに保持され、調速制御手段は、クロック信号と振動検出信号とを比較し、コイルに電流を出力して発生させた電磁力を永久磁石に働かせてテンプを調速制御し、蓄電手段の蓄電量が所定値以下の場合に、テンプの調速制御を停止する停止状態に切り替えることを特徴とする。
【選択図】図8
特許請求の範囲
【請求項1】
ゼンマイと、
前記ゼンマイからの動力により駆動されるテンプと、
クロック信号を出力する発振回路と、
前記テンプの振動を検出して振動検出信号を出力する振動検出手段と、
永久磁石およびコイルを備える調速手段と、
前記調速手段を制御して前記テンプを調速制御する調速制御手段と、
前記調速制御手段に供給する電気エネルギーを蓄電する蓄電手段と
前記電気エネルギーを発電する発電機と、を備え、
前記永久磁石および前記コイルの一方は前記テンプに保持され、
前記調速制御手段は、
前記クロック信号と前記振動検出信号とを比較し、前記コイルに電流を出力して発生させた電磁力を前記永久磁石に働かせて前記テンプを調速制御し、
前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下の場合に、前記テンプの調速制御を停止する停止状態に切り替える
ことを特徴とする機械式時計。
続きを表示(約 1,700 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の機械式時計において、
前記コイルと前記コイルに電流を供給する電源ラインとの間に接続された電源スイッチを備え、
前記調速制御手段は、前記電源スイッチをオフ状態にして前記停止状態に切り替える
ことを特徴とする機械式時計。
【請求項3】
請求項2に記載の機械式時計において、
前記電源ラインは、第1の電源ラインと、前記第1の電源ラインと異なる電位の第2の電源ラインとを備え、
前記電源スイッチは、
前記コイルの第1の端子と前記第1の電源ラインとの間に接続された第1のスイッチと、
前記コイルの第2の端子と前記第1の電源ラインとの間に接続された第2のスイッチと、
前記コイルの前記第1の端子と前記第2の電源ラインとの間に接続された第3のスイッチと、
前記コイルの前記第2の端子と前記第2の電源ラインとの間に接続された第4のスイッチと、
で構成され、
前記調速制御手段は、
前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、前記第3のスイッチ、および前記第4のスイッチのオン状態およびオフ状態を制御し、前記コイルに流れる電流の向きを制御することで前記テンプを調速する調速状態と、
前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、前記第3のスイッチ、および前記第4のスイッチをオフ状態に制御し、前記コイルに電流が流れない前記停止状態と、を切り替えて制御する
ことを特徴とする機械式時計。
【請求項4】
請求項3に記載の機械式時計において、
前記振動検出手段は、
前記コイルと、
前記コイルの前記第1の端子および前記第2の端子に接続され、前記テンプの振動に伴い前記コイルに対して相対的に移動する前記永久磁石によって前記コイルに流れる電流を検出する検出回路と、を備えて構成され、
前記調速制御手段は、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの一方のスイッチをオン状態とし、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの他方のスイッチと、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチとをオフ状態とする振動検出状態と、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの一方のスイッチと、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチの一方のスイッチとをオン状態とし、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの他方のスイッチと、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチの他方のスイッチと、をオフ状態とする前記調速状態と、
前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、前記第3のスイッチ、および前記第4のスイッチをオフ状態とする前記停止状態と、を切り替えて制御する
ことを特徴とする機械式時計。
【請求項5】
請求項1に記載の機械式時計において、
前記発電機は、前記永久磁石および前記コイルを備え、前記テンプの振動によって前記永久磁石および前記コイルが相対的に移動して発電する電磁発電機である
ことを特徴とする機械式時計。
【請求項6】
請求項1に記載の機械式時計において、
前記発電機は、ソーラーパネルを備えるソーラー発電機であることを特徴とする機械式時計。
【請求項7】
請求項6に記載の機械式時計において、
透光性の裏蓋を備え、
前記ソーラーパネルは、前記裏蓋を透過する光を受光して発電することを特徴とする機械式時計。
【請求項8】
請求項1に記載の機械式時計において、
前記発電機は、発電コイルと、ローターと、前記ローターを回転させる回転機構とを備えた電磁発電機であることを特徴とする機械式時計。
【請求項9】
請求項1に記載の機械式時計において、
前記発電機は、外部から印加された磁界により電磁誘導で発電する発電コイルを備えることを特徴とする機械式時計。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプを有する機械式時計に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ゼンマイを内蔵するバレルによって加えられる機械的エネルギーで駆動される輪列を備え、輪列の速度を調速するテンプを有する機械式時計において、テンプの運動をセンサーで検出し、水晶共振器およびクロック回路を有する補助発振器から出力されるデジタル基準信号に対するセンサーの検出信号の時間ドラフトを測定し、この時間ドラフトに応じて制動デバイスを作動させる制御回路を有する機械式時計が開示されている。
特許文献1では、エネルギー源である光起電力セルや熱電素子で生成された電気エネルギーを貯蔵デバイスに貯蔵し、貯蔵された電気エネルギーで制御回路を駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-52047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の機械式時計では、貯蔵デバイスに貯蔵された電気エネルギーの電圧が低下した場合、制御回路による調速制御が正しく実行されず、機械式共振器であるテンプの動作に影響を与えてしまい、指針が指示する時刻精度に影響を与えてしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の機械式時計は、ゼンマイと、前記ゼンマイからの動力により駆動されるテンプと、クロック信号を出力する発振回路と、前記テンプの振動を検出して振動検出信号を出力する振動検出手段と、永久磁石およびコイルを備える調速手段と、前記調速手段を制御して前記テンプを調速制御する調速制御手段と、前記調速制御手段に供給する電気エネルギーを蓄電する蓄電手段と前記電気エネルギーを発電する発電機と、を備え、前記永久磁石および前記コイルの一方は前記テンプに保持され、前記調速制御手段は、前記クロック信号と前記振動検出信号とを比較し、前記コイルに電流を出力して発生させた電磁力を前記永久磁石に働かせて前記テンプを調速制御し、前記蓄電手段の蓄電量が所定値以下の場合に、前記テンプの調速制御を停止する停止状態に切り替えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
実施形態の機械式時計を示す正面図である。
機械式時計の構成を示すブロック図である。
機械式時計の要部の構成を示す概略斜視図である。
機械式時計のテンプ、アンクル、ガンギ車を示す分解斜視図である。
機械式時計のテンプの永久磁石およびコイルを示す側面図である。
機械式時計のテン輪、永久磁石およびコイルを示す平面図である。
機械式時計のテンプの動作を説明する図である。
機械式時計の電子調速装置の構成を示す回路ブロック図である。
機械式時計の調速部の構成を示す回路図である。
機械式時計の振動検出波形を示す波形図である。
機械式時計の調速制御を示すフローチャートである。
機械式時計のテンプ調速制御を示すフローチャートである。
機械式時計のテンプ調速制御用の調速制御信号を示すタイミングチャートである。
機械式時計の香箱トルクカーブを示すグラフである。
変形例の機械式時計を示す概略断面図である。
他の変形例の電磁発電機を示す斜視図である。
他の変形例の発電機を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の機械式時計1を図面に基づいて説明する。
機械式時計1は、図1に示すように、ケース2と、文字板3と、時針4、分針5、秒針6と、りゅうず7と、日車8とを備える。
機械式時計1は、図2に示すように、機械式ムーブメント10と、機械式ムーブメント10の精度を向上させる電子調速装置40とを備える。
機械式ムーブメント10は、一般的な機械式時計の機械式ムーブメントに対して、主にテンプ30の構成を変更したものである。機械式ムーブメント10は、図3にも示すように、動力用のゼンマイ12、香箱歯車13、香箱真14および香箱蓋からなる香箱車11を備えている。ゼンマイ12は、外端が香箱歯車13、内端が香箱真14に固定される。香箱真14は、地板に設けられた支持部材に挿通されて角穴ネジによって固定され、角穴車15と一体で回転する。角穴車15は、りゅうず7により丸穴車16等を介して回転され、ゼンマイ12が巻き上げられる。
【0008】
香箱歯車13の回転は、増速輪列となる二番車17、三番車18、四番車19の各歯車を介して増速される。これらの各歯車17~19は、地板および輪列受け等で軸支されている。各歯車17~19によって、ゼンマイ12からの機械的エネルギーを伝達する輪列20が構成されている。なお、図3では、三番車18に噛み合う秒かなに固定された秒針6のみが表示されているが、実際には、図示しない筒かなや筒車を介して駆動される分針5や時針4も設けられている。
機械式ムーブメント10は、ガンギ車21およびアンクル22を備えた脱進機と、テンプ30を備えた調速機とを備えている。脱進機は、四番車19を介してゼンマイ12から供給される機械的エネルギーを調速機に少しずつ供給して調速機の振動を維持させるとともに、調速機の振動周期に応じて輪列20の回転速度を制御している。
【0009】
テンプ30は、図4~図6にも示すように、上下2枚のテン輪31、32と、テン真33と、ヒゲゼンマイ34とを備えている。テンプ30は、テン輪31、32の中に細いヒゲゼンマイ34を仕込んだものであり、ヒゲゼンマイ34は一端がテン輪31、32の軸であるテン真33に固定され、反対の端がヒゲ持39を介して時計本体に固定されている。テンプ30のテン輪31、32は、等時性のあるヒゲゼンマイ34の伸縮で規則正しい往復回転運動を繰り返すことで振動する。
【0010】
テン輪31、32の互いに対向する対向面には、図5にも示すように、永久磁石36が取り付けられている。永久磁石36は、ボタン型のネオジム磁石などで構成され、テン輪31に取り付けられた永久磁石361、362と、テン輪32に取り付けられた永久磁石363、364とを備える。
上下のテン輪31、32間には、コイル35が配置されている。コイル35は、後述するように、テンプ30に制動力や駆動力を与えてテンプ30の振動速度を調速する駆動コイルと、テンプ30の振動状態を検出する検出コイルと、永久磁石36およびコイル35が相対的に移動することで発電する発電コイルとを兼用している。
(【0011】以降は省略されています)
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